元暴走族の総長だったという異色の非行カウンセラー、伊藤幸弘氏の子育て論が書かれた本です。
自身が非行に陥っていただけに、非行に走る子どもの心理がよくわかる。
この子たちを、このままにしておけない。
そんな思いから、非行に走る子どもの面倒を見るようになり、それがきっかけでカウンセラーの道へ。
伊藤氏は、「親が変われば、子どもは変わる。」と、何度も本の中で言います。
非行に走る子は寂しいのだ。親がこれまで「過干渉」で子どもを精神的に虐待してきたから、耐えられなくなった子どもが悲鳴をあげているのです。
だから、子どもを「過保護」にすべきだと言います。
ここで言う「過保護」は、世間で言うところ過保護とは違います。
よく、「甘やかすからダメになる」という言い方をしますが、「甘えさせないからダメになる」のです。
伊藤氏はこのことを、「依存させる」ことだと言います。
私がふだん使っている「依存」とは、また違う意味になります。「甘えさせる」という表現が、ふさわしいと思います。
と言うのも、伊藤氏も本の中で、前に紹介した佐々木正美さんの考えを支持しているからです。
この本には、伊藤氏がどうやって子どもたちを救ってきたかが、手に取るように書かれています。
それを読んでいると、1つのパターンがあることがわかりました。
それは、ガツンと怒って、子どもが萎縮したときに優しく語りかけるというやり方です。
目覚めさせるためにショックを与えるというやり方ですが、私自身は、その必要性もないと感じるのです。
本気であることが伝われば良いのですから、方法はあります。
なぜそんなことを言うかというと、これを読んで、短絡的に「やはり体罰が有効なのだ」と思われたくないのです。
叩かれて、痛みを与えられて、愛情を感じることはありません。
伊藤氏がやっているように、そのあとしっかりフォローする中で、初めて愛情を感じるのです。
だとしたら、無理に痛みを与えなくても、目覚めさせる方法は他にあると思うのです。
しかし、そういうことはあっても、本気で子どもと向き合い、何とかしたいという伊藤氏の姿には頭が下がります。
本に出てくる母親との話し合いを読んでも、伊藤氏の言う「過保護」と「過干渉」の違いをなかなか理解できない親がいることがわかります。
そういう親を相手に、間違いに気づかせ、親自身が変わるようにしむける。
これだけでも大変なことだなあと思うのです。
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