どこで見たのか忘れましたが、面白そうだと買った本です。
著者はYoutuberのサム(アライコウヨウ)さんです。Youtubeのチャンネルは、TOLAND VLOGで、神話系のYoutuberとして有名な方だそうです。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
ただしこの本は小説ですので、なるべくネタバレにならないよう引用を少なめにしたいと思います。
まずは物語のあらすじですが、主人公は著者と同じ名前のサム。兄と一緒にバーを経営しています。ある日、常連客のワタリさんにナイフで刺されて、そこから神話の世界に転生することになります。転生したのはナムチと呼ばれる神様。すぐにわかりますが、後の大国主命(オオクニヌシノミコト)です。
転生したサムは、ナムチそして大国主として生きる中で様々な気づきを得て成長していくのです。
「この世界の大原則を一つ教えとくわ。それは、”自分で気づく”ってことやねん。どっかのすごい人に答えっぽいことを教えてもらってわかった気になってもな、ホンマは全く意味がないねん。自分が体感して、心から気づく。これしか次のステップに進む方法はないねん。そんで、そこをクリアしないと人生の中で何回も似たようなピンチが起こるんやで。」(p.43)
ナムチに転生したサムの頭の中で、タマちゃんと名付けた指導霊のような存在からの声が聞こえたのです。
「「身近にある例でいうと、サムみたいに恋人からフラれるパターンが何回も続いたとするやんか?」
「おい、そのたとえ話やめろよ! 傷つくぞ!」
「酷な話やけど、毎回フラれるとか浮気されるってことは、サム自身にも何かしらの問題があるわけやん?」(p.115)
これはまさにこの通りですね。私も、失恋という同じような体験を繰り返しましたから、よ〜くわかりますよ。(笑)
「人々は当たり前のように自然に感謝し、自然を畏れ、自然の一部として生きている。必要以上のものは取らず、食べず、所有しない。
人々は日々のコミュニケーションを楽しみ、食べ物や物資のやり取りを純粋なギブの精神で循環させている。
病気や出産などで命を落とすことも多いが、死も一つのサイクルとして受け入れられている。」(p.188)
「それにしてもどうして、何一つとして現代人が知らないことばかりなんだろう?
これだけ世界が豊かなことを知っていれば、日常の些細な比較で一喜一憂しなくても幸せに生きられるはずなのに……。日本人はいつ ”この感覚” を失ってしまったんだろう。」(p.188)
大国主は、息子のスクナヒコと一緒に全国を回りながら、国造りとして人々に豊かに幸せに生きる術を教えていました。その当時の人々の様子を見ると、現代人のサムの視点からは、何もないように見えて実は非常に豊かだと思えるのですね。
「目とは視点とも言い換えられます。目が一つしかない人は、人のいいところを一つしか見つけられない。例えば、頭がいいとか、家を建てるのが上手とか。頭がいいという目しか持っていない人は、自分の思う頭のいい人しか褒めないし、認めない。目が少ないと、その目に入る人しか褒めないし、認めないし、それ以外の人との交流を避けるようになります。それは心が貧しい証拠だから、目をたくさん増やせって教えてくれました。目が増えれば増えるほど、人のいいところがいっぱい見つかるから人生が豊かになるって」(p.191-192)
息子のスクナヒコは、父の大国主から教わったことだと言って、このようなことを話しました。
「豊か」か「貧しい」かということも、見方次第なのです。見方とは視点でもあるし、価値観とか価値基準とも言えます。どこに基準を置くかによって、同じ状況が「豊か」にもなれば「貧しい」にもなるのです。それが「相対的」ということですね。
視点が増えれば、どんな人を見てもすべての人の中に素晴らしいと言える点を探せるでしょう。人はそれぞれ「違う」だけであり、その「違い」をどの視点から眺めるかによって、それは「素晴らしい」とも言えるし、そうでないとも言えるのですから。
このようにしてサムは、様々な気づきを得ていきます。そして再び現代に戻ったサムは、今生の自分の課題と向き合うことになるのです。
書かれている内容は、実に本質的です。著者はいったいどんな人なのかと思ってYoutubeチャンネルを見ると、ほんとどこにでもいるような現代の若者なのですね。
最近は、こういう若者が増えてきているように思います。もう最初から悟っていると言うか、わかっちゃってるという感じの若者。だから私は、日本の未来は安泰だなぁと思うのです。
それに、この名前がいい。「アライコウヨウ」さんですか。この名前で私が反応したのは、タイ語の「アライコダーイ」や「アライコヨーム」に似ていたからです。
「アライコダーイ」は「何でもいい」という意味です。そして「アライコヨーム」は「何でも許す」という意味。どちらの言葉も、実に本質的だなぁと、改めて思います。そう思いませんか?
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