2023年08月06日

「繊細さん」の本



これも何を見て興味を覚えて買ったのか忘れましたが、おそらく1年以上前に買った本になります。やっと読むことができました。

著者は武田友紀(たけだ・ゆき)さんで、HSP専門カウンセラーをされています。HSPというのは「Highly Sensitive Person」の略で、この本で言うところの「繊細さん」です。敏感で、他人の気持ちがビシバシ伝わってきてしまうような人。こういう人が5人に1人いるのだそうです。

そういう繊細さんが楽になって、楽しく生きられるようアドバイスをされているのが武田さんです。本書は、その武田さんの解決手法がたくさん書かれていました。


ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。

背の高い人が身長を縮めることができないように、繊細な人が「鈍感になる」「気づかずにいる」ことはできません。生まれつき繊細な人が鈍感になろうとすることは、自分自身を否定することであり、かえって自信や生きる力を失ってしまいます。
 本書でお伝えする「繊細なままで生きるアプローチ」は、「鈍感になる」「心を鍛える」といった方向性とは全く逆。
 繊細な人は、むしろ自分の繊細な感性をとことん大切にすることでラクになり、元気に生きていけるのです。
」(p.4)

冒頭でこのように武田さんは言われています。自分を変えることなく繊細なままで楽に生きられるというのですね。


自分にとって「いいもの」を感じるのも「痛い・つらいもの」を感じるのも、同じ繊細な感覚です。
 寒さ、暑さの一方だけを感じることができないように、繊細さんの感覚もいいものだけを抜き出して感じることはできません。
」(p.25)

繊細さんが敏感なのは、ネガティブなことだけではなく、ポジティブなことも同様なのだそうです。

繊細さんに必要なのは、痛みやストレスに耐えられるよう自分を作り変えることではありません。平気なフリをすることでもありません。
 繊細な感覚をコンパスに自分にとっていいもの・悪いものを見分け、自分に合う人間関係や職場環境に身をおく。
「私はこれが好き」「こうしたい」という自分の本音をどれだけ大切にできるかが勝負どころなのです。
」(p.27)

ネガティブな影響に対して強くなることではなく、ポジティブになれる方へ自分を持っていくことが重要なのですね。


意識しなくても同僚の感情や場の雰囲気を感じてしまうというNさん。人とじっくり1対1で話すのは好きな一方、職場の飲み会など大勢で盛り上がる場は苦手です。」(p.32)

そう言えば私もそうだなぁと思いました。大勢とか初対面が嫌いです。仲間内の飲み会でも、それが楽しくても、二次会まで行く気がしません。疲れてしまうのです。

同僚が食器を並べるのを見ていて、ハラハラするんです。そんなところにお水を置いちゃうとお客様の肘が当たって落ちるんじゃないかとか、後のことを考えて、そのお皿はもう少し右側に置いたほうがいいのに、って。なんでみんながあんなに雑に仕事ができるのか、わからないんです」(p.35-36)

ある繊細さんの言葉なのですが、私の心を読まれたのかと思いましたよ。(笑)
私も、前の老人介護施設での仕事で食事の準備をする時、このように感じていました。

繊細さんが、まわりの人よりもささいなことに取り組む傾向にあるのは確かですが、それは完璧にこなそうと思っているわけではなく、ただ「気がついたから対応しているだけ」「リスクを防ごうとしているだけ」。完璧主義とは別物なのです。」(p.37)

私自身、自分のことを完璧主義者だと以前は思っていました。でも、こう言われてみると確かに、完璧を目指したと言うより、気づいたからしょうがなく対処しようとしたとも言えますね。


繊細さんは、気づくからあれこれ考えてしまって、やることがたくさんになってパニックになることがあるそうです。では、そんな繊細さんはどうすればいいのでしょうか?

「あれやってからこれやるのがいいんだけど、あれは今できない……とりあえずこれからやっておこう」
 最初のうちは「本当はああするほうがいいのに!」と落ち着かないかもしれません。でも、何度かやるうちに「ベストじゃなくても、物事が進む」ことを実感できます。
」(p.41)

私もパニックになりそうな時は、「1つずつ、1つずつ」と自分に言い聞かせ、目の前のことに集中するようにしていました。

あれもこれもと頼まれて焦る。仕事が山積みだ。
 そんなときの合言葉は「一つひとつやっていこう!」です。
」(p.163)

どうせ一度に全部をやれないのなら、まずは目の前の1つに集中すること。それが終わったら、次をやること。それだけですね。


それは、相手の感情であれ仕事の改善点であれ、「気づいたことに半自動的に対応し、振り回されている」ということです。
 逆に言えば、繊細さんが元気に生きるためには、この自動応答を切ることが必要です。気づいたときにわずかでも踏みとどまって「私はどうしたいんだっけ?」と自分に問いかけ、対応するかどうか、また対応するならその方法を、自分で「選ぶ」ことが必要なのです。
」(p.52-53)

気づいてしまうから何とかしなければと感じ、何とかしようとしてしまう。それが繊細さんの癖。だから苦しくなってしまうのですね。
気づいてしまうことは繊細さんの特質ですから、これを変えようとするのではなく、次の段階のどう対処するのかを考えることが大事だと武田さんは言います。


一時的に対処しなければならないときも、感覚を閉ざすのではなく、ストレスのもとになるさまざまな刺激を「まずはモノで防ぐ」こと。そして、最終的には感覚を閉ざさずすむよう、ストレスの大きな場所や相手とは距離をおくことが必要です。」(p.62)

次に重要なのが、物理的に刺激の量をコントロールすることですね。先ほどの飲み会の例で言えば、なるべく人数の多い飲み会には参加しない。そして私のように、一次会には参加しても二次会は参加しない。そのように、自分で刺激を減らす工夫が必要なのです。


繊細さんと非・繊細さんの感覚の違いは、繊細さんの想像をはるかに超えています。
 どんな人にもどこかしら繊細なところはありますし、非・繊細さんが繊細な感覚を全く持たないというわけではありません。ただ、繊細さんはとりわけ感じる力が強いため、「相手も自分と同じように感じているはず」と思って非・繊細さんに接すると、思わぬすれ違いが生じ、誰も悪くないのに傷ついてしまうことがあるのです。
」(p.92)

そう言えば私も若い頃は、ナイーブで傷つきやすい性格でしたね。(笑)

自分の本心を抑えて相手を優先していると、「優先してもらうのが好き」な人がまわりに集まります。「相手を優先するあなた」がよしとされるので、自分の意見や感じ方に自信がなくなり、ますます自分を出せなくなってしまう。
 自分を出さないようにして「殻」をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまうのです。
」(p.97)

ネクラな自分を否定して、無理して明るくなろうとしていると、明るいことが良いことだというエネルギーを持った人が集まるため、ますます苦しくなってしまうのです。


でも、わかるのは、怒っているな、イライラしているな、という相手の感情(機嫌)まで。「相手がなぜ今、その感情になっているのか?」という「感情の理由」を正確に当てることはできません。感情の理由は、あくまで頭で推測したものだからです。
 人は自分に負い目があるとき、負い目に注目しがちです。
 たとえば「自分は仕事が遅い」と思っていると、上司がイライラしているときに「自分の仕事が遅いからだ」と思ってしまう。
」(p.113)

たしかにそうですね。繊細さんは、相手の感情には敏感ですが、その理由まで正確に理解しているわけではないのです。
実際、こういう面倒くさい人もいましたね。自分は嫌われると思っている人が、他人のちょっとした行動を曲解して、自分が嫌われたと思っていじけてしまう。(笑)

非・繊細さんと上手にコミュニケーションするためには、自分の感覚をわかってもらおうとするのではなく、やってほしいことを言葉ではっきり頼む必要があります。」(p.145)

これは何も非・繊細さんに対してだけではなく、相手が繊細さんでも同じだと思います。所詮他人はわからないのです。だから、何も言わずにわかってくれという方が無理なのです。

繊細さんどうしなら以心伝心、なんでもうまくいくのか? というと、そうではありません。
 ふたりとも繊細だというご夫婦は、「察してよ、と思っていたときはうまくいかなかった。でも、言葉で伝えるようになって、どんどん仲良くなっていった」といいます。
」(p.153)

感性も考え方も、人それぞれなのですよ。


介護施設で働くKさん。夜勤もこなす彼女は、職場で休めないという悩みを抱えていました。夜勤で一緒になる同僚は「聞こえてないのかなと思うぐらい」コールに出てくれないため、いつも自分が対応しているといいます。」(p.175)

そんな彼女に、私から「率先して動くのをやめて、職場でぼーっとしてみよう」と宿題を出しました(もちろん介護施設の利用者さんに危険のない範囲で、です)。
 すると、どうなったでしょう。コールが鳴ると同時に手を伸ばしそうになるのを一瞬だけこらえることで、同僚がコールをとるようになったそうです。
」(p.175-176)

この同僚は、やりたくなくて怠けていたわけではなく、自分がやろうとするタイミングよりも早くKさんがコールを取るので出番がなかっただけなのでした。
私も老人介護施設で働いていて、似たようなことがありました。わざと何もせずに放っておいて、同僚がやるよう仕向けたこともありました。

でもね、そうするのは私らしくないと感じたんですよね。だから、損か得かじゃなく、私らしく生きようと思って、同僚がどうするかに関係なく、私が私のタイミングでやったらいいじゃんと思ったのです。
もちろん、時々は怠けましたけどね。(笑)


誰かの機嫌が悪いと気づいたら、「機嫌悪いんだなー」と思うにとどめ、あとは放っておいてください。
 とはいえ、不機嫌な人のそばにいると落ち着かないもの。お手洗いに立つ、他の場所で作業するなど、できるだけ相手から離れましょう。
」(p.184)

これは斎藤一人さんも言われていることですね。機嫌は自分で取るものです。他人の機嫌を取ってあげる必要はなく、取ってあげてはいけないのです。他人には、機嫌が悪くなる自由があるのですから、他人の自由に任せることですよ。
そして、前にも出てきたように、できるだけネガティブな刺激から物理的に離れることです。


繊細さんが、自分のままで元気に生きる鍵。それは、自分の本音−−「こうしたい」という思いを、何よりも大切にすることです。」(p.221)

「こうすべき」というのは他人の思いです。そうではなく、自分が楽しくなるような「こうしたい」という思いに従うこと。
もちろん、「他の職場で働きたい」というような大きなことはすぐにはできなくても、「不機嫌な人から離れて1人になりたい」と思うなら、今すぐそうすることです。


この本を読んで、私も実は繊細さん(HSP)だったんじゃないかなぁと思いました。たしかに若い頃はナイーブで傷つきやすかったし、他人に対して過剰に期待していました。
歳を重ねることで、徐々に自分の思いで生きられるようになってきて、今は幸せに生きられています。でも、繊細な感性というのは変わっていないなぁとも思います。

もし今、自分の繊細な感性によって苦しんでいる人がいるなら、こういう本を読んでみるのもいいかなぁと思いました。

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タグ:武田友紀 HSP
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 15:38 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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