2023年02月20日
100年足腰
これもYoutubeの本を紹介する要約動画を見て、ピンときたので買った本です。著者はひざのスーパードクター巽一郎(たつみ・いちろう)医師です。
巽医師は、膝痛に悩む患者たちが手術を受けたくて全国から押しかけるという、超有名な外科医です。しかし巽医師は、まずは手術をしないことをお勧めしているそうです。
そして、巽医師が推奨する方法にしたがって療養すると、膝痛ばかりか腰痛、糖尿病、高血圧、逆流性食道炎も解決するのだとか。つまり、膝痛の対症療法ではなく、健康になるための本質的な医療をされているということです。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「「手術をしてください」と言われても、最低2〜3か月はしないで保存療法をしていただくのです。
それは、ひざ痛の多くは、手術をしなくとも、自分の力で解消できると知ったからです。それは整形外科の教科書にはありません。いわば「常識はずれ」です。」(p.10)
「筋肉が少なくなっている以外は、肝臓も心臓も腎臓もお元気な状態でした。それで「太ももの筋肉を鍛える」「ひざに負担のかかる歩き方を正しい歩き方に変える」「ひざにとって負荷となる体重を減らす」ということを3か月やってみましょうと提案しました。」(p.13)
「そこで2010年から、初診に来られた方全員に1時間のレクチャーをして、患者さんとご家族に3つの保存療法を理解していただくことにしました。」(p.17)
「でも、手術には、同時にデメリットもあります。どんなに注意深くしていても、手術後に、感染症、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞)などを引き起こしてしまうこともあるのです。これらの落とし穴を巧みに避けて、歩けるというゴールをめざします。
そもそも、僕らのからだの精緻さは、まるで奇跡。からだに備わる奇跡的なメカニズムは、感動してしまうほどで、人間のからだは自分で自分を元どおりに治すシステムを持っていることを日々見せつけられます。それを有効的に働かせることが大切です。」(p.18-19)
このように、巽医師はひざの手術のスペシャリストでありながら、人体の自然治癒力を優先するという考えの持ち主なのです。
「というのも、いちばん大切なのは、「意識から変えていく」ということだから。
100年でも長持ちするからだで、いつまでも自分の足で歩き、健康長寿をかなえたいというとき、最も大切なのは、「自分のからだへの意識」だと思うからです。
そのなかでも、「原因を見て、それと向き合う」という意識です。痛みや不調という結果ばかりに追われるのではなく、「この痛みはどこからきているのだろう」「原因は何だろう」という視点を持つということです。」(p.20)
「ですから、痛み止めを飲んだり、サプリを飲んだりして、”結果”だけを変えることには、はっきりいって意味がありません。原因がそこにある限り、結果はまた同じように再現されるからです。このことが今回私がお伝えしたいすべてだといってもいいでしょう。
原因をそのままに、逃げようとか、見ないようにするのではなく、”原因”をきちんと知り、取り除いていく。この本はそんな本だと思ってください。」(p.21)
単に痛みを取り除けばいいというような対症療法ではダメなのです。
「手術をせずにひざの痛みが解消し、歩けるようになる人がたくさんいらっしゃる一方で、いま現在でも3割の患者さんは、私が提案したことは行わず、手術を早くしてと来院されます。「やりたくない」患者さんもおられるというわけです。
僕はたくさんの方々とお話しながら、それが人間なんだと理解を深めていきます。いかに知識として入ったとしても、実践すること、そして自分を変えることは、人生では最大の難関であるということなのかもしれません。でも、それだって自分の選択です。」(p.26)
「それでも、痛みという「結果」だけを見ることから、痛みの「原因」に目を向ける。そんなふうに患者さんの意識が変わることを、僕はできるだけ気長に待つことにしています。」(p.26)
患者さんの自由意志を尊重する姿勢が素晴らしいなぁと思います。
「「年齢を重ねたら、誰でも筋肉が落ちて動けなくなる」と開き直ったり、あきらめてしまったりする人が後を絶ちませんが、「筋肉が落ちた」から、「動けなくなる」わけではないのです。それでは原因と結果が、正反対。
まず、からだの使い方を間違えているから、痛みが出て動かせなくなり「筋肉が落ちる」。僕に言わせればそれが正解です。「動く」かどうかは、自分の気持ちひとつ、正しく動かすかどうかは、意識ひとつです。正しく動かしている限り、筋肉はその年齢に適正な質と量を保つものです。」(p.35)
「たとえば筋トレする動物を聞いたことがありますか? 「速く走れる動物」はいますが、トレーニングの末に速く走れるようになったわけではありません。高度に文明化された人間だって、もとは野生動物です。
人としての本来あるべき暮らしをしていれば、必要な筋力は保たれます。」(p.36)
筋肉が重要だからと言って、ジムに通って筋トレする必要はないと巽医師は言われます。
私も少し、筋トレは不自然だなぁと感じていました。ただ、日常生活の中で身体を動かす必要がなくなってきた現代人が、その生活を変えずに健康を保とうとすると、どうしてもそういう不自然なことをやらなければならなくなるのかもしれません。
「長年、数え切れない方々の足腰を拝見するなかで、からだが正しいバランスから崩れていく「最初の入り口」を見つけました。
それは「頭が前に来る」姿勢と、その姿勢で「歩く」ことです。」(p.36)
「・歩くとき、頭を前に出す
・つま先から足を着地している
そんな歩き方は、ニワトリを思い浮かべるといいでしょう。」(p.37)
ヒザ痛や腰痛など、諸悪の根源は頭が前に出てバランスが崩れた姿勢にあり、その姿勢のままに歩くことだと言うのですね。
「ひざが激痛を生じるメカニズム「骨と骨が直接当たって割れる微小骨折」−−この原因さえ取り除いてあげれば、痛みを遠ざけることができます。
つまりは「骨どうしが当たらないようにする」ことができれば、激痛を取り除くことができます。」(p.51)
ヒザ痛は、硬い骨同士がぶつかりあって、微小な骨折をしているからだそうです。
「であれば、歩くときに内側にストレスをかけて歩けたらどうでしょうか?
そうです、微小骨折は起こらず激痛がなくなるのです。」(p.54)
ひざ痛の人に多いO脚は、膝の内側の骨同士がくっつきやすくなります。その小さな面積に圧力がかかるため、その部分の軟骨が削れるのです。
これは感覚的には逆に外側がくっつくような気がするのですが、関節の仕組みを考えるとわかります。膝を中心に外側に脚が広がれば、上下の足の骨は内側同士がくっつきます。
そうであれば、O脚を改善するような姿勢、つまりヒザを内に閉めて歩けば、ヒザの内側に隙間ができて、骨同士がぶつからなくなる。
この歩き方を「たつみ式・内もも歩き」と呼んでいるそうです。巽医師は、このように独自に考案された方法によって、ヒザ痛をなくしています。これら方法の詳細は、ここでは引用しませんので、気になる方はぜひ本書をお読みくださいね。
「そもそも、「痛み」などのトラブルが起こるのは、からだを正しく働かせていないからであり、正しくからだを使えていると、からだを支えるのに必要な筋肉の質と量は保たれます。つまり、からだに不調が起きているのは、「姿勢が悪く」「使い方が悪い」ということです。
からだを正しく使えていないから痛みが起き、それは「動きたくない」に直結します。「じっとしていたほうがラク」とばかりに、日常の運動量は減り、「体重が増える」「筋肉が減る」。するとさらに、ひざなどの痛みが増す。−−そんな悪循環が始まります。」(p.62)
悪循環を断つためにも、大本の原因にアプローチしないといけないのです。
「でも、内転筋については「人間が二足歩行をできるようになった陰の立役者」といってもいいほど大事な筋肉です。100年長持ちする足腰をめざすなら、ことのほか意識したい筋肉といえます。」(p.87)
「加齢で運動量が減ると、全身の筋肉は弱り、その量も減っていきますが、内転筋も同じです。
ある程度の年齢を重ねたら、「意識的に内転筋を使い、仕事をさせることで鍛えていく」。それくらいの気持ちでいるのが正解です。」(p.87-88)
巽医師は、ヒザ痛対策として重要な筋肉(群)として、「内転筋」「大腿四頭筋」「腹筋」「骨盤底筋群」の4つを取り上げています。中でも内転筋が弱るとO脚になりやすくなるため、重要な筋肉と考えておられるようです。
「内転筋が仕事をサボると、骨盤がゆがみ、腰を含んだ広い範囲に悪影響が及び、歩くことさえ困難になります。「腰痛」も、あっという間に悪化します。
内転筋は「骨盤底筋群」とも連結しています。
骨盤底筋群とは、骨盤の底にある筋肉や靭帯の総称です。」(p.90)
「骨盤底筋群とつながる内転筋が衰えてくると、悲しいかな、この骨盤底筋群も共倒れになり、尿トラブルや、脱腸、子宮脱が引き起こされることもあります。年齢を重ねれば重ねるほど、大事な存在というのは、そんな理由もあります。
さらに、内転筋は腹筋にもかかわっています。」(p.90)
このように、何よりも内転筋を大事にすることが重要なようです。
「70歳を超えると、かなりの人が脊椎管狭窄症の症状を経験します。その症状とは、足の裏がしびれて感覚が弱くなったり、お尻から脚にかけて痛みやしびれが出たりします。また歩くと症状が悪化し、休むとやわらぐのが特徴です。前かがみになると症状がやわらぐため、頭部はどんどん前に出て、前章でお伝えした諸悪の根源であるニワトリ姿勢にまっしぐらとなってしまうわけです。」(p.101)
「薬で痛みを和らげる対症療法ではなく、脊椎狭窄症の原因療法が何かといえば、それは簡単にいえば、体型を発症前に戻すことです。
ぽこっとしたおなかをへこめ、腹筋をよみがえらせる。そして、しなやかな脊椎の自然のカーブを取り戻す。そのために、「壁背伸び体操」と「CS体操」が有効なのです。」(p.105)
体操の詳細は本書に譲るとして、脊椎狭窄症になると、さらに頭が前に出て、身体に負担を与える姿勢になってしまうのですね。
つまり、老化で筋力が衰えたり、長時間のスマホなどの悪習慣から頭が前に出る姿勢の悪化が状態化し、それによって脊椎管狭窄症の傾向が出てくると、ますます頭が前に出る悪い姿勢が固定されてしまうのです。その根本原因を直さなければ、最終段階のヒザ痛も治らないのですね。
「「痛い」というのは「早く治して」というサインを脳はじめ全身に送っている証拠だからです。そのサインを察知して、傷口が自然治癒へと向かいます。
そんな「炎症期」は、回復を早めようとあせらず、からだを休めることがいちばんです。」(p.116)
身体が損傷した時は、まずはその部分に炎症が起こり、痛みが発生します。その時は、じっとしていること、休むことが大切なのです。
「ひざの痛みをとるためには、からだの正しい使い方を知っていただいて、おかしい場合は正してもらい、がんばりすぎない範囲で筋肉を鍛えてよみがえらせる。それと同時に体重も減らしてあげたら、ひざへの負担は軽くなって、ひざの痛みのない、一生歩けるからだへと大きく前進できる、ということです。」(p.122)
二足歩行の人間にとって、膝や腰には大きな負荷がかかっています。ですから必要以上に負荷をかけないように、減量する(痩せる)ことも重要なのです。
「僕が提唱する「たつみ式・長生きダイエット」は、シンプルです。
@「空腹の日」をつくって食べる量を減らすこと
Aしっかり消化させる食べ方で栄養をとること
このふたつを実践するダイエット法です。」(p.126)
「「食べる量を減らす」という、入れることを減らす方法のほうが、じつは「運動をするダイエット法」より効果的で長続きします。
そもそも、運動で消費できるカロリーというのは、意外と少ないのです。」(p.126)
「1週間に1日だけを食べない日にする。それを1週間でいちばん忙しい日にしてみました。」(p.128)
「「空腹の日」を1日過ごすと、翌日は自然と食べ物への感謝の気持ちが生まれます。明けた翌朝は、ゆっくりと朝食を味わい、よくかんで食べるようにします。「食べる量」がおのずと減ってくるでしょう。
食事をとるときの「意識」をこうして変えていくのです。」(p.131)
1週間に1日だけ断食を行うことで、他の日の食事の時の意識が変わると巽医師は言います。
たしかに、忙しい日に食べないことは簡単です。私も、仕事中は食べたいと感じませんから。
ただ、それだけで意識が変わるでしょうか? やはり、食事の大切さを日々考えて、意図的に意識を変えようとしなければならないと思います。
そうやって、よく噛んで、よく味わって、少なめの食事を楽しむようになれば、自然と減量されるでしょう。
「玄米に含まれる「フィチン酸」は、人が知らずに摂取してしまった食品添加物や農薬、公害汚染物質などの毒と化学結合し、体外に排泄するデトックス効果が期待できるというわけです。」(p.140)
発芽毒としてのフィチン酸などがあって、これが人体に良くないとされていましたが、良い面もあるようですね。
ただ、発芽玄米などにすれば発芽毒の害は防げるので、巽医師は6時間の吸水時間(その間に玄米が発芽するから)を勧めています。
「食べすぎの大きな原因はストレスです。もっというと、その人の心が「満たされていないという欠乏感」です。」(p.145)
食べ過ぎは良くないとわかっていても、ついつい食べてしまう。その原因はストレスですね。私もそう思います。
「痛みはからだの一部分が壊れかけたときに、それを自己修復するために起こります。
壊れかける原因は過労であったり、事故であったり、心のストレスが原因のこともあります。そんなとき、元の健康な状態に戻るために、まずからだはいつもの活動をストップするように言います。それが痛みという「信号」です。」(p.154)
健康を害した時の諸症状は浄化作用だとレイキでは言っていますが、痛みもまた同じことですね。自然治癒力を発揮させるための症状(身体の声)なのです。
「風邪をひいたとき、祖母はきまってこう言ったものです。
「熱いお茶を飲んで、ショウガか大根をすってハチミツと一緒にお湯割りにして飲んで、温かくして首にタオル巻いて靴下まで履いて寝たらええねん。寝ているあいだに汗をびっしょりかいたら、からだを拭いて、洗いたての寝巻きに着替える。それを2〜3回して朝起きたら風邪はスッキリ治る」
医学的に見ても、このj方法は最高です。まずからだを温める。水分をとる。胃や腸は休める。そして、汗と尿でウイルスを体外に排出する。」(p.164)
私もこの考えに賛同しますが、最近は西洋流の冷やすという対処法が広まっているそうです。西洋流は、熱が出たら氷水で身体全体を冷やしたり、薄着をして熱がこもらないように冷ますことをやっています。これはどうやら、発熱するのは体温を一定に保つ機能が正常に働かなくなっている、という考え方によるもののようです。
私が勤める老人介護施設でも、西洋流でやっていて、掛け布団を薄くしたり、部屋を暖めないようにしたり。本当にそれでいいのかなぁとは思いますが、施設の方針ですからねぇ。
「Kさんは初診の日は155cm 72kg。HbA1cの値が7.7で糖尿病。すでにお薬を始めて2年たっていました。素直な方で、説明会で話を聴いて納得され、「空腹の日」と「足指にぎり」運動、「内もも歩き」を始めました。「空腹の日」の初日は楽しかったが、翌週はつらかった、などと、日記に血圧や血糖値と感想を細かく記載されていました。
それらを続けて3か月たった再診日、測定すると155cm 63kg。HbA1cは6.2まで下がっていました。」(p.169)
HbA1cというのは糖尿病を判定する指標の1つで、6.2%以上が糖尿病と診断されるのだそうです。
2型糖尿病の場合は、食べ過ぎをやめて適度な運動をすれば、改善されるということですね。
「高血圧の方も、お薬を飲み続けている人がほとんどだと思います。薬をやめたら大変なことになるからやめてはいけない、と医者に言われている人も多いことでしょう。
化学物質でヒトの恒常性のバランスを崩すのはあくまでも一時的にとどめたほうがいい、というのが僕の考え方です。」(p.170)
「じつのところ、血圧のコントロール基準は、よくよく変更になります。それだけ多くの研究者がいて、いろんな論文を出しているからです。
その中のひとつに、「年齢プラス90までで、症状(頭痛・ふらつき・めまい)がなければ良い」というのがありますが、私はこれに賛成しています。」(p.170-171)
私もこの考えに賛同します。今の自分の体にとって最適の血圧になっているのですから、少なくとも緊急避難的な場合を除いて、薬で強制的に変更させてはいけないのです。
「これからも様々な論文の出現によって、目標血圧は変わっていくこともあるでしょうが、大切なことで知っておいて欲しいことは、血圧が下がりすぎる方が怖い、ということです。」(p.171)
「血圧を薬で下げることで最も問題となるのは、腎不全を招くことです。前述したように、腎臓は血流が減ると糸球体が減っていきます。腎臓が死んでいくと、からだは老廃物であふれ、からだのあちこちにむくみが出ます。」(p.171)
降圧剤によって血圧が下がりすぎると、自然に低い場合とは違って、いろいろ問題があるようです。
先ほども書いたように、今の身体にとって最適の血圧より下がるのですから、今の身体にとっての問題が拡大していきます。それは腎臓の機能低下だったり、脳の機能低下だったりするわけですね。
「よく12時になったから、今日はおなかがすいていないけれど食べよう、という人がいます。しかし、どれだけ食べるか、いつ食べるかは、その都度、からだと会話をして決めるべきことなのです。おなかがすいていないときは、食べなくてもいいとき。それを頭で食べなければと、がんばることがからだのバランスを崩すのです。
もっともっとからだの声に耳をかたむけてください。」(p.175)
私も、体の声に耳を傾けることを勧めています。
「近い将来の話、「対症療法」の害についてはやがては多くの人の知るところとなり、「薬」は半減するのではないかというのが僕の予想です。薬に頼らず、原因を自分の力で取り除こうとする流れになると思っています。」(p.175-176)
そういう世の中に早くなってほしいものです。
「痛みの対処には、温かい言葉をかけてくれる「誰か」がいることも大切です。「痛みがあるところにじっと手を当ててくれるようなやさしい存在」ということです。
それは「心に寄り添い、癒してくれる人」、つまり「ヒーラー」ともいえるでしょう。昔は、癒すことを職業にする「ヒーラー」が、いまよりもたくさんいて、活躍をしていました。彼らは「手当て」によって、病を癒してきたといわれています。
手当てで病を癒す、というと不思議な話のように聞こえるかもしれませんが、とても科学的な効果をもたらしてくれます。
「手を当てる」というのは、極論すればまわりの誰かの手を借りる必要もなく、自分の手を患部に添えるだけでも十分です。いつでもどこでも、自分で痛みを癒すこともできます。」(p.176)
ここでまさか「手当て」が出てくるとは思いませんでした。しかし、レイキは痛みに強いと私は思っていますが、巽医師もそれを実感されてるのですね。
「どちらにも近くなかったのですが、おもしろいことに、からだじゅうの筋膜を3次元で描いたものとは、多くが重なったのです。
筋肉は、離れた筋肉とも、薄い筋膜でつながっています。血流の通り道でも、神経の分布でもなく、筋膜の構造と「気の通り道」が同じ。」(p.178)
「まだ仮説ですが、「筋膜」の上を流れる「電気」こそ、「氣」の正体ではないか−−というのが、いまのところの僕の考えです。」(p.179)
東洋医学では、氣は経絡(けいらく)に沿って流れると言われます。その経絡が人体の何なのかを巽医師は独自に調べてみたのだそうです。すると、血管や神経ではなく、筋膜が経絡の図に合致すると思われたのですね。
「そして「氣」は、からだの中を流れているのに、その人の「意識」と連動していることも大切です。ですから、からだの中で、その人の意識が行き届かないところがあると、そこから不調が起こりやすくなります。ほったらかしはダメなのです。」(p.179)
筋肉を鍛える時、どの筋肉が働いているかを意識することが大切だという話もありますね。前に書かれていたように、意識を向けて身体の声をよく聞くことが大切なのです。
「そして最後にお願いしたいのは「いままでのあなた自身を、決して責めないでくださいね」ということ。
「こんなにひざが痛むようになったのは、いままでの私の歩き方、食べ方のせいだった」と、反省ばかりして、落ちこみ続けていても、なんの得にもなりません。今日から、いまこの瞬間から、からだの使い方をガラリと変えればいいのです。
むしろ、「いままでとてもがんばってくれてありがとう」とひざをいたわり、ほめてあげましょう。そして自分のからだを大切にいとおしんであげましょう。」(p.180)
後悔するとか罪悪感を抱くなど無意味なことはやめて、意味のある生き方を今からすることですね。
「つまり「生きる」ということは、「どこを見て生きているか」という選択の連続です。」(p.182)
ネガティブな面に意識を向ければ、ネガティブな考えに染まります。逆に感謝できる面に意識を向ければ、感謝と幸せの中で生きられるのです。
「僕たちのからだは、紹介してきたように、とても賢いものです。からだがすることを信じて、それにもっと向き合って、そのサインをしっかりと聞きましょう。
本当は自分で自分を治せるんだということ。誰かの言うがままではなく、軸を自分に戻し、大切なことは自分が決めるということ。自分のからだや自分自身をもっと信頼することでもあります。そんなメッセージが伝わったら本望です。」(p.188)
もしヒザ痛によって、自分の身体の声を聞いて大切にすることに気づけたなら、ヒザ痛になったことすら感謝ですね。
ヒザ痛などの原因が姿勢や歩き方にあるということは、まさにそうだなぁと思います。ですから、対症療法で痛みを緩和するだけでは、原因を根治することはできません。原因がある限り、その症状はあり続けます。原因に対処する必要があるのです。
そういう純粋に医学的な知識を伝えてくれる本だとばかり思っていましたが、後半を読んで、それだけではないと感じました。この本は、生き方を示しているのです。
身体の声を聞いて、身体をいたわり、感謝する。そういう生き方によって、私たちは幸せに生きることができるのです。
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