2023年02月05日

THE BLUE ZONES 2ND EDITION



完全に英語タイトルのままになっていますが、日本語に翻訳された本です。この本もYoutubeの本の要約動画を観て、興味を持って買ったものになります。
著者はダン・ビュイトナー氏。ジャーナリストのようで、ナショナルジオグラフィック誌の取材として行われた調査の様子を含めて本にしたものとなっているようです。

350ページもある分厚い本ですが、はっきり言って冗長であり、まるで小説のような書き方になっています。単に長寿の秘訣を知りたいと思って読む人には、いささか退屈で面倒くさく感じるかもしれません。実際、私がそう感じたので。(笑)
著者のビュイトナー氏が雑誌の記者であることを考えると、こういう書き方になるのも仕方がないのかもしれません。取材に同行していた人がどんな服装だったとか、何を言ったとか、本の主題からするとどうでもいいことが延々と書かれていて、あとからそれが何も意味がないことがわかると、がっかりしてしまいます。

なので、この本に科学的な調査結果を期待するのはやめた方が良いと思います。
ただ、実際に取材にあたった臨場感は伝わってくるので、その雰囲気から、長寿者がどういう生活をし、どういう考え方をしているのかが垣間見えてくる気はします。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

ただ長生きするのでなく、近年注目されるのが「健康寿命」である。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を示す。
 ここに衝撃的数字がある。世界保健機関(WHO)が発表した二〇二一年最新の統計によると、日本人の平均寿命は八四・三歳で長寿世界一の座を守り続けている。しかしながら「健康寿命」を見ると、平均寿命と健康寿命との差は九・三年で、調査が実施された世界一三一ヵ国中六〇位との報告もある。
」(p.6)

人の長寿要因は「社会とのつながり」がもっとも重要な要素であることが研究報告されている。本書で紹介されるブルーゾーンの長寿者たちは共通して家族とのつながり、友人知人とのつながり、地域社会とのつながりが強固で、お互いに支え合うことが精神的にも安定をもたらし、ストレスを減らし、そして生きる気力となっていた。」(p.7)

ブルーゾーンという言葉に触発されたビュイトナーは、この言葉を日本の沖縄、アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカのニコジャ半島、ギリシャのイカリア島に広げ、ブルーゾーンを人口統計学的に確認された長寿の場所の国際的呼称として確立した。」(p.8)

ただ長生きでなく、「よりよく生きる」ためのヒント、ポストコロナ時代に向けての「生き方」のヒント。一世紀を生き抜いた人々の健康と長寿のルールをまとめた本書にはその答えがある。」(p.11)

本書の監修と訳をされている荒川雅志(あらかわ・まさし)教授は、冒頭でこのように本書を薦める理由を述べられています。


「ウシおばあに会ったとき、私ははじめて彼女の満面の笑みを見ました。あなたは外国から来た人なのに、彼女はまるで友達のようにあなたに話しかけてきた。日本では、見知らぬ人には警戒心を抱くものです。でも、ウシおばあは、すぐにあなたを受け入れた。その雰囲気は、まるで大きなハグをしているようでした。」(p.19)

それからずっと、ウシおばあのことを考え続けていました。ウシおばあのシンプルな生き方、周りの人を気持ちよくさせること、将来何かを得ることを心配したり、過去に何かを逃したことを悲しんだりしないこと、そんなウシおばあのことを。だんだん思い始めました。彼女のようになりたい、それが私の目標だと」」(p.19)

「はじめに」でビュイトナー氏は、沖縄に訪れた時のことを書いています。その時に通訳として同行した緒方佐代子(おがた・さよこ)さんの言葉を、このように記していました。
私はここに、長寿の秘訣があるように直感しました。何も心配していない、怖れていない。そういう生き方が、長寿の秘訣なのだと。


長寿者が最も多い地域を中心に、彼は地図上に青いインクで円を描いた。それが「ブルーゾーン」という名称のいわれで、のちに人口動態学者たちはみな、この名称を使うようになった。」(p.48)

イタリアのサルデーニャ島で調査を行ったベルギーの人口動態学者、ミシェル・ブーラン博士のことを書いた部分からの引用です。
なぜブルーゾーンと呼ぶのか疑問だったのですが、これが答えのようです。


この後、それぞれの地域での調査のことが延々と書かれています。その章の終わりには、その地域の人たちが長寿である秘訣だとビュイトナー氏が思っていることがまとめてあります。
ただ、本当にそれが秘訣なのか、そこには科学的な論拠がありません。ただビュイトナー氏がそう思ったというだけのように感じます。


いわば、生命のコントロールを神の手にゆだねているのです。神が運命を握っているとなれば、自分が背負っている経済的・精神的な難問や福祉の不安は軽減されます。」(p.225)

コスタリカのニコジャ半島を取材した時の同行者、科学者のエリザベスさんの言葉です。彼女は、信仰の力が長寿に影響していると考えているようです。


そこで私は考えた。米国では、健康増進といえば、運動や、オーガニック食品、オメガ3、微量栄養素など、口に入れるものを思い浮かべる人が多い。ビタミン剤やサプリメントだけで、年間約三〇〇億ドルも費やしている。しかし、私たちが訪れたブルーゾーンでは、平均寿命の長さを説明するのに、食生活は部分的にしか貢献していなかった。運動は、少なくとも私たちが考えているような、意思を持って従順に体を動かすこととはまったく関係がなかった。」(p.270)

ニコジャの人たちは、これを「人生の目標(プラン・デ・ビーダ)」と呼んでいるが、米国国立老化研究所の初代所長であるロバート・バトラー博士は、自分の人生の意味を明確にする能力が寿命を延ばすと推定している。」(p.270)

食べ物は身体に直接的な影響を与えますが、どういう生き方をするかという精神的な働きもまた、長寿と健康に大きな影響がある。私もそう思います。


ブルーゾーンの研究を一〇年近く続けてきた私にとって、大きな発見は、長寿の要因(「パワー9」と呼ぶ)が長期的には互いに補強し合うということだ。人々に健康的なライフスタイルを実践してもらうには、彼らの周りに生態系(エコシステム)を作らなければならない。文化や、帰属意識や、目的意識や、宗教などを巻き込んで働きかけないと、働きかけの土台自体が崩れてしまう。」(p.274)

つまり、コミュニティ全体が長寿に適していないと、個人の努力だけでは達成できないと考えているようです。


ということで、最後にその9つのルールが記されています。まずは「[ルール1]適度な運動を続ける」からです。

サルデーニャのブルーゾーンに住む男性の百歳人は、人生の大半を羊飼いとして過ごし、歩く距離は毎日、数キロに及んでいた。沖縄の人たちは、自分たちの食卓に載せる野菜を育てるために、毎日、数時間は畑仕事をする。アドベンティストたちは、自然のなかを歩く。長寿の人たちが、長年にわたって運動してきたという場合、このような運動を指す。」(p.284)

目標は、少なくとも三〇分間(理想的には六〇分間)の運動を週五回することを習慣とすることだ。」(p.285)

生活の中に、自然とゆるやかな運動が組み込まれている。それが理想だと思います。

生活をいくらか不便にすることによって、日々の運動量を簡単に増やすことができる。たとえば、テレビのリモコンを使うのはやめて、チャンネルを変えるときには立ち上がるようにする。」(p.285-286)

これは介護でも言われていて、ベッドにすると寝たり起きたりの動作が楽なのですが、運動量は少なくなります。布団にすれば、起き上がるだけで相当な運動量になるし、布団を敷いたり片付けたりすれば、さらに運動量は増えます。
ですから、身の回りをあえて不便にしておくことが、健康長寿に役立つことがあるのです。


次は「[ルール2]腹八分で摂取カロリーを抑える」からです。

クレイグ・ウィルコックス博士は、「腹八分」の習慣は、苦痛を伴わないカロリー制限だと考えている。動物実験でも、カロリー制限によって寿命は延び、人の心臓の健康増進にもつながることが判明した。」(p.289)

私も少食が健康のために重要な要因だと思っています。


次は「[ルール3]植物性食品を食べる」からです。

科学者たちが、数千人のベジタリアンに関する六つの研究を分析した結果、肉食の制限と長寿との間に、間違いなく関連があることが判明した。」(p.297-298)

これは別の本で読んだのですが、比較対象が正しくないという反論があります。つまり、健康を意識しているベジタリアンと、健康を意識せずに肉を食べている人とを比較していたからです。
これが、共に健康意識の高いベジタリアンと肉食者を比較したら、優位な差はないとありました。

ブルーゾーンの食事では、豆類も重要な役目を果たしている。豆類をふんだんに使った料理は、心臓発作や結腸がんを減少させる。そして豆類は、フラボノイドや繊維質を含む健康的な食品源であり、すぐれた非動物性タンパク質だ。」(p.299)

ベジタリアンのタンパク質不足の問題を、本書では示していません。50〜80gのたんぱく質が必要だと書いてありますが、それが長寿者の食事で十分に接種できているという科学的な証明がされていないのです。
豆を食べているとかありますが、では豆を何g食べているから十分なのでしょう? それで腹八分で済んでいるのでしょうか?
そういう疑問がすぐに湧き上がるのですが、本書ではその疑問に答えていないのです。

ただ、明らかにブルーゾーンの人たちは、毎日のように肉を食べる週間はありません。むしろ少ないくらいで、せいぜい週に1回程度。かつては年に数回程度だったようです。
また、魚を食べる習慣も、それほどなさそうです。青魚が健康に良いという話はありますが、魚もあまり食べないのは意外でした。

もちろんこれは、本書を読んでの私が受けた印象です。正確に何をどれくらい食べているという記述がないので、文章から推測するしかなかったのです。

ナッツ類は、すべての「長寿食」のうちで最も印象的だった。最近行われたセブンスデー・アドベンチストの大規模調査によって、ナッツを週五回以上食べていた人たちが心臓疾患にかかる割合は、ナッツをほとんど食べていない人たちの半分、という事実が判明した。」(p.300)

ナッツが健康に良いということは、よく知られていることですね。私も毎日、ミックスナッツを食べています。


「[ルール4]適度に赤ワインを飲む」は飛ばして、次は「[ルール5]はっきりした目的意識を持つ」からです。

沖縄の人たちは、それを「生き甲斐」と呼び、ニコジャの人たちは「人生の目標(プラン・デ・ビーダ)」と呼んでいるが、どちらの文化でもそのことばの本質は「朝、目覚める理由」と置き換えられる。生き甲斐を持つ沖縄の老人は行動的で、それがアルツハイマー病や関節炎、脳卒中などを減らすことに貢献している。」(p.306)

目的意識は、子どもや孫たちの成長を見守りたいという素朴な動機からも生じる。人生の目標は、仕事や趣味に完全に没頭できる時間を生み出す。」(p.307)

自分が働かないと愛する家族が生活に困る。そういう意識が、長寿者をなおも行動に駆り立てるのですね。
その集団の中で自分の役割があり、その役割を果たすことによる帰属意識が、生き甲斐になっているのだと思います。


次は「[ルール6]人生をスローダウンする」からです。

スローダウンすることがなぜ長生きにつながるのだろうか。その答えは慢性の炎症と関係があるようだ。炎症とは、ストレスに対する体の反応だ。ストレスは傷や感染、あるいは心配という形で入り込む。軽いストレスなら、むしろプラスになるが、慢性的な炎症となると、私たちの体が自分自身を攻撃するような状態となる。」(p.311)

緊張しきっていたり、追い立てられていたりすると、ストレスが大きくなってしまいます。それが慢性炎症につながると言うのですね。
慢性炎症が老化の元凶だという話もありますね。これまで得ている情報とつながってくると、なるほどと思います。


次は「[ルール7]信仰心を持つ」を飛ばして、「[ルール8]家族を最優先にする」からです。

私たちがブルーゾーンで出会った幸せな百歳人たちは、家族を最も大事にしていた。彼らは結婚し、子どもをもうけ、それを核に生活を築いていた。彼らの生活は、家族への義務や家族の儀式を優先し、家族がともにいることを強く求めるなど、家族を軸にした生活だった。」(p.319)

家族を大事にすることは、集団への帰属意識につながり、貢献するという目的意識も生まれますね。
娘と同居すると長生きするという説もあるようです。身の回りの世話をしてくれるし、細々とした家事を担当してくれるからでしょうか。あるいは、女性特有の雰囲気が、心を和らげてくれるのかもしれません。


最後は「[ルール9]人とつながる」からです。

ブルーゾーンでは、社会的つながりが根づいている。沖縄の人たちには模合(もあい)があり、これは生涯を通じてお互いに寄り添う人たちのグループだ。模合は、本来は財政的な必要性から生まれたもので、相互支援のネットワークとして続いてきた。
 サルデーニャの人たちは、地元のバーで友だちと語り合って一日を終える。毎年行うブドウの収穫や村祭りには、コミュニティの全員がこぞって参加する。
」(p.324)

コミュニティの親密な関係が、長寿に役立つと考えているようですね。

インタビューした百歳人たちには、愚痴をこぼすような人は一人もいなかった。」(p.326)

愚痴や不平不満をもらしていると、それを聞かされる人もネガティブな気分になるものです。コミュニティが親密になるとしても、それが愚痴や悪口を言って共感する場になってしまうと、いずれ上手くいかなくなるのではないでしょうか。
明るくて、みんなから好かれるには、斎藤一人さんが言われるように、地獄言葉を使わず天国言葉を使うようにすることが大事ですね。


それほど科学的な内容ではないので、こういう傾向があるのかもしれないな、くらいで読むといいのではないでしょうか。

私はこの本から、食べ物も重要だけれども、それよりも心の持ちようの方がもっと重要ではないかと感じました。
ポジティブであること、安心していること、明るくあること。それから目的意識を持って、あるいは好奇心を持って生きることです。

もちろんコミュニティも重要ですが、他人にそれを強いることもできません。せめて、自分だけは良い隣人であろうと努めることくらいですが、そこから始めてみてもいいのではないかと思いました。
家族やコミュニティも、近づくほどにトラブルになる場合もあります。相手の自由を受け入れて、自分も不当に干渉されないようにする。そういう距離感も大事だと思います。

食事に関しては、たしかに影響が小さくはないと思うので、自分がこれだと思う健康的な食事や食べ方を心がけることですね。
ただし、それよりも精神的なあり方の方が重要だと思うので、ちょっとの加工品を食べることすら嫌悪するのも、どうかなぁと思います。たまにはジャンクフードも良いではありませんか。その方がハッピーでいられるなら。

ということで、ご自身の健康的な長生きのために、ぜひ参考にしてみてください。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 08:06 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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