2023年01月17日
免疫力が上がるアルカリ性体質になる食べ方
これも本の要約をしているYoutube動画で知った本ですが、著者の小峰一雄(こみね・かずお)さんのことは、以前に「名医は虫歯を削らない」という本を読んでいたので知っていました。
本書のタイトルからして、よく言われているようにアルカリ性食品を食べることでアルカリ性体質になることが、健康のために重要だという内容だとわかります。それにしても、なぜ歯科医の小峰さんが? そこが疑問でした。
しかし、本書を読むことで、小峰さんがなぜアルカリ性体質に注目されたのか、そしてそのアルカリ性か酸性かでどういう違いが現れるのかが、よくわかりました。
実に興味深いと感じました。そして、歯と身体とは切っても切れない関係があるのだと、改めて思いました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「そしてそのアンケート結果を分析したところ、その食事内容にある明確な違いを見出しました。そこからさらに研究を重ね、小峰式虫歯予防プログラムを確立した他、虫歯は食事療法で自然治癒できるという結論を得ることができたのです。」(p.6)
「すでにヨーロッパでは、唾液PHが酸性に傾いている人は虫歯や歯周病のリスクが高いとされていたため、筆者のクリニックでも初診の患者さんにおいては唾液PHを測っていましたが、PH値が低い人、すなわち酸性体質の人は虫歯が多いだけでなく、何らかの病気を持っている可能性が高い場合が多いことがわかりました。」(p.7-8)
「そしてわかったのが、体内のPHがアルカリ性に傾いている人は虫歯がなく病気にかかるリスクが低いということ。それは新型コロナウイルス感染症に対しても同様で、すなわちアルカリ性体質になることは、ワクチンに勝る予防策であるということができるのです。」(p.8)
このように冒頭で、歯の病気である虫歯などと、身体の病気との関連が、唾液PHを計測した結果からわかってきたことが語られています。
「この一件依頼、筆者はインプラントを装着している患者さんが来院するたび、電磁波メーターで状態を測定していますが、やはりその多くの患者さんの口の中で電磁波が発生していることがわかりました。」(p.16)
小峰さんが口腔内のPHに興味を持つきっかけになったのが、歯の詰め物や被せ物に金属を使った場合の悪影響に関する研究を知ったことだそうです。
酸性の液体に触れた金属はイオン化し、溶け出すことで、その液体が電解質となり、電流が流れます。電流が流れば磁場が発生し、電磁波が起こります。また脳や神経は電気信号をやり取りしているので、そこに悪影響が起こると考えられるのです。
「唾液PHが酸性に傾いている人ほどガルバニック電流の電圧が高いことが確認できました。また金属の種類やメーカーによって異なるものの、唾液が酸性に傾いている人ほど、歯の詰め物等に使われた金属部分が黒く変色しており、中には炭のように真っ黒になっている人もいました。」(p.18)
「ガルバニック電流」というのは、先ほどの金属が酸性液に触れて発生する電流のことです。
このガルバニック電流の大きさの違いがなぜ起こるのかを調べたところ、金属の種類などより、唾液の酸性度の違いによる影響が大きいことがわかったのだそうです。
「有害ミネラルは魚介類や、農薬を使った米や野菜、加工食品などに多く含まれている他、気をつけたいのが調理で使うことが多いアルミ鍋やアルミ箔です。」(p.22)
「二つめの経路は、空気中に含まれる有害ミネラルを肺から吸い込むことです。特に中国から飛来するPM2.5には、鉛やカドミウム、ヒ素などが多く含まれているので、PM2.5が多い日は外出を控えるなど、何らかの対策が必要です。またタバコにはアルミニウムやカドミウムが含まれているため、喫煙や受動喫煙も有害ミネラル中毒の一員となります。」(p.22)
「そして三つめの経路が、皮膚と有害ミネラルが接触kし続けることです。中でも口腔内の粘膜は、体表に比べて48倍吸収率が高い他、唾液が酸性に傾いていると有害ミネラルが溶け出しやすくなるため、より有害ミネラルを吸収しやすくなります。」(p.24)
口腔内にガルバニック電流が起こることで、脳障害や味覚障害、そして有害ミネラル中毒も起こると小峰さんは指摘しています。
有害ミネラル中毒そのものは、体内に有害ミネラルが取り込まれることで起こります。ただその経路の1つに、口腔内があるのですね。
以前はアマルガムを詰め物に使用していましたが、悪影響が明らかになったことで、今では使用されていません。
「特に唾液PHが酸性に傾いている人は、より有害ミネラルが体内に溜まりやすいと考えられます。というのも、体に有害な老廃物や有害ミネラルは、有害でないミネラルによって体外に排出されますが、酸性体質の人は、その酸を中和させるためにそれらをより多く使ってしまうため、常にミネラル不足の状態になっているからです。」(p.24)
有害ミネラルを吸収しにくくするためにも、口腔内をアルカリ性にしておく方が良い。そう、小峰さんは言われます。
「一方、小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜に無数にあり、食事のタイミングとは関係なく、常に唾液を分泌して口の中を潤しています。つまり小唾液腺から分泌される唾液は、間質液(体液)に成分が近いと考えられ、この唾液PHがすなわち、体全体の状態を表していると考えられるのです。」(p.25)
唾液腺の中でも大唾液腺から出される唾液は、消化酵素を多く含んでいるそうです。食事の助けになるものです。
小峰さんが注目したのは小唾液腺から出る唾液で、これは体液とほぼ同等のものだと考えられたのですね。つまり、口腔内をアルカリ性にしておきたいのであれば、体液をアルカリ性にする必要があるということです。
「前述したようにこの乳酸を含む酸はミネラルによって中和されますが、これは酸性体質だと常にミネラルが不足した状態になるため、慢性的に疲労感を感じるようになってしまうのです。」(p.28)
酸性体質によって身体にどういうことが起こるかについて、小峰さんは、免疫力低下、慢性的な疲労感、栄養素の吸収不全、皮膚炎や口内炎、骨粗鬆症、生活習慣病などを上げています。
その中の疲労感については、疲労物質の乳酸が中和されずに残ることが原因だとしています。その他も、必要なミネラルが不足してしまうことなどが原因で起こると考えておられるようです。
「また酸性体質は、がんの発生とも大きく関係しています。1931年にはドイツの生理学者・Warburg博士が、がんが無酸素や酸性条件下で発症あるいは増殖することを発見し、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。実際、筆者のクリニックで行っている唾液PH検査でも、PH7.0以上(アルカリ性体質)の方は健康な方が多い一方、7.0未満の低PH、つまり酸性体質の患者さんは有病率が高い傾向にあります。」(p.31)
小峰さんは、体液が酸性かアルカリ性かで、がんになりやすいかどうかも決まってくると言われています。
「これは筆者の個人的な見解ですが、新型コロナウイルス感染者がアメリカで爆発的に増えたのは、現地で普段よく食べられているピザやフライドポテト、ハンバーガーなどのジャンクフードの90%近くが酸性食品であることが一因だと思っています。また基礎疾患のある人が重症化しやすいのも、病気の人や薬を飲んでいる人のPHは酸性に傾いている場合が多いこととも一致しています。」(p.33)
「スイス、チューリッヒのジェイソン・メルツァ先生の論文によると、ウイルスの一部は直接細胞内に侵入できるものの、ある特殊な環境が必要になる、としています。例えばデング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、アデノウイルス、手足口病ウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、HIVウイルス、ヒトパピロマウイルス、コロナウイルスなどは、酸性環境でないと細胞内に入れない、としています。つまり、ほとんどのウイルスは、アルカリ性環境下では生存できないのです。」(p.33-34)
このように、ウイルスなどによる感染症を防ぐには、体液をアルカリ性にすることが重要だと小峰さんは言います。
「その結果わかったのは、酸性体質の患者さんとアルカリ性体質の患者さんでは、食事内容が全く異なるということ。一言でいうと、「アルカリ性食品を摂取している人ほど、アルカリ性体質である」ということです。」(p.38)
体液をアルカリ性にするには、アルカリ性食品を接種することが重要だと小峰さんは言います。この因果関係は科学的にはまだよくわかりませんが、小峰さんの実感なのでしょう。
では、アルカリ性食品とは、どういう食品でしょうか?
よく言われるように、梅干しは、そのままで測れば酸性です。しかし、体内ではアルカリ性になる。ここがアルカリ性食品をわかりにくくさせています。
「食品の体内におけるPH値を計測したい場合は、その食品を完全に燃焼させ、灰にした状態で酸性ミネラル量とアルカリ性ミネラル量を計測します。灰にすることで体内で変化した状態に近いPHが得られるのです。例えば梅干しの場合、加熱前はPH4の酸性でしたが、加熱後はPH10のアルカリ性になります。」(p.42)
う〜ん、これは理屈としてはやや疑問です。まず、体内で燃焼は起こっていません。また燃焼したらミネラルが変化するというのも、ちょっと説明不足ではないでしょうか? たとえばでいいので、化学式を示してほしかったところです。
「今回、筆者が本書を執筆した最大の目的は、世の中には酸性食品とアルカリ性食品があることを知っていただき、健康のためにはアルカリ性体質になる食生活を心がけていただきたいという思いからです。」(p.42-43)
たしかに、わかりにくいから浸透していないという一面もありますね。
「その違いとは一言でいうと、酸性体質の人は炭水化物や動物性たんぱく質の摂取量が多く、アルカリ性体質の人は、生野菜や果物の摂取量が多いということです。」(p.43)
つまり、アルカリ性食品とは、主に生野菜や果物ということのようです。
このあとに一覧表がありますが、たとえば「生ほうれん草」はPHチャートの10(もっともアルカリ性が強い)にランクされていますが、「調理したほうれん草」は6にランクされています。
どうしてこういう違いが生じるのか、それはよくわかりません。実際に計測した結果と言われてしまえばそれまでですが。
他には、海藻、レモン、オリーブオイル、発芽穀物、果物、大豆、アーモンドなどが、8までにランクされていました。煮豆やビールなどはランクが5で、5以下は酸性食品になるのだそうです。
「ただし、何が何でも酸性食品をゼロにする必要はありません。ヨーロッパでは酸性食品20%、アルカリ性食品80%の摂取が理想とされていますが、最低でも酸性食品が全体の食事の割合の50%を超えることがないよう心がけることが重要です。」(p.46)
酸性に傾くかアルカリ性に傾くかは、摂取したもの全体のバランスによるのですからね。
ここからあと、小峰さん自身のメニューが載っています。朝食は食べないか、りんごなど果物と紅茶など。またサラダもアルカリ還元水に晒すなどしておられるようです。生野菜は、1日に1kgも食べられるとか。ふつうの人の食生活とは、大きく違うようです。
「酸性体質をつくる要因の一つめは、それはストレスです。
ストレスが酸性体質をつくるのか、酸性体質がストレスを生み出すのかは定かではありませんが、関連性が高いことは筆者のクリニックで行っている検査からも明らかです。」(p.60)
体液(唾液)が酸性になるのは、食事の影響だけではないということですね。因果関係はわかりませんが、ストレスとの相関関係は、十分に考えられることかと思います。
「この場合、誤診はもっての他ですが、腹立たしいのは、歯科医師が「治療をしないと命にかかわる」と患者を脅したことです。本来なら、担当医が病気の原因と対処法を伝えて、最後に「きっと治りますので頑張ってください」と励ますべきです。しかし日本は、薬剤処方、手術、検査等で利益を得る医療システムになっているため、精神的に勇気づけることは一切利益にならないとでも考えているのでしょうか。むしろ不安を煽ることで薬剤処方や手術に導いているように感じられます。」(p.64-65)
ストレスが病気を生み出すことはよく知られてますが、医療現場では、患者の不安を煽ってストレスを与えることが日常茶飯に行われています。
この例では、歯根治療をしないと膿が脳に回って命の危険があると患者を脅した歯科医の発言を問題視しておられます。これに限らず、似たようなことは普通にあります。
昨年、TVでは統一教会関連で話題が尽きなかったのですが、マインドコントロールしてお金を出させるって、医者がやってることと同じではないかと思いますよ。
私が勤める老人介護施設の利用者さんも、多剤併用の方が多数おられます。なぜそんなに薬をたくさん処方するのか? 患者は素人だから、医師に質問することすらできません。それを良いことに、これしか方法はないかのように決めつけ、それをしなければ大変なことになると脅す。
本当に、病気を生み出しているのは医療関係者ではないかとすら思えてきます。
「水素は、酸化された身体をアルカリ性に中和するため、水素吸入することで体内に溜まった活性酸素が中和されると考えられます。人はストレスを感じたり、急性疾患を患うとPHが低下することがわかっていますが、一方で水素が症状を改善したり、PHを上昇させることも確認しています。」(p.88)
酸性体質からアルカリ性体質に改善するための方法がいくつか書かれていますが、その中で水素吸入というのもあるそうです。
水素水という得体の知れないモノが流行ったりもしましたね。今もまだ売れているのでしょうか。私自身は、こういう不自然なものに頼るのはいかがなものか、と思っています。不自然なことをしないと健康が保てないとすれば、それは人間(動物)の欠陥だと感じるからです。
「もっとも身体を酸性にするもの、それは薬剤の服用です。特に日本の社会では当たり前のごとく大勢の患者さんに大量の薬剤が処方されております。ご存知ない方も多いと思いますが、世界中には「薬剤処方は一人の患者に対して最大4剤までとする」「60歳以上の患者に対しては最大2剤までとする」というルールがあります。それは薬剤服用者ほど病気になりやすいことや、長期服用者の致死率が高いことが証明されたからです。」(p.98-99)
先ほど言った多剤併用の害について、小峰さんも指摘されています。ただ、薬剤がなぜ酸性体質の原因になるかについては、何も言及されていません。おそらくこれも、小峰さんの実感ということなのでしょう。
「砂糖を摂ると虫歯になりやすい、というのは日本理論にも共通しています。しかしその理由は、「酸が発生して歯を溶かすから」というものではありません。アメリカ理論では、砂糖を摂ると血糖値が上昇し、今まで内側から外側に向かって流れていた間質液が逆流するため、口の中の細菌が歯の内部に吸引され、虫歯になるというものです。確かにこの理論ならば、日本理論では説明のつかなかった「虫歯が歯の内側から進行する」理由を説明できます。」(p.112)
なぜ虫歯ができるかということに関して、確立された理論があるわけではないようです。
日本理論はよく知られているように、食物を餌にした細菌が酸を出して歯を溶かすとされています。しかし、アメリカ理論やヨーロッパ理論は、違う原因を提示しています。
「さらにロマリンダ大学は、ストレスでも虫歯が発症することを実証しています。つまり人は何らかのストレスを受けると間質液の流れが停滞し、自浄作用が弱まるため虫歯になりやすいということです。」(p.112)
歯というのは死んだ無機物ではなく、生きている体内組織の一部なのですね。だから間質液が循環している。それによって健康を保っているのです。
だからその間質液の循環が乱れるようなことをすると、健康を害することになる。これがアメリカ理論です。
「このPHに関する文献の中で、最も興味深く感じたのは、「PH7.5の人には虫歯は一本も確認できなかった」ことと、「PH6.5以下で虫歯がない人はいなかった」ということです。」(p.118)
ヨーロッパではすでに、唾液PH検査をすることが一般的になっているそうです。つまり、虫歯のできやすさは唾液PHによって決まるということです。
「ヨーロッパ理論でも、アメリカ・ロマリンダ大学が発見した、歯のリンパ液(間質液)が流れているという理論をベースにしていますが、ただし虫歯が発生するのは、リンパ液(間質液)が酸性に傾いているときとしています。間質液は、酸性化すると歯のミネラル分が溶け出し、中和しようとする緩衝作用が働きます。そのミネラルが溶け出したところに空洞が生まれ、そこに細菌が入り込むことで虫歯を発症するというものです。」(p.119)
歯の平らな表面とか先端に虫歯が発生する理由も、このヨーロッパ理論なら説明できると小峰さんは言います。
私は、どれか1つが正しいのではなく、それぞれが正しいのではないかと思いました。間質液の循環の不良、間質液の酸性化、そして口腔内の細菌が作り出す酸の影響など、すべてが相互に関連しあっているのではないかと。
小峰式の虫歯予防には、砂糖の摂取制限、ストレス解消、運動不足解消、微小栄養素不足改善、薬の服用中止というものがあるそうです。
「逆に考えると、虫歯ができやすい人は血糖値が上昇しやすい可能性があり、将来的に血管の病気(心筋梗塞・脳梗塞・その他)を起こしやすいと考えられます。」(p.124)
血糖値の上昇度合いには個人差があり、だから糖質を摂っても虫歯にならない人がいると小峰さんは言います。
つまり、虫歯になりやすいかどうかは、血糖値が上昇しやすいかどうかと関連しているということですね。したがって、必ずしも糖質制限するのが良いわけではなく、自分の体質と相談しながら、低GI食を増やしていくことが重要だということです。
「微小栄養素(ビタミン・ミネラル)不足を解消するためには、生野菜をたっぷり食べるのが効果的です。生野菜を食べると体が冷える、と思っている人も多いようですが、筆者が試した限り、一時的に体温が下がることもありますが、すぐに平熱に戻りますし、むしろ高くなることもあります。実際、筆者は1日1kgの生野菜を毎日食べていますが、平均体温は最近では37℃をキープしています。」(p.128)
生野菜は体を冷やすし、そもそも大量に食べられないと言われますが、小峰さんはそれでも生野菜を大量に食べて、効果を実感されているようです。
「長期間、薬を飲んでいる人の多くは、生活習慣病の方だと思いますので、そういう方はまずは日常生活や食生活を見直すといいでしょう。患者さんの中には、薬を飲み続ければいつか治ると信じている方もいるようですが、何度も書いているように、薬は対処療法であって原因療法ではありません。食習慣や生活習慣を改めない限り、一生薬を飲み続けることになるのです。」(p.130)
生活習慣病の対策として薬を飲み続けることは、害はあっても益がない。私もそう思います。
「ハーバード大学のバン・ダイク教授は2012年に発行されたアメリカ歯周病学会の会報誌に「歯周病は感染症にあらず、これまでの感染症対応治療は誤りであった。歯周組織の細胞環境に問題あり」と発表しました。そして歯周病の原因として、糖質の摂取とマグネシウム不足、カルシウムの過剰摂取、オメガ3脂肪酸不足、ビタミンC不足等を挙げています。」(p.136)
アメリカ理論による歯周病の原因は、細胞環境であり、それを決めているのは食べたものということのようです。
「そのメカニズムは、歯肉から染み出る組織液「歯肉溝滲出液(しにくこうしんしゅつえき)」のPHが酸性になると、歯周ポケット(歯と歯茎の境の溝)内に細菌やカビ菌、ウイルスが生息しやすくなる、というものです。逆にアルカリ性になると生息できなくなるため、歯周病が改善するとしています。」(p.136-137)
ヨーロッパ理論の歯周病の原因は、やはり体液の酸性化にあると言うことですね。唾液が酸性化しているから、歯周ポケットに細菌が増え、さらに酸を排出して歯茎を痛めてしまう。
アメリカとヨーロッパの歯周病発生理論は、このように少し違いがあるようです。ちなみに日本は、口腔内の細菌が増えることが原因で、歯垢や歯石が最近の巣窟になっているとしています。
「筆者は10年以上、日常的な歯磨きはしれおらず、炭水化物を食べすぎたときだけ磨くようにしています。また乳製品を摂らないので、歯石が付いたこともありません。」(p.139)
私も、歯磨きは寝る前だけです。それでいて最近は、虫歯になることがありません。以前はしょっちゅう歯科医のお世話になっていたのですがね。
もともと虫歯菌がいない人がいて、そういう人は歯磨きをしなくても虫歯にならないと言われていますよね。でも、本当にそうなのでしょうか? 私にはまだ納得できない部分があります。おそらく、科学的にもまだ解明しきれていないのでしょう。
「夕食は、仕事から帰って遅い時間に食べる人も多いと思いますが、夜8時以降に食べると血糖値が上がりやすくなります。するとメラトニンという睡眠のホルモンの分泌不全に陥り、睡眠障害を引き起こすだけでなく、様々な生活習慣病の重大な原因になります。」(p.154)
「さらに朝食についても思うことがあります。それは、世界には朝食を摂らないほうがいいという多くの研究論文がある中、なぜ日本だけは「朝食は摂らなければならない」という論調が主流になっているのか、ということです。」(p.155)
小峰さんは食生活の改善を提唱されていますが、本書では、徹底した酸・アルカリの区別、栄養は全体のバランスで考える、食事内容を吟味する重要性、食品添加物の排除、食生活パターンの改善、というテーマで語られています。
上記は食生活パターンの改善からの引用ですが、考えさせられますね。ちなみに私は、朝食抜きもやっていましたし、たんぱく質をメインで食べるというのもやっています。自分の身体を使って、いろいろ試してみることも重要だと思います。
「3歳までは薬剤系の摂取は控えなければなりません。幼少時に薬剤系を摂取すると脳障害を起こす危険性があるのです。脳には「血液脳幹門」という関所のようなものがあり、これが完成するのは3歳です。したがって、3歳前に薬剤系を摂取すると薬剤が脳に届いてしまい、脳の損傷を起こす可能性があります。」(p.172)
これはまったく知らない情報でした。1歳まではハチミツを飲ませてはいけないとか、いろいろあるようですね。
なお、「血液脳幹門」と本書にはありましたが、正しくは「血液脳関門」のようです。誤植でしょうね。意味からしても「関門」ですから。
「日常生活で減菌・消毒をやり過ぎると、免疫力が低下してしまいます。もともと免疫力の低い人は感染に注意しなければいけませんが、減菌・消毒をやり過ぎると、いつまでたっても免疫力が上昇しないのです。」(p.173)
健康のためには微生物との共存が重要です。耐性を高めるためにも、ある程度のストレスにさらす必要があるのですね。
しかし、その匙加減が難しい。過ぎたるは及ばざるが如しですから、清潔好きもほどほどに、ということでしょうか。
いわゆるアルカリ性食品を食べてアルカリ性体質にすれば健康になる、という類の本かと思っていましたが、まったく違っていました。
歯科医の観点から、酸性やアルカリ性体質が虫歯や歯周病に関連していることを理論的に説明され、歯と身体はつながっているという観点からその体質が体全体の健康に関係してくるという内容でした。
ある意味で、虫歯は健康のバロメーターでもあるなと思いました。身体が健康的であれば、虫歯も歯周病も起こらない。
そうであれば、日本のこれまでの口腔ケアを中心とした虫歯予防法が、大きく変わる可能性があります。老人介護施設で利用者様の口腔ケアもやっていますが、時々、これにどれほどの意味があるのだろうと思っていました。
すぐに結論が出せることではありませんが、新たな視点を与えられたようで、楽しい気分になりました。
本書で書かれていることが、必ずしも正しいわけではないと感じています。けれども、新しい視点を与えられるということは、それだけで楽しくなるものです。
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