これもYoutubeの本の要約を紹介する動画を観て、良さそうだと感じたので買った本です。
著者は「心が元気になる」をテーマとした著述活動をされている植西聰(うえにし・あきら)さんです。資生堂の勤務後に独立され、人生論の研究をされ、独自の「成心学」理論を確立されたのだとか。ひと言で言えば、ずいぶんと変わった方のようです。まあ、私も他人のことは言えませんがね。(笑)
本書は、9章の大きなテーマ別に、見開き2ページにまとまった考え方や方法を紹介するという体裁になっています。そのため、たいへん読みやすく、どこから読み始めても楽しめるようになっています。
また、多くの先人の生き様や言葉が紹介されていて、それを知るだけでも教養が深まりますね。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「もし60歳で仕事に一区切りつけて100歳まで生きるとすれば、「シニア人生」は40年もある計算になります。
言い換えれば、この「シニア人生」をいかにポジティブに生きていくかということが、その人の人生全体にとって大きな意味を持つのです。」(p.3-4)
冒頭で植西さんはこう言って、シニア人生を有意義に過ごすことの重要性を述べます。
「人それぞれに、その人なりの「シニア人生」があるのです。
とはいえ、どのような生き方を選択するにせよ、「シニア人生」を幸せなものにするためには、いくつかの共通点もあるように思います。
それは、たとえば、「夢や、生きがいになるものを持つ」ということです。
また、「小さなことでクヨクヨしない」ということも大切でしょう。
言い換えれば、「心をプラスの状態に保つ」ということが、とても重要になってきます。
心がプラスの状態であってこそ、前向きな、ポジティブな生き方ができるようになるからです。」(p.4-5)
何よりも重要なのは、心の状態をポジティブに保つこと。その思考習慣を身につけることだと私も思います。
第1章の「夢・生きがいを持つ」の中から引用します。
「そのように、旅の準備をすることは、その人にとって楽しい生きがいにもなっていきます。
したがって、そういう意味では、年齢にかかわらず好奇心を持って、いろいろな場所に旅していくのが若返りの秘訣だと思います。」(p.29)
私も長期の旅、特に一人旅を勧めていますが、旅を計画するだけで好奇心がかき立てられますね。
「60歳から65歳という年齢は、「これから第二の人生が始まるんだ。この第二の人生を、どのように生きていこうか」と考える、いい機会になると思います。」(p.37)
退職後のシニア人生を「余生」と考えるのではなく、「第二の人生」と考えるようにしようという主張です。
これから新しい人生が始まるのだと思うと、それだけでワクワクしてきます。私も今61歳ですから、自分のこれからの人生を、ワクワクしながら夢見たいと思います。
次は第2章の「年齢を意識しない」からです。
「体力が落ちたり、記憶力が悪くなると、つい人は自分の年齢を意識してしまいがちです。しかし、そこで、できるだけ自分の年齢を意識しないことが、若々しさを保っていくコツになるのです。」(p.45)
「もう若くないから」みたいな口ぐせをやめることですね。そういう口ぐせによって、自分で自分を洗脳しているんですよ。だったらむしろ、「まだまだ老け込む年齢じゃないから」とか、「今、第二の青春のまっただ中だ」みたいな言葉を口ぐせにしたいですね。
「ある人は、朝、洗面台の鏡に映る自分の顔を見ながら、「自分は今日も若い。若々しい顔をしている」と、自分に言い聞かせているそうです。
そういう習慣を持つことで、「気持ちが若々しくなるように感じられ、それとともに、いろいろなことにポジティブにチャレンジしていける」というのです。」(p.63)
これはまさに私が提唱している「鏡のワーク」のようなものです。自己洗脳の効果的な方法です。
そういうことと共に、やはり筋トレなど運動をして、一定以上の体力を維持することも重要だと思います。やはり気力も、体力があってこそ湧いてきやすくなりますからね。
次は第3章の「行動力を高める」からです。
「「学ぶ」ということは、もちろん、脳にとってもいいことなので、認知症予防にもなります。
しかし、そればかりではなく、より行動的に生きていこうという意欲も湧いてきます。
そして、積極的に学び、意欲的に行動していく人は、いつまでも若々しいのです。」(p.81)
83歳で亡くなったヘンリー・フォードが80歳になっても学び続けたことを例に、何歳になっても学び続けることが大切だと植西さんは言います。
たしかに、何かを学ぶということは、好奇心を持ち続けていることでもあるので、精神的に若いと言えるでしょう。
次は第4章の「楽天的に考える」からです。
「この先、どうなるかはわからなくても、「人生は結局、なるようにしかならない」と、いい意味で開き直って、「今日という日を幸せに過ごせるならば、この幸せを満喫しよう」と考えるほうが賢明です。」(p.92-93)
年老いてできることが減っていくと、段々と心細くなり、心配が増えるというのも事実でしょう。しかし、そうであっても、どうにもならないものはしょうがないと開き直れば、サバサバとしていられるものです。
そのことが理解できれば、あえて心配することに頭をつかうのではなく、あえて楽天的に考えるようにする。その心がけが大事だと思います。
「この「手にみてり」とは、すなわち、「こだわっているものを手放せば、もっと豊かなものを手にすることができる」ということです。
では、その「豊かなもの」とは何かと言えば、それは、たとえば「精神的な気楽さ」です。
あるいは、「シンプルな生活」です。」(p.104-105)
禅の言葉にある「放てば手にみてリ」から、植西さんはこのように言います。
お勧めしている「神との対話」シリーズでも、1つの扉が閉まればまた別の扉が開く、とありました。何かを手放せば、別の何かをつかむことができるのです。それが何かはわかりませんが、そこでまずは勇気を出して手放すことが大事なのですね。
「楽天的な人は、一般的に、健康的に長生きでき、また、心血管死のリスクが低い、という研究結果があります。
では、その「楽天的な人」とは、どのような人なのでしょう。
それは、たとえば、次のような性格を指すのです。
*これからの人生で、自分に何が起こるか楽しみにしている
*将来に向けて、たくさんの計画を持っている
*日々の生活を「ゆっくり楽しんでいこう」と思っている
まずは、年令を重ねても、「将来を楽しみにする」ということが大切です。」(p.108)
心配性が病気の原因になると言われますが、その逆もまた真なりで、楽天的な性格は病気を遠ざけるものです。
次は第5章の「クヨクヨしない」からです。
「この坂村真民は、「年をとることはいいことだ。とってみなければわからない世界が開けていく」と述べました。
確かに、年齢を経なければ、わからないということがあると思います。
たとえば、「生きていることの、すばらしさ」です。
若い頃は、「生きている」ということは当たり前すぎて、何の感動も覚えないかもしれません。
しかし、年令を重ねると「今生きている」ということ自体が、とても貴重なこと、ありがたいこと、すばらしいことに思えてくるものです。」(p.126-127)
歳を取って老い先が短いからこそ、平凡な日常の中に感謝のタネを見出すこともできます。
何となく頭でわかっていたことであっても、いざ自分がその状況に置かれることで、切実に感じることができる。だから、なにごとも経験することが大切なのですね。
若い頃には若い頃の経験があり、歳を取れば歳を取った後の経験がある。そう思えば、未知の経験を楽しむことができるでしょう。
次は第6章の「楽しいことをする」からです。
「すると、75パーセントを超える人たちが、「読書が好きだ」と答えたといいます。
さらに、「読書が好きだ」と答えた人の80パーセント近くが、「月に2冊以上の本を読む」と答えたといいます。」(p.142)
にわかには信じがたいのですが、60歳以上のシニア層へのアンケート調査結果だそうです。これだけ読書が好きで、学ぶことが好きで、好奇心が旺盛なら、老後の生活が楽しいでしょうねぇ。
でも、本当でしょうか? 少なくとも私が勤める老人介護施設で、そんなに読書をしている姿は見ません。見ていないところで読んでいるのでしょうか?
以前、あるテレビ番組で健康寿命が長い地域の特徴として、図書館の利用が多いというのがありました。知的な好奇心があり、読書の習慣があることが、健康で長生きすることにつながっているのかもしれません。
次は第7章の「よく笑う」からです。
「確かに、いい年齢のとり方をしたおばあちゃんや、おじいちゃんの笑顔は、とてもほがらかで、かわいらしいものです。
そんな「笑顔がかわいいシニア」になることを目指すのがいいと思います。
「笑顔がかわいいシニア」イコール「幸せなシニア」ともいえるのではないでしょうか。そして、「笑顔がかわいいシニア」イコール「心が澄んでいるシニア」と言うこともできると思います。」(p.179)
好々爺(こうこうや)という言葉がありますが、いつもニコニコしていて憤ることがなく、何でも受け入れてくれるような優しい人という印象があります。私も、そういうシニアになりたいものです。
本書は、同じような内容が繰り返されているという面もあるように思いますが、見開き2ページで話題が完結しているので、読みやすいとも言えます。
より良い老後のために、何をどう考え、行動すればよいかというヒントを得たいのであれば、こういう本はお勧めですね。パラパラとめくってみて、気になったページだけを読むという読み方もあると思います。
古今東西の先人たちの言葉や生き様の紹介もあるので、知的な好奇心も満たせるでしょう。気になった人の書物などを読むきっかけにするのも良いかと思います。
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