これも本の要約をしているYoutube動画を観て、興味を持って買った本になります。
これまでにも、健康のために何を食べればよいのか、何を食べてはいけないのかという、食に関する本を数多く読んできました。なので、この本の内容そのものには、特段目立った新情報があったわけではありません。
ただ、本書の特徴は、市販されている商品を具体的に示している点にあります。自分が実際に行動に移そうとした時、何を買えばよいのか考えた時、参考になると思います。
著者はフリーの科学ジャーナリストの渡辺雄二(わたなべ・ゆうじ)さんです。医者かと思っていましたが、そうではなかったようですね。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「その答えは、「まず血液の流れを正常に保つこと」です。人間の体はさまざまな臓器や組織によって成り立っていますが、それらの細胞が活動できるのは、常に血液が酸素と栄養素をせっせと運んでいるからです。」(p.2-3)
冒頭で、重い病気になりたくないと思うなら、まずは血液の流れを良くすることを考えよと言います。
こういう言い切っているところから、医師だろうと思い込んでいたんですね。
「そのためには、まず血管を丈夫でしなやかな状態に保つことです。」(p.4)
「血管を構成する繊維質は、主にコラーゲンというたんぱく質でできています。したがって、体内でこのコラーゲンが十分に生成されれば、血管は丈夫になります。
その方法として、私が長年実践し、みなさんにオススメしたいのが、ゼラチンパウダーを摂ることです。」(p.4)
血液の流れを良くするには、丈夫でしなやかな血管を作ること。そして、その材料になるコラーゲンを摂取することが重要だと言われます。
この時点で疑問を感じますが、それについては後ほど。
「それは緑茶を積極的に飲むことです。これによって、体内の中性脂肪や悪玉コレステロールが減って、血栓ができにくくなります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞になりにくくなると考えられます。」(p.5)
血管に関わる重篤な病気として、動脈に血栓ができる心筋梗塞や脳梗塞があります。この予防のために、緑茶を常用することを勧めておられます。
「その腸をよい状態に保つ方法として私が長年実践しているのが、プレーンヨーグルトを積極的に食べることです。これによって腸内環境がよくなって、便秘や下痢などの不調を改善することができます。
さらに、最近になって腸は体の免疫と深い関係があることがわかってきています。ですから、腸内環境を整えて免疫を高めることができれば、全世界で脅威となっている新型コロナウイルスの感染を防止できる可能性もあるのです。」(p.5)
日本人に多い大腸がんの予防のために、また摂取した食品の栄養を効果的に取り込むためにも、腸の状態を良くしておくことが重要だとして、プレーンヨーグルトを勧めておられます。
「ところで私は、今66歳(1954年9月生まれ)ですが、もう20年以上病院のお世話になったことがありません。」(p.6)
私とは7歳違うようですね。私も、ここ10年近くは病院のお世話になっていないと思います。これについて、本書を読んで共感する部分がありましたが、これもまたのちほど紹介しましょう。
本書ではこのように、まずはゼラチン、緑茶、プレーンヨーグルト、ココアの商品を具体的に示しながら、その効能について書かれています。
まずはゼラチン、つまりコラーゲンに関してです。
「たんぱく質は体の基本物質といえますが、実はそのたんぱく質のうち約30%がコラーゲンなのです。コラーゲンは、皮膚、血管、軟骨、骨、歯、目、腱、内蔵など全身に分布していて、体にとって不可欠なものです。」(p.50-51)
「このコラーゲンの生成にはビタミンCが必要なのです。
仮にビタミンCが不足して、コラーゲンが十分に作られなかったとします。すると、皮膚や血管、軟骨などへのコラーゲンの供給が減ってしまい、それらの組織に障害が現れることになります。その障害がまず現れるのが、細くてもろい毛細血管なのです。」(p.51)
身体を構成するたんぱく質の中でもコラーゲンが重要であり、身体はそのコラーゲンを日々生成していますが、そのためにビタミンCが必要だということです。
壊血病がビタミンC不足で起こることはよく知られていますが、それはコラーゲンの生成が妨げられるからなのですね。
調べてみると、プロリンというアミノ酸からヒドロキシプロリンを生成する酵素を働かせるためにビタミンCが必要なようですね。ヒドロキシプロリンが減ると、コラーゲンの安定度が低下してしまうそうです。また、ヒドロキシプロリンを経口摂取しても、消化されたりするので効果はないとのこと。やはりたんぱく質とビタミンCの摂取が必要なようです。
「コラーゲンを構成するアミノ酸、すなわちグリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニンですが、これらはどれも必須アミノ酸ではありません。ということは、これらは私たちの体でも作られているのです。ただし、食事によってこれらを積極的に補給してあげたほうが、コラーゲンの原料がより豊富となって、それが盛んに作られるようになると考えられます。」(p.60)
これが渡辺さんのコラーゲンを摂取することが有効だとする根拠ですが、ちょっと希薄な根拠だなぁと感じます。
体内で生成されるコラーゲンの元は4種のアミノ酸であり、たんぱく質はアミノ酸にまで分解されてから吸収され、代謝されます。そうであれば、摂取するのはコラーゲンと言うよりも、十分な量のたんぱく質(アミノ酸)であるべきではないでしょうか?
そして、それと同等に重要なのは、ビタミンCの摂取になるかと思うのです。
「「では、コラーゲンを摂るためには何を食べればいいのか?」ということなのですが、コラーゲンは、動物の体に含まれるたんぱく質であり、とくに牛すじ、鶏軟骨、鶏もも肉、鶏皮、豚レバー、豚スペアリブ、ハモの皮、ウナギ、サケの皮などに多く含まれています。これらを意識して多く食べるようにすればコラーゲンを摂取できるのですが、実際にはなかなか大変です。そこで、容易に摂取できる食品として私がオススメしたいのが、「ゼラチンパウダー」なのです。」(p.61)
動物や魚のコラーゲンに熱を加えて作ったものがゼラチン。煮こごりのように、プルプルしたものですね。それを乾燥させて粉末にしたのがゼラチンパウダーとのことです。
ゼラチンにもコラーゲンと同じ4種類のアミノ酸が含まれており、コラーゲンと同等だと渡辺さんは言います。そして渡辺さんはこのゼラチンを、15年以上毎日摂取していて、さまざまなメリットを実感しておられるそうです。
「ゼラチンパウダーを摂るようになってからほんの数週間で、膝の痛みをあまり感じなくなったのです。」(p.64-65)
膝の痛みがきっかけで、ゼラチンを摂取するようになったのだそうです。そこで効果があったから、食べ続けておられるようです。
「前述のようにコラーゲンは、骨の土台となる骨基質の大部分を占めています。したがって、ゼラチンを摂取することでコラーゲンが生成されやすくなり、骨基質の造りがよくなったことで、骨の強度が増したり、骨密度が増えたりという結果になったと考えられます。」(p.70)
加齢によって骨粗鬆症になる問題がありますが、それにもゼラチンが効果があると考えられるようです。これはラットの実験ですが、ゼラチンを餌のカゼインに添加するかどうかの比較試験で、添加した方が大腿骨の強度が増したというものですね。
しかし、明確にゼラチンが人の骨粗鬆症改善に役立ったという研究結果はないようです。こんな簡単な研究をやらないはずがないのに、それが書かれていないということは、おそらくそういう結果は出ていないのでしょう。
「1日に摂っていいコラーゲンの量は諸説ありますが、私は1日に約1g(小さじに2/3くらい)のゼラチンパウダーを摂取しています。毎日摂るなら、そのくらいがよいと思います。どんな栄養素でも、摂りすぎると弊害が現れることがあるので注意してください。」(p.85)
少な!というのが正直な感想です。だって、1日に必要とされるタンパク質量が約60gだとすると、わずか1/60以下にしかなりません。たったそれだけコラーゲンを摂取したからと言って、それで劇的な変化が起こるとは思えないのです。
もちろん、その摂取したコラーゲンが引き金となって、代謝に変化が生じる可能性までは否定しませんよ。何が起こっているかなんて、誰にも正確にはわからないのですから。
ただ、私の妻も美容のための高価なコラーゲン商品を買って飲んでいましたが、それならゼラチンでいいのではないかと思ってしまいました。膝痛の人も、高価なヒアルロン酸やコンドロイチンなどを買って飲んでいますが、それほど効かないという話もあります。ゼラチンで効果があるなら、もっと広まっているでしょう。
それに、やはり有効なのはコラーゲンを摂取することを考えるより、十分な量のたんぱく質(アミノ酸)とビタミンCを摂取することだと思うのです。
それを大前提として、ゼラチンを使ってたんぱく質を摂取するという考えも悪くないかなと思いました。
次は緑茶についてです。
「茶葉には茶独特の成分が含まれています。テニアン、カテキン、フラボノイド、カフェインなどで、これらが複合的に働いてコレステロールや中性脂肪を低下させると考えられます。とくにポリフェノールの一種のカテキンの働きが大きいとされます。」(p.90)
「それからというもの、意識して緑茶を1日に2〜3杯飲むようにし、それをずっと続けました。そして、いよいよ年に1回の特定健診の日(2011年12月6日)がやってきて検査を受けたところ、中性脂肪が85mg/dlに減っていたのです。これは紛れもない事実で、その数値が書かれた検査報告書は今も手元に持っています。
「緑茶以外にも、何か影響していたのでは?」と言う人もいるかもしれませんが、緑茶を飲むようにしたこと以外、食事は以前とほとんど変わりませんでしたし、運動も以前と同様にそれほど行っていませんでした。したがって、やはり緑茶の働きによって中性脂肪が減ったと考えられるのです。」(p.93)
2010年の特定健診では202mg/dlも中性脂肪があったのに、それ以降、緑茶を飲み続けたら正常になったと渡辺さんは言います。それ以外のことは何もしていないのだから、緑茶の効果に間違いないと。
この本全体を通じて言えることですが、この効果って、著者自身の1例に過ぎないのです。本人は他に何もやっていないと言いますが、それが本当かどうかもわからない。単に忘れているだけかもしれませんから。つまり、厳密な実験ではないということです。
もちろん、だからと言って、効果がないと否定できるものでもありません。科学的には一定の効果が認められているのですから。しかし、それが万人に如実に効果として表れるものでないことも事実です。
ですから、要因は他にもあるかもしれない、ということを忘れてはならないと思うのです。つまり、何ごとも決めつけないことですね。
「ところが、緑茶を意識して飲むようになって中性脂肪が減ってからは、熱いお風呂に入っても鼓動が激しくならず、また温泉にもふつうに入れるようになったのです。これはどう解釈すればよいのか難しいのですが(おそらくお医者さんに話しても信じてもらえないと思いますが)、多分血行がよくなることによって心臓に対する負担が少なくなって、それで暑いお風呂や温泉に入っても鼓動が激しくならなくなったのではないかと考えられます。」(p.94)
熱いお湯に入れるようになったとか、鼓動が激しくならなくなった、ということは事実なのでしょう。しかし、渡辺さん自身がおっしゃるように、その変化のメカニズムは不明です。
「総コレステロールの基準値は150〜219mg/dlです(前出の特定健診「総合検査報告書」より)。つまり、この基準値を超えている220〜260mg/dlの人がもっとも死亡率が低く、基準値内に下がった180mg/dl未満の人のほうが死亡率が高く、がんになる人も多かったということです。」(p.100)
コレステロール低下剤を使った臨床試験の結果、それでもコレステロール値が高い人の方が死亡率が低くなったということですね。これは、コレステロールが減ったことで免疫力が下がったと推測されます。
血圧も同様ですが、身体がコレステロール値を高くしているのは、そうする必要があるからではないかと思います。つまり、自然治癒力の働きですね。しかし現代医学では、高血圧であることとか高コレステロール値であることそのものを病気と捉え、その数値を変えることにやっきになっています。そうやって無理に数値を変えることによって、かえって体の機能を阻害しているように思います。
「病院で高血圧と診断されると、お医者さんは「これを飲みなさい」と言って降圧剤を処方しますが、抗コレステロール剤と同様に、できるだけ服用しないほうがよさそうです。」(p.103)
私も同感です。もっと自分の身体を信頼し、その声に耳を傾けながら、身体が喜ぶようなことをした方がよいように思います。
「ですから、コラーゲンの新陳代謝がよくなって、常に新しいコラーゲンが生成されてそれが血管に供給されれば、血管は弾力性を保つことができると考えられます。そうなれば、高血圧は回避できる、あるいは回避できないまでも血圧の上昇の度合いを減らすことができると考えられます。」(p.108)
緑茶を飲んで中性脂肪を減らせば、血液がサラサラ状態になるので高血圧も解消されると渡辺さんは言います。また、高血圧の原因は他に、血管の弾力性が失われることもあって、それを解消するにはコラーゲンの代謝を促進することも有効だと。なので、高血圧への対処法としては、緑茶を飲むことも、前出のコラーゲンつまりゼラチンを摂取することも、効果があると言われるのですね。
次は3つ目のプレーンヨーグルトについてです。
「この木クレオソートには大腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制し、また、腸内の細菌の活動を抑えるという働きがあります。そのため、下痢が止まるのです。
しかし、それが体にとってよいことなのかというと、はなはだ疑問です。下痢をよく起こす人は、「お腹が弱い」と見られがちですが、一概にそうともいえません。なぜなら、下痢は体にとってよくないものが消化管に入り込んできた際に、それをいち早く体外に排泄してしまおうという働きでもあるからです。その意味では、体を有害なものから守る現象ともいえるのです。」(p.119)
下痢になったら正露丸。私が子どもの頃、当然のように飲んでいましたが、その正露丸の主成分が木クレオソートだそうです。
正露丸よりも整腸剤、と言われる時期もありましたが、今では下痢止めも整腸剤も飲まなくなりました。自然が一番だと思うし、下痢そのものを病気とは考えなくなったからです。
レイキでは、下痢も嘔吐も身体の浄化作用だと考えます。つまり自然治癒力の働きです。その点、渡辺さんの考えにも賛同します。
「なお、製品名の[R-1]とは、ブルガリア菌の一種のラクトバチルスブルガリカスOLL1073R-1(乳酸菌1073R-1)の最後の[R-1]をとったものです。明治によると、この菌は特定の多糖体を作り出すため、それが免疫力を高めて風邪やインフルエンザの感染を防ぐといいます。」(p.124)
ひと言でヨーグルトと言っても、その乳酸菌の種類によって働きも様々なようです。明治の[R-1]という商品のうわさは、私も聞いたことがあります。ブルガリア菌が優秀なようですが、その中でも特に優れているとうわさされていますね。
実際、明治も実験をしたようで、[R-1]を飲んだ人たちは風邪をひくリスクが明らかに低かったとか。しかし、薬として売ろうとしたわけでもないので、「強さひきだす乳酸菌」というキャッチコピーで、暗に免疫力を高めることを謳っているようです。
腸内の環境を整えるのに、発酵食品が良いという話はいろいろ知っています。水溶性食物繊維が良いとか、オリゴ糖が良いとか、いろいろありますね。なので、ヨーグルトももちろん良いと思います。
ただ、値段が高いのが玉に瑕。[R-1]も2020年3月から[R-1 プレーン]というのが発売されたそうですが、1個(336g)で408円(税込み)するそうです。渡辺さんは、ヨーグルトメーカーを使って、購入したヨーグルトから新たにヨーグルトを作って増殖させて食べているとか。たしかに、そうした方がコスパは良いでしょうねぇ。
次は4つ目のココアです。
カカオポリフェノールや食物繊維を摂取するなら、高カカオチョコレートよりも、カカオ粉末でもあるココア(カカオ脂肪を取り除いたもの)を飲むのが良いそうです。便秘の解消や、インフルエンザの感染防止にも役立つそうですよ。
私は、前に紹介した「医師が教える最強の間食術」の影響で、高カカオチョコレートを「チョコちょこ食べ」しています。
このあと、他のオススメ商品について話が続きます。
とりあげられているのは、ハチミツ、ニンニク、日本そば、漢方薬となっています。
これらについては、特に引用しません。気になる人は、ぜひ本書をお読みください。
いずれも健康に役立つであろうことは、容易に推測できるかと思います。薬やサプリよりも、自然な食品を継続的に摂取すること。これは私も重要だと思います。
最後の漢方薬は疑問もありますが、薬とも言えますが、自然のものですから、食品とも言えますからね。
ハチミツを舐めるのに、口に突っ込んで容器の口から直接舐めるという方法は、なかなかいいなと思いました。自分専用の容器にすれば、手間もムダもありませんからね。
「それから何より重要なのは、「自分の体は自分でケアする」という意識を持つことです。誰かに頼ってはいけません。「他人に助けてもらおう」という甘い考えは捨てたほうがよいでしょう。「自分のことは自分で」という意識を持つか持たないかで、残りの人生がずいぶん変わってくるように思います。」(p.214-215)
「おわりに」に書かれたこの一文がたいへん秀逸だと思いました。この一文を読むだけでも、この本を買う価値があると思えるくらいです。
これまでにも言ったように、本書は科学的な情報を伝えるものと言うより、渡辺さんが自分自身で試してみて、自分に効果があった商品や方法をお勧めするという内容になっています。つまり、万人にとって正しいものではありませんし、そんな保障もしていません。
そこでこの一文になるのです。渡辺さんが実践してこられたことを参考にして、自分の頭で考えて、自分でやって、検証してみたらいいでしょう、ということです。
ですから、渡辺さんが言うことを鵜呑みにする必要はないし、むしろ鵜呑みにしてはいけません。それでは他人に頼ることになり、それは他人に助けてもらおうとする甘い考え方ですから。それではダメなのです。
いろいろな情報を元に自分なりに考えて、自分で実践していく。他人には効果があっても、自分には効かないかもしれませんし、その逆もありますからね。
だから、自分のやり方を他人に押し付ける必要もありません。単に自分はこれが良いと思ってこうしている、と伝えるだけでいいのです。
本書はまさに、そういう本だと思いました。そういう生き方を知って、自分の中に取り入れればいいのではないかと思います。
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