これも本の要約動画を観て、興味を持って買った本です。サブタイトルに「ミトコンドリアを増やして健康になる」とあるように、老化を防いで健康に若々しくあるためには、良質なミトコンドリアを増やすことが重要だという観点から書かれています。
著者は日本医科大学教授の太田成男(おおた・しげお)さん。ミトコンドリア研究の第一人者とのことです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「私たちはいつか老いと闘わなければいけない。そう感じている人も多いのではないでしょうか。
しかし、それは大きな間違いです。
なぜなら、私たちは生まれつき「若くなるようにできている」からです。
正確に言うと、生まれてから死ぬまで、「若くなるための機能」を持って生活しているのです。」(p.2)
「体を休めるとエネルギーを必要としなくなるため、「エネルギーをつくる能力」はどんどん低下してしまい、結果的に体の衰えを後押しすることになるのです。」(p.4)
「太りやすくなるのは、代謝が悪くなるからだとよく言われますが、代謝が悪くなるとは、原料をエネルギーにつくり替える能力が低くなるということです。
しかし、これを逆の視点から見れば、もしエネルギーをつくる能力をアップさせることができれば、体力がアップするうえ、若々しく、太りにくい体になるということです。」(p.4)
「じつはこのエネルギーをつくる能力こそ、「体を若くする機能」の正体なのです。
そしてこのエネルギーを生み出しているのはいったいどこなのか、それは「ミトコンドリア」なのです。」(p.5)
冒頭で意表を突く常識の否定をしていますが、よくよく考えると、1つの言い方にすぎないとわかります。
つまり、ミトコンドリアでエネルギーを作る能力を高めることでも老化そのものは止められないのですから、私たちは老化に抗いながら若さをなるべく保つよう、闘わなければならないとも言えるわけです。
いずれにせよ、良質なミトコンドリアを増やし、エネルギー生産を高めていくことで、私たちは若々しく老後を過ごすことが可能になるということですね。
「キーワードは「活性酸素」と「ミトコンドリア」のふたつです。」(p.6)
「ミトコンドリアは、生きるために必要なエネルギーをつくっていますが、その質が悪ければ活性酸素をつくり出し、よければ活性酸素を少なくして害を抑えてくれるのです。」(p.6)
ここに、ミトコンドリアが良質でなければならない理由があります。質の悪いミトコンドリアは、より多くの活性酸素を作りだしてしまい、そのことによって健康に害を生じたり、老化が促進されてしまうのです。
「具体的にどうすればエネルギーをつくる能力をアップさせることができるのかというと、ひと言で言うならば、「体にエネルギーを必要としていることをわからせる」ということです。
○「マグロトレーニング」をすること
○背すじをのばすこと
○寒さを感じること
○空腹になること
大きく分ければこの四つしかありません。」(p.7-8)
この具体的な方法については、本書をお読みください。要は、適切なストレスを与えて、体がもっとエネルギーが必要だと感じるよう仕向ければよいのです。
太田さんは、だから「老いと闘う」のではなく、「若さを活用する」というように思考を変えるようにと言います。まあこのニュアンスは、私にはどっちでもいいなぁと思うのですがね。
「通常の油では「長鎖脂肪酸」と呼ばれる脂肪が含まれています。この長い脂肪酸がミトコンドリア内に入るためには、Lカルニチンという物質が必要です。そのため、脂肪酸を燃焼させるには、同時にLカルニチンを摂取する必要があるのです。
ところが、中鎖脂肪酸はLカルニチンなしでもミトコンドリア内に入り込むことができるという大きな特徴を持っています。中鎖脂肪酸は、そのままでミトコンドリアに入り込みやすいので、そのまま燃焼されやすく、体内に脂肪として蓄積されないのです。」(p.27)
前に「アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事」や「やせたければ脂肪をたくさんとりなさい」などを読んで、中鎖脂肪酸が燃えやすく蓄積されにくい油だということは知っていました。ミトコンドリアにすぐに消費されるかどうかということだったのですね。
今、中鎖脂肪酸が多いというパーム核油由来のMCTオイルをコーヒーに垂らして飲んでいますが、少しは効果があるのでしょうかね。今のところ、まだあまり実感はありませんが。
「体を休めてばかりいると、「なんだ、エネルギーはあまりいらないのか」とばかりに、私たちの体はミトコンドリアの数を減らしてしまいます。
そのため、体を休めてばかりいると、ミトコンドリアの数がどんどん減り、体はさらに弱くなってしまいます。
ですから、体力をつけるもっとも賢い方法は、エネルギーを使う量、つまり運動量を少しずつ増やしてくことなのです。」(p.35-36)
「疲れるから、体力がないからと、体を休めてばかりいると、ミトコンドリアが極端に減り、エネルギーのつくれない「老いた体」になってしまいます。」(p.39)
筋肉もそうですね。使わなければ減っていきます。私たちの身体は、使うことによって鍛えられます。つまり、若々しく増強されるのです。
「しかし、最近の研究によって、ミトコンドリアが生み出すエネルギーの低下が、原因のひとつであることがわかってきました。普段から脳の血流量を増やし、ミトコンドリアのエネルギーをつくる能力を高く保っておくことが認知症に有効であることは間違いありません。」(p.45)
私たちの身体でエネルギーを使うのは筋肉だけではありません。脳神経も大量に消費します。認知症の人は脳の萎縮が起こると言われますが、それはミトコンドリアの減少を意味することでもあるのです。
「「脳トレ(脳のトレーニング)」という言葉がありますが、物事を深く考えたり、新たなことを学ぶなど脳に刺激を与えると脳の血流量が増し、ミトコンドリアのはたらきが活発になります。
つまり、新しいことに興味をもつことがなにより大切なのです。」(p.46)
筋肉に刺激を与えれば筋肉が増強しますが、脳にも刺激が必要なのですね。ただし、あまり強い刺激(ショック)は危険なこともあるので、身体を動かすこと、つまり運動をするという程度の刺激でも、脳には良い刺激だと太田さんは言われています。
「つまり、アポトーシスという細胞の自滅システムは、私たちの体をさまざまな病気から守ってくれている、とても重要なシステムであり、その命令を下すミトコンドリアが正常にはたらくかどうかが、将来の健康を大きく占っているのです。」(p.55)
活性酸素などで傷ついた細胞は、自らアポトーシスすることによって、身体全体に害が及ばないようになっています。しかし、正常にアポトーシスできるかどうかということも、またミトコンドリアにかかっているのですね。
「つまり鳥が、活性酸素そのものをつくらないミトコンドリアによって長寿を実現したのに対し、人間はできてしまった活性酸素をSODの量を多くすることでより多く除去し、さらに、それでも除去しきれなかった活性酸素が遺伝子を傷つけても、高い修復能力で治すという、二段構えで長寿を実現していたのです。
それは活性酸素が生む「老いる仕組み」を、豊富なエネルギーがもたらす「若返る仕組み」によって解消しているとも言えます。」(p.68-69)
SODというのは、スーパー・オキシド・ディスムターゼの略で、活性酸素を取り除く酵素のことです。そのSODを作る能力が、他の生物よりも人間は高いということなのですね。
鳥は体の大きさからするとかなりの長寿なのですが、人間もまた長寿の種族なのだそうです。しかし、その長寿を実現する仕組みが違っているのです。
「急激な運動は活性酸素を生みますが、消化管でも同じことが起きてしまいます。つまり、最初からたくさん食べてしまうと、それだけ急速にエネルギーを必要とし、活性酸素が発生してしまうということです。
運動も食事も同じです。
運動はゆっくりとスタートすることで活性酸素を抑えることができますが、食事もおなかが空いたからといって早食いをするのではなく、ゆっくり食べることで、活性酸素の発生を少なくすることができるのです。」(p.87)
ミトコンドリアが急激にエネルギーを生み出そうとすると、活性酸素もできやすいのですね。だから、急激に大きなエネルギーを使うようなことは、なるべく避けた方がよいのです。
「運動によるストレスはプラス面も大きいのですが、心理的ストレスによる臨戦態勢にはメリットはほとんどありません。さらに悪いことに、心理的ストレスは活性酸素を発生させるだけでなく、免疫機能も低下させてしまうという特徴があります。そのため、多くの病気の引き金になっているのです。」(p.90)
長期的なストレスは避けるべきだし、心理的な重いストレスも避けるべきだと太田さんは言います。
「ATPはこれらのどんなエネルギーにも変えることのできる、オールマイティーのエネルギーなのです。ですからまずは、ATPをつくり出して、そのATPのエネルギーを必要な形で使ってもらうという仕組みになっています。」(p.96)
運動にも精神活動にもエネルギーが必要で、その万能なエネルギーがATPであり、ミトコンドリアが生み出すものです。
いわば「エネルギー通貨」であり、お金と同様なのですね。ただし、実際の通貨とは違う一面もあるそうです。
「それは、お金は貯めておいて必要なときに使うことができますが、ATPは蓄えておくことができないということです。」(p.96-97)
ATPは通貨と違って、必要な時に必要なだけ作り出す必要があるのです。
「極端な言い方をすると、食べ物は「電気の素」です。」(p.101)
「それは、電圧のかかる場所を一センチメートルの厚みに拡大して考えると、そこに二〇万ボルトという、とてつもない電圧がかかっているという計算になります。」(p.101)
「ミトコンドリアではこの電圧を利用して、この世でもっとも小さいモーターを回転させ、ATPを合成しています。このモーターのエネルギー効率はほぼ一〇〇%で、この世でもっとも優れたモーターをミトコンドリアは使っているのです。」(p.101-102)
ミトコンドリアは食事から得られた栄養素と酸素を使い、それを電気エネルギーに変えてから、ATPを産生しているのだそうです。これは知りませんでした。
詳しいことはわからないのですが、きっとこういうことなのでしょう。それにしても、人体には不思議なこと、未知のことがたくさんあるなぁ、と改めて思いました。
運動すると短命になるという話もあります。一方で、運動しないと身体機能が衰えるとも言われます。どっちが正しいのでしょうか?
「この議論の間違いがどこにあるかというと、「エネルギー生成量に比例して活性酸素が生じる」の「比例して」という点と、活性酸素を消すシステムを私たちが持っていることを無視している点にあります。」(p.104)
つまり、一方の働きに注目すればその通りなのですが、人には両方の働きがあり、そのバランスの上に成り立っているということなのですね。
「ではこの活性酸素はなぜエネルギーを生み出す際に、一緒に発生してしまうのでしょうか。
ミトコンドリアでは、「電子」と「食事」を利用してATPという物質を合成します。その際、電子はミトコンドリアを含む膜の上を流れていくのですが、その膜の上は平均台のように細く、ときどき電子がこぼれ落ちてしまうのです。
加えてミトコンドリアには、とてつもない電圧がかかるので、電圧が一瞬でも高くなったときには、どうしても電子がこぼれ落ちてしまいます。
電子が同じリズムでゆっくりと歩いていれば、平均台から落ちる頻度は少なくなります。ところが、平均台の上でおとなしく立ち止まっていたときに、急に動けという命令が出されると、慌てて動き出し、平均台から落ちてしまいます。これは、酸欠状態のときに酸素が急に入ってきた状態です。
このこぼれ落ちた電子が、近くにある酸素と結びついてしまったものが、乱暴者の活性酸素なのです。」(p.106-107)
ミトコンドリアでエネルギーを生み出す際、必然的に活性酸素が生じてしまうことを、わかりやすく例えてあったので、長い文章ですが引用しました。
呼吸で取り込んだ酸素の1〜2%が活性酸素になるのだそうです。それをなるべく少なくすることが、健康維持や老化防止には重要になってきます。
「エネルギーの生産を少し犠牲にしても、電子がこぼれないように電圧を下げている状態、その状態を「マイルド・カップリング」といいます。
そしてこのマイルド・カップリングの状態をつくり出すためには、ミトコンドリアの「量」が必要なのです。
ミトコンドリアの量がたくさんあれば、大量のエネルギーが必要になっても、ひとつのミトコンドリアにかかる負荷は小さくなります。」(p.109)
1つのミトコンドリアを性能の限界まで働かせると、どうしても活性酸素が増えやすくなるのですね。だからミトコンドリアを増やすことが重要になると太田さんは言います。
「ミトコンドリアを増やす方法は四つあります。
@マグロトレーニングをする
A姿勢を保つ
B寒さを感じる
C空腹を感じる
いずれの方法も、体に「エネルギーが不足しているよ」というシグナルを与えることがポイントです。」(p.110-111)
つまり、自堕落的でない非日常的な何かをすれば、身体はエネルギーを増やして適応しようとする。そのエネルギーを増やすために、ミトコンドリアが増えるということなのです。
なお、ミトコンドリアを増やす4つの方法については、先に引用した時に書いたように、詳細は本書をお読みくださいね。
「ミトコンドリアが増えてはじめて、質の低下したものを壊すことができるようになるのです。」(p.112)
ミトコンドリア全体の質を高めるには、劣化したミトコンドリアを解体することが必要です。しかし、そもそもミトコンドリアが少ない状態であれば、安易に壊すことはできませんよね。
それがもし大量にミトコンドリアがあれば、少量の質の悪いものはすぐに壊すことができます。このように、劣化したミトコンドリアを容易に壊すことによって、全体の質が高まります。そのためにも、ミトコンドリアの量が重要なのです。
「「メタボリック/metabolic」の直訳は、肥満ではなく「代謝」です。
ですから、メタボリックシンドロームとは代謝症候群、つまり代謝異常によって起きるさまざまな病的変化ということになります。そして、代謝とは「エネルギーをつくり出すこと」なので、メタボリックシンドロームも、ミトコンドリアの機能低下が原因で起こる、もっとも重大な病気のもとなのです。」(p.116-117)
メタボと言えば肥満をイメージしますが、肥満は結果であって原因ではないのですね。
「ただし、体に悪いのは「皮下脂肪」の蓄積ではありません。それよりも内臓脂肪のほうがはるかに危険なのです。メタボの正式な日本語訳は「内臓脂肪症候群」です。」(p.118)
「メタボの解消・予防を目指すには、ミトコンドリアによる代謝を上げて、内臓脂肪を減らせばよい−−これが現在わかっている唯一の方法です。」(p.118-119)
「ミトコンドリアが生み出すエネルギーと食事の量=「代謝のバランス」といった根本要因を健康な状態に保つことが、「万病のもと」を回避する万全の策なのです。」(p.119)
皮下脂肪より内臓脂肪が問題だということは、よく知られていることですね。そして、その内臓脂肪を増やしている原因が、ミトコンドリアによる代謝が低いことにあるのです。なので、内臓脂肪を削り取っても、あまり意味はないのです。
「簡単に言うと、脂肪を溜め込んでいるときは体に悪いホルモンを分泌し、脂肪が少ないときは体によいホルモンを分泌します。」(p.130)
「脂肪細胞から分泌されるよいホルモンの代表はアディポネクチンといいますが、動脈硬化も糖尿病も防いでくれる非常に頼もしいホルモンです。そしてミトコンドリアも増やす役割があることがわかってきたのです。」(p.130)
脂肪細胞の数は、遺伝ではなく思春期までに決まってしまうのだそうです。なので、大人になってから数を減らそうとしてももう遅い。
大人にできることは、1つの脂肪細胞が蓄える脂肪の量を減らすことだけ。そしてその量によって身体に「良い」影響を与えたり、「悪い」影響を与えたりするようです。
「もし脂肪細胞に脂肪がぎっしり溜まっていると、少しくらい脂肪が溜まっても、脂肪細胞はそのことに気づかず、満腹ホルモンは分泌されません。」(p.132)
食事を始めて満腹になったことを知らせるホルモンも、脂肪細胞から出されるのだそうです。そのトリガーが、脂肪細胞に脂肪が溜まり始めたことを脂肪細胞が感知することにあるのだとか。
だから早食いは太りやすくなるので、太田さんは30分以上かけて食事をするようにと言います。実際、食事をしてしばらくしてから、やっと満腹感を感じることが多いです。こういうことも、自分の身体の声をよく聞いていれば気づきますね。
そして太っている人は、さらに太りやすい、食べ過ぎになりやすいという理由も、これでわかるかと思います。
「メタボにより糖尿病になる平均年齢は五〇歳、一方、やせすぎにより死亡率が高くなるのは、男性で七〇歳から、女性で七五歳−−ということなのです。」(p.200)
BMIが18.9以下だと、30以上の肥満の人と同じくらい死亡リスクが高くなることが知られています。しかし、それは年令によると太田さんは言います。
なので65歳までは内臓脂肪を増やさないことを心がけ、それを過ぎたら栄養のある食事を十分に摂って、筋肉が衰えないようにすることが重要だとのことです。
「血液中のカロテンの量が多い高齢者は生活の質が高い、つまり介護なしで元気に生活ができていたのです。」(p.201)
つまりカロテンが多く含まれる人参やピーマンなど、赤、黄、緑という色の野菜を食べることが、身体の機能の維持に役立つということです。
カロテンは、よく知られているように抗酸化物質の代表です。身体を酸化させないことが大切なのですね。
「しかし、抗酸化物質は「過ぎたるは及ばざるが如し」だということを覚えておいてほしいと思います。」(p.205)
野菜を大量に食べても摂り過ぎにはなりませんが、サプリなどで摂取するのは要注意なのです。
「矛盾するようですが、むしろ私はあまり細かく意識しないほうがいいとさえ思っています。というのも、一番大切なことは、体にいい食材を記憶することでも、体にいい料理の仕方を覚えることでもないからです。
日本の伝統食は、ミトコンドリアにとっても適した食べ物になっているから時代を越えて今に残った、というお話をしましたが、一方で忘れがちになっているものもあるように思います。
それは「感謝の気持ち」です。」(p.210-211)
「急な変化を生んだとき、また、心に余裕がないときに活性酸素は生じてしまうのです。
そうではなく、ゆっくりとしたときこそ、豊富なエネルギーをつくるように私たちの体はできています。
「ゆっくり」「ゆったり」とした生活が、活性酸素を少なくし、ミトコンドリアを増やすのです。」(p.214)
「ミトコンドリアを増やすには、「エネルギーが必要だ」と感じさせることです。
本書ではその方法をお話ししてきましたが、じつはひとつ、まだお伝えしていない方法があります。
それは、「心のエネルギー枯渇状態」をつくればいい、ということです。」(p.214)
「人生を楽しむことによって、心に「エネルギーが足りない」と感じさせるからこそ、体がエネルギーをつくろうとし、その結果、若くなるのです。
つまり好奇心をもって、とにかく人生を楽しんでみる。
その姿勢を忘れないでほしいと思います。」(p.215)
つまり、ミトコンドリアを増やさなければ・・・ということに執着して、心が逼迫していてはダメなのですね。
心に余裕を持って、細かいことにはこだわらず、今を楽しむこと。そうすれば自ずと食事も味わいながら時間をかけるし、少量で満足するようになります。
そして、今を楽しんでいれば、様々なことに好奇心を覚えて、何か新しいことをやろうとするでしょう。その心の活性化によって、またその好奇心に伴う身体活動によって、今のままではエネルギーが足りないという指令がミトコンドリアに伝わり、ミトコンドリアを増やすことになる。
若々しいお年寄りのほとんどは好奇心旺盛で活動的です。少々のことではイライラせず、大らかでゆとりがあります。
そういう老後の自分を目指していれば、自然とそれがミトコンドリアを増やすことにつながり、健康で老いない身体になっていくということのようです。
ミトコンドリアというのは、独自のDNAを持った細胞内機関であり、細胞内細胞とも言えます。腸内細菌は、厳密に言えば「体外」に他の生物を住まわせて役立てているということになりますが、ミトコンドリアは「体内」に生息する他の生物とも考えられます。
実に興味深い関係であり、生物の体(人体)というものは、かくも不思議で神々しいほど素晴らしいなぁと感じます。
そのミトコンドリアに着目して、健康や老化に関して語っているのが本書ですが、最後の部分が特に良かったと思いました。
けっきょく私たちは、あれこれ不安にならず、恐れを抱かず、今を楽しんで余裕を持って生きればいいんですよね。そういう生き方が、身体にとっても最高の生き方になる。改めて、そう思いました。
