2022年11月22日

DIE WITH ZERO



本の要約動画で絶賛していたので買ってみました。
帯に「ゼロで死ね。」とタイトルの日本語訳が書かれています。また、サブタイトルには「人生が豊かになりすぎる究極のルール」とあります。
このように本書は、死ぬ時点で資産をゼロにする生き方を説いたものになっています。

著者はビル・バーキンス氏。トレーダーとして活躍して巨額の富を築き、ハリウッド映画のプロデューサーやポーカープレイヤーとしても活躍されておられるようです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

冒頭で有名な「アリとキリギリス」というイソップ寓話を持ち出します。そしてそこで、アリはいつ遊ぶことができるのか? という疑問を投げかけるのです。

もちろん、誰もが生きるために働かなければならない。だが、ただ生きる以上のことをしたいとも望んでいる。「本当の人生」を生きたいのだ。
 この本のテーマはそれだ。
 ただ生きるだけではなく、十分に生きる。経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考える。
」(p.4)

バーキンス氏は、このような問題を真剣に考えてこられたそうです。そして、こうすれば絶対に上手くいくという方法は存在しないけれども、確実に人生を豊かにする方法なら答えられるとして、本書に記されたそうです。


喜びをある程度先送りするのは理にかなっている。長期的に見れば、そのほうが報われるからだ。
 だが残念なことに、私たちは喜びを先送りしすぎている。
 手遅れになるまでやりたいことを我慢し、ただただ金を節約する。
 人生が無限に続くかのような気持ちで。
」(p.18)

今しかできないことに金を使う。

 それこそが、この本で伝えたいことの核だ。
 90歳になって水上スキーを始めるのは難しい。今それを我慢すれば、その分の金は貯まるだろう。だが、十分な金を得たときには、すでにそれができない年齢かもしれない。
」(p.19)

たしかに、やりたいことのためにお金を使えば、お金は貯まりません。そうすると将来、やりたいことができなくなったり、生活に困る可能性もあるわけです。
キリギリスのように、その時その時を楽しむより、アリのように将来のために節約して、我慢して、せっせと稼いで貯め込む方がいい。しかし、ではアリは貯め込んだお金をいつ有意義に使えるのでしょうか?

大切なのは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまず金を使うことだ。」(p.20)

誰にとっても水上スキーをすることが幸せ、ではないのです。だから、自分が何をすることで幸せになるかをよく知って、そのためにお金を使うことが大切です。

つまり、時間と金を最大限に活かすためのカギは”タイミング”にある。
 人生の充実度を高めるのは、”そのときどきに相応(ふさわ)しい経験”なのだ。
」(p.21)

仮に水上スキーが大好きだとしても、それを20歳代で経験するのか、80歳代で経験するのかでは、大きな違いがあるのですね。
ですから、自分にとって何をすることが幸せかということと同時に、いつそれをするのが幸せかということも合わせて考える必要があるのです。

節約ばかりしていると、そのときにしかできない経験をするチャンスを失う。その結果、世界が必要以上に小さな場所になってしまう。人生は経験の合計だからだ。」(p.32)

人生の満足度を最大限に高めるために、ライフエネルギーのどれだけを金を稼ぐために費やし、どれだけを経験に費やすべきか。その問題の答えは簡単には導けない。人はそれぞれ違うし、考えるべき問題はたくさんある。」(p.36)

人それぞれですから、自分で考えて自分で決めるしかありませんね。

人生を存分に楽しむには、無意識な自動運転をやめ、自らの意思で思う方向に操縦していかなければならない。」(p.66)

そう簡単には的確な答えが出せない問題だからこそ、無意識に生きるのではなく、意識的に生きることが大事になってくるのです。


人は皆、遅かれ早かれ死ぬ。最後の数日、数カ月を生き延びるのに必要な医療費を貯めるために、人生の貴重な数年間を犠牲にしてまで働きたいと思うだろうか?
 私は、いさぎよく「墓場で会おう!」と言いたい。
」(p.91)

たしかに、自分の死をありありと想像してみれば、死ぬとわかっていて数時間や数日の、いや数ヶ月の延命のためにどれほどの価値があるだろうかと思います。そのために数年分の我慢を重ねる労働生活が割に合うのかどうか。考えるまでもなく、私もそれは割に合わないと思います。


とはいえ、私は誰もが貯金をはたいて長寿年金を買うべきだと言っているのではない。ここで言いたいのは、死ぬ前に資産が尽きないようにしながら、生きるうちに金を使い切る方法はあるということだ。少なくとも、こうした解決策を検討すらしないことは、あなたの人生にとって大きなデメリットになる。」(p.102-103)

ゼロで死ぬことを決めたとしても、予想通りに死ねるとも限りません。資産を使い切った後も生きていたらどうするのか? この疑問に対してバーキンス氏は、1つの方法として長寿年金(トンチン年金)を提示しています。
長寿年金とは、想定した年齢になっても死なずに生きていた時に支払われる保険です。そういうものがあるとは知りませんでしたが、あっても不思議ではありませんね。
もちろん、それが最も適しているかどうかは何とも言えません。けれども日本には、政府が保障している公的年金制度があります。それで足りなければ生活保護制度もあります。少なくとも無一文で食べることもできないなんてことにはならないと思うのですけどね。


「ゼロで死ぬ」とは、金だけの問題ではない。それは時間の問題でもある。
 限られた時間とエネルギーをどう使うべきか。私たちはそれを、もっと真剣に考えるべきだ。それが、人生を最大限に豊かにすることにつながっていくのである。
」(p.111)

死を現実のものとして考え始めてやっと、私たちは生を貴重なものと認識できます。これまでならただダラダラと過ごしていた日常が、どれほど貴重な時間の浪費だったかとわかるのです。


子どもと過ごす経験の価値を定量化することは、子どものために本当にすべきことは何かを、立ち止まって考える良い機会になる。
 それはときに子どものためにたくさんの金を稼ぐことにもなるだろうし、ときには一緒に多くの時間を過ごすことにもなるだろう。
 経験を数値化することで、稼ぐために費やす時間が、子どもにとって本当にメリットになるかどうかも把握しやすくなる。
」(p.133)

子どもはすぐに成長してしまうから、一緒に遊べる時にその時間を無理をしてでも作るべきだという考え方があります。たしかにそうなのですが、それとて一面的な見方です。もちろん、だからと言って子どものために稼がなければならないと言い訳をして、仕事に没頭すべきということではありませんよ。
つまり、どっちが正しいかではなく、真剣にそのことを考えることが重要なのです。そのために、それぞれの経験の価値を数値化して比べてみるというやり方を勧めています。


若い頃にケチってばかりいるのは大きな過ちだと気づいたまではよかったが、その反動で、今度は闇雲に無駄金を使うという過ちを犯してしまった。以前は節約しすぎ、今度は無駄遣いしすぎた。」(p.153)

バーキンス氏も、いろいろと経験の中で気づきを得て来られたようです。時には無駄と思えるお金を使う必要もありますが、闇雲に散財すれば良いわけではないことも明らかですね。


経験を楽しむ能力が年齢によって変わってくるのなら、能力が高いときにたくさんの金を使うことは理にかなっている。」(p.165-166)

経験から価値を引き出しやすい年代に、貯蓄をおさえて金を多めに使う。この原則に基づいて、支出と貯蓄のバランスを人生全体の視点で調整していくべきである。」(p.167)

体力のある若い頃なら、運動系の経験を積む価値が高いと言えるでしょう。そうであるなら、そういう経験を積むためのお金を若い頃に使うべきなのです。
そして年を取れば段々とその時しかできない経験というものが少なくなってくるので、使うお金も減ってきます。そうであるなら、そこで使えるお金を、前もって若い頃に使うということですね。


どんな経験でも、いつか自分にとって人生最後のタイミングがやってくる。」(p.190)

私たちは皆、人生のある段階から次の段階へと前進し続ける。ある段階が終わることで小さな死を迎え、次の段階に移る。
 二度と同じときを過ごせないのは悲しいことだが、逆に言えば、私たちが長い人生のあいだに、いくつもの生を生き、喜びや楽しみを味わえるということでもある。
」(p.190-191)

「死」というイベントは人生の最大のものと言えますが、そうでなくても人生の中では常に、何かが終わり、何かが始まっているのです。
それを楽しく経験できる期間というものが人生にはあります。だから、その経験の価値が高いのであれば、たとえ未来から借金をしても、その経験を積むべきなのです。

最大の後悔は、「勇気を出して、もっと自分に忠実に生きればよかった」であった。他人が望む人生ではなく、自分の心の赴(おもむ)くままに夢を追い求めればよかった、と。」(p.194)

これは有名な話で、死期を迎えた老人たちが後悔していたのは、若い頃に自分らしい生き方をしなかったことだったのです。
やらなかった後悔は大きいが、やって失敗したことの後悔は小さい、というような話もあります。

この実験から学べるのは、人は終わりを意識すると、その時間を最大限に活用しようとする意欲が高まるということだ。」(p.196)

終わりを意識すれば、その限られた時間の貴重さが実感されます。人生においても同じで、あと少しでこの経験も終わりだと意識していることで、価値ある時間を過ごすことができるのです。
これを「一期一会」という言葉で、日本では伝えられていますね。これが最後の出会いかもしれないと意識すれば、その出会いが貴重なものになるのです。


つまり、ゼロで死ぬことを目指すなら、純資産は人生のある時点から減り始めなければならない。そうしなければ金が無駄になる。つまり、価値ある経験を逃していることになる。
 これが、純資産のピークをつくるべき理由だ。私たちは人生のある段階で、まだ経験から多くの楽しみを引き出せる体力があるうちに、純資産を取り崩していくべきなのだ。
 さらに、ピークのタイミングは偶然に任せるべきではない。人生をできる限り充実させる金の使い方をしたいなら、ピークの日付を意図的に決める必要がある。
」(p.216)

人生を最適化するよう金を使う場合、大半の人は45〜60歳のあいだに資産がピークに達する。この範囲から外れると、人生の充実度を最大限に高めるのは難しくなる。つまり、経験のために金を十分に使いきれなかったということになる。」(p.227-228)

ゼロで死ぬことを意識し、資産残高のピークを作るよう計画的にお金の稼ぎ方、使い方をコントロールすべきだとバーキンス氏は言います。

しかし、私は必ずしもそうは思いません。なぜなら、人生は何が起こるかわからないからです。
働いたら働いただけ資産が増えるわけではありませんから。失業することもあれば、転職して所得が格段に増えることもあるでしょう。

ただ、ゼロで死ぬことを意識するなら、常に将来の計画を見直し、それに合わせて資産の取り崩し額を変えていくべきでしょうね。まあ、資産があれば、ですがね。資産がなく、その時その時で最善の道を歩まなければならない人生もありますから。


非対称リスクに直面したときには、チャンスをつかむために大胆な行動を起こすことが合理的な判断になる。極端に言えば、デメリットが極めて小さく(あるいは、失うものが何もなく)、メリットが極めて大きい場合、大胆な行動を取らないほうがリスクとなるということだ。」(p.243-244)

年を取ると、失うものは増える。成功して得られるものも少なくなる。独身の人や、すでに子どもが自立している人でも、リスクに対する報酬のバランスは良いものではない。」(p.249)

失うものが何もなければ、大胆に挑戦できます。だから、若い頃に挑戦すべきだということですね。
しかし、私のように子どもがいなければ、年を取ってもそれなりに失うものが少ないとも言えます。なので、ここもその時点のその人の考え方でしょうね。私は、会社を辞めて自由になったことで、失うものがなくなったなぁと感じましたから。


今、リスクを取れないなら、いつ取れるのか?」(p.251)

あなたにとって最善の道を選ぶことだ。本当にやりたいことを探したいのなら、リスクを取るときがあってもいい。」(p.251)

だが、少しでもあなたの背中を押すために、最後に大胆に行動するための3つのポイントだけ伝えておこう。
 1つ目は、あなたがどれくらいリスクを取ろうが、どんな大胆な行動に出ようが、一般的にそれは人生の早い段階が良いということだ。繰り返しになるが、若い頃のほうが失敗のダメージは少なく、成功して得られるメリットは大きくなる。
 2つ目は、行動を取らないことへのリスクを過小評価すべきではないということだ。大胆な行動を取らず、同じ場所に留まれば、安全に思えるだろう。だが、それによって何かを失っている可能性にも目を向けるべきだ。
」(p.258)

3つ目は、「リスクの大きさ」と「不安」は区別すべきだということだ。人は不安に襲われていると、実際のリスクを過度に大きく見なしてしまう。」(p.259)

リスクが消えることはありませんからね。私は小さなバンジーを飛ぶと表現していますが、どこかで勇気を出して一歩を踏み出すしかないのです。それが不安(恐れ)を乗り越える唯一の方法だと思います。


だが、私たちが一番恐れるべきは、「80歳になったときに潤沢な資産があるか」ではない。人生と時間を無駄にしてしまうことなのだ。」(p.260)

ゼロで死ぬという目標を持つこと自体が、あなたを正しい方向に導いてくれる。
 あなたは、何も考えずに働き、貯蓄し、できるだけ資産を増やそうとしていたこれまでの人生を変え、できる限り最高の人生を送れるようになる。
」(p.263)

つまり、実際にゼロで死ぬことができるかどうかは、どうでもいいことなのです。そういう結果ではなく、そういう意識を持って生きることによって、人生を最高に輝かせることができる。それが何よりも重要なことなのです。


最初、死期がわからないのに、ゼロで死ぬことなど不可能だろうと思いました。それをどうやって実現すると言っているのか興味がありました。
しかし、ゼロで死ぬことを完全に達成する方法などない、というのが結論ですね。そして、重要なのはそこではなく、意図的に生きることにあるのだということでした。

たしかに、これまで意図的に生きてこなかった人には、自分の人生を振り返り、将来設計を見直すきっかけになる本だと思います。
そしてその中で、無用な不安(恐れ)を棄ててリスクを取ることが重要だという気づきがあれば、人生は豊かなものになると思いました。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 12:53 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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