2022年10月21日

やせたければ脂肪をたくさんとりなさい



これもYoutube動画でお勧めされていた本になります。
いわゆる低糖質ダイエットになるのですが、より積極的に、三大栄養素の中でも脂質を多く摂取することを勧めています。

本書は、イギリスで食事療法を推進しておられるジョン・ブリファ博士が、これまでの多くの論文を再検証することでまとめた理論になります。
思い込みによるものではなく、科学的な知見に基づいた理論ということで、信頼性が高いと感じました。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

ブリファ博士自身が、当初は従来の常識である「食べる量を減らして運動量を増やす」ことで減量が可能だと信じていました。しかし、カロリー制限をして運動をしても、ほぼ全員が減量に失敗する現実をみて、従来の常識に疑問を持ちます。そして、この20年間に発表された科学文献をしっかり読み直すことにより、栄養に関する「社会通念」のほとんどが、間違いで危険であることを認識しました。
 たとえば「カロリー神話」「脂肪悪玉説」「コレステロール神話」などが、現在科学的には根底から覆っていることを、本書では根拠をもとに明らかにしています。
」(p.1)

基本は糖質摂取を減らし、脂肪とタンパク質はしっかり摂取するので、これはまさに「糖質制限食の本」と言えます。」(p.1-2)

このように、これまで常識とされていた説を、科学的な知見を元に見直しているのが本書になります。


◎食事制限によって減る体重は、長期的には2キロ程度である。
◎食事制限に運動を加えることでさらに減る体重は、わずか1キロ程度にすぎない。
◎カロリーにもとづくダイエット法が失敗ばかりなのは、この方法には本質的に効果がないことの表れである。
」(p.33-34)

本書は、「落とし穴」と題して、20の章から成り立っています。各章で、これまでの常識をくつがえすことが提示されているのです。
その第1章において、これまでのカロリー制限によるダイエット法の限界を、このようにまとめています。しっかりと指導され管理された状況下で、わずかに3kgくらいの減量しかできない。しかも、解放されればすぐにリバウンドするのです。


ところがミネソタの実験の結果、被験者の体重減少率が20〜26パーセントだったのに対し、実際のエネルギー消費の減少率は約40パーセントでした。つまり、代謝率は体重減少から予測されるよりはるかに大幅に下がったのです。ほかの研究でも同じことが発見されています。
 カロリーが不足しているとき、体は一致団結し、代謝にブレーキをかけることによってエネルギーを節約しようとすることは明らかです。
」(p.38)

ダイエットのために総カロリーを制限すれば、身体は代謝率を落として抵抗しようとします。その代謝率の低下以上に摂取カロリーが減らないと、体重減にはならないのです。


ミネソタの実験データを分析すると、ひとたび制約が解かれた被験者が示した極端な摂食行動は、本人の体重減少の程度と直接関係していることがわかります。減った体重が多ければ多いほど、食事が制限されなくなるとたくさん食べたのです。体重が増えるにつれ、食べる量はだんだんに減っていきました。しかし肝心なのは、食べる量がふつうにもどるまでに、体脂肪レベルが実験開始時より75パーセント増えたことです。」(p.42-43)

いわゆる「リバウンド」が科学的な実験から明らかにされたということです。
カロリー制限によって代謝が減った状態で、カロリー制限を解除すると、制限前よりよく食べるようになることと、代謝が減った状態で摂取カロリーが増えるために、さらに体重が増えてしまうのです。


脂肪組織は固定しているように思えるかもしれませんが、現実には流動的な状態にあるのです。
 肥満はカロリー過剰の結果ではなく、「脂肪蓄積」障害の結果と考えるべきだと言う科学者や解説者もいます。
」(p.50)

「体脂肪」は、常に出たり入ったりしているのですね。これは骨を形作るカルシウムも同じです。つまり人体のほとんどの組織は、出たり入ったりしながら最適なバランスの上に成り立っているのです。
そのバランスが崩れることによって、偏った結果が現れてしまう。それが肥満なのです。


要するに、インスリンが太るもとなのです。そして決定的なのは、インスリン濃度が低いことが、一般に体脂肪減少につながることです。」(p.52)

脂肪は直接インスリン分泌を促進しないことが判明しているので、脂肪が太るもとになる可能性はわずかなのです。」(p.52)

つまり、体に脂肪のみを与えることで、完全な絶食で引き起こされるのとまったく同じ状態が、体内に引き起こされるのです。」(p.53)

低糖質ダイエットを理解している人にとっては常識ですが、体脂肪を増やす元は脂肪ではなく糖質、つまり炭水化物です。炭水化物摂取によってインスリンが分泌され、それによって脂肪細胞に脂肪を蓄えることで、血糖値を下げようとするのです。


どの食事も1日1000キロカロリーで、5〜9日間続けられました。それぞれの食事で記録された体重の変化は、

@ 高炭水化物食では体重の変化なし
A 高タンパク質食では1日0.26キロ減
B 高脂肪食では1日0.46キロ減

 このような食事は極端ですが、体重への影響の差も極端でした。
」(p.64)

1日1000kcalという低カロリー食を実施した実験ですが、高炭水化物食では体重が減らなかったのです。しかし、同じカロリーでも高脂肪食だと1日に約500gも体重が減ったことになります。
これは驚かずにいられません。もちろん、低糖質ダイエットをやって効果を実感している人からすれば、さもありなん、という感じですがね。


同じカロリーの場合、主要栄養素すべてが同じだけ食欲を満足させるわけではないことが、研究によって明らかになっています。同じ重さで考えると、食欲を抑えるという意味で最も効き目がある主要栄養素は、タンパク質であることがわかっています。一般に、たとえば炭水化物の多い食事よりもタンパク質の多い食事をとった場合のほうが、食後数時間の満足感が高いのです。ということは、相対的にタンパク質の多い食事をすれば、人は自然に食べる量を減らすことができて、しかも空腹を感じないですむということです。」(p.70-71)

同じカロリーを摂取する場合のお腹の満足度に関して、炭水化物よりタンパク質の方が満足度が高いという実験結果があるようです。

タンパク質の多い食事は心臓などの健康にリスクを負わせる、と言われることがあります。しかし実際には、高タンパク質食は心臓病のリスク上昇と関連するトリグリセリドの血中濃度を下げることが実証されています。タンパク質摂取量の増加と高血圧や心臓病のリスク低下を結びつける証拠もあります。
 高タンパク質の食事は腎臓に悪いという懸念を表明する専門家もいます。しかし、腎機能が健康な人で、このことを示す証拠が見つからないとするレビュー論文が2編あります。
」(p.71)

タンパク質の大量摂取が健康被害につながると主張する説があることは、私も知っています。しかし、ブリファ博士は、逆に影響がないという説もあると言うのです。


インスリン濃度を下げる食事をとる人は、体重が減っているから食べる量が減っている、とも言えます。つまり、失われた体脂肪が「食べものになっていて」、空腹感を抑えているのです。」(p.74)

これは面白い視点ですね。つまり、インスリンが出にくい低糖質食だと、体脂肪から脂肪が血中に放出される方が優位となり、その栄養素が十分にあるから、身体がエネルギー源の摂取を求めない、ということなのです。

正常な流れでは、体重が増えると脂肪細胞がレプチンの生成量を増やし、その結果、食べる量が減って、余分な脂肪の一部を燃やすための代謝が促されます。そして、脂肪の蓄えが減るにつれてレプチン濃度が下がるので、食べる量が少し増えて、燃やす脂肪が少し減るのです。
 レプチンが働いているかぎり、個人が意識的に体重をコントロールする必要はないという説を唱える科学者もいます。意識的な努力をせずに安定した健康的な体重を維持している人たちはたぶん、とくにレプチンがうまく機能しているのでしょう。
」(p.80)

インスリンとともにレプチンの働きも、体脂肪のバランス維持に大きな影響を与えています。ブリファ博士は、レプチンが正常に働いていれば、体脂肪が増えれば満腹になり、逆に減れば空腹になることで、自然と食事量がコントロールされるということなのです。

炭水化物が少ないということは、血糖値の急上昇が少なく、炎症が少なく、トリグリセリド濃度も低いということです。そのおかげでインスリンとレプチンの両方に対する感受性が向上し、ひいてはインスリン濃度が下がり、体脂肪の検証が促される一方、元気が出て、代謝が刺激され、さらに空腹感が抑えられることがほぼ確実です。」(p.81)

このように、インスリンの過剰放出を抑制し、レプチンの働きを適正に保つ上で、炭水化物の摂取を減らすことが効果的であることが、理論的に明らかにされているのです。


人間の最古の祖先の歯に見られる摩滅のパターンにも、肉食の証拠が示されているだけでなく、発見されている石器や骨に刻まれている傷の跡は、200万年あまり前から肉の処理が行われていたことを示しています。
 90万年ほど前、地球がかなり寒冷化したため、私たちの祖先は生き延びるために狩猟に頼ることになったと考えられます。40万年ほど前の考古学的な遺物も、明らかに雑食性の食事を裏づける証拠を示しています。食事の進化に関するもっと直接的な証拠は、歯のエナメル質と骨の化学分析から出てきています。3万年前から1万3000年前まで、私たちの食事は肉と魚から得られるタンパク質が非常に豊富だったことが示されているのです。
 およそ1万年前−−進化の観点から見るとごく最近−−にようやく、私たちの祖先は農業と穀物食に手を出すようになりました。動物を飼育し、それによって乳製品を食べるようになったのは、さらに5000年後だったようです。
」(p.88-89)

つまり、人類の長い歴史のほとんどにおいて、私たちは狩猟採集による食事をしてきたのであり、それに適した身体になっていると考えられるのです。
狩猟採集生活においては、その時期や場所によって、何が得やすいかは異なります。しかし、農耕生活とは違い、いつでも豊富な穀物が得られたわけではないことは明らかでしょう。


寿命が延びた理由のひとつは、太古の先祖が飢餓、極端な気候、あるいは動物からの襲撃という、今の私たちにはあまり縁のない要因に翻弄されていたことです。さらに、医学、健康法、公衆衛生の発達は、たとえば感染性疾患による死亡や幼少期の死亡のリスクを抑えるのに役立っています。」(p.96)

狩猟採集の時代の人類の寿命より、農耕時代の方が長くなっているという指摘に対する反論です。
合理的に考えるなら、より長い期間において人体が適応してきた食事環境の方が、健康の維持や寿命において効果があるはずです。しかし、現実的にはそうなっていない。そこをどう整合性をとるのか?
これは、1つの考え方だろうと思います。科学的な検証を待たなければ、何とも言えない部分ですね。


飽和脂肪は動脈を詰まらせると、何度もやかましく言われてきたことが頭にあったら、この話はショックかもしれません。それでも、この話は原始食の原則とぴったり一致します。なにしろ飽和脂肪は赤身肉の成分であり、人類が誕生してからずっと、その食事に含まれていたのですから。
 飽和脂肪が心臓病を引き起こすことの有力な証拠はないという事実に照らすと、どうしてこの考えがこれほど長く主張されているのか、疑問に思う人もいるかもしれません。
」(p.102)

赤身肉とか動物性脂肪が健康に良くない、心臓病の原因になるという話は、よく知られています。けれども、最新の科学的な研究結果を見る限り、そのような主張の根拠がまったくないと言うのですね。
ではなぜ、いまだにそういう根拠のない主張がまかり通っているのか? これは、他でも言えるのですが、そうする方が都合が良い勢力があって、その宣伝によって洗脳が浸透している、ということのようです。


現代の食事に含まれる過剰なオメガ6脂肪が、私たちの健康に大きな影響を与える場合もあります。その理由の少なくとも一部は、この脂肪が体内の炎症を促進することにあります。食事中のオメガ6の割合がオメガ3より高いと、心臓病と脳卒中や2型糖尿病のリスクが高くなるだけでなく、炎症性疾患や関節リウマチのような自己免疫疾患(体の免疫系が自分自身の組織に対して反応を起こす病気)のリスクも高まります。」(p.105)

原始の食事に含まれていたオメガ6とオメガ3の比率は1〜3:1と推定されます。現在、典型的な欧米の食事に含まれるオメガ6とオメガ3の比率は10:1ないし30:1です。」(p.105)

不飽和脂肪酸のオメガ6とオメガ3のバランスが重要だということは、私も知っています。ふつうに食事をするとどうしてもオメガ6が優位になるので、意識してオメガ3を摂取するようにと言われていますから。

オメガ3脂肪は、血中トリグリセリド濃度を下げることもわかっているので、レプチンが脳にアクセスするのを助ける可能性もあります。そうなると理論上は代謝のスピードが上がり、食欲が抑えられるかもしれません。オメガ3脂肪は、脂肪が「ミトコンドリア」と呼ばれる細胞内の小さなエンジンに入り込み、そこで燃やされてエネルギーになるのを促進することもわかっています。
 これらの効果を総合すると、体脂肪減少が促されると期待できます。ある研究では、1日4グラムの魚油を補った人たちは、オメガ6脂肪の多い油を補った人たちと比べて、体脂肪がたくさん減りました。
」(p.106)

確実な実験による証明ではありませんが、理論的に考えた結果と状況証拠から、オメガ3脂肪がダイエットにも効果がありそうだということですね。


興味深いことにフラミンガム研究では、50歳以上の人たちはコレステロール値が上がっても、死亡リスクは上がらないことが明らかになっています。実際に高齢者の場合、高コレステロール値が心血管病(心臓発作や脳卒中)のリスク因子でも死亡全般のリスク因子でもないことを、多くの研究が示しています。
 フラミンガム研究は、医学界がほとんど無視している別の興味深い結果も示しています。長期的にコレステロール値が下がった人では、心臓病による死亡リスクも全死亡リスクも上がっているのです。
」(p.114)

この結果と整合する事実があります。コレステロール値が低いと、とくにがんの死亡リスクが顕著に高いのです。低いコレステロールは高齢者の「弱さ」の指標だと言う人もいます。言い換えると、低いコレステロールそのものが問題ではなく、人が年をとると(そして死ぬ可能性が高くなると)、期せずして血中コレステロール濃度が下がることが問題だというのです。しかし実際には、高齢と弱さがコレステロール値を下げるという考え方は、低いコレステロール値と高い死亡リスクの関連性が若い人たちにも見られることを示す証拠によって、直接否定されます。」(p.114)

これも結論は出ないのですが、要はコレステロール値は高いことより、むしろ低い方が死亡リスクを高めると考えられる、ということですね。
このことも私は知っていたことです。最近では、コレステロールを気にする必要がないと言われており、高コレステロール食品の摂取も、解禁されつつありますからね。


低炭水化物食の定義はいろいろで、1日に50〜150グラムの炭水化物を含む食事を「低炭水化物」とするべきだと提唱する評論家もいます。とくに初期段階では、もっと厳しい炭水化物制限を推奨するダイエット法もあります。たとえば、アトキンス法の誘導(初期)段階では、1日の炭水化物の量は20グラム以下になっています。炭水化物をこの程度まで制限する食事は、一般に「超低炭水化物食」と考えられています。
 超低炭水化物食は、「ケトーシス」と呼ばれる状態を引き起こす可能性があることで知られています。この代謝状態は、食事の炭水化物が制限されているため、体が脂肪を主要な燃料にするときに起こります。脂肪は分解されてケトンになり、このケトンが脳を含めた体に対し、使える燃料を供給します。
」(p.126)

ケトーシスについては、体にダメージを与える本質的に不健康な状態だ、という批判もよく聞かれます。そのとおりだと信じる人は、ケトーシスを「ケトアシドーシス」と混同しているのです。ケトアシドーシスはコントロール不良の1型糖尿病で起こる、命にかかわるおそれもある代謝状態です。ケトーシスは病的状態ではなく、炭水化物の供給が不足しているとき、体がエネルギーをつくるために起こす自然な反応です。
 ですから、私はケトーシスに反対はしませんが、一般論として、効果的な減量はケトーシスに頼るものではないと言っておく必要があります。
」(p.127)

ブリファ博士が勧めるのは低糖質食になりますが、これは必ずしもケトーシスによるダイエット法ではない、ということですね。
ケトーシスになっても悪い影響はないと言えますが、ケトーシスにならなければならないというものでもない。それが、ブリファ博士の主張なのです。


食事中の炭水化物の量が多ければ多いほど、肝臓の損傷を示す証拠が多く見られたのです。食事脂肪にはこれが当てはまりませんでした。この結果の説明として、炭水化物がインスリン生成を促し、それが肝臓での脂肪生成(デノボ脂質生成)を促進したとも考えられます。
 炭水化物が肝臓の脂肪を増やす効果があることは、ガチョウとアヒルでフォアグラをつくる方法からもうかがえます。ガチョウやアヒルの肝臓をほぼ純粋な脂肪にするために与えられるものは何でしょう? 穀物(トウモロコシ)です。
」(p.131)

穀物の大量摂取が肝臓に悪影響があることは、私たちがフォアグラを食べたいがためにやっていることからも明らかですね。


ある研究では、5万3000人について食習慣と心臓病のリスクを10年以上にわたって調べました。そして、飽和脂肪を高GIの炭水化物と置き換えると、心臓発作のリスクが33パーセント上昇することがわかりました。別の研究(11の研究のメタ分析)では、飽和脂肪を炭水化物と交換すると、心臓発作のような「冠動脈事象」のリスクが上昇しています。
 この証拠は疫学的なものですが、血糖値を乱高下させる炭水化物が体内で病気の原因となる作用を促すことを明らかにした先程の研究は、この証拠を裏づけています。
」(p.134)

疫学的な研究とは、因果関係ではなく相関関係を示すものです。ただ、そのメカニズムの論理的な考察と、そのメカニズムを証明する研究から、おそらく因果関係があるだろうと推測しているのです。


最近のあるレビュー論文の著者は「……食物繊維は結腸直腸の病気にあまり効果はないようである」と結論づけ、「食物繊維について誰もが信じさせられてきたことを、見直す必要があることを強調」したいと言い添え、「人はしばしばうそを信じることにする。なぜなら、大勢によって何度も繰り返されるうそは、真実として受け入れられるようになるからだ」と述べています。私の考えでは、最後の所見は一般に認められている栄養の「常識」の大半に当てはまります。」(p.138)

まあ、こういうことは多々ありますね。人は事実よりも、自分が信じたいものを信じるのです。
それにしても、不溶性食物繊維が腸内をきれいにして、健康に役立つと信じられてきたことが、科学的に証明されていないという事実には驚かされます。
なお、水溶性食物繊維が腸内細菌のエサになるということは、ここでは否定されていません。コンニャクなど不溶性食物繊維は、腸をお掃除してくれない、ということです。


要約すると、穀物には以下の特徴があります。

@ 一般的に血糖値を乱高下させ、ひいては疲労、気分の問題、夜の目覚め、空腹感、甘いものへの欲求を引き起こす。
A 糖とインスリンの急増を引き起こす傾向があり、それが長期的には体重増加、2型糖尿病、心臓病を引き起こす。
B 一般的に栄養価が高くない。
C 主要栄養素の消化を妨げるフィチン酸塩を含む。
D レクチンが豊富でグルテンも含む可能性があるため、消化管の問題や、関節炎、喘息、湿疹などの食物過敏症の問題を引き起こす。
E レクチンとグルテンなどのタンパク質の消化を妨げる、プロテアーゼ阻害剤を含む。
F 中毒になるおそれがある(小麦のようなグルテンを含む穀物)。

 これらのことをすべて踏まえると、政府や医療関係者が推奨しているように、穀物を中心とした食事にすることは、本当に筋が通っているのでしょうか?
」(p.140)

とまあ言いたい放題に言われてますが、どう思われるでしょうか。たしかに、含まれる微量栄養素は別として、炭水化物そのものは食物繊維と糖質だけであり、食物繊維が他で摂取できるなら、糖質はエネルギー源くらいしか有用性がないとも言えます。

体にはタンパク質を「糖新生」という作用でブドウ糖に変える能力があります。このようにして、1日に約200グラムのブドウ糖が生成できると推定されていますが、これは体が必要とする炭水化物の量を十分に超えています。
 体にとって食事で絶対にとらなければならない炭水化物は実はゼロである、というのは単純明白な事実なのです。
 一方、脂肪やタンパク質は大違いです。それぞれが供給する「必須脂肪酸」と「必須アミノ酸」と呼ばれるものは、食事によって供給するしかないのですから。
」(p.141)

「糖新生」という能力が備わっているということからしても、人体に炭水化物は摂取しなくてかまわないもの、とも言えそうです。


出所が何であれ、果糖はいったん体内に吸収されると、直接肝臓に運ばれます。ほかの部位には処理に必要な仕組みがないので、果糖は肝臓で代謝されなくてはなりません。一部の果糖はブドウ糖に変換されるので、間接的とはいえ、果糖が血中のブドウ糖濃度を上げる可能性はあります。」(p.145)

果糖も肝臓によってブドウ糖に変換され、血糖を上昇させる可能性があるのですね。さらに、脂肪に変換される可能性もあるそうです。

この脂肪の一部は肝臓から抜け出せなくなって、「脂肪肝」をつくることもありそうです。果糖は腹部肥満を特徴とするメタボリック症候群にも関与しています。」(p.146)

私が事実だと思う一般論をいくつか挙げましょう。

・果糖が血糖値を直接上昇させることはないかもしれないが、健康への影響という点で無害でないことは確実である。
・動物及び人間で、果糖がインスリン抵抗性、レプチン抵抗性、高血圧、体重増加などの問題を引き起こすおそれがあることを示す、有力で確実な証拠がある。
・大部分の人にとって、食事中の比較的少量の果糖は問題なさそうである。とくに果物のような比較的ヘルシーな食べ物に、もともと入っている場合にはそれが言える。たとえば、リンゴ1個に含まれる果糖は約6グラムなのに対し、缶コーラ1本には約20グラムである。
」(p.147)

このように、果糖の摂り過ぎによる弊害を指摘しています。


乳製品は若者の骨にはたいしたことをしませんが、年配の人たちには何か役立つのでしょうか? 乳製品の摂取は、「骨粗しょう症」と呼ばれる骨がもろくなる病気と闘ううえで、重要な栄養成分として広く推奨されています。しかしやはり、全体的に証拠はこの主張を支持していません。」(p.152)

牛乳など乳製品がカルシウムを増やして骨を強くすると信じていましたが、最近はそれすらも間違いであるという指摘を多く耳にします。

たとえば、乳製品は子どもの喘息、湿疹、耳感染症、中耳炎、頻繁な風邪、再発性扁桃炎のような病気の一般的原因です。成人の場合、乳製品の過敏症と関連してよく起こる問題には、重度のカタル(粘膜の炎症)、副鼻腔や鼻腔の鬱血(うっけつ)、喘息、湿疹、過敏性腸症症候群などがあります。
 このような問題の原因と考えられるのは、牛乳や乳製品に含まれるカゼインのようなタンパク質です。低温殺菌は乳タンパク質をとくに消化しにくくするので、問題があると考えられています。
」(p.153)

乳製品は、骨を丈夫にしないだけでなく、いろいろな病気の引き金になっていそうです。


ブリファ博士は、空腹を感じないことがまず重要で、それによって健康的な食事を選ぶことが可能になると言います。

一般論として、食欲を抑えるのに最も効果的な食事は、タンパク質と脂肪が豊富で相対的に炭水化物が少ないものです。そのような食事の大きな強みのひとつは、体脂肪の放出が促され、放出された脂肪が体によって代謝されることです。前にも言ったように、冬眠しているクマと同じです。放出された脂肪は体にとっての食べ物なので、食欲を抑えるのに役立ちます。タンパク質にも本質的に食欲を抑える特性があります。」(p.158-159)

だから大量のポップコーンより少量のナッツの方が満足度が高くなると言います。


血糖値を安定させるように栄養素をブレンドしたサプリメントもあります。それにはクロムのほか、たいていマグネシウムとビタミンBも入っています。ほかの栄養素との組み合わせでも単独でも、毎日400〜800マイクログラムのクロムを、1日に2〜3回に分けて服用することをお勧めします。
 糖類への渇望はふつう、脳が燃料不足に陥っているときに起こります。アミノ酸のグルタミン(次に出てくるMSGの成分であるグルタミン酸と混同しないでください)は、すぐに使える燃料を脳に供給し、実際に炭水化物への渇望を消すことができます。
 粉末のグルタミンを買って、小さじ1杯(約4グラム)を500ミリリットルほどの水に溶かすのがお勧めです。これを一日中、ちびちび飲んでください。
」(p.164)

炭水化物の渇望を軽減するための方法として、クロムやグルタミンの補給をブリファ博士は勧めています。

たまには自分へのごほうびとして甘いものを食べたい人に、私がお勧めするのはダークチョコ(カカオ70パーセント以上)です。その理由のひとつは、カカオ自体がとても栄養のある食材だからです。心臓病の予防と関連する「ポリフェノール」という植物化学物質がとくに豊富です。」(p.167-168)

高カカオチョコレートは、前に読んだ「医師が教える最強の間食術」でも推奨されていました。


ブリファ博士は、人工甘味料については否定的です。

私が問題だと思うのは、その甘さです。そこが肝心なのは当然ですが、ここで問題なのは、人は甘味料を摂取することで、中毒になりやすい甘い味に慣れてしまうことなのです。長期的には、甘さへの執着を避けるほうが賢明だと、私は考えています。」(p.171)

たしかに、甘さに慣れるという習慣性は、問題があるかもしれませんね。


おなかがすいているときほど、食べるのが速くなりがちだという話は、それほど目新しくないかもしれません。しかし重要なのは、食べるのが速ければ速いほど、脳がもう十分食べたと伝える前に、たくさん食べてしまうかもしれないことです。」(p.171)

これも確かに実感します。満腹感は遅れてやってくるのです。


私たちにとっていちばん良い食事は、自然な未加工の食物で構成されていて、とくに人間の「原始」の過去を反映したものです。重視すべきなのは、一般的に推奨されているよりも多くの脂肪を摂取することです。食物に自然に含まれている脂肪は、太るもとでもなければ、健康を害するものでもありません。健康のためになり、減量を促す可能性さえある脂肪もあり、その代表例がオメガ3です。工業的に加工された脂肪は避けるべきです。
 タンパク質もある程度優先させるべきです。タンパク質はいちばん満腹になる主要栄養素であり、しかも、インスリンの脂肪蓄積作用に対抗するホルモン効果があります。タンパク質が豊富な食事は、「代謝上の優位性」によっても減量を助ける可能性があります。心臓、腎臓、骨の健康にまつわるタンパク質についての一般的な懸念は、根拠がありません。
」(p.176)

ブリファ博士はこのように、脂肪そしてタンパク質を中心とした食事を勧めています。


証拠を比較検討すると、大豆ベースの食品を取り立てて食事に加えるべきではないと思われます。とくにSPIとTVPにそれが言えます。比較的優れたタイプの大豆は、もっと自然で加工が少ない発酵食品で、テンペや納豆や味噌などです。」(p.190)

ブリファ博士は、大豆そのものは高く評価されていません。それもあってか、納豆についても、私が思っているほどは高く評価されないようです。


尿の色を一日中薄い黄色のまま保てるくらい、たくさん水を飲むことを目指しましょう。
 尿の色が濃くなって、明らかに臭いはじめたら、脱水状態になってしまっている可能性が高いです。そのような場合、たくさん水を飲むことで、だいたい30分以内に活力がもどって元気になります。
」(p.201)

適切な摂取水分量は、目安を示すのが難しいのだそうです。なので、自分の尿を見て確認しながら飲むのが良いと言います。ただ、水の飲み過ぎに関しては、それほど警戒されていないようです。

アルコール飲料はたいてい、体重増加の主要因である炭水化物を供給します。当然かもしれませんが、アルコール摂取量が多いと体重が重くなることを示す研究がいくつかあります。」(p.208)

ビールに炭水化物が多く含まれていることは、私もよく知っていますし、実感もしています。

賢い方法のひとつは、酒(たとえばワイン1杯)を飲むたびに、水をコップ1杯飲むことです。これでたいてい飲むワインの量が減るうえ、アルコールの悪影響を薄められます。」(p.210)

つまりチェイサーですね。私は、焼酎をアルコール度数3%程度にまで薄めて飲んでいますが、これも同様の効果がありそうです。


たいていの人は、朝食を抜くとそのあと一日中、健康に良い食べ物を選びにくくなるおそれがあることを知っています。全員ではないにしても一部の人にとって、きちんとした朝食をとると、あとで食欲が「抑え」られ、望ましい昼食と夕食をわりと選びやすくなります。」(p.213)

朝はあまり食べる必要がなくて、午前半ばか昼近くに少しばかりのナッツと果物ひと切れで十分だという人もいます。そのやり方で午前中ずっと元気でいられて、脳の機能もきちんと働き、昼食の時間までに腹ペコにならないのであれば何も問題ありません。」(p.214)

自宅以外で昼食をとる人にとって最大の難題は、どうやってサンドイッチを避けるか、です。ひとつの代案はサラダ。」(p.215)

サンドイッチ店などはたいていお昼どきに、肉と野菜両方のスープを提供しています。繰り返しになりますが、そうしないもっともな理由がないかぎり、肉入りのものにしましょう。
 忘れないでください。昼食前に空腹になりすぎないことがとても大切です。食欲を抑えておけば、パンや炭水化物たっぷりの添え物(チョコレート、シリアルバー、ポテトチップなど)を避けるのも簡単です。
」(p.215)

後で述べられているように、食べすぎないために1食抜くということもありだと言います。その際、著者は多くの場合は朝食を抜かずに食べる方が良いと考えているようです。
また昼食においては、外食で炭水化物を摂り過ぎないことが重要で、肉入りのサラダにするとか、肉入りのスープを多めにするなど、提案されています。
昼食を外食にする場合に炭水化物多めの物を選ばないためにも、朝食を食べて空腹になりすぎないことが重要だということですね。


お気づきかもしれませんが、この本で私は、食べ物の具体的な1人前の分量となる数や重さを示していません。その理由は、腹ペコになりすぎないようにしているかぎり、そして栄養があって腹持ちのいい本物の食べ物を食べているかぎり、食べすぎは問題にならないからです。つまり、人は自分の満腹感を信頼して、自動的に摂取量を調整することができるので、意識的に制限する必要がないのです。」(p.218)

ひとつ単純な改善方法は、ナッツのようなおやつを必要なときに食べられるように用意しますが、目に入らないようにしまっておくことです。必要ならそこにあることはわかっていても、見えてはいけないのです。」(p.218)

自分の満腹感を信頼する食べ方に慣れることは大事ですね。そういう考えの時、いつでも手を出せるところに食べ物を置くことは、やはり避ける方が賢明だと私も思います。
私も、袋菓子の封を開けてしまうと、最後まで食べきらないと気がすまない性格ですから。(笑) なのでナッツの大袋は、離れたところに置いておいて、食べたい時は小皿に少量取ってきて食べるようにしています。


炭水化物の摂取を抑えることでインスリン濃度が下がると、腎臓はナトリウムの排出を増やし、そのナトリウムは水分を道連れにします。つまり、人によっては数日間いつもより排尿量が増えて、ナトリウム濃度も大幅に下る可能性があります。さらに、加工食品を食べなくなるとおそらくナトリウム摂取量が減るので、ナトリウム濃度がいっそう低下します。」(p.223)

炭水化物の摂取を抑えることでナトリウム不足となり、疲労、頭痛、こむら返り、目まいなどの症状が出てくることもあるのですね。こういう場合の対策は、塩を増やすことだそうです。
ただこれも、体が慣れるまでのことであり、慣れてくればナトリウムのバランスを回復するとブリファ博士は言っています。


1週間にわたるジョギングの努力で、脂肪約150グラムが減ります」(p.225)

ダイエットのために運動を勧める人がいますが、その効果は疑わしいものです。1回30分のジョギングを週に5回やったとして、その1週間で減る脂肪はわずが150gなのです。
これを多いと考えるか少ないと考えるかは人それぞれですが、ブリファ博士は少ないと見ています。

もうひとつ有酸素運動による減量を邪魔するものは、運動が招きかねない空腹感です。この運動は「食欲がわく運動」なのです。」(p.225)

これはたしかに言えますね。運動でダイエットを目指す人の多くが、「これだけ運動したのだから」と自分にご褒美を与えたがるからです。

現実には子どもたちは先に脂肪を蓄積し、そのあとあまり動かなくなったのです。この発見によって「身体活動を促すことで子どもの肥満に対処する努力が、なぜ、ほとんど成功しないのかを説明することができる」と著者は指摘しています。」(p.227)

長距離走のアスリートたちが痩せているのを見て、ジョギングが痩せるのに役立つと考えるのかもしれませんが、実は逆なのだと言うことですね。
つまり、痩せているから動くようになる。相関関係は必ずしも因果関係ならず、ということですね。

有酸素運動は減量にはあまり役立たないかもしれませんが、慢性疾患のリスクを減らし、心身の健康を高める力はあるようです。」(p.227)

もちろんジョギングにはジョギングのメリットもあります。ダイエット目的ではなく、健康目的ならOKです。ブリファ博士は、ウオーキングの方を勧めていますが。


高タンパク質食を抵抗運動と組み合わせると、体脂肪を落とすための非常に強力なツールになりえることが実証されています。」(p.231)

抵抗運動とは筋トレのことですね。以前に老人でも安全にできる筋トレの本を紹介しました。「2度のがんから私を救った いのちのスクワット」です。これを読んで私も、スロースクワットを実践しています。


インスリン濃度は、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかを調整することによって、加減することができます。インスリンは食事に反応して分泌されるので、日中は上昇し、夜に眠っているあいだは下がる傾向があります。理論上、1日のうちインスリン濃度が低い時間を延ばせば、減量を促進できるのです。これが基本的に間欠的断食のすべてです。」(p.243)

「間欠的断食」とは、「16時間断食」などのように、1日の中にある程度の長さの食事をしない時間を設ける方法です。これについては以前、「98キロの私が1年で40キロやせた 16時間断食」という本を紹介していて、私も朝食を食べないので必然的に行っている方法です。

夜はふつうインスリン濃度が低いことを踏まえると、間欠的断食へのひとつの取り組み方は、とにかく朝食か夕食を抜くことでしょう。あなたはどちらを選ぶべきなのでしょう? 私のお勧めは、なしですませるのが簡単だと思うほうを抜くことです。」(p.246)

ブリファ博士自身も実践されたことがあって、朝食を抜かれたそうです。私と同じ考えですね。


この本を読むことで、タンパク質や脂質を摂り過ぎることへの懸念がなくなりました。むしろ、炭水化物を摂らなくてもいいから、脂肪を食べるようにする。そういうふうに、考え方をシフトして、食材を選びたいと思いました。

もちろん、それが自分に合うかどうかは、自分で試してみないと何とも言えません。食べる量もそうですが、自分の身体の声に耳を傾けて、それに対して正直であることが大事だと思います。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 22:09 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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