Youtubeの本の紹介動画で16時間断食のことを知りました。実は以前から知ってはいたのですが、本を読んだことがなかったのです。
それで、16時間断食を提唱されてる医学博士の青木厚(あおき・あつし)さんという方がおられるとわかったので、その本を買ってみようと思ったのです。探してみたところ、98kgから40kgも痩せたという実体験を持つ小堀智未(こぼり・ともみ)さんという歯科衛生士の方との共著があり、読みやすそうだし興味深かったので買ってみたというわけです。
実際、漫画を多用してあるし、行間も広めで、とても読みやすいです。科学的な根拠を探るというより、実際に自分がやってみるためのガイドとして、役立つのではないかと思いました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「従来のような「食べものの内容を制限する」ことではなく、
「食べない時間を増やす」
たったこれだけで、肥満解消に向かい、健康的に体質改善できるというものです。」(p.34)
「そのメインルールはただ一つ。
16時間連続して、なにも食べない時間を作る
これを実践するだけで、自然に食べすぎを防ぐことができます。さらに、体内では、
・脂肪が分解され、肥満によるさまざまな問題が改善される。
・内臓の疲れがとれて内蔵の機能が高まり、免疫力がアップする。
・細胞が生まれ変わり、体や皮膚の不調や老化の進行が改善される。
・血糖値が下がり、血管障害が改善される。
といった効果が期待でき、美容と健康、若さを維持できるというのです。」(p.35)
この部分に本書の主張が集約されてますね。もうあとは読まなくてもよいくらいです。(笑)
「10時間ものを食べずにいると、体は脂肪を分解して、エネルギー源に変えようとします。
さらに16時間に達すると、オートファジーという仕組みによって細胞が新しく生まれ変わり、病気や肌などのコンディションを改善に向かわせます。」(p.39)
空腹時間が長ければ、体に溜め込んだものでエネルギーを作り出そうとするし、さらに新陳代謝が活性化するということですね。
「毎日、空腹の時間を作ることができれば、より早く、より大きな効果が期待できます。しかし、週に1回でも、まとまった空腹の時間を作れば、体は確実にリフレッシュします。」(p.44)
16時間断食は、毎日必ずやらなければならないというような、ガチガチの規則ではないのです。
「「16時間断食」の間はゼロカロリーの水分以外はとらない。
これが理想です。
しかし、最初のうちはお腹がすくこともあるでしょう。そのようなときはどうしたらいいか。
青木医師は、ナッツ類(できれば味つけなし、素焼きのもの)を食べることを提案しています。
ナッツ類が苦手だという人やアレルギーがある人は、「チーズ」「野菜」「ヨーグルト」でも構いません。
ただし、16時間中、トータルで200キロカロリー以下を目安にしてください。」(p.46-47)
基本は空腹の時間を作るということですから、ゆるゆるのやり方でも、それなりに効果は出るということですね。時間も16時間を死守する必要はなく、最初は12時間から始めてみてはどうかと言っています。
「空腹の時間をつくらず、一日3食、常に食べている状態では、全身の細胞は「ブドウ糖代謝」をしています。ところが、空腹になるとブドウ糖の供給が減少し、細胞の代謝状態は「ケトン体代謝」に変化します(「メタボリックスイッチ」といいます)。
細胞がケトン体代謝になると、「抗酸化作用が発揮される(活性酸素が減る)」「傷ついたDNAが修復される」といった体に素晴らしい変化が起こります。」(p.54-55)
ブドウ糖だけが身体の栄養ではなく、ケトン体がその代わりになり得ることは、他の少食に関する本でもありました。
これまでにも少食の本は多数紹介しています。少食によって健康が保たれるということは、以前から知られていることなのです。
ちなみに、以前に紹介した一部の本を、ここにも示しておきましょう。「少食の実行で世界は救われる」、「食べない生き方」、「白米中毒」、「3日食べなきゃ、7割治る!」、「「食べない」健康法」、「「食べること、やめました」」。同じ著者の本もありますが、参考にしてみてください。
「「16時間断食」でダイエットに成功できるのは、「これは糖質」「これは高カロリー」といった選択をしなくてもいい点です。」(p.62)
食べられる時間帯が限られているため、自ずと少食になるということでしょう。
私も、低糖質ダイエットを実践してきましたが、ルールは緩やかで、主食を食べない、ということだけでした。それよりも大事なのは少食だと思っていたからです。
「現在、小堀さんが16時間以外の食事で心がけているのは、次の3つ。
@オメガ3を摂る
A腸内環境を整える
B筋肉アップを促す」(p.70-71)
特に意識する必要はないのですが、これを意識することでより効果が高まるということですね。
「このオートファジーは「16時間断食」だけではなく、オメガ3脂肪酸を摂ることによっても活性化されることが、研究段階ですがわかってきました。」(p.72)
オートファジーを活性化させるのにオメガ3脂肪酸の摂取が有効だということです。オメガ3脂肪酸を多く含む食べものは、ナッツ類、えごま油、アマニ油、魚介類だそうです。
「腸内環境が悪い状態では、インスリン抵抗性が増大して肥満になりやすい、というのをご存じでしょうか。さらに、脂肪の燃焼に必要な栄養素(ビタミンやミネラルなど)がうまく吸収できず、脂肪がつきやすくなる、というのも問題です。」(p.75)
腸内環境を整えるのに効果的な食べものもというものもあって、それは発酵食品、水溶性食物繊維、オメガ3だとか。私は納豆を好んで食べますが、これは発酵食品でもあるし、水溶性食物繊維も多く含まれています。
「また、「16時間断食」で自然に糖質の摂取量が減ることによっても筋肉量は減ってしまいます。脂肪やたんぱく質を構成しているアミノ酸を糖に作り替え、エネルギーにしようとするからです。
筋肉量が減少すると、基礎代謝量が減るため、かえって太りやすくなってしまいます。筋肉でエネルギーとして消費される糖質や脂肪の量が減ってしまうのがその理由です。」(p.76-77)
ケトン体代謝になると、脂肪からだけでなく筋肉からもエネルギーを作ろうとします。だから筋肉が細るのです。
そこで筋肉を増やすことが重要になるのですが、そのためには運動することはもちろんのこと、たんぱく質を多く含む食物を摂ることも大事なのですね。
「このように「16時間断食」を続けることで、健康、そしてアンチエイジングや美容にも素晴らしい影響があるのです。
事実、断食はドイツやロシアでは公式な医療として認められ、保険が適用されます。日本も近い将来、そうなる日がくるかもしれません。
日本癌学会の発表では、がんが発生する主要な原因は、たばこ(30%)と肥満(30%)となっています。肥満を解消することは、禁煙と同じくらい重要ということです。」(p.106-107)
肥満であれば、足腰に負担がかかって痛めやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めたり、高血圧や心不全、糖尿病、脳卒中、虚血性心疾患、がんなどのリスクが高まるとされています。
それらのリスクを放置しておいて、よく平気でいられるなぁと私などは思います。
「さらに、「オートファジーは、抗炎症作用や抗酸化作用を通して、慢性腎臓病の進展を遅らせる」という研究結果が多数報告されています。また、「ラットを使った研究で、間欠的断食が糖尿病腎症の進展を遅らせた」という内容の論文も発表されています(間欠的断食とは「16時間断食」のように数時間ものを食べない時間を作ること)。オートファジーが活発になり、腎臓の働きが改善されれば、むくみの解消と同時に、さまざまな体の不調や病気を遠ざけることもできるのです。」(p.119)
老人介護施設で働いていて思うのは、お年寄りの多くが腎機能が低下することで、身体に不調が現れてくるということです。沈黙の臓器と呼ばれる腎臓は、血液中の汚れを排出する重要な機能があるので、これを健康に保つことは大切なことだと思います。
「空腹の時間中に運動を行うとオートファジーが活発化すること、また、運動によって筋肉を動かすとその部分にオートファジーが起こりやすくなることが、明らかになったのです。」(p.152)
私も実感として、食事後の満腹時に運動するより、食事前の空腹時に運動した方が、ダイエット効果が高いと感じています。空腹時の運動は、重要な要素かもしれませんね。
「「セカンドミール効果」といって、朝食をとらないと昼食時の血糖は急激に上昇しやすくなります(グルコーススパイク)。これも「16時間断食」の”デメリット”のひとつです。また、朝食を欠食すると胆石もできやすくなります。これも「16時間断食」の”デメリット”のひっとうです。
これらの”デメリット”と「16時間断食」による”メリット”を検討して、「16時間断食」を実施するかしないかを判断していただければと思います。」(p.178)
何事にもメリットがあればデメリットもあります。それらを総合的に判断して、選択することですね。そういう意味で、デメリットも正直に書かれる姿勢には共感します。
人類は歴史的に、空腹に耐え、空腹と闘ってきました。したがって人体は、空腹に対処する機能が発達しているのです。
しかし現代は飽食の時代です。毎日3食の食事、さらに間食も食べることができます。それらの食べ物には、必ずしも人体に良いものではないものが含まれているし、偏った食事になりがちです。
そういうことを勘案すると、私は「少食」であることがいちばん重要なのではないか、と考えているのです。
その「少食」を実践するのに、この「16時間断食」という方法は効果的だと思っています。
実際、私は、知らずにこれを実践していました。単に朝食を抜いただけなのですが、朝早いシフトに合わせて生活リズムを作ったため、13時くらいの昼食から20時くらいの夕食までの約8時間に食べる時間が集まり、それ以外の約16時間が、必然的に空腹の時間となっていたのです。
以前、一日1食という方法もやったことがありましたが、長続きしませんでした。
もちろん、それができる人、それが体調に合う人は、そういう方法でも良いと思います。
ともかく「空腹の時間」を作ることで、多くのメリットが得られると思うのです。

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