2022年07月20日

定年後ヒーロー



日本講演新聞で紹介されていた本です。団塊の世代が老齢期に入り、高齢化が加速度的に進んでいます。ある意味で「やっかいもの」扱いされがちな定年後の団塊の世代に、勇気と希望を与える内容のようです。

著者は萩原孝一(はぎわら・こういち)さん。JICAやUNIDOで働いておられた方ですが、2012年に定年退職されて、今は桜美林大学の非常勤講師をされているようです。47歳の時に声が聞こえてスピリチュアルに目覚めたとか。
そこで肩書を「スピリチュアル系元国連職員&在日宇宙人」とされています。世界平和の実現のために、ナショナリズムを喚起するのではなく、私たちは同じ宇宙人であり、ただ日本で暮らしているだけだという立場の表明のようです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

定年後ヒーローって何? 私の肩書き「在日宇宙人」は気持ち悪すぎる!
 ごもっともです。でも意味不明なタイトルに訝しさを感じながら、この本を手にしたアナタは間違いなく「変人」です。もしかすると「変態」。失礼! でもこれ私の最大級の褒め言葉です。
 お待ちしていたのです。ア・ナ・タを。何故って、変態、つまりアナタが地球を救うからです。
」(p.4)

日本の「熟年者」が「在日宇宙人」のリーダーとして活躍し、人類存亡の危機を救うというシナリオに賭けてみませんか。」(p.13)

冒頭でこのように呼びかけています。「変態」と言えば、たまちゃん先生の話を思い出します。やはり世の中を変える人というのは、どこかおかしいのです。
もちろん私も、そのおかしい人間の一人だろうと自覚していますよ。(笑)

本書では、定年後の団塊世代の人たちに向けて、自分の人生を輝かせることで、世界を救う方法を示そうとしています。


人はなぜ死ぬのでしょうか? 答えは「生まれてしまったから」です。人はなぜ生きるのでしょうか? その答えも同じです。
 生まれることは死ぬこと。
 死ぬことは生まれること。

 本当の「命」とはそういうものです。
 死に対する考え方が変われば、もう怖いものなしです。その日が近い年長者もとても気楽に愉しく生きられるのではないでしょうか。

 愉しく生きる!

 それこそが老後を元気に生きる鍵であり、認知症撃退の最高のサプリメントです。日本の熟年者の経験、知恵、技術、財力が「年寄り」というだけで葬り去られようとするならば、それはとても野蛮なことです。
」(p.30-31)

スピリチュアル的な観点ですが、私もこういう考え方に賛同します。死の恐れがなくなれば、人は自由になれるし、幸せに生きられるし、人生を楽しめるのです。


人間の場合も、60〜65年は幼虫時代、それ以後の約25年を成虫時代と認識してみたらどうでしょうか。25年間、気が確かであれば大概のことはできます。樋口一葉、滝廉太郎、石川啄木、沖田総司などの偉人たちはみな25歳前後で没しています。
 定年までどのような仕事をしていたかに関わりなくすべて人生のリハーサルみたいなものです。本番前の少し長めのウォーミングアップと呼んでもいいでしょう。
」(p.44)

これはおもしろい観点ですね。


日本が本当の独立国を目指すためには条件があります。
 日本人がなすべくことは、「前述の神の啓示を一人ひとりが真剣に受け止め、霊性を思い出し、真我に従い、日本人の「矜持」を取り戻すことです。
」(p.116-117)

日本には役割があります。もしかするとそれは「神様との約束」かもしれません。」(p.117)

世界の中で日本は特別な存在だと言います。それは、世界で唯一、原爆の洗礼を受けたことにも表れていると。世界を戦争から救う、つまり人類から人類を救う使命が日本人にはある、というわけです。


日本には勇気を持ってオリンピック・パラリンピックを返上し、かかる経費を今後のコロナ対策に充てるという選択肢があるはずです。」(p.118)

残念ながらこれは実現しませんでしたね。本書は2020年8月発行なので、私が読んだ現時点での状況は見えていなかったのでしょう。今はむしろ逆に、勇気を持ってオリンピック・パラリンピックを実行したことが評価されています。
それに、コロナ対策は無用に恐れを煽っているだけであり、私は無意味なことだと考えています。こういう点で、この本にあることすべてに私が賛同しているわけではありません。


大切なことは、天に召されるその日まで愉しく暮らせること、そして順繰りに仲間を送るシステムを作ることです。そこでは孤独な老人を絶対につくってはいけません。昔ながらの日本の一番イイ「おせっかい文化」が大復活することが肝要です。
 日本は世界中が羨むような手本となるイイ国になれる可能性を秘めています。国造りの中心が「お金」ではなく「心」という人類の近代史において画期的なシフトを起こせるのは、日本以外にはないだろうと思うのです。
 争いのない、穏やかで、健やかで、国中が笑顔に溢れる国。もう一度生まれてきたいと思う国。坂本龍馬がかつてつくろうとした国です。日本人の大多数がそれを望んでいるはずですから、できないわけはないのです。
」(p.126-127)

昔のようなコミュニティーを復活させることが大事だと言います。その中心に、定年後ヒーローたちがなるべきなのだと。
それはお金をかけなくてもできること。ただおせっかいをやく。他人を気遣う。そういう「想い」があれば、やれることはいくらでもあるのだと。


私の提案は、日本がこの国に存在する最後の銃弾一発を放棄して完全丸腰となることです。人類史上最大のギャンブルと言っていいほど無謀な賭けです。
 失敗すれば日本国の存亡に関わります。でも日本がこの星からなくなれば人類は遠からず全滅します。座してその時を待つのも悪くはありませんが、もっと愉しいのは「七人の侍」のように誰かのために討ち死にすることです。
」(p.155)

これまでと同じことをしていたのでは、いずれ戦争によって人類は滅亡する。その観点からすれば、無謀ではあっても丸腰になることで、新たな方向性を示すことが役立つと言うのですね。
日本に与えられた使命は、そういうことなのかもしれません。けれどもそれには、多大な勇気が必要です。あるいは、私たちの本質は魂であるという実感を共有することか。

お勧めしている「神との対話」では、高度に進化した種族は、もし襲われたなら肉体を脱ぎ捨てて去るだけだとありました。つまり、殺そうとする者があるなら、好きなようにさせるということです。なぜそれができるのか? 肉体は自分が創造したものだから、また創造できる、つまり何も失うものがないとわかっているから。
いずれはそこまで進化するとしても、今の段階でそれを実行に移すのは、本当に勇気がいることだと思います。でも、もしその勇気を持てたら・・・。気持ちいいでしょうね。だって、完全に自由なのですから。


結論を先に申し上げると、新たな国連組織を日本の手でつくるということです。その役割は国連を穏やかな場に復活させることです。したがって、活動の中心は喧嘩の仲裁です。そのために腕力は絶対に使いません。あくまでも冷静に穏やかに話し合いで解決します。
 組織の名前はUNSO(United Nations Spiritual Organization 国際連合スピリチュアル機構)スピリチュアル=心の世界、心と心、魂と魂で語り合うことができれば、どのような争いも穏やかに鎮めることができるという極めてナイーブな発想です。
」(p.162)

以前、敵対する相手とも酒を酌み交わして語り合えばわかり合える、と主張した若者たちがいましたね。だったら北朝鮮や中国へ行って日本に敵対しないように説得して来いよ! などと批判されました。
理想はそうかもしれませんが、現実的には難しいということなのでしょう。萩原さんは、現地の祭りを活用して、一緒にお祭りをすることで休戦し、心を通わせることができると言います。理想はそうでも現実的には・・・という感はあります。

萩原さんは、この国連組織を作るのに1兆円必要だと試算します。そしてその費用を、世界のお金持ちに出させるのだと。そういう計画のもとに、活動されているようです。


結局、定年後ヒーローも在日宇宙人も徒党を組んだり、定期的な集まりがあるわけでもありません。会則のようなものもなしです。それぞれがそれぞれの場でそれぞれの裁量を遺憾なく発揮していただき、内なる平安、家庭の平安、職場の平安、地域の平安、国の平安、地球の平安、宇宙の平安を目指そうというわけです。
 もし定年後、やることがなくなってしまって、悶々とした日々を送っているのであれば、世の中の「平安」のために少しの汗をかくって悪くないです。
」(p.175)

大きなことを目指さなくてもいいんですね。まずは身の回りのこと。その小さなことの積み重ねが、積もり積もって大きなことへつながっていく。大学という書物にある「修身斉家治国平天下」の考えですね。
地域のごみ拾いをする。それでもいいのです。できれば、仲間を誘ってみたりする。そうやってコミュニティーを作っていくことですね。


読者の中には、定年後ヒーローや在日宇宙人が何か奇想天外な方法で宇宙平安を目指すものと期待していたかもしれませんね。ご期待に添えず申し訳ありません。でもこれ以上の方法は実はないのです。地球丸ごと静かな革命を起こすきっかけづくりは、定年後ヒーローと在日宇宙人にまずはお任せしましょう。」(p.179)

メシア(キリスト)やウルトラマンが、地球を救ってくれるのではないのです。私たち一人ひとりの小さな変革が、地球を救うのですね。
私がやっているYoutube動画配信など「幸せ実践塾」の活動も、ある意味で同じことだなぁと思いました。こんなことに何の意味があるのか? そう思われるような小さなことですが、気づきを誘発することを目的として、細々と活動を続けています。


たしかに、ある意味では期待外れの本です。理想は素晴らしいし、日本が特殊なのだということもわかります。けれども、現実的に世界平和を実現する方法論としては、説得力が乏しいように感じます。
しかし、最後に書かれていたように、そういうものかもしれませんね。もし本当に絶対に上手くいくすごい方法があるなら、とっくに誰かがやっていることでしょう。だってみんな、平和な世界を求めているはずですから。

それでも世界がいまだにこうなのは、やはり一人ひとりの中に原因があると考えざるを得ません。そこに気づいていないだけで。
それはもちろん私自身もそうです。まだまだ気づくべきことがある。その思いを忘れてしまったら、傲慢になって、進化成長が停滞するでしょう。
だからこそ、お互いに気づきを与え合うことが重要なのだと思います。その方法には、いろいろあると思いますが、要は関わり合うことです。関わり合わなければ、つまり出会わなければ、気付きという贈り物を与えることも受け取ることもできないのですから。
改めて、そんなことを考えさせてもらった本でした。

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タグ:萩原孝一
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 07:52 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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