2022年03月07日

医者に寿命を縮められてはいけない



著者の石原結實(いしはら・ゆうみ)医師の本は、これまでに何冊も紹介しています。
最近紹介した本としては「体温を上げて健康になる」があります。また、石原医師の療法によって末期がんが治ったと言うムラキテルミさん「世にも美しい癌の治し方」も関連本と言えるでしょう。

今回の本も、これまでとほぼ同様の内容になっていました。ただ、知的生きかた文庫の体裁で、見開き2ページに1つのテーマでまとめる、というスタイルになっています。それが全部で82(他にコラムも)あって、どこからでも好きなだけ読めるという感じです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

もし、これらの老廃物が、尿や呼気、便、目くそ、鼻くそ、汗などを介して体外に排出されなかったら、汚れは血液に乗って全身をかけまわり、細胞・臓器を薄い毒ガスの中に入れたように、徐々に害していくでしょう。
 また血液中のコレステロール、中性脂肪、糖、タンパクなども、過剰であれば「血液の汚れ」となります。
」(p.18-19)

体の本能は、血液の汚れを何とか除こうとしますが、西洋医学ではその反応を抑えようとするため、病気がなかなか治りません。血液の汚れである老廃物や余剰物は、食べすぎ、運動不足、ストレス、冷えなどの日々の生活の中で蓄積していくのですから、健康になるにはまず血液を汚さない生活習慣にする必要があるのです。」(p.19)

石原医師の考えは、西洋医学は身体を全体として捉えておらず、症状を病気と捉えて、かえって身体を害しているということです。これは「万病一元、瘀血(おけつ)(血液の汚れ)から生ず」という言葉にあるように、東洋医学の考え方こそベースにすべきだ、というところから来ているようです。


冷えと食べすぎによって白血球の動きは鈍り、免疫力が落ちてしまうのです。
 白血球の働きを知れば、病気のときに、無理やり栄養をとって元気になろうとするのは逆効果だとわかります。断食が免疫力を飛躍的に高めるのは、食べ物の補給を断ち切られた白血球が、病気の原因となる老廃物やウイルス、病原菌、アレルゲン、ガン細胞などを思う存分に食べてくれるからです。
」(p.23)

白血球は貪食(どんしょく)細胞とも呼ばれ、身体に不要なものを食べることで健康を保ってくれています。これが免疫力の中心です。そうであるなら、白血球の働きを活性化させるためにも体温を上げ、余分な栄養を摂らないことが重要なのです。

石原医師は癌の治療法としてニンジン・リンゴジュースを勧めていますが、これを飲むと白血球の貪食能が50%も上昇したという実証例があるそうです。
ただこれについては、私はまだ何とも言えません。科学的に検証されたとまでは言えないし、そのメカニズムも不明ですから。それに断食が効果があるなら、ニンジン・リンゴジュースも飲まない方が良いに決まっているではありませんか。そこに矛盾を感じるのです。


あらゆる病気の原因は、体内・血液内に、老廃物と余剰物を「ためすぎること」、そして病気を治すには、「排せつすること」につきるわけです。汗や涙も含め、体外に排せつされるものには、「ありがたい」と感謝する気持ちが大切でしょう。
 健康の原則である「出す」ために、もっとも大切なのが「少食」と「発熱」です。
 もともと人体には、「吸収は排せつを阻害する」という生理上の鉄則があります。食べすぎると消化器官が大量の血液を必要とするため、排せつ器官である大腸・直腸、腎臓・膀胱などへの血のめぐりが悪くなり、十分な排せつがなされません。
」(p.25)

排泄が重要だということですね。ただ、なぜ少食と発熱が排泄を促すのか、この説明ではよくわかりません。それに、食べ過ぎると排泄器官が働かなくなるというのも、自分の身体のことを考えると疑問です。
食べることによって胃腸が動き、排泄したくなることってありませんかね? 朝一杯の水を飲むことで排便を促すという考えもありますから。


しっかりと健康指導を受けたグループのほうが、死亡率がずっと高かったのです。心疾患で亡くなった人は二倍、ケガや薬の副作用などの外因死ではじつに一六倍、総死亡数でも一・五倍にも及びます。この調査結果は、マスコミで「フィンランド症候群」と呼ばれ衝撃とともに受け止められました。
 フィンランド症候群は、ストレスが人の体に及ぼす役割を如実に物語っています。
」(p.31)

1970年代にフィンランドで行われた研究で、40〜50代の循環器系の病気の危険がある患者を2つのグループに分け、一方には綿密な健康診断や指導を行い、もう一方は自己判断に任せたのだそうです。その結果は、予想に反して指導した方の死亡率が高かったのだとか。
石原医師はその原因を、過度な干渉によるストレスだと考えているようです。特に免疫細胞の中のナチュラル・キラー細胞の働きを弱らせたのではないかと。


かつては中高年特有の症状だった高血圧や動脈硬化、糖尿病、心臓病、高脂血症などの「成人病」は、いまや子供や青年にも増えてきたため「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。半世紀前の子供の体温は三六・八〜三七℃が普通でしたが、いまでは、三六℃に満たない体温の子供が約四〇%を占めます。体温低下は老化の特徴であることからも、子供たちの体に老齢化の波が押し寄せていることがわかります。」(p.35)

前半は納得するのですが、後半にやや疑問があります。体温低下が老化の特徴というのは、何となくそうかなぁと思うものの、あまり実感できません。
と言うのも、私が働く施設のお年寄りたちは、たいてい36℃以上の体温があり、36.5℃くらいある人が多いからです。でも、健康とは言えないんですよね。まあ、それは老化だと言うことかもしれませんが。


しかし、出血を「悪いこと」と決めつける前に、なぜ出血をしなければならないのか考える必要があります。「万病一元、瘀血より生ず」という漢方医学の理論に立てば、出血も血液を浄化するため人体に備わったメカニズムと理解できます。
 洋の東西を問わず古くから行われてきた民間療法の一つに、「瀉血(しゃけつ)」があります。
 ヒルなどの吸血動物に血を吸わせたり、血管を切開して汚れた血を人為的に抜く療法で、降圧剤のない時期の日本では高血圧や脳溢血の治療に活かされていました。
」(p.38)

また男性は生理がないからといってがっかりすることはありません。定期的に献血して「瀉血」を行えば、骨髄が刺激されて血液の産生能力が高まります。献血は自分も他人も助けられる、一挙両得のチャンスといえるでしょう。」(p.39)

喀血や下血など、出血を伴う病気がありますが、それらは血液を浄化しようとしているのだ、ということなのですね。それを人為的に行うのが瀉血で、新たに新鮮な血液を造ることで、血液全体の汚れを薄める作用があると言うのでしょう。
そして女性は生理によって、毎月のように出血している。これが女性が長生きな理由だと石原医師は言います。

そういうこともあるのかなと思います。献血で血を抜けば、造血機能が刺激されることは間違いありませんから。なので私は、積極的に献血をしています。


昔から日本には「湯治」という習慣がありました。風呂で体を温めると、人間の体を構成している六〇兆個の細胞から「HSP(ヒート・ショック・プロテイン)」というタンパク質が産生されます。このタンパク質によって、細胞内の古いタンパク質はよみがえり、白血球による免疫力が強化されるのです。」(p.41)

ガン細胞は熱に弱く、39.6℃で死滅するのだとか。また、ウイルスや細菌と戦うために発熱することからも、体温を高めることは何らかの良い結果をもたらすと思われます。
ただ、それが劇的な効果をもたらすかどうかはわかりません。日本のように風呂につかる文化がない人々は多数いて、必ずしもそれで寿命が短いわけではありませんから。


しかし、「食べたくない」という本能の声は「食べても胃腸は十分に働けない」という体からのサインでもあるのです。無理して食べると、十分な消化・吸収ができず、体内に老廃物が増えて、病気が治るどころか逆効果になります。
「食べることで体力がつく」のではなく、「体力があるから食べることができる」のが本当だからです。
」(p.42)

体力が弱った時に動物は食べません。それは食べられないからでもあるのですが、食べないことで元気になろうとしているとも言えるのですね。


肉は、肉食動物の栄養源であっても、草食動物にとっては何の栄養にもならないどころか、むしろ有害です。」(p.49)

食べ物の好き嫌いは、病気を予防し、健康を維持・増進させるための体の本能的な反応と考えてよいのです。」(p.49)

動物は、自分が食べたいものだけを食べます。栄養があるからと言って、無理して食べたくないものを食べたりはしません。
そうであれば人間も同じように、食べたいものを食べれば良いということです。体の声に素直に従うこと。それが大事だとも言えますね。


数日以上の断食をすると、吐く息は悪臭を放ち、体臭も強くなります。また、舌に厚い舌苔(ぜつたい)が現れ、濃いタンが出て、目ヤニや汚い鼻汁、濃い尿や真っ黒な便も出るという、排せつ現象のオンパレードが始まります。体にため込んできた老廃物や有害物質を一気に体外に排出することで、見違えるように元気になるのです。」(p.81)

石原医師は断食や少食を勧めておられます。それは、入ることより出すことを重視するからです。


動物性タンパク質を食べて自分の筋肉や心臓を形づくっている細胞のタンパク質をつくろうとするのは、たとえていえば、既製服をほどいてつくり直すのと同じで、ぴったり自分に合う細胞ができません。洋服は生地から仕立てたほうが自分に合うに決まっています。よって、私たちの体の細胞をつくるためには、まだ動物としての特性をもたない植物性のタンパク質(生地)のほうがより適しているわけです。」(p.89)

石原医師はこう説明しますが、ちょっと論理性に欠けますね。では肉食動物はなぜ肉を食べて健康でいられるのでしょう?
人間が動物性タンパク質を食べることの是非は、何とも言えません。しかし、この論理では的確に説明できているとは言えないと思います。


本能を無視して、「あれがいけない」「これをするべき」と、いろいろ指図すると、無理がかさみ体が悲鳴を上げます。何が正しいかは、すべて体に聞けばわかることですが、知識が邪魔して、なかなか「体の声を聞く」ことができません。大切なのは本能をよみがえらせ、本能にしたがうこと。そのためには、自分の体質が陰性なのか陽性なのか、自分の祖先はどんな土地で何を食べて体をつくってきたのか、動物としての本質は何かなど、「己を知る」ことが一つの手がかりになるでしょう。」(p.129)

自分に合う薬かどうかという項なのですが、本能に従うということ、体の声を聞くということが重要だという前段は納得できます。
しかし、そうであれば、一概に動物性タンパク質がよくないとは言えないでしょう。その人が自分の体に尋ねて決めればよいことです。
そして後段は前段と矛盾します。自分の本能に従えと前段で言いながら、そのために陰性体質か陽性体質かを知っておくことだとか、先祖が何を食べてきたかを知るべきだとか、矛盾していますよね。

石原医師は、東洋医学の見地から話をされるのですが、東洋医学が正しいという思い込みがあるのではないかと思います。
もちろん間違っているとは言いませんが、「東洋医学が正しい」を前提として、それを示す事実や論理だけを拾い集めている感があるのです。


しかし、よく考えてみると、バイ菌はゴミため、肥だめ、ドブ川、死骸などの汚いところにうようよと生息していますが、清流やコバルトブルーの海の中にはほとんどすんでいません。なぜなら、バイ菌は、地球上の余剰物、不要物、死骸などを分解して清浄化し、土の中に戻す使命を担ってこの世に存在しているものだからです。そうしたバイ菌が体内に入って来て、肺炎、気管支炎、膀胱炎などの炎症を起こすというのは、すなわちその人の血液(体内)が汚れていることの証でしょう。」(p.130)

これは一理ありますね。ただ、栄養が豊富であることが汚いことと同じなのかどうかは、一概には言えません。
生きている人の身体には免疫力という防御システムがあるから細菌が繁殖できないだけで、死骸には免疫力がないから繁殖できる。物質的には、生きている体も死骸も同じものではありませんか。


世界的な長寿学者であるボストン大学のトーマス・パールズ教授は、一〇〇歳まで生きる条件の第一に、「少しの毒は、生命を最大一五年伸ばす」としています。その毒とは「放射線(X線)」「紫外線(日光)」「アルコール(酒)」の三つです。」(p.138)

放射線も少量であれば人体に悪影響がないばかりか、逆に良い影響がある。それが広島長崎の被爆者の追跡調査でも明らかになったとあります。
アルコールもたしかに人体にとっては毒であり、だから肝臓で分解されます。しかし、それによるメリットがあることもたしか。何ごとも一概には言えないのですね。


健康を保ち、老化を防ぐには、全身の細胞への血流をよくすることが何よりも大切です。私たちはお腹が痛いときはお腹に、腰痛があるときは腰に、無意識に手を当てます。これは患部に手を当てて温め、血流をよくして症状や病気を治そうとする本能的なしぐさなのです。この「お手当て」こそ「治療」の本質といえるでしょう。」(p.143)

これがまさにレイキですね。しかし、どうして手を当てることが患部を温めることが主目的だと言い切れるのでしょうね?
こういうところも決めつけが多いなぁと感じてしまいます。


皮ふにすむ黄色ブドウ球菌は、ダニや化学物質から皮ふを防御しますし、腸内の常在大腸菌は、食物と一緒に侵入してくる病原菌をやっつけます。よって、抗菌グッズや消毒剤、抗生物質などで、こうした有益菌を殺すと、菌交代現象が起こり、さまざまな新種の病原菌が現れてくるのです。」(p.170)

人間の腸の中には百兆個もの細菌がすんでいますが、それは人間という生物と細菌の「共生関係」を示しています。それにもかかわらず、抗生物質で細菌を無差別に殺戮した結果の、細菌の逆襲がO-157食中毒であったかもしれません。
 健康のためにその「共生関係」を保つには、食物繊維をしっかり摂る、お腹を温める、食べすぎ(とくに肉食の過食)を避ける……などを心がけるといいでしょう。
」(p.171)

人体の健康が細菌によって守られていることは、徐々に知られるようになってきました。ですから、むやみに殺してはいけない。たしかにそうだと思います。
しかし、そのためにどうして食物繊維を食べ、肉食をやめ、お腹を温めるになるのでしょうか?

たとえば西洋人は肉食に合うように進化して、腸が短くなったと言います。そうであるなら日本人だって、これから肉食が増えていけば腸が短くなって適応するとも言えるはずです。
また、人間の歯の構成から食べ物の割合が決まるとも言われてますが、それなら西洋人と日本人とで歯の構成が同じなのはどうしてでしょう?

どうもこういう根拠のない決めつけには納得しがたいものがあります。


この「本能」こそが、自然治癒力の原点であるべきです。科学が忘れがちな、人間の中の自然や本能に根ざしたサインを一番重要視してほしいと思います。人それぞれがもっている本能を大切にすることが、自然治癒力を呼び覚ますのですから。
 この本に書かれていることも、実行したり、考えたりして、「どうも自分の体質に合わない」と実感されたら、無理をして続ける必要はありません。あくまでも「自分の本能」と「自分の体の自然に発現するサイン」を一番大切にしてほしいわけです。やってみて気分がよい、気持ちがよいというほうが、自分にとってつねに正しい選択なのです。
」(p.181)

こういうところは共感します。


日常の診察で気づくことは、「単純明快で明るく朗(ほが)らかな人、些細なことにこだわらない人」はガンにかかりにくく、かかっても、再発や転移も少ないという印象があります。反対に、「頑迷で、物にこだわりがあり、抑うつ気質の人」はガンが治りにくいようです。「精神の安寧」は、ガンを予防・治癒する何よりの薬なのでしょう。」(p.193)

精神が肉体に影響することは、科学的にも実証されています。不安が病気を作るのです。


この本は、最初にも書いたように見開き2ページで1つのテーマとなっています。そういう制約があるためか、あまり根拠を示さず言い切る表現が多いように感じました。
もちろんそれは編集の方針もあったでしょうし、そうした方がわかりやすいとか、浸透させやすいという効果を狙ったものかもしれません。
なので、私としては納得がいかない部分も多々あるのですが、全般的にはこれまでの本と同じような内容であり、支持できる部分が多いと思っています。

book20220307.jpg
 
タグ:石原結實
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 09:00 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

●コメントを書く前に、こちらのコメント掲載の指針をお読みください。

ランキングに登録しています。面白かったらボタンをポチッと押してね。
↓↓↓↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自分らしさへ