2021年10月05日

ピンピンコロリの新常識



長寿であることはめでたいことであり、昔から不老長寿が求められてきたように、人々の基本的な欲求とも言えるでしょう。しかし、長寿であれば何でも良いというわけではなく、健康寿命が長いことが求められるようになっています。つまり、寝たきりとか介護が必要な状況で長生きすることに対しては、否定的な考え方です。

したがって、なるべく健康で長生きした上で、死ぬときはコロリと時間を置かずに死にたいという欲求が出てきました。それが「ピンピンコロリ」という考えです。
たまたまオススメに上がってきたので買ってみた本ですが、この本は、そういうピンピンコロリを目指すための考え方を伝えるものになっています。

著者は、医学博士であり名誉教授でもある星旦二(ほし・たんじ)さん。医師であり研究者でもある立場から、どうすればピンピンコロリが実現できるかを語っておられます。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

はじめに、驚くべきデータをお知らせしましょう。北欧の国フィンランドで行われた調査で「医療者から医療処置や指導を受けた人よりも、それをせずに放置した人のほうが、15年後の生存率が高かった」という結果が出ました。医師の言うことを聞いた人よりも「検診なんて行かない!」という人のほうが、結果的には長生きだったというのです。」(p.13)

もちろん、検診はムダであると言うつもりはありません。検診によって重大な病気が発見されることもありますし、健康づくりの指標にすることも可能です。
 しかし、検査数値から処方されるがままに薬を飲むことが、本当の健康づくりになるとは限りません。
」(p.14)

じつは、私たちの調査で「病院が少ない地域のほうが、そこに住んでいる人たちは健康で長生き」ということがわかっています。なんと、医療施設がととのっている都会よりも、医師不足・施設不足といわれる地域のほうが、平均寿命が長いのです。」(p.15)

私も、数年前に検診を受けることをやめました。それよりも自分の身体の声を聞いて、身体を信頼しようと思ったからです。
星さんも、検診によって医師から「悪い」と言われたからというだけで自分の身体の声を聞こうともせず、医療に頼ることが問題だと指摘されています。

こういう医療に頼る(依存する)体質が問題だということは、破綻した地方自治体で有名になった夕張市でも明らかになりました。市内の公共の病院がなくなって、返って市民が健康になったという有名な事例ですね。
安易に医療に頼れない環境である方が、長生きできるという結果が実際に出ているのです。


一方、ここ数年平均寿命がトップクラスというのが長野県です。こちらは、医療機関や介護施設などいわゆるハコモノを増やす代わりに、県や自治体、医療機関が協力しあって、県民が「自分の健康は自分で守るもの」という意識を持つような活動を積極的に行っています。健康に対する自立心があれば、健康寿命を実現できるというモデルケースとなっています。生涯学習に不可欠な公民館活動もダントツ第1位です。」(p.31)

たまたま長野県の諏訪地区に移住したのですが、諏訪中央病院の医師として長野県の健康寿命を伸ばすための活動をされた鎌田實さんのご著書も読んでいました。ハコモノを充実させるとか、薬をたくさん処方するとかではなく、県民の啓蒙活動や、意識改革を進めてこられた方です。

これまで長寿トップ県だった沖縄県は、どんどん短命県になってきています。国からの支援が多くなってきたのにつれて、長寿県ではなくなってきたという現実に、目を向けてみるべきかと思います。


PART2は「すぐに始められる!ピンピンコロリアクション」ということで、星さんオススメの行動が示されています。「新しい洋服を買いに出かける」とか「美容院に行く」など、ちょっとおもしろいものがありますが、それぞれに理由が書かれています。気になる方は、ぜひ本をお読みくださいね。

その中からいくつか紹介しましょう。まず9番目の「おいしいものを食べる」からです。

では、何を食べたらいいのかということになりますが、心がけていただきたいのは「自分の体に聞く」ということ。言葉で聞いて頭で考えて判断するだけではなく、あなたの体に合うのかどうか、あなた自身がよく感じてみることが大切です。
 私たち人間には、自分に合うものと接していればリラックスし、合わないものと接していれば緊張するという性質があります。体に合うものを食べたときは「おいしい、うれしい」と感じ、その後の体調もよいでしょう。
」(p.51)

「○○が健康によい」という情報は多々ありますが、それに踊らされないことですね。まずは自分の身体で試してみること。それが自分に合うかどうかは、自分の身体がよくわかっているのです。自分の身体を信頼することが大事ですね。


次は17番目の「健康法オタクになる」です。「なるな」ではなく「なる」ですからね。お間違えないように。

でも「ちょっと体調が悪いなぁ」というとき、病院や薬にすべてまかせるのではなく、自分でできることをやってみましょう。風邪気味ならしょうが湯を飲んで体を温め床につく、肩や腰の凝りならツボ押しやマッサージをするといったことです。
 じつはそれらは迷信ではなく、体にいい方法なのです。人間の体には自然治癒力があり、それを後押しする方法が、昔から伝わる民間療法です。
」(p.67)

つまり、病院に頼るなってことですね。現代医療でなくても、効果があるものはたくさんあります。私もレイキをお勧めしていますが、他にもたくさんあるでしょう。そういうのを知って、自分の体で試してみる。要は現代医療に依存せず、自分主体で生きることが大事なのです。


次は18番目の「手洗いとうがいをする」です。昨今のコロナ騒動で、細菌やウイルスなどから身を守る術として、よく知られるようになりました。

しかしそれ以外にも、目を向けておくべき病気があります。それは世界の死因のトップである感染症です。抗生物質が簡単に入手できる日本でさえ、死因の3位は風邪をこじらせたことによる感染症である肺炎なのです。
 そう聞いて真っ先に予防接種が頭に浮かんだとしたら、ちょっと考えを改めましょう。感染症にならないためにいちばんの近道は、ウイルスを体に入れないことです。
 毎年話題になる感染症は、インフルエンザです。そのいちばん有効な対策は「うがいと手洗い」です。また入浴によって体を清潔に保つことです。
」(p.69)

コロナでは、まったくエビデンスのないマスクがさかんに取り上げられていましたが、はっきりしているのは手洗い、そしてうがいですよ。星さんは、3番目にさえもマスクではなく入浴(身体を清潔にする)だと言っています。


次は21番目の「発酵食品を食べる」です。これは健康法としてよく知られてますね。

具体的にいえば、納豆、キムチ、みそ、甘酒、漬物、ヨーグルトなど。きのこ類もそれ自体が「菌」ですので、腸内細菌の活性化に一役買ってくれます。
 腸のなかで細菌が活発に動くと、水素がたくさんつくられます。この水素が、活性酸素という体のサビを抑制してくれるので、腸内細菌を元気にすることが大切なのです。
」(p.77)

活性酸素を取り除く水素を腸内細菌が出しているとは知りませんでした。ビタミンEなどが余分な活性酸の除去に役立つことは知っていましたが。

もちろん、活性酸素そのものが悪玉ではありません。身体にとって悪い対象を攻撃するのに役立ってもいます。要はバランスなのです。そのために、活性酸素が増え過ぎたら除去する健全な仕組みを体内に持っていることが大事なのでしょう。


最後は27番目の「生涯現役で仕事を続ける」です。

日本一の健康長寿として知られている長野県では、高齢者の有業率が高い、つまり、働いている人の割合がとても多いことがわかりました。長野県を訪れると、どの地域でも、畑には長靴を履いて元気に作業する高齢者の姿を見かけます。農作業というのもいいですね。植物・動物などの生命力に触れるのは、精神衛生上とてもよいのです。
 その反対に、寝たきりの高齢者が多いのは沖縄県。もともと、のんびりした地域ではあるのですが、周りの人がなんでも世話を焼いてくれるので、体を動かさなくなってしまうということも、その理由ではないかと考えられています。
」(p.89)

年寄りを大事にし過ぎて、早く引退させたりしてはいけないのです。ちなみに私の職場は定年制がなく、70歳代の方も働いておられます。自分にできることで仕事をし続けることは、健康寿命を伸ばす上で効果的なのだと思います。


PART3は「ピンピンコロリを実現する住宅づくり」ということで、星さんオススメの内容が語られています。その1番目の「「住宅」と「健康」の深い関係に気づこう」に、基本的な考え方が示されています。

家は、暮らしの基本です。多くの人にとって、休息を含めればいちばん長い時間を過ごすところですし、外出が多い人でも、自分の生活の基盤となる大切な場所です。ということは、家が、健康に大きな影響を与えるのは当然ですね。」(p.105)

まず、冬に暖かいことです。健康長寿のためには体を冷やさず、体温を高めに維持することが重要なのですが、そのためには家のなかを暖かくするのがいちばんの近道。逆に夏には涼しさを保つことが、快適な眠りを得るためにも必要です。
 温度だけではなく、湿度を適切に保つことも大切。湿度が高すぎるとカビやダニなどの発生を招きますし、乾燥しすぎても風邪をひきやすくなるなど、どちらの場合も悪影響があります。
」(p.105)

考えてみれば当たり前ですが、一番長く過ごす住環境を快適にすることは、健康のために重要ですね。冬は暖かく、夏は涼しく。昔の人は、そのために様々な工夫をしてきました。最近は、全国どこでも同じような安く建てられる家が増えましたが、やはりそこに手をかけることが大事なのだと思います。

星さんは、「高断熱・高気密住宅」「自然素材住宅」というキーワードを示されています。シックハウスのことも触れられていますが、建材選びも重要ですね。住んで快適な家にする。このことは、健康でいるために、大きな要因になっていると思います。


PART4は「自分の生き方そのものが、健康な毎日をつくる」というテーマで語られています。この本を通じて語られている内容の根本は、ここにあるのではないかと思いました。

「健康は、他人が決めるものではなくて、あなた自身が決めるもの」という面が見えてきたのです。「自分は幸せだ」と思っている人が幸せであるのと同じように、「自分は健康だ」と思っている人が健康であり、その後も元気で長生きできるのです。」(p.130)

たとえばカナダの調査では、「健康だと思わない」と答えた人が、「健康だ」という人に比べて、死亡率が約3倍も高くなっていました。
 またそれに関連して、「自分は実年齢よりも若い」と思う人が長生きであることもわかっています。自分が若いと思える人、自分は元気だと思える人は、生き方が前向きで、PART2のピンピンコロリアクションなども、意識せずとも実行しているのではないでしょうか。
」(p.131)

つまり、もっとも重要なのは自分の意識なのです。たとえ他の人が「あなたは不健康(病気)だ」と言ったとしても、それを受け入れず、自分は大丈夫だと思っている人の方が長生きするのです。自分に対する絶対的な肯定意識、信頼、満足感、それが大事なのですね。


どんなに医学が進歩しても、不老不死の実現は難しいでしょうし、この本もいわゆる不老長寿を目指しているわけではありません。「年齢相応に元気で暮らし、天寿を全うしましょう」ということをお伝えしたいと考えています。その自然の流れを認めたうえで、自分でできることをできる範囲でやっていくことを提案しています。心と体をできるだけ健康に保ち、人生を最期まで楽しんでいきましょう。」(p.142)

星さんは、これからは医療もDIY(Do It Yourself=「自分でやってみよう」)の時代だと言います。医師など専門家に依存するのではなく、上手に使いながら、最後は自分で責任を持って決めるという生き方です。そのためには、ベースに自分(の身体)への信頼が必要でしょう。そういう自己肯定感が大事なのです。

高齢者ならなおさら、なんらかの病気を持っているのは当たり前といえるでしょう。ですから、もし何かの病気を指摘されても、落ち込んだりしないことが大切です。病気とともに生きていく「一病息災」の精神をもちましょう。」(p.143)

検診を気にしすぎないということも、こういうことなのです。不調な部分があるからこそ、より身体の声を聞こうと意識づけていられる。そのことを思えば、その不調にこそ感謝ではありませんか。病弱な人ほど長生きすると言われますが、まさにそういうことかと思います。


一生学ぼうという姿勢が健康長寿の要素だということを証明してくれています。
 また、人生につきものともいえる失敗経験も学びのチャンスです。「一生勉強だな」と、しみじみと思わされるのは、成功ではなく失敗したときだったりするのです。失敗したときのダメージは大きいものですが、それを恐れずにチャレンジすれば、きっと何かが手に入ります。
」(p.150)

好奇心旺盛に挑戦し続けること。挑戦すれば、失敗もあります。その失敗を恐れ過ぎないこと。それは、たとえ失敗しても大丈夫だ、という自己肯定感があればこそだと思います。

ベースに絶対的な安心感(自己肯定感)があれば、結果を恐れたりはしません。何があろうと大丈夫だからです。そうであれば、より自分らしく生きられるのだと思います。
つまり、恐れずに自分らしく積極的に生きることが、健康で長生きすることにつながる。そう、星さんは考えておられるのです。


つらいことがあったとき、長い時間の単位で物事を考えるのもそれを乗り越えるコツです。つらいのはいっときのことで必ず過ぎ去ります。仏教では諸行無常といいますが、この世のすべてのものはうつろいゆくものなのです。ですから、過去にしばられず、いまを生きましょう。そして、この世を去った魂が何度も生まれ変わると考える輪廻転生のような視点を持つことも、物事を大きく広くとらえるうえで有効です。「ああじゃなきゃいけない」「こうじゃなきゃいけない」ではなく「あれもOK」「これもOK」という多様性を認める広い心が生まれるのです。」(p.157)

人生にはつらいこと、悲しいこと、困難なことも多々あります。それでも、それは過ぎ去っていくものであり、それもまた自分に役立つものだという見方が大事なのです。そうすれば、今を積極的に生きられます。
そして、そういう見方ができれば、すべてを肯定的にとらえることも可能になります。何でもOKだと思えるから、結果がどうであれ大丈夫だと思えます。こういう考え方、生き方が、健康長寿に役立つのです。


最初は、具体的な行動指針がバラバラに示されているだけで、内容が薄い本かなと思ったのですが、そうではありませんでした。その背後には、自分自身への絶対的な信頼を持つことがベースにあったのです。

医療に依存しないこと。自らを信頼した上で医療などを上手に利用すること。そういう主体的な生き方を確立することが、ピンピンコロリの実現に役立つ。そういうことを星さんは示されたいのだろうと思いました。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 18:38 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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