前回の「免疫力強化大作戦」に引き続き石原結實(いしはら・ゆうみ)医師の本になります。
これは別冊宝島homeというムック本です。内容は、石原医師のこれまでの本とほぼ同様ですが、オススメの運動のやり方とか食べ物の作り方などが、絵や写真入りでわかりやすく書かれています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「日本人の死因は、第1位ががん、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患です。2位と3位が血栓症(血管内で血液が固まって起こる病気)ですから、これを防ぐには血液をサラサラに保つ必要があります。
しかし、血液をサラサラにするというのは、水で血液を薄めるという意味ではありません。血液をサラサラにするためには、血液の汚れを取りのぞき、循環をよくすることが大切なのです。
水は摂りすぎると体の熱が水分に奪われてしまい、体の冷えにつながります。体の冷えは体内の代謝反応を抑制し、そのため血液中に老廃物が残って血液がドロドロになり、逆に血栓症が起こる可能性を高めることがあるのです。」(p.10)
重要なポイントが書かれていたので、少し長いですが引用しました。
ちなみに死因の第4位は肺炎、第5位は不慮の事故、第6位は老衰、第7位は自殺と続きます。さらに第8位は腎不全、第9位は肝疾患、第10位が慢性閉塞性肺疾患となっています。(厚労省の「平成20年人口動態統計」より)
このように、2位と3位は血管の詰まりが原因の病気です。その原因は、血液の汚れだという分析なのですね。この血液の汚れをきれいにしている臓器が腎臓と肝臓だということを考えると、8位と9位も同じ原因とも言えます。また第1位の悪性新生物(いわゆる癌)は、石原医師によれば血液の浄化装置だそうですから、これも血液の汚れに関係しているのです。
このように考えると、事故、自殺、老衰を除くと、肺関係の病気以外はすべて血液の汚れが原因だと推測されます。しかし、その汚れを水で薄めるべく、大量に水を飲むというやり方は上手く行かないと指摘しておられます。
石原医師は東洋医学にも精通しておられるようで、「水毒」についても解説されています。ここでは引用しませんが、水分過多は水毒になり、冷え、つまり体温低下を招いて、様々な病気の原因となるのです。
「「がんは血液の汚れの浄化装置」という理論は、血液生理学者の森下敬一氏が打ち立てられたものです。胃がんなら吐血、子宮がんなら不正出血など、がんには出血がつきものです。このように、漢方医学では「すべての病気は血液の汚れからくる」と考えます。血液をサラサラにするには、化学薬品で一時的に症状を抑えるより、生活習慣を改めて体質改善をはかることが大切です。」(p.16)
石原医師は、癌も生活習慣病の1つだと言います。そして生活習慣が良くないことが血液の汚れにつながり、そこから多くの病気が発生するのだと。
その生活習慣の中で大きな比重を占めるのが食事、つまり飲食の習慣です。そしてその中でも、食べ過ぎという習慣が、もっとも悪影響を与えると言われるのですね。
また、ここでも指摘されているように、薬の飲み過ぎも長い期間を経て人体に悪影響を与えます。薬は最終的に肝臓で分解されますが、人体にとっては毒素であり、汚れなのです。
「現代人の体調不良の大半は「食べ過ぎ」が原因です。たいして体を動かさなくても、1日3回、習慣的に食事を取り続けています。
消化吸収が追いつかず、胃炎・腸炎を引き起こしているにもかかわらず、消化剤や整腸剤を使ってまで食事を取り続けようとしたり、栄養剤の点滴まで登場しています。」(p.38)
食べ過ぎの問題点を指摘されていますが、現代人は薬に頼ってまでも食べようとしているという指摘は、まさにその通りだなぁと思いました。
この後、スウェーデンのカロリンスカ大学の研究報告より、外科手術後に高栄養の輸液をすると、肺炎や胆嚢炎などの感染症を引き起こしやすい、という指摘をされています。いわゆる細菌は、汚れた成分を分解する掃除屋なので、体内でも老廃物の掃除を細菌が担当しているということが表れている、というわけです。
このように、石原医師の考えは一貫しています。ほとんどの病気の原因は血液の汚れであり、その主たる原因は食べ過ぎにある。また水分の取り過ぎで水毒を引き起こし、体温の低下を招いている。それらが関連して、免疫作用が弱まり、病気を深刻化させている。
そうであれば、重要な対策は食べ過ぎないことです。そして体温を上げることです。そのための生活習慣が重要だというわけです。
最初に書いたように、対策としての運動や食事のレシピは、本に詳しく書かれています。気になる方は、手にとってお読みくださいね。
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