心屋仁之助(こころや・じんのすけ)さんの新刊を読みました。数多くの本を出版してこられた心屋さんですが、心屋さんとしての本は、これが最後になるのだそうです。心屋さんは、これまでのカウンセラーとしての活動を完全に辞めて、シンガーとしての活動を行われるとのこと。記念となる最後の本を読ませていただきました。
この本は、これまで語ってこられた心屋さんの考えの集大成になるものだそうです。したがって、ある意味で、この本さえ読めば、これまでの本に書かれている内容はすべてわかるということですね。
ではさっそく、一部を引用しながら、内容を紹介していきましょう。
「「やらねば」とか「やるべき」をやめて、「やりたい」ことだけをする。生き方の優先順位を逆転させてしまうのです。
それが人として、心の豊かな時間を過ごし、しかもお金も稼げて人からも愛される方法です。」(p.17)
心屋さんは、これを「ずるい生き方」だと言います。努力もせず、頑張りもせず、我慢もしない。それでいて愛されて、豊かになる。そんな「ずるい生き方」を勧めているのです。
「どっちにしても、お母さんを幸せにしてあげたいという気持ちが働くから、頑張ってしまう。
これが、小さいときから刷り込まれる記憶なんです。お母さんとの関係が、自分を作るんですね。不思議なことに、このときお父さんの存在は一切出てこない。」(p.61 - 62)
映画「かみさまとのやくそく」でも、子どもはお母さんを選び、このお母さんを幸せにしたくて生まれてくると言っていますね。そのことによって、無意識に自分自身を強制してしまうのかもしれません。
「「お母さんを困らせてはいけない」「幸せにしなければいけない」と思っている人は、お母さんのことを「不幸」だと思っているのです。だから助けて「あげないと」と思う。
なんて上から目線で、なんて失礼な(笑)。」(p.64)
実際のところ、お母さんはそうしたくてそうしているのです。不幸だとすれば、不幸になりたくて不幸を選んでいるのです。不幸を選ぶことが幸せなのですね。
だから、親不孝していいのだと心屋さんは言います。親に感謝する必要もないし、何なら悲しませてもいい。お母さんはすでに幸せなのだ、という目で見てあげることが、本当の意味でお母さんの幸せに役立つし、自分も幸せになれるのです。
「「僕が『自分はすごい』と言うことで、あなたに何か迷惑かけましたっけ?」
というぐらいの態度で堂々としていたら、結果的にすごいと言われることがどんどん増えていくんですよね。」(p.174)
福山雅治さんのコンサートで、心屋さんが感じたことです。福山さんは、ステージでは堂々としていて、自分を卑下することがない。だから、見ている方は安心して、その素晴らしさにハマることができるのです。
だから、前提を「自分はすごい」にすればいいのだと心屋さんは言います。根拠は不要なのです。前提ですから。
「でも自分のほうが頑張っているはずなのにとか、面白いものを書いているはずなのにとか、そう思ったら嫉妬やねたみが生まれる。
でもあるときふと思ったんです。
どうして僕は、その100万部いった人のことを「見せられている」んだろう、「知らされている」んだろうと。そう考えたとき、
「あ、そうか。これ、予告編なんだな」
と思うようになったんです。」(p.184)
羨ましいと感じるのは、自分もそうなれるからだ、という考えがありますよね。そもそもそうなりたくもないし、なれるとも思っていなければ、羨ましくも妬(ねた)ましくもないからだと。それを心屋さんはさらに進化させ、それは予告編なのだと考えます。
つまり、「いつかこんなふうになるよ」ということを、人生が見せてくれているんだというわけです。そう考えることによって、妬みという自分の進化を止めてしまう思考から解放されるのですね。
「たとえば、何か問題が起きたときに「なんとかしなきゃ!」「解決しなきゃ!」とやっきになればなるほど、問題はそこに存在し続け、時に大きくなります。大切なのは「なんとかなる」と信じるかどうかなのです。」(p.197)
「自分のことも他人のことも、目の前のことも「大丈夫だ」「これでいいのだ」。
なんなら、
「私がやらねば誰がやる!」
ではなく、
「私がやらねば誰かやる!」
ぐらいに全部信頼してしまう。ずるいでしょ?(笑)」(p.197 - 198)
自分のことも他人のこと、大丈夫だって思うことが大事なのですね。自分には何の責任もない。周りが何とかしてくれるからと。
「つまり、
他人へのアドバイスや忠告は、
自分へのアドバイス。
だから、あなたが誰かに何かを言いたい気持ちになったり、ネットのコメントで悪口を書きたくなったりしたらちょっと立ち止まってください。
(中略)
それは自分自身へのアドバイス。気になる人へ投げたブーメランが、後ろから自分の頭に飛んできて刺さる! みたいな。」(p.204 - 205)
私も、SNSでコメントする時、これを意識するよう心がけています。この言ったことは、自分へ言うべきことではないかと。
投稿する時は、まさにそうだなぁと思いながら投稿するのですけどね。でも、つい誰かのコメントに反応してコメントを返す時は、忘れがちになります。でも、これがわかっていれば、後から自分のコメントを読み返すことで、気づくことも多いかと思います。
「じゃあ、どんな人が幸せかというと、
成功してもしなくても自分は認められていて、
愛されていると感じている人なんですね。」(p.211)
つまり、今あるがままで「これで充分だ」と感じているということです。そして、そう感じるためには、自分の好きなことを遠慮せずにやってみることなのだと。
そうしていれば、自然と成功するのだと心屋さんは言います。成功してから幸せになるのではなく、幸せを感じたら成功するようになるのです。
大丈夫だから、「ずるい生き方」をしよう! 心屋さんが、カウンセラー活動の中で最も伝えたかったことは、そういうことなのだろうと思います。
私も、「大丈夫だ、何とかなる!」ということが、この幸せ実践塾の究極のメッセージだと思っています。心屋さんには、たくさんの気づきをいただきました。今後のご活躍をお祈りしています。
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