面白そうな本を読みました。著者はプロ奢ラレヤーさん。他人から食事などをおごってもらうことで、働かずに暮らしておられる方です。最近は、noteの有料記事などで毎月100万円以上の収入があるそうですが、相変わらずおごられる生き方をされているとか。
この本は、おそらくSNSで知ったのだと思いますが、面白そうだったのでKindle版で購入して読みました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「そこ から 日本 に 帰国 し た あと は「 プロ 奢 ラレヤー」 として、 ツイッター を 介し て だいたい 月 50〜 60 人 ほどから メシ を 奢ら れる 生活 を かれこれ 3 年 ほど やっ て い ます。 つまり、「 他人 の カネ で 焼肉 を 食べる」 のが 僕 の 今 の 仕事 です。 そう です。 他人 の 金 で メシ を 食べ て い ます。」(Kindle の位置No.17-20)
普通のサラリーマンにはなれないと感じた彼は、わずか20万円弱のお金でヨーロッパなどを3ヶ月ほど放浪したそうです。その後、帰国してからも働きたくなくて、プロ奢ラレヤーになったのだとか。
「というのも 僕 は 銀行 口座 に お金 が なく ても「 不安」 に なっ た こと が あり ませ ん。 でも 多く の 人 は、 不安 に なる らしい。 一体 この 違い は なん なのか? それ は 結論 から いえ ば、 僕 は お金 以外 の「 何 か」 を通して「 安心 し て いる」 から です。」(Kindle の位置No.129-131)
どういう精神をしていれば、そんな生活ができるのか? と不思議になりますよね。その一端が、この文章から読み取れます。お金がなくても不安にならない。安心していれば、何とかなっちゃうんですね。
「お金 の こと を 考える と 漠然と し た 不安 感 を 持つ という 人 は、「 お金」 が 足り ない と いう より「 安心」 が 足り て い ない のでは ない でしょ う か。」(Kindle の位置No.147-148)
発想の転換ですね。お金が足りないから不安になるのではなく、そもそも安心が足りないから些細なことで不安になるのです。たしかに、心配性の人の発想は、何とかして心配のタネを見つけようとしている、という気もしますからね。
「僕 の 経験則 では、 家 が ショボ く ても 毎日 を 楽しむ こと は 可能 だ けど、 自由 な お金 が ない と 精神 が 死ぬ ん です。 だからこそ 収入 が 低い 人 ほど みんな と 同じ よう な 消費 を 見直し て、 固定費 を 減らし た ほう が ラク な ん です よ。」(Kindle の位置No.538-540)
彼のポリシーは、生活の中の固定費を減らすこと。そこに価値をまったくおかないのだとか。一番大きいのは住居費。そして食費です。ですから彼は、食事をおごってもらい、泊めてくれる人の家を転々として暮らしたのだそうです。それでも、自分が何かしたいと感じることに対して使えるお金があることが重要だという考えなのです。
「 手取り 15 万 円 の 中 で、 どこ まで 価値 を 最大 化 し て、 人生 を 楽しん で いく のかは 自分 次第 です よ。 子ども の 頃 10 円 を 手 に し た 時 の 気持ち を どこ まで 持ち 続け られる か。「 手取り 15 万 円 で 豊か に 生きる こと」 は 決して 簡単 では ない けど、 不可能 では ない と 僕 は 思い ます。」(Kindle の位置No.749-752)
手取り15万円で嘆く人たちが多いようですが、彼は別の発想をします。「たった15万円」ではなく、「15万年もある」と思える使い方を考えるのです。
「僕 は、 一切 貯金 を し て い ませ ん。 別 に 長生き し たい とも 思わ ない し、 老後 に やり たい こと も ない し、 まあ 死ぬ とき は 死ぬ し。 しょうが ない じゃ ん って 感じ。 積極的 に 死の う とは 思わ ない けど、「 死」 は どうにも でき ない こと なので、 気 に 病む 時間 の ほう が もったいない です。」(Kindle の位置No.763-765)
死ぬことさえ心配していないのですから、最強ですね。私も、こういう生き方をしようと思い始めたところです。
「 今 でき ない こと は 老後 にも どうせ やら ない ん です よ。 だって 今 やり たく ない ん だ から。 老後 なんて 体力 も 落ち てる し、 もっと やり たい と 思え ない でしょ。」(Kindle の位置No.783-784)
定年退職したら何かをしようと考えている人たちに対する警鐘でもあります。やりたいことは、今すぐやるべきですね。
「「好きなことを見つけろ!」って声がでかい人は、人生の序盤にたまたまそれが見つかっていた結果、声がでかくなっているだけなんですよ。早く見つけてるからこそ、長い時間と金をかけて成功しているわけだし。
好きに出会うためには時間と金も必要です。何の習い事もさせてもらえない幼少期を過ごしたとしたら、それで「好き」に出会えるほうが奇跡じゃないですか。」(Kindle の位置No.1205-1208)
「好きなことをやって生きろ」という声に対して、そう簡単に好きなことが見つかるわけでもないし、仮に見つかっても、それで上手くいくわけではないと彼は言います。それよりも、嫌いなことをやらないことの方が、人生の質は上げやすいという主張なのですね。
「いずれにせよ、他人と比べるのは決して悪いことじゃありません。人間の当然の本能だと思います。ただ比較する際は、「この中で自分はどれぐらい上なのだろうか」という際限のない比べ方ではなく、「この中で自分は、自分にしかない価値を見出だせているのだろうか」という比べ方のほうが、ずっと幸せになれるバリエーションは多いんじゃないかなと思います。ランキングバトルは、結局1位しか幸せになれないんですよ。」(Kindle の位置No.1620-1623)
よく比較することが悪いという人がいますが、私はそうは思いません。彼と同様、ランキングバトル的な比較は無意味ですが、自分自身をよく知るという意味での比較は、むしろ良いことだと思います。
「「不快なもの」の存在を認める、ということは非常に難しいのかもしれないけれど、自分以外の「正義」も存在するということさえわかっていれば、人生はラクになります。
基本的に他人に厳しいのは、我慢ばかりしている人です。我慢するのをやめれば、自然と他人にも優しくなれるし、他人に優しい人は我慢する必要がありません。他人に厳しくした数だけ、我慢しないといけないことがそっくりそのまま自分に反射して戻ってくる。他人に厳しいことばかり言う人は、他人を殴っているようで、未来の自分を殴っているのです。」(Kindle の位置No.1665-1669)
価値観は人それぞれなのですが、それが認められなくて、同調圧力を強める人が多いのが日本社会です。それは他人に厳しくしているようでいて実は自分に対して厳しくしているのです。だから我慢しなければならなくなり、自分自身が疲弊する。だから、うつ病などが増えるのかもしれませんね。
漠然と知っていたプロ奢ラレヤーさんのイメージが、ガラッと変わる本でした。もっといい加減な人かと思っていましたが、実にしっかりとした考え方をされているのです。
私も、彼に共感する部分が多いです。私におごってくれる人がいたら、喜んでお受けしたいと思います!
【本の紹介の最新記事】