日本における成功小説の元祖、犬飼ターボさんの本を読んでみました。もう1年前に出版された本ですが、Facebookで知って、昨年、ネットで購入したものです。ターボさんらしい物語の展開が、とても安心して読める小説ですね。
ではさっそく、一部を引用しながら、内容を紹介しましょう。しかし、これは小説ですから、ネタバレしない程度に引用させていただきます。
まずはストーリーですが、主人公は奴隷の女性、ミーナです。主人を殺して逃げた仲間のとばっちりで、主人殺しの容疑がかけられます。かろうじて川に飛び込んで逃げますが、どこにも逃げ場はありません。ただ、莫大なお金を支払うことと引き換えに、自由になれるという選択肢があるだけなのです。
川に飛び込んで気を失ったミーナは、賢者様と呼ばれる富豪に助けられます。その富豪は、1年のチャンスを与えるから、その間に自分でその金を調達してみないかと持ちかけます。商売のやり方を教えるからと。
「成功する商人は、人々が何を必要としているかを探す。成功しない商人は、自分が売りたい商品を売ろうとする。」(p.23)
商売の鉄則ですが、売りたいものを売ろうとすれば無理が生じます。消費者が必要とするものを売れば、無理なく売ることができます。それが大原則なのです。
「商売の基本は物ではない。人を見ること。誰が何を必要としているか、欲しがっているかを知ることじゃ」(p.23)
商品ありき、ではなくて、消費者ありき、が原則だということです。その上で、安く仕入れて高く売る。そうすることで、儲けることができるのですね。
「成功する者は、どうしたらうまく行くかを考える。
成功しない者は、自分を責める。
とにかく自分を責めることをやめなければ、成功することはできないぞ。自分責めをやめて、自分育てをするのじゃ」(p.25)
自分を責める、つまり自虐とか罪悪感を持つことをやめることですね。それより、つねに何らかの理由を見つけ出して自分を褒めることによって、自分を育てることが大切なのです。失敗に臆せず挑戦し続ける中にしか、成功はないからです。
「では、今は”商人を目指している者”だと思いなさい。」(p.32)
「今日からその言葉を今の姿勢で何度も唱えるように。唱えるうちに染み込み、自分の血となって流れるであろう」(p.33)
アファメーションですね。自分は奴隷だという信念が身に染み付いた人だと、「自分は商人だ」というアファメーションは、すぐには受け入れがたい。だからこそ、それを目指している存在だという受け入れやすいアファメーションを用いたテクニックです。
テクニックの部分はさておき、要は自分とはどんな存在なのかという自意識が高いかどうかが重要だという話です。自己肯定感を高めるとか、自尊心を持つと言いますが、自分は素晴らしい存在なのだと思えるかどうかが重要なのです。
「「賢者様、お言葉ですがメグは私のためを思ってやってくれたことなんです。助けてくれようとしたんです」
「その通りじゃ。しかし、大切な人を大切にするとは、相手を甘やかすことではない。その人の人生にとって良い影響を与えること。
メグよ。お前が苦労して獲得した販売経路をただで使わせてやることは、ミーナの教育のためにもよくないのじゃ。」(p.51 - 52)
友だちだからと考えて自分が損を引き受けることは、必ずしも相手のためにはならないということです。もし、相手が自分以外の誰かと親しくなったりすると、嫉妬心が起こる。もしそうなら、無理をしているのですね。
そして、無理をするということは、実は相手に愛を要求しているのです。「これまでと同様に仲良くしましょうね」というプレッシャーです。これは、「愛の取引き」ですね。
この後、ミーナは、ターボさんの「星の商人」にも出てきた人物と親しくなります。その助けを受けますが、商売は順調なものの、目標とする金額にはなかなか届きません。やはり奴隷としての罪は消せないのか!? 絶体絶命のピンチ!
さて、物語はどうなっていくのでしょうか。気になる方は、ぜひ本をお読みください。
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