荒川祐二(あらかわ・ゆうじ)さんの本を読みました。Facebookで多くの方が推奨されていたので興味を持ったのです。
サブタイトルには「大富豪 父の教え」とあります。荒川さんのお父様は、ラーメンチェーンで大きな財産を築かれた方のようですね。66歳の若さで、病気で亡くなられたようです。この本には、お父様が亡くなられる直前まで荒川さんに教えられたことなどが、ドキュメンタリー風に書かれています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「「みんな意外に気付いてないけどな、自分自身にお金も幸せも運んでくるのは、実は全部『人』でな。お前も生きてるこの社会というものは、要は人の集合体でな。そんな人に愛されることが出来たなら、お金も成功も、それに繋がる縁も情報も、たくさん、たくさん、運ばれてくる。そのために必要な心構えが…」
「…おかげさまの心…」」(p.13)
荒川家では、毎月1日を「ご先祖様の日」と決め、家族みんなが集まって神仏とご先祖様に手を合わせて「ご挨拶」を行い、みんなで食卓を囲んでいたそうです。これはお父様が事業を始めて上手く行かなかった時、神仏を大切にすることを成功者から学んで始めたもので、それから事業が上手くいくようになったのだとか。
この「おかげさまの心」は、神仏やご先祖様から始まり、お客様や従業員へと広がっていきます。自分に関わるすべての人のお陰で今の自分があると思えば、自ずと感謝の気持ちが湧いてくるのです。
そして、こういう話をする人は多いが、それを聞いて実行に移す人は滅多にいないとも言われます。良い話や成功法則を聞いても、実践しなければ意味がないのです。
「本来はな、スタッフや従業員という存在は、遅刻もせずに、無断欠勤もせずにな、働いてくれるだけで、有り難いんや。経営者と言えども、俺もお前も、みんな人間。みんな未熟や。そんな未熟な自分なんかについてきてくれる。そう考えたら、それだけで有り難いと思えて、感謝の気持ちが湧いてけーへんか?」(p.60)
たしかにそうですね。私自身、会社経営に携わったことがあるので、自分の未熟さを痛感しています。
社員を思い通りに動かそうとしていました。ワンマンというほどひどくはなかったのですが、それでも最終的に「正しい」のは自分だという思いがあり、社員を従わせようとしていたのです。
社員には社員の都合があり、考え方がある。もし、それを受け入れていたら、最初に出てくるのは「お陰様で」という感謝の気持ちだったはず。そうならなかったということは、私自身が傲慢で未熟だったということなのです。
「すべて普段からの親の態度であり、言葉がけであり、『生き方』そのものである、ということや。だから親は自覚を持って、普段からその背中を、子どもに見せていかなければいけない」(p.66)
子どもが生まれた荒川さんに、お父様はこのような言葉をかけられたのですね。
子どもを育てる上で大切なことは、素直に真っ直ぐに育てること。きれいなものを見たら「きれい」と言える、親切にされれば「ありがとう」と言える、困った人がいればすぐに助けようとする。そういう心がある子どもに育てば、親がいなくなっても多くの人から愛され、助けられるから大丈夫なのだと。
そしてそういう素直な心を育てるには、まずは親自身がそのように生きて、その背中を見せることなのです。自分はできないがお前はやれ、みたいな命令(指示)では、子どもは育たないのです。
「いつの時代も、時代は常に動いていてな…。そんな中でもついついみんな、安定を求めて生きてしまうけどな…。安定を求めた先には、安定はなくて…。成長を求めた先にこそ、安定はある…。時代を常に生き抜いてきた人間というのは、そういう風に常に、最悪の未来を迎える覚悟の上で、最善の未来に変えていくための、行動をしてきた人間なんや。それも、実際に事が起きる、ずっと前の時から、ずっとな…」(p.78 - 79)
私たちは、時代の変化とともに翻弄されてきたとも言えます。最近ではバブルとその崩壊は、私たちに大きな影響を与えました。多くの人が、予想できていませんでした。ですから翻弄され、困ったことになったのです。
お父様は、最悪の未来を予想し、それを引き受ける覚悟をした上で、今、最善の生き方を選べと言われるのですね。
「祐二な…、人間は…成功することが…大事なんちゃうで…成長することが大事なんやで…。成長することが…出来たなら…、成功なんていくらでも…することが出来るから…。たくさんの…本を読んで…、たくさんの人と…会って、たくさんの経験をして…、たくさん笑い合える…そんな人生をな」(p.149)
お金も成功も、追い求めてはいけないのです。それらは、結果としてついてくるもの。ですから、困難とか失敗とかを恐れず、自分を成長させる道を選ぶことなのですね。
「次にな、『お金欲しい、お金欲しい』って、言うたらあかんで。逆に金に逃げられる。そうじゃなくてな、自分の行動の極意をしっかり持ってな、トキメキに従って、強くやっていかなあかん。」(p.177)
つまり、ワクワクすることを優先することですね。ワクワクというのは、今の自分にとって重要なことかどうかのセンサーです。世間の価値観に乗せられるのではなく、あくまでも自分の直観を信じること。それが大切なのですね。
他にもたくさんの「教え」が書かれています。どれもこれも、なるほどと思わされるものばかり。それはつまり、特別珍しい「教え」ではなく、他の多くの人も同じようなことを言われているということです。
しかし、重要なのは実践するかどうかでしたよね。私も実践したいと思います。成功するかどうか、得するかどうかという基準ではなく、ワクワクするかどうか、自分の成長につながると思えるかどうかという基準で、ものごとを選択したいと思うのです。
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