2018年12月22日

凡人のための地域再生入門



Facebookのダイヤモンド社の投稿で紹介されていて、面白そうだと感じたのでKindle版を買って読みました。著者は木下斉(きのした・ひとし)さん。高校1年の時から早稲田の商店街活性化プロジェクトに参加するなどして、それ以来「まちづくり」の世界で活躍されて来られたそうです。

最近は特に、若者が過去のしがらみを排して、事業などを起こして活躍する例があるように思います。なので、木下さんはどんな視点でまちづくりに取り組まれたのか、そこに興味がありました。

この本は、読みやすく小説になっています。さびれた地元を再生する主人公たちが、様々な問題にぶつかりながら、助け合って地域を盛り上げていく内容です。この小説の中で起こっている問題は、木下さんが実際に体験されたものだとか。まちづくりだけでなく、通常の会社運営にも役立つ内容だと思いました。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。なお、Kindle版ですのでページの表記がありません。電子書籍の位置情報はありますが、コピペの限界を過ぎると目安になりますので、ご了承ください。

どの 地域 にも、 人 と 人 とが 向き合う 仕事 だ から こそ の 失敗 や 挫折 が あり、 その 浮き沈み の 中 でも 折れ ず に 前 を やってき た 人 たち だけが、 いま も 事業 を 続け られ て いる に すぎ ませ ん。 それ が、 まち づくり の リアル です。

 では、 どう やっ たら、 そんな 中 で 成功 する こと が できる のか。 逆説的 に 聞こえる かも しれ ませ ん が、 私 は いつも、 人 と 人 の 仕事 だ から こそ「 ロジック」 が 大切 だ、 と 発信 し て き まし た。
」(Kindle の位置No.15-19)

地元愛のような思いだけでは成功に導けないと木下さんは言われます。どう対処するかというロジック(論理)があり、情に流されずに論理的に判断して実行することが大切なのだと。

もちろん、エモーション(情)も重要な要素です。その両方が重要ということで、それが伝わるようにということもあり、小説形式にされたそうです。


なん でも できる スーパーマン が 一人 で 成果 を 挙げ て まち を 変え て くれる なんて こと は、 あなた の まち でも、 そして 他 の まち でも 起こり え ませ ん。」(Kindle の位置No.38-40)

まちおこしを成功させるのは、有能なスーパーマンが現れてやってくれる、というようなことではないのですね。だからこそ本のタイトルにも「凡人のための」という言葉が入っているのです。


だからこそ 大切 なのは、「 失敗 せ ず に 成功 できる か」 という 発想 そのもの を 捨てる こと。 まずは 一歩 を 踏み出し て みる こと です。」(Kindle の位置No.54-55)

重要なのは、まず始めることだと木下さんは言います。最初から100%上手く行くという計画がなければ動かないというやり方では、絶対に成功はしないのだと。動き始めて、不都合なことにぶつかっては対処し、修正しながら、段々と成功する計画になっていくのです。


完全 な 車 社会 に なっ て みな 車 で 移動 し て いる のに、 鉄道 なんて 高校生 が 朝 と 夕方 に 使う くらいが せいぜい だ。 本数 が これ 以上 減ら ない よう に 沿線 の 市長 や 町長 は 運動 し て いる そう だ が、 そんな 運動 を し て いる 本人 たち が もう 10 年 以上 は 使っ て い ない という の だ から、 説得 力 なんて あっ た もん じゃ ない。」(Kindle の位置No.434-438)

こういうこととってありますね。私の実家も、三江線が廃止されるかどうかが議論された時、母は廃止に反対していました。まさに、自分で乗りもしないのに、ってことです。


車 社会 の 地方 では、 店前 の 人通り 頼り で 商売 し て い た 店 は ほとんど 潰れ て しまっ た。 逆 に 人通り が ない 路地裏 で あろ う と 山 の 上 だろ う と、 しっかり と 顧客 を 絞っ て、 いい サービス を 提供 する 店 は 経営 が 成り立っ て いる。 もの が ない 時代 の よう に、 店 の 前 を 歩く 人 が たまたま もの を 買っ て くれる こと を 当て に し た 商売 を する のでは なく、 自分 の 店 を 目指し て 来 て くれる 人 が いる よう な 商売 を し なく ては なら ない。」(Kindle の位置No.489-493)

立地が良ければ上手くいく、という発想そのものが古いのですね。郊外型店舗の時代が終わり、今やネットで注文して配送してもらう時代です。情報や行動の自由度が大きくなるにつれ、場所という要因よりも消費者にダイレクトに訴求する力の方が大きくなったのです。


ちゃんと 儲け が 出る なら 民間 で やっ とる ゆう 話 や。 役所 が 予算 なんか 出し て やっ ても あか ん。 誰 も 身銭 切っ て ない から 本気 に なら へん ねん。 儲かり も せ ん こと に みんな で 時間 使っ てりゃ、 そりゃ 活性化 どころか 衰退 する わ。」(Kindle の位置No.525-527)

この物語では、役所主導の補助金事業をこき下ろしています。実際、そうなのだろうと思います。と言うことは、最初に多額の資金があれば上手く行くわけではない、ということなのです。重要なのは、本気になる人なのです。

意味 不明 な 予算 消化 イベント より、 補助金 で 立派 に 改装 し た 店 を つくる より、 まず は 儲け させる 機会 を つくる ほう が 確実 や」(Kindle の位置No.570-571)

そもそも通常で黒字化できない事業は、補助金がなくなればすぐに潰れます。けっきょく、いつまでも補助金に頼る金食い虫になってしまうのです。

一方 で、 P/ L 面 でも 収支 が 合わ ない 事業 を 続け て しまっ て い ます。 地域 を ひとつ の 会社 として 見 た とき「 外」 から 来る 稼ぎ は 何 か。 地方 によって は 年金 が 一番 の 稼ぎ 頭 で ある 地域 も あり ます し、 国 からの 交付金・補助金 が 稼ぎ の 大半 を 占める 地域 も あり ます。 怖い のは、 この よう に 毎年 配ら れる 予算 で、 地方 に「 稼ぐ 事業」 では なく「 金 食い 虫 の 事業」 が たくさん 生まれる こと です。 結果 として、「 儲から ない 事業」 だ から こそ 国 からの 支援 が つく という 歪ん だ 構造 が 生まれ、 赤字 を 拡大 し て 支援 をより 多く もらう という、 まさに「 貧乏 父さん」 を 地 で 行く よう な 構造 に なっ て い ます。」(Kindle の位置No.631-636)

事業が金食い虫である以上、赤字の垂れ流しです。いつか良い時代がやってくる、などということはないのです。


結局、 地域 活性化 の 成否 は、 明るく 楽しく、 覚悟 を 決め て 事業 に 取り組む メンバー が 集まる かに かかっ て いる。」(Kindle の位置No.761-762)

覚悟 を 決め て、 失敗 も 重ね ながら も、 学ぶ こと を 諦め ず、 常に 工夫 を し ながら 前 に 進ん で いく と、 気づけ ば すごい レベル に 達し て い た という ケース は 多く あり ます。」(Kindle の位置No.1021-1023)

もう 一つ 重要 なのは、 目立つ リーダー の 背後 には 必ず それ を 支える チーム メンバー が いる という こと です。」(Kindle の位置No.1025-1026)

覚悟を決めて事業に取り組む人は、自ずとポジティブになります。類は友を呼ぶと言うように、そういう人の店には、同じように明るく楽しいお客さんが集まります。けっきょく、覚悟を決めて前向きに取り組む人がいるかどうかが、もっとも重要な要因になるのです。

本気 で やっ て みたい なら いい ん じゃ ない?   どうせ、 死 には し ない わよ。 私 だって、 そもそも 商売 も よく わから ない 状態 で お父さん の ところ に 嫁い で、 先 に 死な れ ても どうにか やってこ られ た ん だ から。 その かわり、 やる なら 本気 で やり なさい」(Kindle の位置No.1902-1904)

主人公を励ますお母さんのセリフです。重要なのは、誰かを頼るのではなく、自分自身が覚悟を決めてやることなのです。

落ち込ん で いる とき に 落ち込ん だ 顔 を し て い たら、 誰 も あなた と 仕事 なんて し たく なくなる わよ。 おじいちゃん が『 落ち込ん だ とき ほど、 意味 が なく ても いい から とりあえず 笑っ てろ』 って よく 言っ て た わ」(Kindle の位置No.2678-2681)

これもお母さんのセリフです。落ち込んでいても、誰も助けてはくれません。上手くいかない時こそ、意図的に笑うことですね。

人間 って の はな、 失敗 し た とき では なく、 失敗 し た あと に どう 行動 する かで 価値 が 決まる もん じゃ。 そして、 本当 の 挑戦 って のは、 初めて 何 かを やる とき では なく、 失敗 し て、 その 次に 再び 立ち上がっ て する とき の こと を 言う の じゃ よ。 お前 は まだ、 その 入り口 に 立っ た ばかり じゃ」(Kindle の位置No.2742-2745)

行動すれば必ず失敗します。その時、どうするかが最も重要なのです。


やる こと を 明確 に し、 事業 の 内容 が 固まっ て いけ ば いく ほど、 必然的 に 賛否 両論 と なる。 逆 に、 万人 が 賛成 する よう な もの は 平凡 すぎ て 今 の 地域 に 特別 必要 でも ない( みんな の 意見 を まとめ た 公共 施設 に 人 が 集まら ない のは その 典型)。 多少 の 批判 は、 事業 が シャープ に なっ て いる 証拠 だ と 前向き に 捉える 心持ち が 必要 だ。」(Kindle の位置No.2937-2939)

地方は特に、大企業がやるようなことを真似してやってもダメなのですね。なるべくとんがらせること。そこにしかないから、人が集まるのです。

そう なの だ。 みんな 個人 では 違和感 を 覚え て いる のに、 それ を 口 に 出さ ない のが この 国 の 病 なの だ。 口 に 出さ ず に、 ぐっと こらえ て、 みんな が やる こと を 同じ よう に やる のが「 大人 の 作法」 だ とさ れ て いる から こそ、 間違い は 繰り返さ れ て いく。」(Kindle の位置No.3323-3325)

保身に走る人には変革していく力がありません。覚悟を決め、リスクを負って動かなければ、事業を成功させることはできないのです。


だけど、 人 の ため って 思わ ない ほう が いい わよ。 何事 も 自分 の ため だ と 思え ば、 割り切れる こと も ある わ。 私 も、 お父さん が 死ん でからは 何度 も そう 思っ て 仕事 を し て き た。 批判 を 受ける こと も あっ た けど、 そういう とき でも 褒め て くれる 人 が いる って こと を 忘れ ちゃ いけ ない わよ」(Kindle の位置No.3624-3628)

何かする時、私たちはつい誰か他の人のためにと考えてしまいます。それが愛だと思うし、誰かを愛している自分を素晴らしいと感じるからです。しかし、他の人の評価を期待していると、裏切られることになります。

他人からの評価を期待しないことです。自分の評価は、自分がすればいいのです。ただ自分がしたいからそうするという、利己主義であるべきだと思います。


お客 さん から お金 を 貰う こと より、 役所 に 行っ て お金 を 貰う こと を 優先 し て 発展 する 地域 や 国 なんて ない。 それ が 僕ら の 出し た ひとつ の 結論 だっ た。」(Kindle の位置No.4021-4023)

お客さんからお金をもらうということは、お客さんを満足させているということです。それができないから補助金をもらっていては、いつまでたってもお客さんを満足させられません。


新しい こと は、 今 ある 組織 では なく、 新しい 組織 で 立ち 上げ、 新しい 人 を 入れ て やる のが 近道 です。 なぜ か 日本 は、 今 ある 組織 を どうにか 立て直す という こと に 変 な 使命感 を 抱く 人 が い ます が、 所詮 は 会社 も 組織 も 人間 が つくっ た 概念 上 の 仕組み に 過ぎ ず、 機能 し なく なっ たら 別 の もの で 代替 する ほう が 効率的 です。組織 は 単なる 目的 達成 の ため の 器 で あり、目的や機能を終えた組織を闇雲に存続させてもいいことはありません。」(Kindle の位置No.4329-4332)

既存の青年会とか商工会など、そういう組織を利用してやろうとしても、上手くいかないのですね。なぜなら、組織は人そのものであり、その組織にいる人たちがそうだったから、上手く行かなかったのです。「新しいぶどう酒は新しい革袋に」という聖句がありますが、そういうことなのでしょう。


私自身、企業の経営者となり、上手く行った経験もあれば、上手く行かなかった経験もあります。だからこそ、身に沁みて感じることがありました。

重要なのは、自分がやると覚悟を決めて動き始めること、同じ匂いがする仲間を作ることですね。そして、上手く行かなかった時ほど明るく、次の一歩を踏み出すことなのだろうと思いました。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 17:12 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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