2018年12月19日
ひざ・股関節の痛みは週1スクワットで治せる
「人生を変える幸せの腰痛学校」の伊藤かよこさんのFacebook投稿で知った本を読みました。伊藤さんは、腰痛のほとんどは認知の問題だとして、適度な運動が重要と言われていました。そんな中でこの本は、週1回のスクワットで腰痛はもちろん、膝痛、股関節痛も改善すると言っているのです。
著者は、自称「筋肉ドクター」の小島央(こじま・ひさし)医師。医療の縦割りによって、整形外科医がリハビリに口出しできず、理学療法士も医師の介入を嫌うという現状で、自らクリニックを開業して効果的な筋トレを指導するようになられたのだとか。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。私が読んだのはKindle版ですので、またページの表記がありません。電子書籍の位置情報はありますが、コピペの限界を過ぎると目安になりますので、ご了承ください。
「初期 に 激烈 な 痛み が あっ たり、 患部 が 炎症 を 起こし たり し て いる 場合 には、 炎症 や 痛み が ある程度 治まる まで、 安静 を 保つ 必要 が ある でしょ う。 しかし 初期 症状 が 治まっ たら、 まだ 痛み が 多少 残っ て い ても、 なるべく 早く 体 を 動かし た ほう が いい。 これ が、 医学 的 には 正しい 対処 法 で ある こと が 判明 し て い ます。」(Kindle の位置No.165-168)
たとえばぎっくり腰など、急性期には安静にした方がいいのだそうです。しかし、その後はなるべく早く、動ける範囲で動く方がいいのだとか。
「そこで、「 運動 不足 は 世界的 伝染病 で ある」 とさ れ、 運動 不足 が、 肥満、 ガン、 糖尿病、 脂質異常症、 うつ、 認知症 などを 引き起こす もの として 指弾 さ れ て い ます。」(Kindle の位置No.173-175)
これは、世界的権威のイギリスの医学誌「ランセット」の論文から、安静を支持するものは1つもないと言います。逆に安静を続けることのデメリットが大きいのです。
これは目からウロコでした。何かあればすぐに安静にするようにと言われましたから。私は小学生の時、腎盂炎で1ヶ月ほど入院したのですが、最初はトイレすら歩いて行かせてもらえませんでした。最近は少し違うのでしょうかね。
「前 に ふれ た とおり、 実際 に 損傷 が ある 場合 は、 安静 の 必要 な ケース が ある こと は 事実 です。 しかし、 初期 症状 が 軽快 し た 後、「 できるだけ 早く 体 を 動かし た ほう が( 患部 にも) いい です よ」 と 親切 に くぎ を 刺し て くれる 医師 や 医療 関係者 は、 そう 多く は あり ませ ん。」(Kindle の位置No.191-193)
医者がそういうことを知っていない、ということも1つの原因なのでしょうね。
「つまり、 通常 なら 1 年 かけ て 起こる はず の 筋肉 の 加齢 的 変化 が、 横 に なっ て 安静 に する と、 たった 2 日 で 起こっ て しまう こと になり ます。」(Kindle の位置No.208-209)
安静を続けているとどうなるかと言うと、筋肉量が減っていくのです。20歳を過ぎると、日常の行動しかしてない場合、年に1%の筋肉低下が起こるそうです。それが、1日重ベッドで安静しているような生活だと、1日で0.5%の筋肉低下が起こるとか。つまり、2日で1年年を取るようなものです。
「そもそも 炎症( と それ に 伴う 痛み) とは、 体 が 自然治癒 し て いく 過程 で 通る、 欠か せ ない ステップ です。 その 炎症 を 痛み 止め によって おさえ て しまう の です から、 自然治癒 の 進行 は、 必然的 に 遅れる こと に なる の です。」(Kindle の位置No.343-345)
これは、痛み止めの薬は対処療法で、根治療法ではないと主張されている部分に書かれていました。熱や下痢、嘔吐、咳などの症状は、自然治癒力の働きです。対処療法の薬は、その自然治癒力の働きを妨げます。ここで小島医師は、炎症も自然治癒力の働きだと言っていますね。
「しかし、 結論 から いえ ば、 歩い ても、 筋力 アップ は 望め ませ ん。」(Kindle の位置No.427)
何か運動をすべきだと言われると、私たちはすぐにジョギングとかウォーキングを思い浮かべます。お年寄りにはウォーキングや散歩などが良いと思いがちです。しかし小島医師は、それでは筋力アップにならないと言い切られます。なぜならそれは日常行動であり、それだけしていても老化による変化(筋力低下)を止められないことが明らかになっているからです。
「無酸素運動 は 高 強度 で、 筋肉 に 大きな 負荷 を かける 運動( = ストレス) です。 こうした ストレス が かかる と、 体 が、 筋肉 を 強く 大きく し なけれ ば 対応 でき ない 状況 に 置か れる ため、 それに「 適応」 し、 筋肉 が 強く なる という 現象 が 起こり ます。」(Kindle の位置No.480-482)
運動には、日常生活動作(低強度)、有酸素運動(中強度)、無酸素運動(高強度)の3種類があると小島医師は言います。日常生活動作は、これまで示した通り、筋力アップには役立ちません。有酸素運動は心配に負担がかかるため、高齢者には負担が大きい場合もあります。その点、無酸素運動は短時間でできるため、負担が少ないと言うのですね。
自分の限界に近い力を出すことによって、身体の細胞が筋肉を大きくして対応しようとする。これが動的平衡に基づく適応だと言います。私たちの身体の全細胞は、3ヶ月で生まれ変わるので、私たちは日々、状況に適応しているのです。
「心理 社会的 因子 とは、 ストレス や 不安、 疲れ といった 心理的 な 要素 です。 それら の ほう が、 腰 への 負担、 姿勢 よりも、 高い 相関 が 認め られ、 腰痛 の 原因 で ある 可能性 が 高い と 考え られる よう に なっ て い ます。」(Kindle の位置No.746-747)
同じ重い物を運ぶ作業をさせても、片方には常に罵声を浴びる状態にしておくと、そちらの人々は腰痛を起こしやすいのだそうです。小島医師自身もぎっくり腰を経験されていますが、きっかけは重い物を持ったことであったとしても、本当の原因は仕事のストレスだったと分析されています。
「私 の ケース で いう と、「 巨大 な ヘルニア が 腰椎 から 飛び出 て いる」 と、 画像診断 で 指摘 さ れ た 事実 を 何度 も 思い返し たり、「 筋 トレ が 悪かっ た ん だ。 あんな 重たい 物 を 持た なけれ ば よかっ た」 と、 腰痛 の 原因 について アレコレ 思い悩ん だり し ては いけ ませ ん。そう する と、 それ が 本当 の 呪い の よう に 働い て、いつ まで たっ ても 腰痛 が 治ら ないということになるのです。」(Kindle の位置No.763)
ヘルニアでさえ腰痛の原因ではないし、ヘルニアは筋トレしていれば勝手に治ることがあることも、小島医師は実証されたのです。
「痛くても、「安静のほうが腰に悪い」と思いつつ、体を動かすことが大事です。
「こんな筋トレをやったら腰に悪いだろうな」「ひょっとしたら、痛くなるかもしれないな」などと思いながら運動するのは、よくありません。」(Kindle の位置No.772)
筋トレで腰や足が悪くなることはない、という絶対的な安心感の中で、筋トレすることが重要だと言います。ストレス、不安というものが、悪い影響を与えるのですから。
小島医師が唱える筋トレとは、次のようなものだと言います。
「「高強度」な運動「習慣」で、筋肉に「適応」を起こさせること。」(Kindle の位置No.872)
それが無酸素運動であり、限界的なスクワットなどなのです。
「このスクワットに使う時間は、せいぜい30秒。長くても、1分です。」(Kindle の位置No.901)
「しかも、原則として、この筋トレの頻度は、1週間に1回。それ以上、間隔を詰めて行っては、きつい運動なだけに、かえって故障の原因になります。」(Kindle の位置No.903)
つまりどういうことかと言うと、せいぜい10回くらいしかできないような負荷をかけて1セットのスクワットをする、ということです。これを1週間に1回行うだけなのですね。
しかも、小島医師の筋トレでは、個別の筋肉を鍛えるというやり方をしません。大きな筋肉を中心に、その周りの筋肉も同時に鍛えられる運動をするのです。
「全体を鍛える筋トレとして、私がクリニックで皆さんにお勧めしているものに、「スクワット」「ローイング」「ベンチプレス」があります。
これらの筋トレは、体の中でも大きな筋肉が使われています。と同時に、多くの補助筋肉群が使われています。これにより、全身的にハイパワーのエクササイズができます。」(Kindle の位置No.970)
スクワットは大臀筋や大腿四頭筋など、ローイングは広背筋や僧帽筋、ベンチプレスは大胸筋などの大きな筋肉が鍛えられる運動ですね。これらの他に補助筋肉群が同時に鍛えられるのです。
「私の筋トレの基本的な考え方は、発揮できる最大限のパワーの運動習慣に、「適応」を促すことです。
筋トレのポイントは、「パワーを出すときは全力を出す。できるだけ速く動かす」「運動を始めたら、止まらない。動き続ける」です。」(Kindle の位置No.1068)
最初のポイントは全力を出すよう負荷をかけることですね。せいぜい10回くらい繰り返せるくらい負荷をかけます。
そして、たとえばスクワットで立ち上がる時は、できるだけ素早く立ち上がります。これが、速く動かすというポイントになります。
複数回の動きをするのですが、その間に筋肉が休む時間を作らないというのがポイントの1つです。たとえばスクワットなら、足が伸び切らないようにする、ということですね。それから、しゃがむ時はゆっくりしゃがむことで負荷をかけ続けます。こうすることで、止まらず動き続けることになります。
「重たい物を持って不安に思ったときは、「筋トレをするのは、体にいいんだな」と自分にささやきましょう。それが事実ですし、よい自己暗示にもなります。
筋トレという運動は、自分でできる範囲内でしか行えません。だから適切に行えば、なんらリスクはありません。「筋トレで体が壊れるわけはない」と自信を持って体を動かすことが肝心です。」(Kindle の位置No.1207)
痛みがある時は、どうしても不安になりがちです。そんな時は自己暗示を使ってでも実行すること。そうすれば、その実践が自信となって、筋力がアップして腰痛など起こりにくくなる、という好循環につながるのだと言います。
「骨の強さは、筋力に比例するとされています。有効な筋トレを継続して行って、筋力強化が進めば、それに従って骨も強くなります。」(Kindle の位置No.1287)
特に女性の場合は、骨粗鬆症という骨が弱くなっている状態の人が多く、重いものを持つことに恐怖感があるかもしれません。しかし小島医師は、そういう人だからこそ短時間でできるこの筋トレが良いのだと言います。これによって筋力がアップすれば転びにくくなるし、骨折もしにくくなるのだからと。
「筋肉量がへると、インスリンを分泌する、すい臓のβ細胞の機能低下が起こるという相関関係のあることがわかっています。」(Kindle の位置No.1327)
これは糖尿病に対する効果について語っている部分です。糖尿病に対しても、筋肉量を増やすことが効果があると言われるのですね。
「動物には筋トレができません。だから、加齢的変化に抗うことができず、年々、体が衰えていきます。私の提案している筋トレは、唯一、加齢に抵抗できる手段です。私は、高齢者にこそ、筋トレをお勧めしたいと考えています。」(Kindle の位置No.1528)
動物は自ら筋トレをしないので、自然と加齢によって衰えていきます。しかし人間は、自ら筋トレをすることができ、それによって加齢による変化に抗うことができるのですね。
週に1回、わずか数分の筋トレで筋肉量や筋力をアップさせることができる。そんなことができるのだとしたら、やらない手はないでしょう。
今、膝や腰が痛くない人も、予防のために行っても良さそうです。80歳のお年寄りが80kgのバーベルをかついでスクワットをしているなんて、何だか超人的にも思えますが、訓練すれば誰でもそうなるのでしょう。そしてそれは、それだけの筋力がついているということ。元気に老後を過ごすために、とても役立つことだと思います。
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