2018年11月28日

にぎやかだけど、たったひとりで



バリ島に暮らす日本人大富豪、兄貴こと丸尾孝俊(まるお・たかとし)さんの本を読みました。
今回の本は、作家の吉本ばななさんが兄貴の元を訪れ、共に過ごした3日間の中で見聞きしたことをまとめたものになっています。

サブタイトルに「人生が変わる、大富豪の33の教え」とあります。章立てに番号がないので、どう33なのかはよくわかりませんが、3章の中に数項目ずつ兄貴の話やエピソードがまとめてありますが、数えると34あるんですよね。
章の最後には「ばななより」と題して、吉本さんの感じたことなどが書かれています。第4章は、いろいろな人が兄貴に質問したQ&A集となっています。

吉本さんは、兄貴から単に成功の秘訣を得たいというより、女性の視点で兄貴の生き方をまとめたいと思われたそうです。そういう点では、白駒妃登美さん「幸せの神様に愛される生き方」と共通点があるようにも思います。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

バリのあらゆる地域の大家さんだったり、系列会社の社長たちをまとめたり、バリの人たちの相談に乗るだけでも充分忙しいんだから、夜はご家族といっしょに贅沢な食事をして、好きな映画を観たり、たくさん睡眠を取ったり、静かに過ごすことだってできるわけなのに、兄貴は日本のみんなと過ごすことを選んでくれたんだ、だからこうして会えるんだと思います。」(p.17)

兄貴は兄貴なりの理由で、毎日のように見ず知らずに日本人を招いて一緒に時間を過ごすという生き方をされています。誰にでも真似ができることではないと思います。
また、無理に真似をする必要もないと私は思っています。ただ、すごいなぁと思います。そして、有り難いと思うのです。


兄貴は、それよりも地方の移住者を受け入れているところに移住して、自然があって、食べ物もおいしくて、家賃が安いようなところで、もう一度新しく人生のステージを大きく変えて始めたほうがいい、今の生きがいで生計が立てられないのなら、それもやめたほうがいい、どんなに好きなことでもだ、と彼女に言いました。」(p.24)

これは、ご主人を亡くされて、住まいはあるが生計が不安定で、どうしたらいいかと質問した女性に対する兄貴の回答です。
兄貴は常々、田舎に行けと言われてました。どんな好きなことでも、それで充分に稼げないならやめろというアドバイスは、兄貴がリアリストであることを示しているように思います。

この回答、私の心にも突き刺さるんですよね。なので、ここに取り上げました。


どういう人が儲かって、どういう人が儲からへんか、ちゃんと見つけた。
 ええ人が儲かるんやって。五百円札くれよったのは、三つしかごみ落ちてなかったおばちゃん。整理整頓されてない粉まみれゴミまみれの店では、「何でお前に金やらなあかんねん。お前が勝手に掃除したんやないかい、おっちゃん知らんで。帰れ、早よ」となる。
」(p.27)

兄貴がまだ小学生のころ、勝手に掃除をして手を差し出したら、お金がもらえたという体験の中で学んだことだそうです。
日々のことを手を抜かずにきちんとやる。一生懸命にやる。そういう人が儲かると兄貴は言います。気遣い、気配りが重要なのだと。


子供にとって、一番素晴らしい、いい育て方っていうのは、大人と接する数を増やすことやと思う。
 おじいちゃん、おばあちゃん、おっちゃん、おばちゃん、近所の姉ちゃん、兄ちゃん、こういう者の中に置いてもらえるかにあると思います。そこで一気に人間の成長率が変わってくるから。
」(p.31)

兄貴は、自分を「完全におじいちゃんっ子、おばあちゃんっ子です」と言います。父親が母親を放り出し、その後も面倒を見てくれなかったので、近所の大人たちの中で育ったのです。
そういう環境が子どもを育てるには最適だと言います。一方、現代は、学校へ行けば同年齢の子どもの社会に大人の教師が1人という状態です。そういう中で成長する。これでは、子どもは大人を見て学ぶことができないと言うのです。

私も、そう思います。同年齢の中でしか過ごさないから、いじめなどの問題も起こるのです。年齢を超えたつながりを持つということは、子どもにとって重要なことだと思います。


結局自分の事にかまける社会、かまけざるを得ない社会なんや。忙しくさせられてる訳やんな。それを何とかせなあかんと思うねん。合理的な考え方って、全部分けることになっちゃうからな。分け隔てないのが人間社会やったやん。それを分けまくりよるのや、今は。」(p.40)

兄貴は、人と人とを分断する社会、分断する考え方に問題があると指摘します。
たしかにそうですね。コミュニティが崩壊しています。コミュニティがあって、互いに互いを思いやる社会であれば、暮らしやすいのではないかと思います。

それと、分断が問題だという指摘は、「神との対話」でも言っていることで、スピリチュアル的にも納得です。これからは、分断から一体化へとシフトしていく。まさに兄貴が目指す方向性と合致しているように思うのです。


人間というのはたまにはそういう「明日起きたくない」「全てを捨てて逃げてしまいたい」というような気持ちにまっすぐに向き合って、ひとりでなんとか乗り越えることをしないと人生の階段を上がれない生き物なのだと思う。」(p.54)

若かったころの兄貴が、暴力団の組長に気に入られ、旅行に誘われたけど断らないとやばいと思い、何とか切り抜けたというエピソードを引き合いに、吉本さんはこのように言われます。

人生には、そうやって自分で決断し、切り抜けなければならないことがあるのかもしれませんね。私自身も、兄貴のような派手なエピソードはありませんが、何度か人生の転機がありました。きっとこれからもまだあるのでしょう。


残せなくなったら、社会的に失敗やと僕は考えているので、残せなくしてしまった日本の社会は、もうすでに失敗なんだよ。
 なんか人に残してやろうってことが、本当に微笑ましくて素敵な事やん。これから来る人に。みんなそうやったよな。公園行って遊んでも、何してもゴミ持って帰れよっていうのは、その考え。
」(p.84)

兄貴は、不動産は残せるからいいのだと言います。後の世代に残すこと。だから伝統や文化も、残していくことが重要なのです。
しかし日本では、相続税が高くて、子孫に家や土地を残せなくなっています。それを指摘して、そういうのではダメになると兄貴は言うのです。

兄貴が残すことを大切にするのは、他の人や子孫への思いやりなのですね。だから美しい自然を残す、快適な社会を残す。そういうことを常に考えておられるのです。

この部分を読んだ時、私の頭には佐藤一斎の言葉が浮かびました。
「当今(とうこん)の毀誉(きよ)は懼(おそ)るるに足らず。後世の毀誉は懼るべし。一身の得喪(とくそう)は慮(おもんばか)るに足らず。子孫の得喪は慮るべし。」(言志録89条)
兄貴は、そういう気持ちを持って生きておられるのだと感じました。
※言葉の意味は「佐藤一斎「言志四録」を読む」の記事をご覧ください。


お金が手元に十七万円しかなくなったとき、その人のほんとうの考えとか才能とかが出てこなかったらうそだと思う。逆に言うと、お金がたくさんあるのが前提の生活しか知らない人は脆(もろ)い。」(p.90)

兄貴は、8千万円くらい持ってバリに来たものの、使いまくって貸しまくって、気がついたら17万円になっていたのだそうです。そのエピソードから吉本さんは、兄貴の輝きはお金持ちだからではなく、いくらであろうと関係ない兄貴自身の輝きにあると言います。

兄貴は、毎日大勢の客をもてなしています。そこには、兄貴自身のお金も時間もふんだんに使われています。兄貴は恩返しだと言います。和橋として、国外から日本を応援しているのだと。その生き方が魅力となって、兄貴を輝かせているのです。


マルガラナ英雄墓地行ったらいい。第二次世界大戦が終わっているのにインドネシアの独立戦争に参加した日本人兵士たち、自分達にとっての正義で死んでもいいやって思ってたっていうのはすごかったと思いますよね。
 玉砕した日本兵はほぼ誰の為に頑張りましたか。九十九・九九パーセント赤の他人の為に玉砕したんや。家族の為は〇・〇一パーセントや。僕はそういう風に思う。これは結果論や。思いは母親にあった。嫁にあったかもしれん。
 ところが結果をちゃんとひもとけば、我々の為の玉砕やったよ。日本人を残そうと思ったんや、日本の未来をや。ということは、それを継承せんかったら、何を継承すんねんって話や。
」(p.120)

マルガラナ英雄墓地というのは、インドネシア独立戦争で戦士した英霊を祀る墓地です。そこに、日本人でありながら帰国せずに残って戦った人々も葬られています。兄貴は、彼らは日本の未来を残そうとしたのだと言います。だからこそ、その思いを継承するべきではないかと。

私も、ここへ行きました。「バリ島2日目はマルガ英雄墓地へ行きました」の記事に書きましたので、よければお読みください。そして、やはりこういう「想い」を持つことが大切だと思うのです。


やらかしてごらんよ。そしたら、もっと表情とか感情が豊かになるはずで、えらいことしてもうたっていう。えらいことしてみるんやって。そのために自然を置いてくれたんや。相手も本気、こっちも本気や。命を頂くという尊さをもう一度きちっと噛みしめる必要があると僕は考えてる。」(p.124)

兄貴は、リミッターを外すことが大切で、そのためには小さな殺生をするなどして、「やらかした」感情を取り戻すことだと言います。
童心に戻ってザリガニを取って殺して、餌にして魚を釣って食べる。その時、湧いてくる様々な思いを逃げずに味わうことで、生きることを本当に考えるようになるのだと。

リミッターが外れない人間は自分の命を大切にします。例えばね、自分の考え方を最重要視します。とにかく自分が大切です。この状態から遠くかけ離れた人、これがリミッターの外れる状態。
 だから僕には元々、自分がないので。人のことばっか考えてます。
」(p.126 - 127)

兄貴は、自分のことにかまけてられないと言います。それがリミッターが外れた状態なのですね。貸し借りのような取引ではなく、ただ与える。相手のことが大切だから。それが、結果的に自分が豊かになることだと言うのです。

これって、まさに「愛」ですね。自分は大丈夫だとわかっているから。だから、自分はどうでもいいのです。そして他の人のことばかり考える。兄貴は、完全に突き抜けている方なのだなぁと思います。


あのね、幸せっていうものは人が運んでくるもので、自分自身が構成出来るものではないということを、まずは認識しないとダメなんや。
 残念やけど、そういう事なんや。人が運んでくるんやもん。全部普通にきれいな海も、青い海も、見て幸せだなって感じることは、僕たちの先人が残してくれたこと。それは手塩にかけたり、必死の思いだったかもしれませんねってことを、汲み取る人間がどれくらいいてるかなってこと。
」(p.130 - 131)

兄貴は、他の人が残してくれたもの、持ってきてくれたものによって、自分の幸せがあると言います。すでにあるものの中に、これまで関わってきた人たちの「想い」を、兄貴は見ているのでしょう。


一度出会った人とは縁を切らないという考えをそのまま発展させていくと、大目に見るということになる、と兄貴は何回もくりかえした。」(p.142)

吉本さんは、兄貴が自分から縁を切ることはない、と言われたことに着目します。それは、相手を選ばずに受け入れること、そして何かダメだと感じることがあっても大目に見て咎めないことになるのです。そうしないから、「キリキリしたヒステリックな大人」が自分の中に出来上がってしまうのですね。


敵を生まん、敵をつくらんことに、そこに一生懸命努力が必要、今の日本は。日本一丸を目指すなら、敵をつくらないことに限るんや。やくざでもそうやろ。反目がおることで大変や。そんでおらへんようになってみ、王様やな。そういうことや。」(p.147)

兄貴は、他人から応援してもらうことが重要だと言います。だから同じ業界の人を敵に回すのではなく、仲間にすることだと。
すべてを受け入れて包み込んでいく兄貴の大きさには、もうかなわないなぁと感じます。


お金を稼いだからってなにをしたいんですか?
 お金持ちの友だちがたくさんできたとして、その人たちと何をして、どんな人生にしたいんですか?
 どこに住んで、だれといっしょにいたいですか?

 それに対して兄貴の人生が出したにぎやかだけれど一人でやっていくという答えが私は大好きだ。
 私は男じゃないからこんな言い方しかできない。成功哲学やお金の観点から兄貴を見ることはできない。でもこう思う。同じようにこう思っている日本の人たちに届けばいいと思う。
」(p.168 - 169)

吉本さんは、このように兄貴の印象を語ります。そして、人それぞれの道を、大目に見ながらリラックスして生きる。あくせくと成功を目指すよりも、その方が自分らしいのではないかと。それぞれの人がそれぞれに輝いて生きれば、世界はより素晴らしいものになる。吉本さんは、そのような考えを持つようになったのです。


私自身、兄貴のような生き方ができるかと言われれば、おそらくできないと思います。今のところ、そうしたいとも思いません。
でも兄貴は、そんな私でも受け入れてくれます。だから兄貴の前では、安心して自分でいられるのです。
できれば私も、そんな兄貴のような寛容な人間でありたいと思います。そんなことを、この本を読んで思いました。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 20:17 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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