2018年05月03日

僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。



これもたしか「みやちゅう」こと「みやざき中央新聞」の紹介で知った本です。2012年にダイヤモンド社で出版された単行本を、2017年に小学館で新書として売り出したものです。

これまでに、ミドリムシが将来有望だという情報は、いろいろなところで目にしてきました。しかし、あまり興味を抱かなかったのです。クロレラに次ぐ新しいサプリメントくらいの認識しかなかったのです。

しかし、今回この本を読もうと思ったのは、著者でもある出雲充(いずも・みつる)さんは単なる金儲けとしてミドリムシに注目したのではなく、これで世界を救えると思ってやってこられたことを知ったからです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

でも、さっき僕が書いた、ミドリムシが地球を救うというのは、何一つ偽りがない、本当のことだ。
 植物と動物の間の生き物で、藻の一種でもあるミドリムシは、植物と動物の栄養素の両方を作ることができる。その数は、なんと59種類に及ぶ。
 しかも体内に葉緑素を持つため、二酸化炭素を取り入れ、太陽のエネルギーから光合成を行うことができる。すなわち、CO2 削減という意味でも、救世主となりうる。
 さらにそれだけではなく、ミドリムシが光合成により作り出し、体内に蓄えた油を石油と同じように精製すれば、ロケットやジェット機の燃料として使えるバイオ燃料が得られる。
 食料、栄養、地球温暖化、エネルギー。これら途方もない問題は、ミドリムシが解決するのだ。
」(p.6 - 7)

出雲さんは冒頭で、このようにミドリムシの可能性を語ります。もしこれが本当に実現したら、どんなに素晴らしいことでしょう。食糧問題もエネルギー問題も大きく改善されます。


そんな素晴らしい可能性を秘めたミドリムシですが、実は出雲さんより以前から、国家的なプロジェクトとして研究が続けられていました。サンシャイン計画やニューサンシャイン計画として、長年培養方法が研究されてきたのです。

しかし、ミドリムシは食物連鎖の底辺に位置しており、あまりに「美味しい」ために、他の細菌などに食べられてしまうという運命がありました。大量培養することが非常に困難、というより不可能に近い運命を背負っていたのです。

そのため、ニューサンシャイン計画も頓挫していました。ちょうどそんな時に、出雲さんたちはミドリムシの大量培養に着手したのです。

「ミドリムシが培養できたら、もうほかに培養できないものはないと思います」
 なぜかといえば、ミドリムシの栄養価があらゆる微生物の中でもトップレベルにあるからだ。栄養があればあるほど、他の微生物に狙われやすい。だから培養は極めて難しく、ちょっとの汚染で全滅してしまう。
」(p.72)

出雲さんが天才と言う同志の鈴木さんは、そのように言いながらも大量培養を研究し続けたのですね。


原さんの心からの言葉を噛みしめていたら、途中から涙が出てきた。自分もこのまま居心地のいい銀行で働いていては、いつかミドリムシのことを忘れてしまうだろう。最後に僕はこう言った。
「ありがとうございます。自分は、銀行を辞めます」
」(p.87)

出雲さんは、10年以上先にミドリムシのベンチャー企業を立ち上げることを計画し、最初は大手都市銀行に就職したそうです。心のどこかに逃げ道を用意したいという思いがあったのですね。

それでも1年して、このままでいいのかと悩みます。その時、知り合いの編集者である原氏に悩みを打ち明けたそうです。原氏は、自分も映画を撮りたいと夢があったのに、居心地のいい編集者で収まってしまった悔いを語り、出雲さんの背中を押したのです。


だが、もしもその確実な道を選択することが本当に正しいならば、世の中にはもっとたくさんのイノベーションが生まれているはずだ。現実がそうなっていないということは、イノベーションを起こす人間には、何かしら渡らなければならない川があるのではないか。」(p.91)

ベンチャーの社長に聞いてみても、最初からそのビジネスで成功するという確信があって始めた人はほとんどいなかったそうです。むしろ、何ら確証もないのに退路を断って飛び込む。そうしなければベンチャーは成功しない。出雲さんは、あとからそう思うようになったようです。


すぐに創業しなかったのは、ミドリムシの培養の目処が立たなかったことや、事業資金のあてがないという現実的な理由もあった。でも本当は、自分の精神的な弱さが理由だ。」(p.98)

銀行を辞めた出雲さんでしたが、それでもまだ躊躇するところがあったのですね。会社を起こしたら、お金を回していかなければなりません。そんな目処も立っていないのに飛び込めない。そんな気持ちが無意識の中にあったのでしょう。

それを出雲さんは、自分の精神的な弱さだと言います。そして、そういう弱さがあるとわかっているからこそ、退路を断ったのでしょう。自分で自分を追い込むためです。


「ミドリムシを天敵から守る環境をセッティングする」という発想から、「ミドリムシ以外は生きられない環境をセッティングする」という発想への切り替え。これが鈴木と僕が生み出したミドリムシ培養の切り札となるアイデアだった。」(p.145)

こうして、これまで不可能と思われていたミドリムシの大量培養が成功することになります。


この2006年2月17日の午後3時から、僕には株式会社ユーグレナ以外は何もなくなった。応援してくれていた堀江さんも、間借りしていたライブドアのオフィスと資金はもちろん、机も椅子もなくなった。ともに事業を進めようとしていた協力会社だって、ほぼすべて去っていった。
 しかし自分には、まだミドリムシがいてくれた。5億年の昔から、地球上のすべての生物の暮らしを根底で支え続けてきた、ミドリムシが。
 自分で事業をやることを決意したのは、「僕がここでミドリムシを見捨ててしまっていいのか」という想いだった。
」(p.163 - 164)

将来性を買われてライブドアからの出資を受け、起業したユーグレナでしたが、あのライブドア事件によってすべてが吹っ飛んだのです。出雲さんは、ライブドアの支援なしでユーグレナを続けるために、自己資産をはたいてライブドアから株式を買い戻しました。

出雲さんの預金残高は32万円ほど。その時から、出雲さんは1人でもやって行くという決意をされたのでしょう。もし失敗すれば野垂れ死にするだけ。そう覚悟を決めた瞬間なのです。


ミドリムシのよさが理解してもらえていないのは、自分の努力が足りないから、そして伝え方が悪いからだ、と気づいたのもこの頃だった。」(p.178)

それまで出雲さんは、なかなかミドリムシの良さを受け入れてもらえずに、世間に対して腹を立て、自暴自棄になってライブドアのせいにしたこともあったそうです。

しかし、ある購入者から、その効果に感謝し、子どもにも飲ませたいという感想のFAXが届いたことで、出雲さんは勇気をもらったのでした。そして、他人のせいではなく自分に原因があると、考え方を改めたのです。


だがこの頃から、その発想を変えた。堂々とミドリムシということで、世間に正しく理解してもらったほうが、結果的に商品の売れ行きにもつながるし、ミドリムシのためにもなると考えたのだ。」(p.191)

それまで出雲さんは、ミドリムシという名前が青虫や芋虫などをイメージさせると感じていて、どこかうしろめたさを持っていたのですね。だから、「ユーグレナV22」という製品名を付け、「ミドリムシ」であることを目立たないようにしていたのです。

しかし、ミドリムシのイメージそのものを変えるという決意によって、その後のサプリメントの売上も伸びていったようです。


相手に認められず、ふてくされる暇があるなら、四の五の言わずに、別の人を探して、とにかく一人でも多くの人に会う。またダメだったらすぐに次のアポイントをとる。そうして、会って会って会いまくっていれば、そのうち必ず聞いてくれる人が出てくる。」(p.195)

全国のほぼすべての可能性のある会社に出かけてミドリムシのことを説明したという自負を、出雲さんは持っているそうです。アイデアが良いから受け入れられるのではなく、受け入れてもらえるまでドアを叩き続けることが重要なのだということです。


僕はこれからのテクノロジーやビジネスも、ハイブリッドでなければならないと考えている。科学的な思考と、感情的な共感、その両方がハイブリッドされて、初めて人は安心してその技術を受け入れ、使いこなすことができる。」(p.229 - 230)

いくら科学的に正しいからと言って、人々が受け入れてくれるわけではありません。たとえば原発もそうですね。科学的には、現状では原発を使用するのがベストの選択だと言えても、多くの人はそれを受け入れません。科学的な根拠なしに、感情的に反発しているのです。

ミドリムシも同様で、どれだけ科学的に素晴らしいものだと訴えても、青虫や芋虫をイメージされて嫌われていると、受け入れてはもらえないのです。信頼できる大手企業が共同出資しているとか、そういう感情に訴えるものが必要なのでしょう。

それを、世間の連中は頭が悪いと批判したところで、ミドリムシによって世界を救うという夢が実現されるわけではありません。感情的に共感してもらうための方策も実施することが重要なのです。


しかし思い切って銀行を辞めて、夜行バスに乗ってミドリムシの研究者を日本じゅう訪ね歩いているうちに、いつしかある一つの確信がめばえてきた。
 それは、「いま世界で、自分ほど、ミドリムシについて真剣に考えている人間はいないはずだ」という思いだった。技術的にはまだどうなるかわからなかったし、経営者として自分に適性があるかもまったく自信がなかったが、「ミドリムシについては世界で自分が1番だ」という思いは、揺らぐことがなかった。
」(p.232)

初めてのことを成し遂げようとする時、能力とか資質が重視されがちですが、本当は情熱こそが重要なのだと思います。初めて行うのですから、困難なことは当たり前。それでも推し進めていくには、情熱という推進力が必要なのです。

実際、出雲さんも、ライブドア・ショックの後で事業を継続することを決めた時、この確信が後押ししてくれたと感じているようです。できるという根拠はなくても、やりたいという思いが強ければ、人は前に進めるのです。


私はこの本を、自分のことと重ねながら読みました。レイキを広めたいという思いを持ちながら、「どこまで情熱を持っているのか?」、「どこまで本気でやろうとしているのか?」ということを、自分自身に問うたのです。まだ本気度が足りない。まだ環境や他人のせいにしている部分がある。反省することしきりです。

この本は、これから起業したいという人はもちろんですが、ささいなことでも何かを始めたい、挑戦したいと考えている人に、いろいろ気づかせてくれるものがあると思います。

僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。
 

posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 21:48 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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