池間哲郎(いけま・てつろう)さんの本を読みました。池間さんの本は、以前に「懸命に生きる子どもたち」と「日本はなぜアジアの国々から愛されるのか」を紹介しています。NPO法人アジアチャイルドサポートの代表理事として支援活動の陣頭指揮をされる一方で、年間200回もの講演をされています。
Facebookでお見かけして、いつもいいことを言われているなぁと思って興味を持ったのが、池間さんを知ったきっかけです。書店の「読書のすすめ」でも池間さんの本を勧めておられたので、この本を買ってみました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「たまたまテレビの視聴率に関するデータを見ていたのだが、驚いたことに、男女関係、不倫報道になると、「グググ〜ッ」と数字が跳ね上がる。北朝鮮がミサイルをぶっ放してもどこ吹く風。国民の多くは不倫の方に興味があるようだ。トホホ。」(p.8)
冒頭で池間さんは、このように日本国民の意識の低さを嘆きます。メディアが悪い、政治家が悪いと言うけれど、それをささえているのは国民。国民の意識が変わらない限り、メディアも政治も変わらない。おそらく池間さんには、そういう思いがあるのでしょう。だからこそ池間さんは、日本民族の素晴らしさを伝えて、もっと高い意識を持ってもらおうとしているのです。
「隣国同士はどこもかしこも仲が悪い。カンボジアはタイ、ベトナムを心底嫌う。タイはミャンマーを嫌がる。ミクロネシアのヤップはパラオに対して憎しみさえ持っている。メキシコ、カナダはアメリカを嫌い、ニュージーランドはオーストラリアに対してよき感情は持っていない。隣国同士は互いに攻め合い、奪い合った歴史があるからだ。それでも、喧嘩しながらも付き合っていく。これが外交だと思う。隣国と仲良くという幻想は、なくした方がいい。」(p.21)
隣国なのだから韓国や中国、北朝鮮と仲良くすべしと考えている人への警鐘です。隣人同士は仲良くした方がいいでしょうけど、国同士となると、なかなか難しいものがありますね。
「日本を貶める戦略もほとんどが成功している。作り話の「南京大虐殺」は世界に定着した。「日本は悪の国、侵略国家、日本人は残虐」とのイメージが世界に刷り込まれている。
だからどうするかが問題だ。
日本もチャイナのように強(したた)かにならねばと思う。」(p.26)
たしかに、韓国や中国を見ていると、明らかな嘘を堂々と吹聴しています。さも真実であるかのように、何度も何度も発信しています。だから慰安婦問題も、南京大虐殺も、その根拠が乏しいにも関わらず、世界に広まっているのです。
特に小説とか映画、TVドラマの中で、さりげなくそういう話を混ぜられると、「やっぱりそうなんだ」と人は思ってしまいます。タイでも中国の映画が放送されますが、たいていひどいことをする日本軍や、悪い日本人が登場します。竹島や尖閣諸島の領有権でも、中国や韓国の多くの人は、根拠もなく自分たちのものだと信じています。宣伝の力というのは大きいのです。
「30年近くの支援活動の経験で、教育がいかに大事かを身に染みて感じている。教育があればこそ希望が湧いて来ると断言してよい。」(p.55)
子どもの教育こそが、その国が自立するための力になる。私もそう思います。またその教育によって、自国を愛し、祖先を尊敬する人が育たなければ、亡国の道を進むことになるでしょう。
「かなり昔のことだが、日本人であることに自信と誇りを失いかけていた頃、この言葉に出合い、泣いた。
タイ国元首相ククリット・プラモート氏がタイの有力紙に寄稿された文章だ。
「日本のおかげでアジアのすべての諸国は独立した。日本というお母さんは難産をして母体を損なったが、生まれた子供はすくすくと育っている。今日、東南アジア諸国民が米・英と対等に話ができるのは、いったい誰のおかげであるか。それは身を殺して仁をなした日本というお母さんがあったためである。12月8日(真珠湾攻撃の日)は我々に、この重大な思想を示してくれたお母さんが身を賭して重大決意をされた日である。我々は、この日を忘れてはならない」」(p.72)
このことは、私もつい数年前まで知りませんでした。けれども、白人国家に蹂躙されていた東南アジアでは、日本のお陰で独立できたという思いを持つ人が多いのです。日本の戦争目的の1つは、アジアの解放でした。日本は戦争には負けましたが、戦争目的は達成したのです。
「「日本嫌いの台湾人がいてもしかるべし」と自分は思う。だが「多くの台湾人は我が国を愛している」と大声で叫びたい。東日本大震災における義援金は、世界でダントツ1位の220億円あまり。誰に聞いても「私も募金したよ。日本が困っている時は助けるよ」と語る。ありがたい国である。」(p.88 - 89)
台湾の烏山頭ダム建設や灌漑整備を行った八田與一氏は、台湾人の多くから尊敬されている日本人の1人です。その銅像の首が切り落とされるという事件がありました。戦後にやってきた国民党の時代に日本を貶める教育を徹底したので、その影響かもしれないと、台湾のお年寄りたちは言われたそうです。しかし、多くのお年寄りは日本が大好きで、尊敬していると池間さんは言います。そのことが、日本の支配の実態を物語っているのです。
「約30年間の日本統治の歴史を持つパラオの人々は日本が大好きだ。子供たちも「日本は最高だよ」と笑顔を見せる。日本時代の教育を受けた先輩方も「日本は素晴らしかった」と口々に語り、若者たちも「日本人は真面目で誠実だ」と絶賛する。日本統治時代は悲惨だった。苦しめられた。虐殺されたなどと口にする人はほとんどいない。」(p.92 - 93)
パラオでは、お年寄りの多くが日本語を話せるそうです。台湾と同じですね。また、タロウ、ハナコなどの日本語名を感じさせる言葉を名前の一部にしている人も多いとか。今もなお、パラオの言葉には1500もの日本語がそのまま残っていて、使われているそうです。
このように言うと、現地の言葉を禁止して日本語を強制したと思われがちですが、実態は違います。特に台湾では、少数民族もたくさんあったため、共通の言語がありません。しかも、日本人教師がいきなり現地の言葉を習得するのも大変です。ですから、まず教育を与えることを優先して、日本語による教育を始めたのです。
「チュークで最高の日本名を持つ30代前半の青年とも遭遇した。彼の名前は「愛してるよ」だ。」(p.113)
ミクロネシア連邦のチューク諸島は、当時はトラック諸島と呼ばれた地域です。人口6万人の約3割が、日本人の血を引いているとか。日本軍が進駐したことで、日本人と結婚する人も多かったのでしょう。それがレイプでないことは、チュークの人々の親日度を見ればわかります。チュークでも500ほどの日本語がそのまま使われていて、「こんにちは」「ありがとう」などの挨拶も通じるそうです。
「「ガンジーの非暴力運動で独立なんかできるワケがない。インド国民軍、ボースの戦いがあったからこそ、イギリスの魔の手から逃れることができた」と断言する人も多かった。街や村にはチャンドラ・ボースの銅像が至る所に立ち、肖像画が掲げられている。
そのインドの英雄を助けたのが我が日本だったのである。」(p.120)
昭和18年、東京で、近代史上初の有色人種国家のみの首脳会議、大東亜会議が開催されたそうです。そこで日本政府は、ボースに対して軍事的支援を約束し、インパール作戦が決行されたのです。
つまり、インパール作戦は「宇宙戦艦ヤマト」だったのです。成功の可能性は低い。それでも誰かがやらなければならない。イギリスを追い出してインドが独立するために、日本の力が必要だと言われたら、漢なら立ち上がらないわけにはいかないでしょう。無謀な作戦を遂行したのは、大東亜戦争の大義を遂行するためだったのです。
インパール作戦そのものは日本が敗れました。そして、共に戦ったインド国民軍の兵士たちは、イギリスによって弾劾され、上層部には銃殺刑が降されたのです。ところが、国の英雄たちが処刑されることに怒ったインドの人々が各地で暴動を起こしたため、イギリスは統治することを諦めざるを得ませんでした。1947年8月15日、インドは独立したのです。
戦争で勝ち取った独立ではありませんが、ガンジーの非暴力による抵抗だけが独立に導いたのではないのです。そして、インドの人びとを怒らせる原因を作ったのは、日本と共に戦ったインパール作戦だったのです。
「山奥に暮らす85歳の爺ちゃんにも、
「日本兵の中には食料を奪い、女性に乱暴をはたらく者がいたのでは?」
と聞くと、
「オーッ! 何てことを言うんだ。とんでもない。日本の兵士たちは立派だった」
と悲しげに答えた。」(p.124 - 125)
インパールから約30kmほど離れた山村に行って、池間さんは進駐した日本軍が残虐な行為をしたのではないかと尋ねたそうです。まず最初に、そうやって残虐行為があったかもしれないという前提で質問をするのが、池間さんのやり方だそうです。しかし、多くの地域ではそんな日本兵はいなかったと言われたそうです。
「某公共放送局は、2017年8月15日に、インパール作戦の「戦慄の記録」に関する番組を放送した。
たしかに、戦時中ゆえに人道に悖(もと)る行為をした日本兵もいたであろう。だが、そんな日本兵は一部に過ぎない。ほとんどの日本男児は紳士だった。私がインパールで出会った人々は、全員が日本兵を賞賛し、尊敬していた。現場に足を運び、土地の先輩方と直接話してきただけに、戦前の日本を悪と断罪する番組に対しては、胸が張り裂けるほどの悲しみを感じる。」(p.126)
私は番組を見ていませんが、何度も現地に足を運んでいる池間さんは、残虐行為はほとんどないと言い切ります。公共放送であるなら、一部を切り取って大きく示すのではなく、全容を適切に報道すべきだろうと思います。少なくとも池間さんのような方の意見も、番組に入れるべきではなかったかと。
※NHKのインパール作戦の番組内容には、次のような指摘があります。ぜひ、両方を見て判断していただきたいです。
「NHKスペシャル「インパール作戦」とメディアの戦争責任」(『メディアの権力』を監視する)
「NHKスペシャル「インパール作戦」。大事なことを報じない視野の狭いタコツボ史観そのもののNHK。」(さくらの花びらの「日本人よ、誇りを持とう」)
「戦略、戦術なき戦いだったと言われるインパール作戦で、多くの日本兵が亡くなった。あろうことか半分以上は病死と餓死だったという。日本兵はフラフラと亡霊のように逃げ回る。イギリス軍は日本兵を皆殺しにしろと追い回す。その時、先人たちを助けてくれたのがバゴーやエヤワディの人々だった。」(p.166)
敗走の兵も、多くは残虐な行為をしていないと池間さんは言います。ミャンマー(当時のビルマ)でも、現地の人びとから助けられています。それは、あの戦争がアジアを解放する戦争だったことを意味しています。実際ミャンマーの人びとは、ビルマ独立のために奔走した日本人、鈴木敬司大佐をボモージョ(雷帝)と呼んで、いまだに敬愛しているそうです。
「我が国は世界的に見ると不思議な国。自国を守る軍人を尊敬しない唯一の国。50ヵ国を超える異国を200回あまり訪ねて来たからこそ分かる。どこの国へ行っても軍人は尊敬されていた。自衛隊を罵倒し、非難する日本国民もいると聞く。情けないかぎりだ。」(p.190)
これは私も同感です。タイでは、軍人はとても尊敬されます。もちろん、正しいことをする人ばかりではありません。でも、全体的には尊敬されます。日本の自衛隊員は、おそらく戦前の軍人に勝るとも劣らぬほど、素晴らしい人たちだと思います。
そして日本ではこれまで、自衛隊の活躍の場は主に災害時の救助復興活動でした。東日本大震災での活躍は、誰もが知るところです。さらに沖縄では、離島の救急医療にも貢献しているそうです。どんな嵐でもヘリコプターで救助に向かう。これまでに、何人かが殉職されているそうです。それなのに日本人から罵倒される。何ともやるせない気持ちになります。
この本のタイトルからすると、もっと多くの世界の真実が書かれているかのように感じられるのですが、実際はそうではありません。大きく2つのことが示されています。1つ目は、日本人は、日本は戦争でひどいことをしたという自虐史観を植え付けられていますが、世界はそうは思っていないということ。2つ目は、日本は自分たちが日本を守ろうという気概もなく、愛国心と言うだけで好戦的とみなされるけれど、世界は自国は自分たちで守るという気概があり、それが当然だということ。この2つを示すために、様々な事例を上げておられるのです。
そういう意味では、これまでに紹介した本の内容と、それほど違うものではありません。ただ、こういうことはある意味で情報戦なのです。嘘も100回言えば真実になるというように、真実も語られなければ忘れられるのです。ですから、日本人の多くが知らないことを、情報発信し続ける必要があるのだと思います。
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