かっこちゃんこと山元加津子さんの本を読みました。フォトブックという感じですね。これは先月、「読書のすすめ」へ行った時に見つけたもの。般若心経をかっこちゃんがどう解釈しているのか、とても興味が湧きました。
フォトブックということもあり、47ページの薄い本です。最初に見開きで、「宇宙(そら)の約束」と題された般若心経の心訳の全文が載っています。次のページからは、素敵な写真とともにその一節ずつが紹介されているという体裁です。最後に、かっこちゃんがどうしてこの心訳に至ったか、その経緯が書かれていました。
かっこちゃんは、とても不思議な方です。私のような理屈っぽいタイプではないのですが、深遠なことを疑問に感じ、それを心で理解しているような感じです。かっこちゃんが出会った養護学校の子どもたちや、同僚の先生方、そして動植物たちが、かっこちゃんにいろいろ教えてくれるようです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「忘れないでね
大切なのは
心の目と心の耳をすますこと
そして自分を信じること」(p.6)
答えはすでにあるのです。だから、心の目と耳をよーく澄ませていれば、必ず答えは与えられる。そう自分を信じることが大切なのです。
「私とあなた あなたとお花 お花と石ころ
みんな同じ
同じものでできている」(p.14)
般若心経では「色即是空 空即是色(しきそくぜくう くうそくぜしき)」と言っています。かっこちゃんは、「空(くう)」がすべての素であり、「同じもの」だと表現しています。
同じものが、約束によって光が当たって私になり、あなたになり、花や石になっただけ。すべては同じものなのです。
「でもね
忘れちゃいけないの
約束には無駄がなく
必要なものだけを
いつもちゃんと作ってる
花がそこに咲くことは
それが大切だという証(あかし)
私がここにあることは
それが必要だという証」(p.19)
存在しているのは、それが大切だから。必要のないものは何も存在しないのです。だから、いろいろなことがあったとしても、そのままに受け止めればいいのだと言います。
「怖がらなくてもいいんだよ
悲しまなくてもいいんだよ
だってすべてがだいじょうぶ
すべてがみんなだいじょうぶ」(p.25)
すべてが必要で大切なもので、そのままに存在していてOKなのであれば、もう怖がる必要はありません。不安にならなくていいのです。大丈夫だから、安心していればいい。それが般若心経のメッセージなのですね。
「学校の子供たちはいつも「だれもがみんな素敵な存在で、みんなが自分のことを大好きでいいんだよ」と教えてくれます。私は般若心経に書かれた宇宙の”約束”が、子供たちの教えてくれていることと同じだと信じています。
そして般若心経だけでなく、哲学でも科学でもそして他の宗教でもまた、同じことが言われているように思います。」(p.45)
かっこちゃんが一緒にいるのは、「ダメな人間」と思われがちな自閉症など障害を持った子どもたち。しかしかっこちゃんは、彼らが深遠なことを教えてくれていると言うのです。
子どもたちは、おそらく人間的に純粋であるために、より宇宙(天)とつながっているのではないかと思います。かっこちゃんの文章を読むと、そういうふうに感じるのです。
かっこちゃんは、私とはまったく違ったタイプの方ですが、なぜだかとっても好きになります。それだけかっこちゃん自身が、ピュアな心を持った方だからではないかと思うのです。
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