2017年09月29日

感動は心の扉をひらく



「読書のすすめ」で買ってきた椋鳩十(むく・はとじゅう)さんの本を読みました。と言っても小説などではなく、1981年に行われた講演の講演録です。椋さんは動物を題材にした物語を多数書かれていて、「母と子の二十分間読書運動」という運動を提唱されたことなどで有名です。

お名前はよく覚えているのですが、私はほとんど作品を読んだ記憶がありません。おそらく小学校のころ、何冊かは読んだと思うのですが、タイトルを見ても思い出せません。この本を読んで、いつか代表作を読んでみようかという気持ちになりました。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

ところが、人間というのは、全部個性がある。全部個性が強い。
 動物に与えたものは、一つのものに、同じ種類のものに同じ力しか与えておらん、全部。ところが人間はね、人間としての力を与えられておる。
」(p.16)

普段から動物をよく観察しておられるだけに、その違いが目につくのだそうです。動物は個体ごとの差がそれほどないけれど、人はまったく違うのです。同じ歌うのが上手だとしても、まったく違う声を出すことができると。

ですから、人には必ず何らかの才能があると言います。しかし、それが何かは、子どもをよく知っている母親でもわからないそうです。その才能が発現されて初めて、その才能があったことがわかるのです。


その才能を出さないようにする方法があると言います。

子供にね、「おれはだめだ」という気持ちをしっかり植えつけるんです。そういう劣等感を与えるんです。」(p.26)

自分で自分をダメだと信じていると、その才能が発揮されないのですね。


なぜ子どもは劣等感を抱くのか? それは、周りが「おまえはダメだ」とよってたかって言うからだそうです。特に母親の影響は大きくて、完全に信じ込んでしまいます。

おれはだめかなあと思っているときに、お母さんが自分の歴史から述べて、(笑)おまえはだめだぞと証明してくれる。子供の心の中には、「おれはだめかなあ」という気持ちがズブズブズブッと深くなる。」(p.40)

これは、椋鳩十さん自身もついやってしまうと言われます。

ところがこれはね、人間の業(ごう)なんですよ。人間というやつはね、子弟関係であろうと、親子であろうと、夫婦であろうと、恋人どうしであろうと、愛情が深ければ深いほど、お互いに傷つけ合うという性質を持って生まれてきてるんです、どんな人間でも。」(p.47)

愛情が深いほど相手のことが心配になり、つい上手く行かないことを予想してしまう。そういうものかもしれませんね。


では、どうすればこの劣等感から逃れることができるでしょう? それは、「心を変える」より他に方法はないと言います。そして、心を変えるものは「感動」だと言われるのです。

感動というやつは、人間の心を変えるんです。感動は心の中に起こる地震ですよ。心の底からぐーっとひっくり返していく。
 そうして、どちらへ向けるかというと、感動の方向に向かって、人の心を変えていくんです。すばらしい方向に人の心を変えていくんです。すばらしい感動を受けなかったら、人の心は変わりませんよ。
」(p.53)


この本のサブタイトルは、「しらくも君の運命を変えたものは?」となっています。これは、椋さんの小学校のころの劣等生でみんなからも嫌われていた友人「しらくも君」が、今では農業指導者として立派になっていたというエピソードからきています。

しらくも君は、当時の先生からも見放されるくらいの劣等生でした。それが大人になり、子どもが生まれたのですが、その子も自分と同じように劣等生でした。それでしらくも君は、何とか子どもの心に火をつけようとして、あることをします。

それが読書だったのです。そのしらくも君のエピソードを紹介しながら、感動のために読書が重要だと言われるのです。


人間というのは、何に出会い、何に感動するかということが大事だね。特に本の感動というやつは大きい。
 みなさん方も、子供が小さい小さいときには、よく本を読んでやってください。
」(p.80)

子どものために読み聞かせをすること。これが大事だと言います。そしてドイツでは、子どもが中学生でも読み聞かせをするのだそうです。


最後に、あるお母さんの「親子二十分読書」の事例が紹介されています。お子さんは高校生だそうです。

一人のお母さんは、トルストイの「戦争と平和」を読んでもらうことにした。世界に有名な大長編ですよ。こんな厚いやつが三冊。それを高校に上がったときの記念にして、上がったときから三年かかって読んでもらうことにした。」(p.83)

つまり、お子さんに少しずつ本を読んでもらったのですね。世界的に有名で感動的なトルストイの大長編。普通ならなかなか読めないような本ですが、お母さんのために読んでもらうことにして、実は子どもに本を読ませ、感動を与えようとしたのです。

こういう読書をすれば、本の内容に対する感動もあるでしょうけど、親子間で愛情の交流ができますから、そういう感動もあるように思います。


私も、もし母が何か本を読んで聞かせてくれと言ったなら、喜んで読んだように思います。人は、誰かの役に立てると思えば、嬉しくなるものですから。

本を読むことが感動を増やすことにつながり、その感動が劣等感から自分を救ってくれる。良い本をたくさん読むためにも、親子で読書をするというのは、良いことだと思います。

感動は心の扉をひらく
 
タグ: 椋鳩十
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 20:25 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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