2017年09月26日

ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み



元経営者として、とても気になるタイトルだったので買ってみました。著者は株式会社日本レーザー社長の近藤宣之氏です。赤字の連続で倒産寸前の同社に親会社から派遣されて社長に。そこから起死回生の黒字化を果たし、23年連続で黒字を続ける企業に育てました。

その過程で近藤氏は、プライベートも含めて7回も崖っぷちを味わったそうです。どういう方法を用いて逆境を乗り越え、また黒字を定着させるためにどういう仕組みを作ったのか、とても気になります。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

人を大切にして、社員のモチベーションを上げない限り、会社を発展させることはできません。
 つまり、モチベーションが9割ではなく、10割なのです!
」(p.34)

もっとも重要なのは社員のモチベーションで、しかもそれが10割だと言います。それさえできれば、あとは大した問題ではないということですね。


社員の中に、「何があっても、どんな状況に陥っても、この会社は自分と家族を守ってくれる」という実感があるからこそ、安心して力を発揮できる。私はそう思っています。」(p.40)

同社では、病気などで出勤できなくなっても在宅勤務をさせたり、勤務形態を柔軟に変えたりして、社員を雇用し続けるのだそうです。ここでは、亡くなられた元社員の息子さんを、会社で預かって自習させるという例もあげています。


私は、「笑顔ほど、人の心を開かせるものはない」と思っていて、40年以上前から心に決めていることがあります。

「よい報告は笑顔で聞く。トラブルなどの悪い報告は、もっと笑顔で聞く」
」(p.53)

社員が気兼ねなく報告できるようにするには、上司が必ず笑顔で聞くことが重要だと言います。それが仮に上司に対する一方的なクレームであったとしても、まずは「よく言ってくれた」と笑顔で受け入れてきたと近藤氏は言います。

また、笑顔でいるのも能力だから、訓練次第でどうにでもなるし、能力を鍛えたなら手当まで支給するという徹底ぶりです。単に笑顔でいましょうという掛け声だけではないのですね。


会社は、「社員が仕事を通じて成長する場」であり、会社の成長は社員の成長によって決まります。
 だから社長は、「社員教育」を徹底して、社員の成長を促す必要があります。
」(p.74)

社員教育の重要性は、よく言われることです。近藤氏は、社長自らが時間を割いて行うべきだと言います。

なぜなら、「こういう会社にしたい」「こういう社員になってほしい」という「社長の思い」を浸透させることが、社員教育の本質だからです。」(p.74)

近藤氏は社長塾などを開いて、社員教育を徹底したそうです。


どんな理由があろうと、「赤字は犯罪」です。
 なぜなら、会社が赤字になれば、雇用不安を引き起こすからです。
 環境が変化しても、社員が努力すれば利益を生む構造をつくるのが、社長の仕事です。
」(p.105)

赤字になれば給料も払えない。これはよく言われることですが、どっちが主体かと言えば、給料を払って雇用することだと近藤氏は言います。利益を出すことは、その手段に過ぎないのです。

近藤氏は、日本ではリストラの肩たたき役をやったり、アメリカでは支社の閉鎖を行ったりしています。それだけに、「雇用」ということに強いこだわりを持っておられるようです。


私は、「中小企業は、社長第一主義が正しい」と考えています。
 社長第一主義とは、「経営の目的は社長が決めていい」ということです。
「どのような会社にしたいのか」「社員にはどうあってほしいのか」は、すべて社長が決めます。
」(p.118)

経営方針は、社長の一存で決める。それが社長第一主義です。合議する必要性はないのです。一方で、その社長第一主義で決める経営方針は、社員第一主義でなければならないとも言います。


私は、雇用を守るために、絶対に赤字にしない仕組みづくりに注力しています。
 ですが、「すぐれた仕組み」だけでは「人を大切にする会社」をつくることはできません。「仕組み」よりも大切なのは、
「すぐれた社風をつくること」
 です。
」(p.121 - 122)

仕組み(ルール)ではなく、社員全体の気持ちが重要だと近藤氏は言います。人事評価や社員教育の仕組みよりも、社長の思いをいかに社員に浸透させるか。それが重要なのです。


社員を動かす原動力は、次の「3つ」です。

 @「言いたいことが何でも言える明るい風土がある」
 A「社員が会社から大事にされていると実感している」
 B「会社は自分のものだという当事者意識を持てる」

 この3つが整っていれば、社員は辞めません。
」(p.132)

この3つをどう実現するか。それは社長や上司の笑顔、実力主義ながら透明性のある人事評価、などを行っているそうです。ただそれも、近藤氏から言わせれば仕組みや方法論の前に、社長の思いであり、それを伝える熱意だということになるのでしょう。


ですから、「孫の相手をしているよりは仕事をしていたい」とか、「年金がしきゅうされるまでの少しの間、お金を稼ぎたい」という人は採用しません。」(p.163)

同社では、定年後も再雇用をし、現在は70歳まで働ける仕組みがあるとか。これを将来的には80歳までにしたいと思われているようです。ただし、高齢者には「人生の最後の献身をしてほしい」という思いがあり、後輩を育てるという意気込みのない人は採用しないと言います。

しかし、その前に契約更新を拒否したり、会社都合の解雇をしたことが一度もないと言っているのですが、それと矛盾するようにも思います。社長の思いを理解しない社員をどうするのか? それが、一番頭の痛いところなのですから、それを切り捨てるなら、同じことのようにも思うのです。


評価は、役員が行います。「全役員が全社員の全項目について評価する」のが決まりです。その後、役員間の合意によって評価ランクが確定します。」(p.198)

5人の役員が50人以上の社員の評価をするのですね。しかし、実際に経営に携わった者として、すべての社員を見られるのか疑問です。特に自分の担当外の社員の詳細な評価を、正しく判定できるでしょうか?

評価後は、必ず担当役員が本人と30〜40分の面接を行い、直接説明をしています。」(p.198)

こうやって本人の自己評価とすり合わせることが重要だと言います。そして同社では、自己評価より会社の評価の方が高いケースが多いと言います。それは「毎日、クレドを読んでいるから」だと言います。会社が求めているものがわかるから、そうなるのだと。

これもサラッと聞けばそうだなと思えますが、実際に経営に携わった者としては、やや疑問です。どれだけ会社の方針を伝えても、それに従わない社員がいました。また、他の社員と比較して、自分の方が絶対に上だと言い張る社員もいました。そういう不満を持つ社員がまったくいないというのは、どうにも信じられないのです。


身も蓋もないことを言えば、「世の中は、思いどおりにいかないもの」です。
「どうしてこんなことが……」と、受け入れがたい苦難や、試練や、逆風や、困難に見舞われることがあります。

 こんなとき、「すでに起きてしまったこと」を恨んだり、悩んだりしても仕方がない。「すべては必然であった」「起こるべくして起きた」と、受け入れるしかありません。
」(p.221)

思い通りにならない困難も、それは自分を磨く砥石になります。ですから、起きたことをクヨクヨせず受け入れ、そこからどうするかを考えることですね。これは、7回もあった逆境を乗り越えてきたという近藤氏の言葉だけに、説得力があります。


私は、大きな試練にぶつかるたび、父の言葉を思い出し、
「遠回りこそ、人生の最短ルートである」
と、自分に言い聞かせています。
」(p.234)

遠回りすることが自分の底力を養ってくれる。ですから遠回りをしたときは、損したとか無駄なことをしたと考えずに、これで良かったのだと受け入れることですね。


もうひとつ、とても大切な条件がある
 それは『運』だ。神様を味方につけた人だけが成功するんだ
」(p.236)

これは近藤氏のボストン時代の友人の言葉だそうです。アメリカ人は慈善活動を通して神への感謝を捧げることで、運の巡りを良くしているのだそうです。神頼み的ですが、神に感謝するということが大切なのでしょう。


実際に倒産の危機を救って23年も黒字を続けているのですから、これがそうなるための秘訣を表しているのでしょう。ただ、この本を読むだけでは、どこにそれほどのパワーがあるのかがよくわかりません。

たしかにある程度年齢が高くなれば、解雇されることは大変なことです。しかし若い世代には、転職して自分を磨いたり、より良い待遇を得たいという気持ちもあるでしょう。それなのに、雇用が一番というところが、イマイチよくわからないところです。

これはおそらく、近藤氏の経験がそうさせているのではないかと思います。これからもし労働市場が柔軟化して転職が容易になっていけば、雇用よりも待遇ということにならないでしょうか?


そういうことも可能性としては考えられると思います。しかし、社員を大切にするということは、決して甘やかすことではなく、信頼して力をつけさせることだという考え方には賛同します。

私自身は経営者としては上手くいったとは言えません。今後また、そういう立場になるかどうかはわかりませんが、グループの中でリーダーがどう振る舞うべきかという点で、とても参考になる本だと思いました。

ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 12:26 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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