2017年09月24日

天使で大地はいっぱいだ



これはFacebookの誰かの投稿にこの本の写真があり、気になって買ったものです。表紙の絵もそうですが、それ以上にタイトルに惹かれたのです。その投稿は、この本の内容とは関係なく、ジャケ買いしたというものだったのですけどね。

作者は後藤竜二氏、絵は市川禎男氏です。1967年に出版された講談社の児童文学創作シリーズの1冊になります。そうそうたる肩書がありますね。「講談社児童文学新人賞受賞作」「全国学校図書館協議会・必読図書」「全国学校図書館協議会・課題図書」とあり、小学上級からお勧めの本のようです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。ただしこれは小説ですから、簡単にあらすじを書きますね。

主人公は小学校6年生になったサブ。家は農家で、おばあさん、両親、3人のお兄さん、妹の8人家族です。それほど成績優秀ではありませんが、わんぱくなガキ大将といった感じです。担任は若い音楽の先生でキリコ。最初はキリコを嫌っていたサブですが、徐々に好きになっていきます。

物語は、サブとその友だちとの関係を中心に展開していきます。最後は、自殺未遂の青年を助け、その青年との関わりなども書かれています。どこへ行き着くわけでもなサブの日常が描かれていますが、北海道の大自然の中で農業を手伝いながらたくましく育つサブの姿を追っている感じです。


これはいつものことなんだけど、話してるうちに、だんだんじぶんの頭の中が整理されてくるんだ。教えてほしいから話すんじゃない。きいてほしいから、ぼくらは話すんだ。このへんをまちがえられると、ほんとに頭にきちゃうんだな。」(p.81)

何か教えを受けたから人生がころりと変わるものではないとサブは言います。大人びたサブの様子が感じられますね。


もっとわたしたちは、プライドを持たなきゃだめ。みんながわらったって、みんながほめてくれなくたって、じぶんの努力をじぶんでわらってはいけないわ。じぶんの努力は、じぶんだけが知っているものよ。だれにもわかってもらわなくてもいいものなんだわ。でも、じぶんでだけは知っていなくちゃいけないのよ。それがかけがえのないほど、たいせつなものであるということをね。」(p.88)

キリコ先生の言葉です。他人の評価で自分の努力を測ってはいけないと、生徒たちを諭します。


車がきたら、アオバはでていかなきゃならなかった。役にたたないものはすてられていく。−−すると、人間以上に役だつロボットができれば、ロボットは人間を追いだすだろうかと考え、ぞっとした。」(p.99)

中古のトラックを買った後、サブたちが学校に行っている間に、世話をしていた馬のアオバは屠畜所に連れて行かれました。役に立たないものは捨てられるのが必然なのか? なかなか考えさせられる場面です。

似たような経験は私にもあります。拾ってきた子犬を、学校に行っている間に保健所に連れて行かれたことがありました。たしかに、「捨ててこい」と親から言われて従わなかった私が悪いのでしょうけど。他には、罠で捕まえた鳩が、晩の食卓に焼鳥になって出てきたことも。足が折れていたので、どうせ死ぬのだからと。

こういう出来事は、どっちが正しいではなく、深く考えさせられる出来事として心に残ります。何とも割り切れない思いを抱くことも、また成長に欠かせないのかもしれません。


ぼくらにはね、勝ち負けなんてはっきりしたものは、ほんといったらありゃしないんだ。おとながそんなもの、かってに考えてるだけなんじゃないのかな。そりゃ、勝ったり負けたり、しょっちゅうぼくらはしてるけど、まいにちまいにち戦っているのがおもしろいだけなのさ。勝ったり負けたりなんてふりかえってみればどうでもいいことなんだ。戦争なんて、とんだおかどちがいさ。人を殺してなにがたのしいもんか。」(p.119)

勝つことにこだわっているのではなく、勝ち負けのゲームを楽しんでいるのだとサブは言います。殺し合って最後に生き残って、それで何が楽しいのかと問いかけるのです。


この本の中に、特に結論のようなことは書かれていません。主人公の少年が日常の中で、様々なことを感じて生活をしていますが、その思いを共有することで自分も何かを考える。そういう感じの小説です。

それにしてもこのタイトルは、いったいどういう意味なのでしょうね? 少なくとも小説の中に、タイトルを伺わせるような話は出てきません。

強いて考えるなら、北海道の大地を舞台に生き生きと暮らす少年たちがキラキラと輝いて、まるで天使のように見えるという感じなのでしょうか。大人の目線から見れば、そうなのかもしれませんね。ただこれは少年少女向けの小説という位置づけなので、その点からすると、ちょっと違和感を感じます。

天使で大地はいっぱいだ
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 22:40 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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