今回も「『心を育てる』感動コミックシリーズ」の本(マンガ)を読みました。これは、この前に紹介した「植松電機T」を買った時、プレゼントとしてつけてもらった本です。
かっこちゃんというのは山元加津子さんのこと。障害児教育をされている方ですが、とても魅力的な方なのです。ちょっと(かなり?)おっちょこちょいですが、心がとてもピュアなのです。だからでしょうか、子どもたちからとても好かれています。それどころか、強面のヤーさんからも好かれてしまうかっこちゃんなのです。
この本にも、これまで紹介した「本当のことだから」、「1/4の奇跡」、「僕のうしろに道はできる」、「大切な花を心にひとつ」で出てきたエピソードが紹介されていました。すでに知っていることなのに、読みながら大泣きしてしまいましたよ。改めてかっこちゃんの本を読んでみたい、という気持ちになりました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「「極道の世界の人間を世間は
とてつもなく悪い人のように言う」
「けれどもこの世界は
人を生まれや育ちでは
差別しないんです。
そういうことは抜きにしている」
「みんなつらい苦しい思いをして
他の者からバカにされ、
差別されてきたんです。
つまり、いわれのない差別を受けた者が
この世界に入ってくるのです」
「言うなれば社会が
僕らや若い衆を
作ったんです」」
(p.64)
電車内で、ヤクザっぽい人が若者に対して怒り、殴っていた場面にかっこちゃんは出くわしました。その時、かっこちゃんはとっさに、ヤクザっぽい人を抱きしめて、こう言ったのです。
「大丈夫です
怖くないから
大丈夫です!」
(p.53)
普通なら、殴られている若者に言うべき言葉のように感じますが、かっこちゃんは殴っている方にそう言いました。なぜなら、障害者のクラスでは、障害者が暴れることがよくあったからです。その時かっこちゃんは、障害者の子がつらそうにしていると感じるのだとか。それでよく、「大丈夫だよ」と言って、抱きしめていたそうです。
ヤクザっぽい人はかっこちゃんから抱きしめられ、ポロポロと涙をこぼしました。怒っている方は、実は傷ついているのですね。
次の引用は少し長いですが、MSという発作の度にだんだんと体が動かなくなる病気の雪絵ちゃんの詩です。
「「ありがとう」
ありがとう、
私決めていることがあるの。
この目が物をうつさなくなったら目に、
そしてこの足が動かなくなったら、足に
「ありがとう」って言おうって決めているの。
今まで見えにくい目が一生懸命見よう、見ようと
してくれて、私を喜ばせてくれたんだもん。
いっぱいいろんな物、素敵な物見せてくれた。
夜の道も暗いのにがんばってくれた。
足もそう。
私のために信じられないほど歩いてくれた。
一緒にいっぱいいろんなところへ行った。
私を一日でも長く、喜ばせようとして
目も足もがんばってくれた。
なのに、見えなくなったり、歩けなくなったとき
「なんでよ!」なんて言ってはあまりだと思う。
今まで弱い弱い目、足がどれだけ私を強く強くしてくれたか。
だからちゃんと「ありがとう」って言うの。
大好きな目、足だから
こんなに弱いけど大好きだから
「ありがとう。もういいよ。休もうね」
って言ってあげるの。
たぶんだれよりもうーんと
疲れていると思うので……。」
(p.119 - 121)
かっこちゃんは雪絵ちゃんから、たくさんのことを教わったと言います。そして、雪絵ちゃんから使命を託されました。障害や病気がとても大切で、人々の役に立っているのだということを世界中に知らしめること。それが雪絵ちゃんの望みであり、かっこちゃんの使命となったのです。
すぐに忘れ物をしたり、車をぶつけたり、電車の乗り換えが上手くできなかったりするかっこちゃん。そんなダメダメな部分を丸ごと受け入れ、いつも明るいかっこちゃんをみんなが助けます。
才能があるから立派なことができるのではありません。やると決めて一歩を踏み出すことで、すべてがその決意を応援しようとするのです。
私も、かっこちゃんを応援しています。このコミック、また改めて買い直しました。母校の中学校に寄贈したいと思います。そして、まだ読んでいなかったかっこちゃんの本も注文しました。かっこちゃんの、そして雪絵ちゃんの望みが叶いますように。
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