2017年07月22日

本日、サービスデー



朱川湊人(しゅかわ・みなと)さんの本を読みました。これは小説ですが、本と同名タイトルの中編と、「蒼い岸辺にて」など短編を4つ合わせたものになっています。

「蒼い岸辺にて」は、2017年5月6日のNHKラジオ第1の「ラジオ文芸館」で朗読放送されたようです。帯に書かれていました。


これを購入したきっかけは、また「みやざき中央新聞」で紹介されていたからです。2017年6月26日発行の記念すべき2700号の社説「生きなきゃ生かせない資源がある」の中です。社説を書かれたのは、魂の編集長・水谷謹人さん

社説の中では、まず日本の自殺の現状を紹介します。かつて年間3万人を越え、1日あたり90人もの人が自ら命を絶っていましたが、最近は50人くらいにまで減ったのだとか。それでもまだまだ自殺者が多い現状を嘆きます。

そして、ようやく豊かさと自由が手に入る時代になったのだから、見方を変えることで、もう少しがんばってみようよと語りかけるのです。その一例として、「蒼い岸辺にて」という短編小説を紹介しています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

「それもありますけど……本当は違うんです。あれだけ事件や犯罪に関係したものを見て、先生も感じませんでしたか? 殺す方なり殺される方なり、誰でも簡単に、どちらかの立場になってしまうんだなぁって」
 なるほど、確かにそうだ。
 明日、自分は誰かを殺してしまうかもしれない。あるいは誰かに殺されてしまうかもしれない。その可能性がゼロだと言える人間は、きっとこの世にはいない。
」(「東京しあわせクラブ」p.173)

主人公は作家先生。編集者の紹介で出会った飛鳥ちゃんから、秘密クラブに出品するために作家先生の持ち物を貸してくれと言います。それは、過去の事件や犯罪にまつわる何か。それを見せ合うクラブだったのです。その時の飛鳥ちゃんのセリフと作家先生の心の中が、上記のように書かれています。

事件を丹念に見ていけば、もし自分が犯人の立場だったら同じことをしたかもしれない、と私も思います。私自身が誰かを殺めていないのは、紙一重だと感じるからです。そして、被害者になる可能性はもっと高いでしょう。

そういう想像ができるかどうかで、他者への共感や現状への感謝などができるのではないか? そう思うのです。


「私に彼氏? そんなのできるわけないでしょ……私なんてブスだしデブだし」
「ブスでデブ? それって悪いことなのかね……長い間、ここで亡者ばっかり相手にしてきた俺に言わせれば、おまえなんか、けっこう健康的でいいと思うけどね。まぁ、本人が言うんだから、きっとブスでデブなんだろうなぁ。本人が決めちまったら、誰にもそれは引っくり返せねぇから」
」(「蒼い岸辺にて」p.289)

自分の将来を悲観して自殺した早織。その早織と三途の川の渡し守の男の会話です。

考え方は人それぞれです。自分がこうだと決めたものが、自分の真実になります。もし、「今はそう思っているけど、そうではないかもしれない・・・」という考えを頭の片隅に置いておけば、もっと柔軟に他人の考えを受け入れられるし、自分が変わるのも容易になるでしょうね。


小説の中では、寿命が尽きる前に自殺した人には未来ゴミがある、と言います。生きていれば体験できたであろう未来です。男は早織の未来ゴミを捨てながら、それを早織に語ります。1年後に彼氏ができる予定だったのだと。

しかし、その彼氏は二股をかけて早織を捨てると言います。早織は、やっぱり自分はそんな運命なのだと思います。

でも、別の角度で見れば、こいつもおまえの人生には必要だったらしいな。おまえはこいつに振られたのをバネにして、きっついダイエットに挑戦したり、化粧の勉強に精を出すことになる。それで生まれ変わったみたいにキレイになって、このバカがよりを戻そうと言ってきたのを、今度はこっちから振るってことになってたらしい」(「蒼い岸辺にて」p.289 - 290)

「禍福は糾える縄の如し」とか「人間万事塞翁が馬」などと言いますが、何が幸いするかはわかりません。そして何が幸いしたかがわかるのは、寿命が尽きるまで生きた人なのですね。


いや、違う。才能の差は、努力じゃ越えられない。才能は神さまに愛された人だけが持っているもので、自分みたいなダメなヤツには与えられないのだ。
「おまえがそう思うなら、それでいいんじゃねぇ? 才能のないヤツは、みーんな負け犬。それで納得できるなら、楽なもんだ。どうにか人間に生まれて、せっかくもらった何十年かの命を、そう思い続けて過ごしたって悪いこたぁねぇさ。人間、何でも自由だよ」
」(「蒼い岸辺にて」p.292 - 293)

どう考えるかは、それぞれの自由です。どっちが絶対的に正しいというものではありません。

重要なのは、どう考えれば自分らしいか、ということではないかと思います。幸せでいたいのであれば、どう考えれば幸せか、ということです。


本のタイトルでもある「本日、サービスデー」も、とても読み応えがありました。解説にもありましたが、朱川さんの小説は、「もし・・・だったら?」という内容の話なのですね。

「もし・・・だったら?」と考えてみると想像力が鍛えられて、いろいろな見方ができるようになると思います。見方を変えることが、自分らしく生きることにつながるのです。

本日、サービスデー
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 13:20 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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