2017年07月14日

ヤッさん



これも何かで紹介された本だと思いますが、誰がどこで紹介してくださったのかすっかり忘れています。原宏一(はら・こういち)さんの小説なのですね。2009年には単行本として出版され、2012年に文庫本化されています。

帯に「連続ドラマ化! テレビ東京系 金曜8時のドラマ」と書かれていたのですが、調べてみると昨年(2016年)の話でした。


では、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。まずはネタバレにならないよう、概要を書くことにしますね。

主人公は、ヤッさんというよりタカオです。転落人生でついにホームレスになったタカオは、ヤッさんと出会うことで誇りを持ってホームレスをするようになります。

ヤッさんは、ホームレスの哲学というものを持っていて、ホームレスの矜持を持たなければいけないと言います。

ホームレスってのは都会の恩恵を受けて生きてんだ。都会っていう恵まれた環境に生かしてもらってんだ。その幸せに感謝の心ってもんを持たなきゃいけねえだろうが。だから毎日きちんと身づくろいして、すくなくとも堅気の方々に不快感を与えるようなことがあっちゃならねえんだ。わかったかっ」(p.9)

ヤッさんからそうどやされたタカオは、ヤッさんに弟子入りしてついていくことになりました。こうして、ヤス&タカのコンビ(師弟)が生まれるのです。


ヤッさんは、築地の仲買人など仕入先と、東京のレストランなど料理人とを結びつける、という活動をしています。そうすることで、互いに成り立つようになる。いわば流通の仲介役、潤滑油のような働きです。

そうすることで重宝がられ、まかない飯などをご馳走になりながら生きています。お金や食べ物を恵んでもらっているわけではないのです。

そういう中で、様々な事件が起こります。これは、ヤッさんとタカオがその事件を解決していくという物語です。


ある時、仲買人の正ちゃんたちから、しばらく顔を出さないでくれと言われることがありました。これまでの関係からすれば、何か事情があるのでしょう。けれど、誰もそれを語ってくれません。

タカオはイライラしてきます。自分たちの仲は、その程度のものだったのかと感じたのです。一方、ヤッさんは穏やかに引き下がります。その態度が、またタカオをいらだたせるのです。

おまえってやつは、まだおれの考えがわからねえのかっ。ホームレスは家も財産も仕事も持ってねえが、唯一、矜持だけは持ってなきゃならねえと、最初に言っただろうが。だから正ちゃんたちとの付き合いも人間対人間の付き合いだ。そこんとこだけは勘違いすんじゃねえぞっ」(p.187)

無理に扉をこじ開けようとするタカオと、徹底的に相手を信頼するヤッさんと、まだ少し考え方に隔たりがあるのですね。


この小説は完全にフィクションですから、ただ読み物として読んでみても楽しめます。一方で、豊洲移転問題など、ホットな社会問題も扱われていて、それぞれの立場の考えを理解する上でも役立つでしょう。

このヤッさんのシリーズは、何冊かあるようです。その登場人物は、おそらくまた変わっていくのでしょう。ただし、ヤッさん以外です。ヤッさんの人間的な魅力に引き込まれてしまう作品です。

ヤッさん
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 17:20 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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