もう6年前になるでしょうか。箱根ブランディング合宿で同室になった大平信孝さんの4冊目の本を読みました。今回は奥様の大平朝子さんも共著になっています。
以前に紹介したのは、「本気で変わりたい人の 行動イノベーション」と「今すぐ変わりたい人の行動イノベーション」と「「続けられない自分」を変える本」です。
友人と呼べるほど親しい関係ではありませんが、それでも同じ部屋に泊まり、将来を語り合った仲。そういう人がベストセラー作家になっているというのは、何となく誇らしい気持ちになります。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「ダラダラしてしまうのは、何もあなたが悪いわけではありません。
あなたがダラダラしてしまうのには、ちゃんとした理由があります。
じつは、あなたが「コントロールできないものをコントロールしようとする」から、気疲れしたり、心が折れたりしてしまって、仕事がはかどらないのです。」(P.5)
冒頭でこのように説明しています。ついダラダラして行動できないのは、本来コントロールできるものに意識を向けず、他のことを考えているからですね。
ですから、対策は簡単です。コントロールできることに意識を向けるよう、工夫すれば良いのです。
「では、「適度な緊張」を保つために、具体的にどうしたらいいのか?
適度な緊張を保つ手段は3つあります。私は、これを「緊張スイッチ」と呼んでいます。次にあげる「3つの緊張スイッチ」のうちのどれか1つをオンにするだけで、適度な緊張を作ることができます。
@緊張を緩める(ユルメル)
A緊張を高める(タカメル)
B気持ちを切り替える(キリカエ)」(P.33)
緊張が高すぎるプレッシャーも、緩すぎるダラダラも、仕事に集中するのにふさわしくありません。また、適度な緊張感があっても長過ぎてマンネリ化すれば、こても効率が下がります。ですから、適度な緊張の持続を目指す必要があるのです。
そのための方法を大きく分けると、上記の3つになるのですね。ここで紹介する全部で50個のルーティン(小さくて簡単にできる行動習慣)は、上記の3つに分類して紹介してある、というわけです。
「ポイントは、会社のためでも、お客さんのためでもない、あなた自身の自己投資のために時間を使うこと、個人的に興味があって、あなたの理想の未来につながることに、1分間集中して取り組むことです。
1分間経過したところで気分がよければそのまま続け、気分が乗らなければスパッとやめればいいのです。」(P.60)
これは6番目の「タカメル」のルーティンにある「通勤電車で時間を持て余すときは「1分間勉強」する」に書かれています。
このように、ルーティンは簡単で、ハードルが低いものになっています。1分間の勉強で何ができるのかと否定的に考える人は、結局何もしません。しかし、とりあえずやってみるという人は、1分のつもりが10分になったりして、日々の時間を合わせると、かなりの勉強時間を確保したりもするのです。
ですから、簡単だから、ハードルが低いから、無意味とは言えないのです。まず第一歩を踏み出してみる。そこから始めることですね。
「以上をふまえて、出勤時にたった5秒で、仕事のパフォーマンスを上げられるルーティンをご紹介します。「オフィスの入口で、(オフィスという場に)お辞儀をする」です。
オフィス(という場)に対して挨拶することで、アウェイ感が減り、オフィスがホームに近づきます。」(P.70)
これは9番目の「ユルメル」のルーティンです。オフィスがホームになれば、緊張せずにマイペースで仕事ができますからね。
実はこれに似たことを、私はやっていました。それは、一番最初に出勤してオフィスの鍵を開けるというものです。これでオフィスが完全に私の居場所になりました。ついでに机の上を拭いたり、こっそり社長の椅子に座ってみたりもしましたけどね。(笑)
野球などでは、グランドに入る時に帽子を取ってグランドに挨拶します。それは礼儀でもありましたが、そこに愛着を感じる一因になっているようにも思います。
このようなルーティンが50個紹介されています。そして最後に、ルーティンに関してこう言っています。
「ルーティンは、自分で決めた行動の積み重ね。ルーティンを活用することで、あなたがコントロールできるものにフォーカスできるようになります。その結果、あなたの人生に主体的な流れが生まれるのです。」(p.218)
ルーティンそのものは簡単で、実行するのにハードルが低いものばかりです。しかし、その目的は大きなことを行うことにあるのではなく、コントロールできないものから自分でコントロールできるものへと、意識を向け変えることあります。
この本にも書かれていますが、この50個をすべて行う必要はありません。それに、この通りに実行する必要もないと思います。自分に合うもの、必要なものを選んで、あるいは自分で工夫して、ルーティンとしてやればよいと思います。
そうすることで、日々の単調な生活にもマンネリせず、また進歩がないことに将来を悲観せず、やるべきことを淡々とやれるようになる。それがルーティンの力だと感じました。
なかなか思った通りにやれないと感じている方には、ぜひお勧めしたい本だと思います。

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