2017年04月22日

母という病



野口嘉則さんのオンラインセミナーで勧められていた本(新書版)を読みました。著者は精神科医の岡田尊司(おかだ・たかし)氏です。

タイトルからは少しわかりづらいかもしれませんが、本の帯にこう書かれています。「母親という十字架に苦しんでいる人へ。」つまり、母親が原因で精神的に苦しんでいる人に、楽になる生き方を提供するものです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

でも、それは当たり前のことだ。子どもは、母親の愛を求めるという本性をもって生まれてくるから。
 子どもの何よりもの願いは、母親に愛されたいということだから。
 それが得られないと、生涯にわたって、それを求め、そこにこだわり続けることになる。それは悲しいまでの定めだ。
」(p.11)

すでに大人になった人であっても、子どものころ母親から愛されたかったという気持ちを持ち続けると言います。それはどんなに表面的に否定してみても、否定しきれないもの。だから「本性」だと言うのです。


母親に愛されたいがゆえに、子どもは母親の期待することに応えようとする。
 しかし、いつまでもその関係を続けることは、子どもが自分自身を確立し、自立していくというプロセスを妨げてしまう。
」(p.12)

子どもの本性として母親から愛されたいと思い、そのために母親の期待に応えようとする。けれども、そうしていると自立ができなくなるのですね。それこそが、まさに「母という病」なのです。


母という病は、単に親子関係の問題ではない。
 それが重要なのは、母親との関係がしっくりいかないということが、決して、母親との関係だけに留まらず、人生全体を左右する問題だからだ。
」(p.18)

母親との関係が、その後の人生での人間関係にも影響する。それによって、人生全体が影響を受けるのです。


これまで母という病のネガティブな側面を中心にみてきた。しかし、幸いなことに、母という病を抱えるということは、決してマイナス面ばかりではない。」(p.60)

母親から愛されなくて育つことは、決してマイナスばかりではないと言います。つらい人生かもしれませんが、それだからこそ開花する才能もあるのです。たとえば、ジョン・レノン氏の音楽の才能も、母親との関係があったからだと言っています。(詳細は本をご覧ください。)


基本的安心感とは、世界や自分といったものを無条件に信じることができることだ。基本的安心感がしっかり備わっている人は、何が起ころうとどうにかなると、未来を信じることができる。誰かが助けてくれると、楽観していられる。」(p.74)

必ず助けが来ると信じること。これが重要だと、本田健さんの小説「ユダヤ人大富豪の教え」の中にも書かれていました。この本では、心理学的な面からそう言っていますが、「脳の分子レベルの研究から」も、裏付けられていると書かれています。ただ詳細な説明はないので、何とも言えませんが。


母という病を抱えた人は、安全基地をもたないがゆえに、手近に得られる慰みに依存してしまいやすい。安らげる港を、手っ取り早い仕方で求めてしまう。過食や買い物、アルコールや薬物といったものは、そのありふれた候補だと言える。対人関係や不安定な恋愛に次々のめり込むことも多い。それによって、激しい刺激や刹那的な満足を得ることで、つかの間でも、不安な気持ちを忘れようとする。」(p.132)

薬物依存などの依存症が問題になりますが、その原因は、実は「母という病」にあるのだと言います。心に安全基地がないため、常に不安にさらされているからですね。


母という病を抱えた人は、大きく二つに分かれる。小さい頃から何かと問題を起こして親を困らせていたか、逆に、手のかからない良い子で、「反抗期がなかった」と言うくらい、見かけ上、母親との関係が良かったか。
 早くから問題が出るケースは、それだけ問題が深刻なことが多いが、必ずしも、結果が悪いわけではない。問題を噴出させることで、否応なしに親がかかわるようになり、状況が改善し、大人になった頃には、だいぶ落ち着いているというケースも少なくない。
 良い子を続けてきたケースの場合は、一見問題はそれほど深刻でないかのように思える。しかし、長年我慢し、問題の噴出を遅らせた分だけ、ダメージが広がり、取り戻すのが容易でない面もある。
」(p.243 - 244)

いわゆる不良少年や非行に走るケースと、逆に良い子になるケースがあるそうです。そして、より深刻なのは、良い子になるケースなのですね。


まだ子どもの場合には、親が変わると、子どもは劇的に変わる。もう大人になっている場合には、もう少し時間がかかり、傷の深さによっても違ってくるが、親が本気で考えや行動を変えた場合には、大きな変化が現れる。
 だが、親が自分の非を顧みず、子どものせいだけにして、変わろうとしない場合には、回復の過程はより難しいものとなる。残念ながら、こうしたケースの方が多いのが実情だろう。
」(p.244 - 245)

「母という病」は、親が変われば治るということです。それも、早ければ早いうちに変われば、より効果的だと言うことですね。


逆らったことのない母親と激論を戦わして、それでも母親が受け入れてくれないと、宮崎は悔しさで、涙さえ流すこともあったという。そのぶつかりあいと涙が、宮崎がずっと我慢していた何かを吹っ切るうえで重要だったように思える。それは親の支配を脱し、自分自身のアイデンティティを確立する大きな一歩ともなったはずだ。」(p.264 - 265)

これは映画監督の宮ア駿氏の話です。彼もまた「母という病」を引きずっていたようです。前のジョン・レノン氏の例もありますが、この病によって才能が開花することがあるのですね。


顔を合わせれば傷つけられるか、振り回されるかという状況が繰り返される場合、親とかかわりあうことは、余計に子どもを不安定にし、問題をこじらせていく。母という病が深刻な場合ほど、こうしたことが起きがちだ。
 その場合、悪循環を防いで安定を取り戻し、自己確立を遂げていくためには、母親から適度な距離をとることが必要になる。
」(p.265 - 266)

前に、親が変われば子どもの状態は改善するという話がありました。しかし実際は、親が変わるのを待っていても、なかなか難しいものがあります。そこで、側にいて振り回されるくらいなら、いっそのこと距離を置いた方がよいと言うのです。

私は、母親に振り回されていたというほどのことはないのですが、やはり親からの影響があって、内向的な性格になっていたと思います。それが改善されたのは、大学に通うために一人暮らしを始めたことが大きいと思っています。強制的にでも離れると、変化が現れるようです。


そもそも自立という関門は、ある意味、母親に見切りをつけるプロセスだと言える。それは、なかなかつらいことだ。後ろ髪をひかれる思いに駆られる。たっぷり甘えて、愛情をもらった人の方が、この関門を容易に通過できるのだが、母親に愛されなかった人ほど、未練が強くなる。」(p.271)

母親に愛されたいのに愛されないという経験は、母親への依存を生じさせます。だからなかなか親離れできないのですね。


自己否定を抱えた人ほど、それから逃れるために、理想的なもの、完璧なものを求めようとする。完璧な自分は、良い自分。不完全な自分は、悪い自分。その二つしかないのだ。」(p.278)

自分に自信がないと、完全主義者になりがちです。完全にできることしかやらないのです。失敗する(=不完全)ことが怖いから。

自分で自分を否定しているので、他者からの評価を必要としています。そういう子どもにとって、他者から(特に母親から)否定されるということは、耐えられないことなのです。だから完璧を求めるのですね。


「良い子」に未練があるのは、親に愛されたいから。だが「良い子」の自分に縛られる限り、親の支配を脱することはできない。自立した大人にはなれない。
「悪い子」の自分も、また大切な自分だということ。「悪い子」の自分を受け入れたとき、人は一人前に一歩近づく。
」(p.279)

親に依存している限り、自立はできません。自立するには、親への依存を断ち切ることです。それは、親の評価に左右されないで、ありのままの自分をすべて受け入れることなのです。


母親から愛情をもらえず、母という病を抱えた人は、しばしば自分が誰かの親代わりの存在になることで、自分に得られなかったものを他人に与え、それによって自分の抱えた傷を乗り越えようとする。本来は母親から優しい愛情と世話を与えられることによって育まれる愛着を、自分が小さな存在に対して母親の役目を行うことによって育み直そうとする。」(p.290)

母親から愛されなくて「母という病」を抱えた場合、後にパートナーやカウンセラーの支援を得たとしても、その病を克服するのは困難だと言います。では、どうするのか?

それが、自分が他の誰かを愛することなのですね。対象は、子どもであったり、ペットであったりします。自分が与えられなかった愛情を、他者にたっぷりと与えることで、自分の傷が癒えるのです。


母という病に苦しんできた人は、大抵否定されたり、傷つけられたりした人なので、何気ない素振りや意味のない表情にも、敵意や怒りを感じてしまう。いつも自分が恐れてきたものが、見えてしまうのだ。
 余計なことに傷つかないためには、どうしたらいいだろう。
 その一つは、自分に言い聞かせる言葉を使うことだ。たとえば、「他のことに気を取られていたんだ。別に意味はない」と言い聞かせる。
」(p.299)

私にも経験があります。ある時、数人で座っていたのですが、エアコンの風が当たって寒かったので、そう言いながら席を移ったのです。すると後から隣りにいた人が、「私のことが嫌いだから逃げた」と言って泣き出しました。その人からすると、何気ない私の行為の中に敵意を感じたのでしょう。

私にそういう意図がなかったのは明らかです。出来事は同じでも、解釈は複数あります。だから、自分はそう感じるかもしれないけど、他の見方もあるということを知っておくことが重要ですね。そして、そのことを自分で自分に言い聞かせるのです。


そこまで何もかも知り、事実と向き合うことで、彼女は母親を許すことができたのだ。その事実は、決して彼女にとって都合の良いことばかりではなかった。それでも、母親という人間を客観的に理解することによって、自分が受けた傷の意味を知り、それを乗り越えることができたのだ。
 だが、何よりも、彼女が母親を許すことができたのは、彼女がそうすることを望んでいたからだろう。
 子どもは、親を怨みたくなどないのだ。本当は、母親を許したいのだ。その手がかりが欲しいのだ。
」(p.312)

ジェーン・フォンダさんの例です。彼女は、母親の診療記録まで取り寄せて調べ上げ、母親がどういう人生を過ごしたのかを客観的に理解しようとしたのです。そのことによって、母親もまた弱い1人の人間だと認めることができて、母親への怨みを手放せたのでしょう。

後半にあるように、どんなに恨んでいても、子どもは母親を愛したいものなのですね。憎み続けたくはないのです。許したいのです。それだけに、なんだか切なくなります。

子どもは親を許したい。親のことを恨んで暮らしたくなんかない。恨み続けることは、否定を抱えながら生きるようなものだからだ。自分の一番大切だった人を否定するということほど、悲しいことはない。」(p.315)


親に対する否定的な思いが薄らいでいくにつれて、他の人に対しても、思いやりをもち、優しくなれるようになる。
 また、自分に対する否定的な思いも薄らいでいき、肯定的な思いが高まっていく。
 親に対する否定的なとらわれが、自分に対しても、他者に対しても、否定的な気持ちを生み出していたのだということに気づくだろう。
」(p.317)

「母という病」は、母親との関係だけでなく、他者との人間関係にも影響を及ぼします。それは、その病が自分への評価(自信)に影響しているからで、その自分への評価が他者との間に反映されるのです。


そして、ある日、まるで自分を蝕んでいた害毒が、透明な結晶となって固まり、取り出されるように、心から剥がれ落ちる。
 そのときには、自分を苦しめてきたものさえも、特別に大切な宝物になっているだろう。その苦しみさえも、今の自分となるために不可欠なものだと、受け入れられる時がくる。
」(p.317)

愛されない苦しみ、自分を信じられない苦しみがあったからこそ、本当の愛を知ることになるかもしれません。そうなった時、その苦しみこそが自分を育ててくれたと知るのですね。そして、愛してくれなかった母親にも、心から感謝したくなるのです。


社会の近代化は、母親と子どもを孤立させ、子どもが母親から支配されやすい状況を生んだ。母親は忙しすぎて、子どもにかかわる暇も十分になかったり、不在がちな父親に代わって、子どもを厳しく指導しなければならない。だが、そんなスーパーマンのような母親を子どもは求めているだろうか。子どもは、明るく優しく、困ったときに、そっと寄り添ってくれるお母さんでいてほしいだけではないのか。
 豊かで快適になったはずの社会は、子どもから、本来の母親を奪ってしまってきたように思える。それが、母という病の増加をもたらしている大きな原因ではないだろうか。
」(p.321)

経済的に発展して豊かになった一方で、母親が忙しくなったことが、「母という病」の増加の原因だと主張します。たしかに、そういう一面もあるかもしれませんね。


母親から愛されないことが、様々なことに影響してくる。このことは、私も感じていました。この本では、多くの実例、特に有名人の例をあげながら、「母という病」の影響を解説しています。

本の帯に「読むカウンセリングとして大反響!」と書かれています。たしかにこの本を読むと、自分の心の内が理解されたような気がして、満たされた気持ちになるかもしれませんね。

母という病
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 16:07 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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