これも昔話の絵本です。作者は浜田広介氏と、絵はつちだのぶこ氏です。
話の詳細は、言い伝えや作者によって違いがあるようです。しかし、大筋はだいたい同じです。話の大筋を以下に書いておきます。
人間と仲良くなりたかった心優しい赤鬼ですが、人間はなかなか信じてくれません。そんな時、親友の青鬼が尋ねてきて、妙策を授けてくれました。
それは、青鬼が村で暴れるので、そこに赤鬼が現れて青鬼をとっちめて追い払う芝居を打つというもの。そうすれば、赤鬼は優しくて信用できると村人が思うから、人間と仲良くなれるというものでした。
さっそくその策の通りにやってみると、村人たちは赤鬼に感謝し、親しくなることができました。赤鬼は大喜びです。
ところが、親友の青鬼が、まったくやってこなくなりました。赤鬼が心配して青鬼の家に行くと、置き手紙がありました。
そこには、こんなことが書かれていました。「ボクはこれから旅に出ます。なぜなら、もしキミ(赤鬼)と会っているところを村人に見られたら、キミが疑われてしまうからです。もうキミとは会えません。村人たちと仲良く、楽しく暮らしてください。」
その手紙を読んだ赤鬼は、ひとしきり泣いたのでした。
この物語から、どんなことが学べるでしょうか?
青鬼の友情を称えることもできます。本当の友情を失った赤鬼のようにならないように、という戒めともとれます。赤鬼を信用しなかったために、赤鬼にも青鬼にも悲しい思いをさせたという、村人の狭量さを示しているとも言えるでしょう。
この物語の良いところは、どれが正解だと示していないことだと思います。読み手によって、どうにでも受け取ることができます。だからこそ、大人になっても心に残っている、味わい深い物語になっているように思います。
こういう素敵な物語を、子どもたちにも読んでもらいたいです。そう思って、この本を買いました。

【本の紹介の最新記事】