歯科医の中城基雄(なかじょう・もとお)氏の本を読みました。歯科医が健康全体を語るのですから、歯や口腔と身体の関係かと思っていましたが、まったく違いました。
ついでに言うと、このタイトルもいささかあてが外れました。たとえば「特別なやり方で歯を磨く習慣を身につければ健康になれる」というようなものかと思っていたのですが、まったく違う意味での習慣だったからです。このことは、またあとで書きましょう。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「私が30年以上にわたり、のべ数万人の口腔を治療し、この10年で「歯の治療を終えると、なぜか全身の病気まで治る歯科医院」と噂されるまでに至った知見から、結論を申し上げましょう。
血液の状態
体液の流れ
自律神経
右に挙げた3つに生じた異常が、病気や不調を呼びます。」(p.1 - 2)
つまり、病気の原因は上記の3つの異常に集約されるということです。逆に言えば、この異常を正せば健康になるということですね。
「これからお伝えするのは、病院に通うことなく、誰もがいつでもどこでも血液の状態、体液の流れ、自律神経の異常を知ることで病気や不調を遠ざけ、今後気をつけるべき症状までわかるようになる方法です。
もちろん、あなたの体だけでなく、ご家族や友人、知人などの体内で知らぬ間に起きた異変にだって、いち早く気づけます。
さらには、初対面の人の体質や性格の傾向まで把握できるようになるのです。」(p.2)
先程の3つの異常を早く発見し、正しく対処できれば、病気を防いだり健康を維持することが可能になります。そのための方法が、この本には書かれているということです。しかし、医師でもないのに、そんな見立てが簡単にできるようになるものでしょうか?
「でも、これからご紹介する方法なら、その3つの状態を、誰でも、いつでも簡単にチェックできるようになります。
その方法とは。
ズバリ「みる」ことです。」(p.7 - 8)
ただぼんやり眺めるのではなく、ポイントをしっかりと見る必要があると言います。そのポイントが、この本で示されているのです。
ここまでが、「はじめに」に書かれていることです。ここから本編に入りますが、そこにはどこをどのように見るかが詳細に書かれています。たしかに、このように「みる」なら、正しい見立てができるのかもしれません。
しかし、「それはちょっと難しいんじゃないかな?」という気もします。たとえば顔が赤いとか青いとか黒いなど、色をどこまで正確に見分けられるでしょうか? 中城氏は、そういう意識を持って10年以上も患者を見てきたから、わかるようになったのではないかと思うのです。
たくさんの人を見て、判断し、確認することを繰り返すことで、その判断力が身についたのだと思います。ですから、素人がすぐに簡単にできることとは思えません。
もちろん、始めなければ上達しないわけですから、始めて続けさえすれば、同じように見立てられるようになるかもしれません。それが「みる」というたった1つの習慣を身につければ、病気を防げるということになるのでしょう。
「もうひとつは歯科医師として、どうしてもお伝えしたいことです。
なんだと思いますか?
それは、よく噛むこと。あまりにシンプルで誰でもできそうなので「本当に元気になるの?」「それくらいで健康になるなら、誰でもやっているよ」と思うかもしれません。ですが「誰でもできる」と思うだけで実践しないから、自ら健康を遠ざける人があとを絶たないのです。」(p.121)
これは私も同感です。実際、わたしの母は、よく噛むことを実践して、結核を治した実績がありますから。たった1つの習慣は、こちらの方ではないかと感じるくらいです。
「みる」ポイントは実に多彩で、その対処方法も様々にあります。本をざっと読んだくらいでは覚えられないし、いつも本を手元に置きながら自分や家族の状態を「みる」ということは、なかなか難しいだろうと思います。
ですが、それでも「みる」ということは基本だろうと思います。いつも見ていて、何か変化に気づいたら、改めて本を開いて探してみる。そういう使い方であれば、まだやりやすいかと思いました。
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