ひすいこたろうさんの本を読みました。「見方」を変えれば幸せになれると説くひすいさんの考えを、そのままタイトルにしたような本です。各章がお題になっていて、それについて解答を考えさせるスタイルになっています。
2014年11月に出版された本ですが、ちょうどひすいさんが作家になられて10年だったのだそうです。10年間で30冊の本を世に送り出してこられたひすいさんの、集大成とも言える本のようです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
最初に、目の錯覚を示す絵を紹介します。よくあるどっちが長いか?という絵ですね。
「あなたが正しいと認識していることも、案外、そうでなかったりするんです。
まずは自分は、物事を正しく、ありのままに見ていないという事実を認識してください。
そのうえであえて断言しましょう。
その”いい加減”な見方を”良い加減”に変えて見ればいいのです。」(p.4)
正しく見ようとしても、目は勝手に錯覚してしまいます。それなら最初から、いい加減な見方しかしていないと認識していればいいのですね。
その上で、どうせいい加減な見方をしているのだから、いっそのこと自分が楽しくなるような見方をすれば良い、ということなのです。それがこの本のテーマなのですね。
作詞家の秋元康氏は、ロサンゼルスでタクシーから降りた時、犬の糞を踏んでしまったそうです。その瞬間、自分は運がいいと思ったのだとか。そんなことが起こる確率は滅多にないのに、それが自分に起こったからだそうです。
「自分は運があると思えばいいだけなんです」(p.40)
考え方は人それぞれですが、どうせ考えるなら自分が楽しくなるように考えればいい。斎藤一人さんも、何があっても「ツイてる!」と言えばいいのだと言っています。
「運がいいと思えるということは、実は、思考による革命が起きていることになるのです。
運がいいということは、自分の向かう未来は、☓(バツ)ではなく○(マル)だと思えるからです。だって運がいいんですから。」(p.41)
自分は運がいいと思っている人は、自分の未来を良いものと決めているのですね。
日本一の大投資家、竹田和平さんの話です。和平さんの会社の社長を務めたこともある本田晃一さんは、和平さんの投資法の秘密を知りたくて、ずっと和平さんを見ていたそうです。
ところが、特別なものは何もなかったとか。ただ1つ違っていたのは、和平さんは稼ぐことよりも与えることや、喜んでもらうことばかり考えていたのだそうです。なぜ、和平さんはいつも与えようと考えられるのか? 次の和平さんの言葉を聞いた時、その秘密がわかったそうです。
「タンポポのように背の低い花は上を向いて咲いていてくれるがね。人間と背丈が同じひまわりはこっちを向いて咲いてくれるがね。高いところに咲いとる桜は下を向いて咲いてくれるがね。花はいつも人間に向かって咲いとるでよ。これ以上のありがとうは他にあるがなぁ。天は自分を愛してくれている。まずはこれに気づくことだよね」(p.10)
和平さんは、他の人が気付かない小さな幸せにたくさん気づくことで、自分の心を満たしていました。自分が幸せいっぱいだったから、他の人に与えよう、他の人を喜ばせよう、と考えられたのですね。
また和平さんの話です。大株主の和平さんのところへは、業績を落としてしまった社長さんがお詫びに来られるそうです。その時、和平さんは、小言を言われなかったとか。その代わり、社長さんを励まされるのだそうです。
その励まし方は、「なんのための仕事なのか?」という動機を思い出させるものです。たとえば先物取引の社長さんだったら、その仕事が農家のためになっているとか、それによって日本に貢献しているなど、動機が愛であることを思い出してもらうようにするのだそうです。
「仕事というのは本来尊いものだがね。
世のため人のためになってるよね。
赤字になるというのは、
何のためにという動機を忘れてしまうからだよねぇ。
だから、動機を思い出させてあげれば
たちまち黒字に戻るがね。
動機はたいがい愛につながっとるねぇ」(p.143)
私も社長をやっていて、業績を立て直せなかった経験があります。その時は、自分の会社が生き延びることしか考えてなくて、「何のための仕事か?」という動機を忘れていたように思います。反省ですね。
江戸時代の天才占い師、水野南北氏の話です。水野氏は、人相学から始まって骨相学まで極め、95%は的中するまでになったそうです。しかし、それでも満足せずに、100%の的中を目指して50日間の断食水業という荒行をしたのだとか。そうしてたどりついた境地を、こう言ったそうです。
「人の命運は総(すべ)て食にあり」(p.178)
人相などの相ではなく、食が重要なのですね。その人の食を見れば、その人がどんな人であるか、そしてどんな運命をたどるかもわかると。そして、運を良くする法則を見つけたそうです。
「食べすぎないこと」(p.178)
私も、少食こそが究極の健康法だと思っています。これは、「「食べること、やめました」」や「食べない」健康法」、「3日食べなきゃ、7割治る!」など、多くの本で学んできたことです。空腹は幸せのサインなのですね。
経営者の鶴岡秀子さんの話です。ある時、千葉でギネスに挑戦しようとして、1000人で二人三脚というイベントを企画されたそうです。ところが、蓋を開けてみれば集まったのはわずか350人ほど。しかし、鶴岡さんは諦めずに、そこから1000人を目指されました。
とうてい諦めてもしょうがない状況ですが、諦めなければ方法が見つかるものです。集まった人に、携帯電話で家族や友だちに声をかけてもらう。サークルの仲間を呼び出してもらう。サーフィンをしていた人、買い物をしていた人に声をかけて、バスに乗せて連れてくる。最後は、町長に頼んで防災無線で宣伝。
1000人を集めるゲームを楽しむことに巻き込むことで次々と人が集まり、最終的には1009人になったそうです。
「ムリだってときに、自分に問うべき質問はこうです。
「もし、できるとしたら何をすればいいか?」
できる前提で考えるのです。
そして、いますぐできる小さなことを100個ノートに書き出して、それをかたっぱしからやるのです。」(p.193)
私たちは、最初から「ムリ」と結論を出してしまいがちです。そう結論を出すから、よい知恵が浮かばないのでしょうね。
野口嘉則さんの本にあった話が取り上げられていました。これは私もブログ記事「明日葉のおひたしとアシュタバクラの話」で紹介しています。ジャナカ王の家臣のアシュタバクラの話です。
アシュタバクラは、何が起こっても「起こることは、すべて最高でございます」としか答えなかったのです。詳細は、ブログ記事をご覧ください。
たとえそれが悲惨な出来事であっても、それを「最高のこと」と見ることもできます。
「アメリカの成功者たちへのアンケートを見ても、そのことがわかります。
彼らがあげた成功した理由のベスト3。それは……。
「病気」「倒産」「失恋」でした。」(p.232)
これは松下幸之助さんも言われてましたね。大難こそが成功の原因なのです。「人間万事塞翁が馬」ということです。
事実は1つでも、見方は無数にあります。そしてその見方は、自分で選ぶことができます。自分が自由に決められるのです。
他の人がどんな見方をするのか? 成功した人はどういう見方をしていたのか? それを知ることで、自分も自由に選べるのだと気づくことでしょう。後は、自分が見方を変えていくことですね。
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