また長いタイトルの本ですね。ひすいこたろうさんの本を読みたくなって、買った数冊のうちの1冊です。
「1秒でこの世が変わる70の答え」というサブタイトルがあるように、70の章に別れていて、それぞれケースごとに対策が書かれています。ものの見方を変えるだけで、どうやって窮地から脱出するかという実例集のような感じです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
最初は、大切なものが傷ついたときの対処法です。iPhoneを開発したジョブズ氏は、インタビュアーのiPhoneにカバーがしてあるのを見て、とても不機嫌になったそうです。
「傷つくのを嫌がって、カバーをしている人がいるけど、傷こそが、キミだけのものになった証じゃないか。傷こそ美しいのに……」(p.12)
そして、加藤諦三さんの言葉を添えます。
「事実は直接、人には影響を与えません。
事実はその人の解釈を通じて、
その人に影響を与えます」(p.12)
大切なものが傷ついたのは事実ですが、それをどう解釈するかはその人の自由です。傷こそが美しいと考える人は、そのモノに個性が生まれて、より自分らしいものになったと喜ぶのです。ダメージジーンズなども、本当は自分らしくなったことへの愛着だと思います。
次は、面白いことが起こらないと嘆いている人への文章です。お笑いの千原ジュニアさんに、いつネタ作りをするのかと尋ねたら、こう答えてくれたそうです。
「いまといえばいま、さっきと言えばさっき、これからと言えばこれから。つまり俺は、24時間お笑いのことを考えてます」(p.27)
つまり日常の中で、常にどこかにお笑いのネタがないかとアンテナを張っているのです。
「自分の心の中にあるものが見える。
それがこの世界のカラクリです。」(p.28)
自分が何に意識をフォーカスしているかによって、そういうことばかりが起こっているように感じるのです。
ですから、不平不満にフォーカスするのか、幸せにフォーカスするのか、自分が決めることが重要なのですね。
なかなかポジティブになれない人へのコラムとして、こういうことが書かれています。
「まずは、「自分の感情」を「他人」を見るように眺めます。
否定せず、ありのままの感情に寄り添ってあげます。」(p.82)
誰かを許せないという感情も、「あー、自分は今、○○さんを嫌いだと感じているんだなぁ」と眺めるのですね。これは、感情を感じきるテクニックでもあります。
そうやって、正直に、ジャッジせず、自分の感情を受け止めてあげることが重要だと言います。感情は魂の声ですから、それをしっかりと聞くことから始めることですね。
夫婦喧嘩が絶えない時のテクニックです。ある夫婦はしょっちゅう喧嘩していたのですが、あるときから奥さんが怒らなくなったのだそうです。その理由を尋ねると、夫に期待しないことにしたから、ということでした。
「「あきらめる」のそもそもの意味は、「ものの道理をしっかりとらえ、原因、結果を明らかにすること」。
つまり、あきらめるとは、明らかに眺めることをいうのです。何度言ってもできないことは、「この人はこういう人だ」と明らかに見てあげればいい。」(p.94)
文句が出るのは、まだ相手を変えようとしているからです。諦めていないのです。ですから、さっさと諦めて、期待しなければいい。相手はそういう人だと決めて、その上で自分がどうすればいいかを考えれば良いのです。
近くに、愚痴や不平不満をしょっちゅう言う人がいると、なんだか気分が滅入ってしまいます。そんな時のテクニックが紹介されています。
「いい・悪いで考えると悪人が生まれます。そこに裁きが生まれます。
そして、究極、戦争になります。
でも「趣味」「好み」だと思ったら、
ただの趣味の違いになります。」(p.101)
愚痴ばかり言う人を、そういう趣味の人だと思ってあげればいいのですね。あるいはそういう芸風なのだと。
それは良くないと善悪、正誤で考えるから苦しむのです。そう考えると、どうしても相手を変えさせなければと感じてしまいますから。
ネガティブな感情との付き合い方のコラムでは、小玉泰子さんが提唱されている「まなゆい」というものを紹介していました。
自分が感じたことを、次のフレーズにして言います。
「私は、_______と思っている自分を
受け入れ、認め、ゆるし、愛しています」(p.156)
たとえば「ムカッときた」のなら、その言葉を入れて、言ってみるのです。「私は、ムカッときたと思っている自分を受け入れ、認め、ゆるし、愛しています」という感じです。
たとえ、そう言ってみても自分を認められないと感じたとしても、その感じたことを入れて同じように言います。「私は、それでも自分を認められないと思っている自分を受け入れ、・・・」
さらにこの「まなゆい」は、自己実現にも使えるそうです。その場合は、「と思っている」を「という」に変えます。「どんな自分になりたい?」と自問して湧いてきた答を入れて、同じように言います。
このとき、たとえば「作家になりたい」と感じたら、すでに作家になった自分を受け入れるようにします。「私は、作家という自分を受け入れ、・・・」という感じです。
ひすいさんはこの「まなゆい」を、毎朝のお風呂の時間に、5〜15分くらいやっているそうです。ひすいさんがノーベル賞を贈りたいと言われるほど惚れ込んだ手法ですので、試してみる価値はあるかと思います。
自分1人が変わったくらいで世界が変わることはないよ、と感じた時の対処法です。まず、文豪ゲーテの言葉を引用します。
「人間の最大の罪は不機嫌である」(p.307)
不機嫌の連鎖によって、周りの人が不機嫌になっていきます。その実例を示しながら、こう説明します。
「不機嫌は伝染していきます。だから最大の罪なのです。
ということは……
逆にあなたがご機嫌でいることは、まわりにハッピーを投げかけているということ。
ご機嫌も伝染していくからです。
ご機嫌でいるだけで、あなたは世界の幸せの立役者なのです。」(p.308)
すぐ嫉妬してしまい、愛が足りない自分に嫌気がさす、という場合の対処法です。その答をこう言います。
「この星の70億人が、みんなそう悩んでいます。」(p.314)
つまり、そういうのは自然なこと、当たり前のことなのですね。そのことを、古代インド哲学「ベーダ」を引用して解説します。
「ベーダが説く宇宙観では、古来、この世界にはひとつなる意識しかなかったというのです。そして、そのひとつなる意識(神)は、分離することを選んだ。分離しなければ、憎しみも、嫉妬も、恐れもなかったのに、わざわざ分離を選んだのです。
なぜ神は分離を選んだのでしょうか? ベーダでは理由をこう説明しています。
「愛したかったから」」(p.315)
ひとつの意識では、自分が愛であることは知っていても、愛することはできません。愛するとは、何かから何かへの行為ですから、対象が必要なのです。ひとつの意識では対象がないので、愛することができなかったのです。
「神との対話」でも、同様のことが書かれています。この世が相対的なのは、体験するためです。自らを体験するために、この相対的な世界が創られました。
ですから、恐れも、嫉妬も、憎しみも、すべて体験すべき要素なのです。そういうものも体験した上で、愛する体験をしたい。それがひとつの意識(神)の望みなのですね。
最後の引用は、心配症で漠然とした不安を常に感じている、という人への対処法です。ここでも最初に答を、次のように言っています。
「根拠はいらない。
未来はバラ色だと
決めてしまえ。」(p.326)
福島正伸さんの逸話を取り上げて説明します。1億円の借金を背負った上に無職になった「せんちゃん」に、福島さんはこう言ったそうです。
「せんちゃん!世界を変えるときが来たね!」(p.327)
「人生が終わるような目に遭っている人こそが、
世界を変えていくんだ」(p.327)
福島さんは微塵も疑うことなく、こう信じておられるような言い方をされたそうです。これによって意識を変えた「せんちゃん」こと千田利幸さんは、今では全国から引っ張りだこの売れっ子コンサルタントになられたそうです。
どうしてそんなに人を信じることができるのか? それを福島さんに尋ねると、こう答えてくれたそうです。
「「僕は人を信じることを仕事にしたかった」
福島先生は決めているのです。自分が出会う人は、みんなすごい人なのだと。
未来は「考える」ものではなく、「決める」ものだったのです。」(p.328)
だから、根拠などは要らないから、自分でバラ色の未来だと決めてしまえばいいのです。未来は、自分が勝手に決めていいのです。
ここで紹介した以外にも、たくさんの意表を突く見方が書かれています。これを何度も読めば、見方を変えるコツが体得できるのではないでしょうか。みなさんにお勧めしたい1冊です。
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