また、犬飼ターボさんの本を読みました。この小説を読んだかどうか、あまり記憶にないのですが、おそらく読んでいるはずです。でも、すっかり忘れているので、初めて読むのと同じですね。
すでに紹介した「CHANCE チャンス」は、けっこう長い小説です。それに比べると短くて、「成功の秘法」もそれほど多くはありません。
でも、その教えは普遍的なもので、とても重要なことを言っているなぁと感じました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
その前に、ストーリーをざっと説明しますね。主人公はレキ。漁師の息子ですが、自分は漁師には向かないと感じて、商人になろうと決意し、湾岸都市という名の国を目指します。そこは、商売で栄えた都市国家だったのです。
その湾岸都市で、元大商人の賢者様と出会い、大商人になるための方法を教わります。その教えはたった1文が書かれた巻物でしたが、レキが新たなことに気づくことによって、また別の文が浮かび上がってくるのです。こうして、賢者様の教えによって、レキは大商人になっていきます。
「大商人になる秘法というのはとても簡単で単純じゃ。だが多くの商人たちが進んでいる方向とはまったく逆じゃ。それがゆえに、みんなほかのもっと難しい方法を追い求めてしまうし、ほとんどの者は教えられても信じようとはせぬ。だから大商人になるのは難しいのかもしれぬ」(p.140)
賢者様は、このようにレキに言います。賢者様が教えてくれた大商人になるための秘法の最初の一文は、「他の成功は、己の成功」というものでした。他の人が成功することを助けることが、自分の成功につながるというものだったのです。それは簡単で単純ですが、多くの人にとっては受け入れ難いようです。
「しかし、そこに書かれていないもっと深い、裏の意味もある。それは『この世の富は限られたものではなく、無限である』ということじゃ。もしそう思うならば、その者は富を分かち合うだろう。そして共存の世界に生きることになる。しかし、もし富が限られたものと思うならば、富の奪い合いを始めるだろう。」(p.144)
必要なものが十分にないというのは幻想だと、「神との対話」に書かれています。富もまた同じです。富が十分にないと思えば、それが得られないという不安に駆られ、他の人の富を奪おうとするでしょう。しかし、それが幻想だとわかれば、安心して分かち合えるのです。
短い小説ですが、とても重要なことを教えてくれるものだと思います。それは、豊かさは無限だということです。分かち合えば分かち合うほど、豊かさは増えていきます。それが信じられないから、奪い合ってしまうのです。
給料が少ないから適当に働くという考え方も、奪い合いと同じ思考です。まず先に与えれば、同等かそれ以上に返ってくる。それが、この世の真実なのだと思います。
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