今、野口嘉則さんのオンライン講座を受講していて、その課題図書としてこの本を読みました。著者は森本貴義(もりもと・たかよし)氏。プロ野球オリックスや大リーグのマリナーズでトレーナーをされていた方です。
マリナーズと言えばイチロー選手。森本氏はイチロー選手などの一流アスリートを間近に見ながら、ルーティンの重要性を感じたようです。それでサブタイトルに、「トップアスリートが実践する「ルーティン」の秘密」と書かれています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「これら日米のプロ野球の現場を通して、私はひとつのことに気づきました。それは、卓越した成功者には、特に日本人が備える「ある力」があるということです。それが「ルーティン力」です。」(p.23)
ここでルーティンの重要性と、それを日本人が基本的に持っているものと言われています。
まずルーティンですが、これは1日の習慣という意味です。何時に起きるのか、食事はいつするのか、何を食べるのかなど。特にイチロー選手はかつて、朝食は毎日カレーだったという話も伝わっています。また、グランドにどっちの足から踏み入れるかも決めていたとか。
ルーティンをすることで、平常心を養うことができ、自信を生むこともできると言います。無意識にそれができるようになると、余分なことに気が散ることもなくなりますから。
そして、ルーティンとは別に「型」というものもあると言います。1日の行動パターンをルーティンと呼ぶのに対して、ある行動ごとのパターンを型と言うのだそうです。イチロー選手の場合、打席に入って構えるまでの一連の動作を型と呼びます。
ゴルフの場合は、これも含めてルーティンと呼びますね。ティーグランドに立ってからティーショットを打つまで、流れるように同じ行動が繰り返されます。たとえば、ボールを設置して後ろから眺め、ポジションに付いてから1回素振りをして、クラブをボールに合わせて打つ、というような感じです。
これらのルーティンがどうして日本人に基本的に備わっているのかと言うと、それは「道」の考え方があるからだと言います。たとえば茶道などは、決まりきった型にしたがってお茶を点てます。このような道の考え方に慣れているので、日本人はルーティンを取り入れやすいということのようです。
「しかし、マイナスであれプラスであれ、ひとつのエネルギーに変わりはありません。その感情と向き合うことで、「自分が心から欲していること」「自分の本気度」を理解することができますし、自分を変えるエネルギーになります。」(p.93)
悔しいとか羨ましいというある意味マイナスの感情も、その背後には「本当は自分がそれをやりたい」という思いがあるのですね。ですから、そのマイナス感情を否定したり、そういう気持ちが湧いた自分を卑下するのではなく、しっかりと感情を受け止めることが重要だと言います。
特にマイナス感情には、隠された自分の願望があるので、それを前向きに受け取ることが大切なのですね。それをルーティンによって育てること。そうすることで、自分を成長させて行くことが重要です。
ルーティンは、一気に成長させる魔法の杖ではありません。コツコツと積み重ねていくことで、自分のパフォーマンスを最大にするものです。
この本には、三日坊主で続かないという人のために、上手にルーティンを作る方法も書かれています。「習慣は力」と昔から言われるように、自分のルーティンを作って、自分を最大限に生かすことを考えてみてはどうでしょうか。
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