2016年12月06日

株式会社タイムカプセル社



喜多川泰さんの本を読みました。私が本を寄贈したサロン文庫に喜多川さんの小説すべてを揃えたくて買った本の最後の1冊になります。

この本は、昨年発行されたものです。喜多川さんのデビュー10年目の記念作。最初に発行された「賢者の書」と同じディスカヴァー・トゥエンティワンからの出版になります。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。いつも言うことですが、これは物語ですから、ネタバレしない範囲でのあらすじと、ポイントのみの引用に留めます。

主人公は40歳代半ばの新井英雄。経営していた会社が破綻し、妻と娘に逃げられて、1人でだらしない生活をしていました。

生きていくには、何か仕事をしなければならない。そんな中で得られた面接に英雄は向かいます。そしてそこで採用されることになったのです。

その会社は、株式会社タイムカプセル社と言います。何年後かの自分に宛てて書いた手紙を、本人に届けることを請け負う会社です。

しかし、それはただ手紙を渡して終わりという仕事ではありませんでした。自分が出した手紙によって、受け取った本人の生き方が変わる。人生を悲観し、自暴自棄になりかけた人が、今一度、人生に立ち向かっていこうという勇気を与えられる。そのためのお手伝いをすることが、その会社の仕事でした。


俺を救ってほしい、俺をなんとかしてほしい……と思って生きてる人にとって会社は、自らを奴隷にする場にしかなりません。でも、会社を救ってあげたい、会社を何とかしたい……と思って生きている人は、決して会社の奴隷なんかじゃありませんよ。むしろ会社の救世主、ヒーローです。」(p.132)

自分がどんな意識で仕事をしているのかが重要なのですね。自分の生き方は、自分で決められるのです。


人間は放っておくと、頭の中に自分の経験をもとに新しいものを創り始めます。それがいい想像であれば『希望』と呼び、悪い想像であれば『不安』と呼びます。でも、どちらもまだ、この世に存在しない、新しいもの、自分の頭の中だけに存在するものでしかありません。それを、不安のほうだけをさも事実のように思い込んで生きるというのは、自分の中に、自分でオバケを想像して、それに怯えて生きて、実際に自分で創造して、やっぱり思ったとおりだ、と納得しているということです」(p.166)

私たちには「今」しかありません。過去は過ぎ去ったものだし、未来はまだ来ないもの。そのまだ来ないものを勝手に決めつけてしまいがちです。特に、悪い想像をしては不安になり、そうに違いないと決めつける。これをオバケと言っているのですね。

そうやって決めつけたオバケが現実になると、思った通りだと言って安心する。なんだかおかしいですよね? それならいっそのこと、希望を胸に抱いている方が良いと思います。どうせ決めつけるのであれば。


そして、良くも悪くも一瞬にして人生は転機を迎えると。一寸先は闇だし、一寸先に光がある。その連続だと。そんななかで幸せに生きるためには、今日だけを、精一杯生きるしかないような気がしてきました」(p.200)

一寸先は闇だと言いますが、必ずしも未来は闇なわけではありません。一夜にして状況が劇的に好転することもあるのです。ですから、一寸先は光だと言うこともできるのです。

そして、どちらも可能性としてあるなら、今の自分にできることは、未来を不安視するのではなく、今を精一杯生きること。結局、これに行き着くのだろうと思います。

今朝、目が覚めたということは、今日生きる意義がある、何らかの役割があるということです。無為に将来を心配するのではなく、生かされた今日を大切に生きる。それだけでいいのだと思います。


最後に作成していた書類を開くと、これから書こうとしていた内容が、箇条書きでまとめられているものでした。その最後に書いてある言葉が『それでも、誰も恨むな、人を嫌いになるな』でした」(P.215)

1986年の年の暮れに、「白虎隊」というテレビドラマがありました。その中で、国広富之さんが演じる会津藩士の神保修理が、妻子に対してこう言い残します。「誰も恨むな!」

時代は、過酷な運命を自分や家族に与えるかもしれない。しかし、それを誰か他者のせいにするのではなく、従容として受け入れる。そういう生き方を、私は素晴らしいと思います。

結局、『誰も』や『人間』の中には、僕自身、つまり自分が入っていたわけです。」(p.225)

自分を傷つけるのは、必ずしも他人ではありません。自己卑下とか罪悪感によって、自分自身を傷つけたりします。ですから、「自分を恨むな、自分を嫌いになるな」ということでもあるのですね。

ダメな自分かもしれない。でも、嫌いにならない、諦めない。それを許して受け入れる。そうすることで、自分を責めた他人をも、許して受け入れることができるようになるのです。


だから、初対面の人に、いや、会ったこともない人に、『あなた、気持ち悪いんですけど』なんて平気で書ける。ネットにそんな書き込みをする人でも、初めて会う他人に面と向かって『笑顔が下品』とか言った経験はないはずだよ。
 だから、他人がどうこうじゃない。自分がそういうのを口にしない強さを持たなきゃいけないって、ただそれだけのことだ。
」(p.223 - 224)

面と向かっては言えないことを、その人がいない場では平気で言えてしまう。その言葉が、巡り巡って本人に届くかもしれないのに。そういう想像をしてみないのが、私も含めて大多数の人なのですね。そして、そういう人がSNSなどで、会ったこともない人を平気でディスるのだと思います。

そうだからこそ、重要なのは自分がそれをしないと決断することなのだと言います。仮にそう思ったとしても、本人を目の前にして言えないことなら言わない。第三者にも漏らさない。これは、なかなか難しいことかもしれませんが、重要なことだと思いました。


主人公は、仕事で出会った人々の変化を通じて、自分自身も変化していきます。自分が新たに心の火を灯そうとするのは難しい。けれども、他の人の心に灯った火を分けてもらうことで、自分の心に火を灯すことは容易なのです。

この本は、これを読む人々の心に火を灯してくれると思います。登場する人々の心にある火を分けてもらえるからです。そして自分の心に火が灯れば、それを他の人に分け与えることができます。その連鎖が続いて行くのだろうと思うのです。

株式会社タイムカプセル社
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 18:48 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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