福島正伸さんの本を読みました。漢字ばかりの難しそうなタイトルですが、中身は意外とわかりやすいものです。「福島正伸の集大成!」と帯にあるように、福島さんの理論のすべてが含まれています。
この本は、その前に限定1000部で発売されたCD(全8巻)の内容を起こしたものです。CDはたしか、5万円くらいしたと思います。もちろん、私はそれを買いました。そして何度も聞きました。今回は、この内容を多くの人に伝えたくて、本を買ったのです。
福島さんがCDに自分の声で「真経営学」を吹き込まれたのは、ご自身がガンになられた体験があったからです。もう自分の声で語ることができなくなるかもしれないという不安の中、自分の集大成として音声を残されたかったそうです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「大事なことは、「やりたいか、やりたくないか」だけで選び、一度やると決めたことは、何があっても、決して諦めずにやり通すことです。これを最初のポリシーにしました。「成功するか、しないか」は選べませんが、「やめるか、やめないか」は選ぶことができます。そして、やめないと決めれば成功しかないのです。」(p.16)
成功の秘訣は、「始めること」と「続けること」の2つしかないと、多くの人が言っています。福島さんも、成功は意思の問題だと言われています。
「しかし、「決して諦めない、すべてから学び、成長するんだ」と決めると、不思議なことに、批判的な人の話がまったく違って聞こえてきたのです。人から言われることはすべて、糧にすればいいだけだったのです。」(p.27 - 28)
諦めないと決めれば、批判の声さえ学びになると言います。つまり、他の人がどう言うかが問題なのではなく、自分がどう考えるかだけが重要なのです。
「実は、ここにポイントがあったのです。それは、「相手の想像を超えた時、相手が変わる」ということです。諦めることなく挑戦し続け、相手が「まさかここまで」と言ってくれた時に、相手は変わるのです。
この瞬間、私の中にはすごい経営資源があることがわかりました。それは「努力」です。「努力」という無限の経営資源を使えばいいのです。相手の想像を超える努力をすれば、批判的だった人でさえ、逆に支援者になってくれるのです。」(p.31)
諦めることなく努力を重ね、他の人が「そこまでやるのか」と驚くほど続けさえすれば、批判者でも支援者に変わると言います。たしかに、感動を生むものは、想像を超えた行為なのでしょう。
「仕事は、生活のためでもありますが、本当は、人を幸せにするためのものだと思います。どのような意識や姿勢で仕事に取り組むのかによって、次の仕事が来るかどうかが決まります。人を幸せにしようと取り組んでいけば、幸せになった人が次の仕事をつくってくださいます。仕事は、繰り返していくことで、新たなつながりを生み、どんどんつながっていくものです。それは、周りの人たちの笑顔や幸せにもつながっていきます。家族の幸せにもつながっていきます。これこそが、仕事の素晴らしさではないかと思うのです。」(p.78)
何のために仕事をするのか?昔から問われる命題です。福島さんは、お金(=生活のため)はついてくるものであって、それよりも「人を幸せにする」ことが優先されると言われます。
しかし、どんなことでも常に順風満帆とはいきません。何かしらの障害に出くわすものです。それを足が速い「困難君」と、足が遅くて困難君の後ろに隠れている「感動君」の話で説明します。
「物事が、すべて順風満帆にうまくいっている時は、なかなか感動を味わうことができません。感動は、壁や問題を乗り越えていった先にあるものだからです。
ですから、困難が大きい時は、「もうダメだ…」とガッカリするのではなく、「うわあー、大きな感動君が待っているんだ!」とワクワクしてもいいと思います。」(p.81)
感動君は、ペアの困難君の大きさに比例して大きくなるのですね。ですから、壁が高ければ高いほど、乗り越えた時の感動が大きくなるのです。
「安楽の欲求は、それ自体、決して悪いことではありません。しかし、楽であれば幸せなのか、生きている実感があるのかというと、残念ながらそうではありません。楽なだけだと、どこかつまらなく、やりがいがなく、生きがいもありません。
もう一つの欲求は、充実感を求める「充実の欲求」です。私は、日々の充実感を「生きがい」と呼び、大きな充実感を「感動」と呼んでいます。」(p.122)
人には「安楽の欲求」と「充実の欲求」という相反する欲求があると言います。この「充実の欲求」を意識して求めることによって、生きがいや感動のある人生が送れるのです。
「私たちは、自分自身に原因を見いだすことで、自分がどうしたらいいのかがわかり、どのように問題を解決したらいいのかも見えてきます。それによって、自分の「出番」をつくることができるのです。」(p.161)
他人や環境のせいにして、愚痴や不満を漏らしていても、何も解決することができません。それよりも、すべて自分に責任があると決めることで、自分の出番ができるのです。
「私は、人間関係においては、一つの大きな法則があると思っています。それは、「自分が相手にしたことが自分に返ってくる」という法則です。これは、「ミラー効果」とか「鏡の法則」などとも言われています。つまり、過去、自分が周りの人たちに、どのようにかかわって、どのようなことをしてきたかが、全部自分に返ってくるのです。」(p.171)
バシャールも、この世の法則は1つで、「与えたものが返ってくる」と言っています。経営学も突き詰めれば、スピリチュアルと一致してくるのですね。
「ところが、問題をプラス受信で捉えれば、「問題」は「チャンス」になり、そこに自分が活躍できる舞台を見つけることができるのです。それができれば、前にお話した「自己責任」の姿勢になり、自分から行動して解決していくことができるようになると思います。
ですから、最初に「ピンチと捉えるのかチャンスと捉えるのか」がとても大事になるのです。それによって、依存型の姿勢になってしまうのか、自立型の姿勢になれるのかが決まります。」(p.180)
福島さんの会社では、問題が発生すると「チャーンス!」と叫ぶのだそうです。まず先にチャンスだと決めてしまう。理由は後から考えればよい。それによって、自立型の姿勢をつくっていくのです。
「事業をするにあたって、優先すべき判断基準は、そこにマーケットがあるかないかではなく、その事業を「自分の使命」や「自分の役割」と感じるかどうかです。」(p.210)
儲かるかどうかが重要なのではなく、自分がやるべきことなのかどうかが重要なのです。追求するのは、「自分らしい」かどうかなのですね。
前に読んだ「メンタリング・マネジメント」にもありましたが、メンターは「見本」「信頼」「支援」の3つを使って人を育てると言います。
「メンターが尊敬される「見本」を示すためには、常に、尊敬される人を目指して、努力していくしかありません。自律型人材を育てたければ、まず自分自身が自律型人材になって、「見本」を示すしかないのです。」(p.276)
「人は、自分を信用し、受け入れてくれた人の話しか聞こうとしません。ですから、相手に自分の話を聞いてもらいたければ、まず、相手を「信頼」し、受け入れて、話をよく聞くことです。メンターは、どのような相手でも、相手を「信頼」する勇気を持つことが大切です。」(p.277)
どんな相手であっても、まず相手を信頼する勇気が必要というくだりは、アドラー心理学を思い出します。
「人は誰しも一生懸命に生きています。みんな理由を持って、今、ここにいます。このことを踏まえて、人を受け入れる勇気を持つことこそが、「信頼」なのではないかと思うのです。」(p.297)
どんな人も、その人の価値観において間違ったことはしません。みんな必死で生きています。そのことをまず認める。そういう深い愛に基づいて、相手のすべてを受け入れることなのです。
「社会を、子どもたちの夢であふれたものにできるのは、大人たちです。大人たちが、自分たちの仕事に誇りを持ち、生き生きと仕事をすることが、子どもたちに夢を与えることになるのだと思うのです。」(p.315)
大人は子どものメンターにならないといけないのですね。子育てとは、親が「見本」を示し、子どもを丸ごと「信頼」し、一歩を踏み出せるように「支援」すること。部下育ても子育ても同じなのです。
この本は経営学の本ですが、生き方の本でもあると思います。生きるとは、人と人との関係をどうするかが重要です。ですから、人間関係の本でもあると思うのです。そこで重要なのは、まず自分がどういう姿勢で生きるかということ。
経営は関係ないと思う方にも、この本はぜひお勧めしたいと思います。
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