なんとなくピンと来て、昨年購入した本でしたが、やっと読むことができました。著者は劔持奈央(けんもつ・なお)さんです。
劔持さんは、15歳の時にレイプ被害に合われたそうで、それをカミング・アウトして、セッションを行うなど活動をされています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「そんななか気づいたことがありました。それは「満たされない何かを埋めるという行為は、結局、いつまでたっても満たされない自分をつくっているだけ」ということ。私が私を愛することをしてあげないと、絶対に自分を救うことができないと気づいたのです。自分の愛情不足を埋められるのは、自分だけしかいないということでした。」(p.24)
いつも依存的な恋愛を繰り返していた劔持さんが、ふと、このことに気づかれたのですね。
まず自分を愛さなければ、他人を愛することができない。多くの人がそう言っていますが、劔持さんもまた、それを実感されたようです。
「きっと、ほとんどの人が、何かしら自分に都合の悪い真実を封印して、生きていることと思います。でも、真実をゆがめて生きるということは自分に嘘をついていることなので、いつか苦しくなって、人生がうまくいかなくなってしまうのです。」(p.28 - 29)
劔持さんはレイプ被害に合ったことを、「私はかわいそうで憐れな女」という被害者意識として考えていました。しかし心の奥底には、「だまされてついていった!」という思いがあったのだとか。
本当は自分が決めてついていったのが原因で、自分がおろかなだけだった。そのことを正直に認められなくて、苦しんでいたのだそうです。
「思い切ってフタをあけ、真実を認めると、自分を愛せるようになり、周りからも愛される存在に生まれ変わります。」(p.29)
劔持さんは、15年かけてやっとフタを開けられたと言います。その真実に気づき、カミング・アウトすることによって、自分自身が解放されたのです。
「女性はね、自分のマザーになれるのです。それは、フタをしていた感情を味わい切った時にわかります。そして、その時に初めて、本当の意味で「感謝が湧き起こる」という経験もしたのです。子宮に包まれると、もうそこにはいいとか悪いとかがなくなって、イヤだったことも、うれしかったことも、全部が愛おしくなっています。子宮とは、そんな存在なのです☆」(p.71)
劔持さんは、女性性の象徴として、子宮を取り上げています。子宮が本来の自分であるという感覚なのでしょうかね。
「こうした感覚を繰り返していくうちに、私はひとり宇宙を通して、本当の意味での「自立」を得ることができたのです。
どのようなことかというと、膣に記憶されてしまった過去のイヤな出来事も、オーガズムを通して浄化できると知ったことで、自分のカラダがとても愛おしく思えて、「自分のカラダって本当にスゴイなぁ〜。素敵だなぁ」と何度も感動してしまったのです。
このことは、「何があっても大丈夫!」という揺るぎない自信につながり、自分の人生に起こったすべての出来事を受け入れていく「覚悟」へと発展しました。」(p.106 - 107)
「ひとり宇宙」というのは劔持さんの造語で、要はオナニー(マスターベーション、自慰)のことです。オナニーによって自分を愛することが、真の自立へとつながっていると言います。
「神との対話」でも、まず自分を愛することを勧めていますが、その中にオナニーのことも語っています。タントラのヨギがそうするように、まず自分にたっぷりと喜びを与えることで、相手を喜ばせるセックスができるのだと。
「私は、一度目の結婚の時、自分を満たすことよりも、「いい妻」や「理想の女性」になろうとがんばっていました。言葉では優しさを伝えていても、それは優しさのフリだったこともありました。そんな時は、あとで不満な気持ちが湧き起こってきたり、イライラしたりしていたのです。
でも、今は自分を徹底的に満たすことができるようになったので、満たされた私からあふれる愛で、自然とこのような言葉がかけられるようになりました。」(p.169)
不安から、本当の自分を隠して生きようとすると、どうしても苦しくなります。そうなると、他人を愛することができません。重要なのは、まず自分を愛で満たすこと。自分で自分を愛することなのですね。
「もし、長年一緒にいるパートナーと、最近ちょっとマンネリ化していると思われる方は、毎晩眠る時に「今日が最後かもしれない……」と思ってみてください。すると、本当に大切なことが見えてきます。
日常の些細なことで彼とケンカしてしまった時でも、相手のすべてが愛おしく感じ、朝までずっと抱き合っていたい気持ちが生まれ、「今日も本当にありがとう」を伝えて眠りにつくことができるようになります。」(p.192)
私も、しょっちゅう「これが最後かも」と考えるようにしています。そう思うと、優しくなれるのですね。
この本には、具体的なオナニーのやり方なども書かれています。それを「いやらしい」と考える人もいるかもしれません。ですから、そう決めつける人にはお勧めしません。
本当に自分を愛するとはどういうことなのかを、真剣に考えている人には、とても役立つ本だと思います。
また、女性だけでなく、男性にもお勧めです。女性の性はどうなのかを理解するのに役立つからです。そして、男性も同じだなとわかると思うからです。

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