ホリエモンさんの本を読みました。と言ってもこれは、ホリエモンこと堀江貴文さんと田原総一朗さんとの対談本になっています。
タイトルを見て、ホリエモンさんがどういう考えでそう言うのかを、詳しく知りたいと思って買いました。しかし残念ながら、その期待に応えてくれる内容ではありませんでした。
田原さんの質問がその問題に集中しないので、結論を得ないままに先に進んでいるという感じを受けました。
またこの本は、対談形式にはなっているものの、主にホリエモンさんが語り、田原さんが聞き手という感じになっています。もっと突っ込んで聞いてほしいのにというもどかしさを感じながら、読み終えました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「田原 2009年から3年間政権を握った民主党なんかも「日本解体」と打ち上げた。しかし、実際にはまったく、何もできなかった。
堀江 結局、解体とか再生とかいっても、同じシステムの上に立っていれば、変えることはできないんです。なぜかというと、中央集権的なしくみには管理する人間がいて、そこに利権が発生するからなんです。
田原 革命を起こしても、為政者が変わるだけで何も変わらない。たしかに、世界中のどの国でもそういう繰り返しが行われてきたんですよ。
堀江 だから、国を本当に変えるなら、まずしくみを変える必要があるということなんです。」(p.36)
このように、中央集権的な人が人を管理する仕組みをやめる必要があると、ホリエモンさんは言います。このあとで道州制にも触れていますが、私もまったく同感です。もっと民営化して、小さい政府を実現することが重要だと思っています。
「堀江 僕は今、国家がどんどん小さな政府になっていって、最終的には所得の再分配機能、つまり富める者から貧しい人へお金が配られるしくみがあれば、それでいいと思うんですよ。」(p.53)
このように、大胆な国家解体論を主張するホリエモンさんです。すぐに疑問に思うのは、外交や軍事はどうするのか?ということです。しかしここから、再分配の話になってしまい、そこからお金の話へと展開します。
結局、国家解体の話は、これだけで終わりです。どうしてこれが本のタイトルになるかなぁと思うのですが…。まあそれは、編集者の意向もあるのでしょう。
「言い方かもしれないけど、これから先は、お金に縛られる必要はなくなるだろうと思うんです。」(p.57)
お金があるかどうかではなく、シェア(共有)という仕組みの方が重要なのだと言います。これからはシェアによって仕事も得られるし、お金も得られる時代になるのだと。
「堀江 その国の中だけで見たらわかりにくいんだけど、世界的に見たら、昔のほうが格差はものすごく大きかったわけです。」(p.59)
私も同感です。日本のマスコミは、日本の格差が拡大したと騒ぎますが、昔と比べれば格差はあまりありません。海外と比べてみたって、日本の格差はそれほど大きくないのです。
「堀江 コンテンツをつくっていたクリエイター自体が、テレビからネットに移ってきているというのもありますね。目端が利く人たちはだんだんとそっちに行ってますよ。シェアできないのはテレビにとって本当に致命的だと思う。「このシーンがおもしろかった」というようなことを本当は伝えたいのに、できないのはものたりないじゃないですか。」(p.79)
ホリエモンさんがシェアにこだわる理由が、ここでやっとわかりました。シェアは楽しいんですよね。しかしテレビは、著作権がどうのこうのと言って、コピーすることを許しません。だからテレビは廃れるとホリエモンさんは言います。
「堀江 お金のために働くのでなく、やりたいことや社会のためにお金をつくる方法が生まれている。お金がないからとあきらめることはないんです。」(p.113 - 114)
クラウドファンディングのように、共感が得られれば寄付を募ることができます。これもまた、シェアの考え方ですね。
「堀江 先ほども言いましたが、未来に対して批判的になることより、僕はむしろ、未来に対して楽観的になることのほうが難しいと思うんです。
田原 そう、まったくそうですよ。
堀江 それに、他人を恨んでもしょうがないし、そもそも思い通りに動くわけがないんです。自分の行動しか、自分で変えられないわけですよ。世界を変えたいと思ったら、自分を変えるのが一番なんです。」(p.155 - 156)
ホリエモンさんの、この達観した考え方はどこから出てくるのでしょうね。楽観的に考える方が難しいから、あえて楽観的になろうとするのですね。
そして、他人は思い通りにならないと決めて、自分が変わろうとする。こういう姿勢でものごとを考えるのが、ホリエモンさんなのだなあと思いました。
ホリエモンさんの発想は実に素晴らしく、以前に読んだ本「お金はいつも正しい」でも、その内容を紹介しています。今回も、ビットコインのことを解説し、これによって国家がお金を管理する時代ではなくなるということを言われています。
そういう新たな考えに触れられたことは良かったのですが、本のタイトルにある国家がいらなくてやっていける方法について、もうちょっと触れて欲しかったなあと思いました。
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