2016年07月06日
聖なる旅
これも何の紹介で興味を持ったか忘れましたが、翻訳が山川紘矢・亜希子夫妻だということで、安心して買った本だと思います。
著者はダン・ミルマン氏です。大学で花型体操選手だったミルマン氏ですが、そこでソクラテス氏と出会うことで、覚醒の道へ踏み出すことになったのだそうです。
その話は、「癒しの旅」(原題:The Way Of The Peaceful Warrior)という本になって、全米でベストセラーになったそうです。
この本は、それに続く第二弾です。フィクションだということですが、どうやって覚醒していくかをドラマ仕立てでわかりやすく書いたものになっています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。ただ、これは物語ですので、あまりネタバレにならないように引用をとどめます。
「彼女は僕をさえぎった。「今、あなたの目の前にあることだけを処理しなさい。そして、先のことは先にまかせなさい。さもなければ、あなたは人生の大部分を、まだ、角まで半分しか来ていないのに、どっちの足から先に歩道からおりようと考えて過ごすようなことになりますよ」
「前もって計画をたてたり、将来のために準備するということはどうなのですか?」
「計画は役に立ちます。しかし、それに執着してはなりません。人生には意外なことが沢山ありすぎますからね。一方、準備は、あなたが計画した未来がやって来なかったとしても、するだけの価値があります」」(p.109 - 110)
ママチアと呼ばれる女性から指導を受けることになった主人公のミルマン氏は、将来を心配しすぎないようにと言われました。
ついつい将来を心配してお金を溜め込んだり、楽しむために時間を使わないなど、私たちの「今」の過ごし方には、非常に問題があると指摘されています。
ここでは、計画や準備の重要性も認めながら、未来の出来事(=結果)に執着しないことを強調しています。
なお、この話の続きですが、準備したことが巡りめぐって他で役立つという例を、ママチアが説明しています。
「私は自分の人生から、人生がまさにひどいことになってゆきそうに見える時こそ、実は、飛躍のための準備が整った時だということを学びました。行きづまったと感じた時、あるいは停滞し、後戻りしていると感じた時、実は、走り始めるために備えているのよ」」(p.123)
順風満帆だけの人生はありません。しかし、逆境は悪いことではなく、飛躍の前触れだとママチアは言います。ですから、人生に無駄なものは何もないのですね。
「「そしてその時」と言って、彼女は足をとめて、僕を見た。「下の階段がきれいになっていれば、とても精妙で、すばらしいことが人生に起こってきます。あなたの目標が、幸福を求めることから、幸福を作り出す方向へと、劇的な変化をとげるのです。
最終的には、それは奉仕となります。イエスは次のように言っています。『あなた方の中で、最も偉大なる者は、すべての人々に仕える者である』と。ダン、これがハートの道、内なる山へ登る道なのです。そして、どうぞ覚えておいて下さい。いつか、あなたは、自分のためでも、罪悪感や社会人としても自覚からでもなく、それ以外にやりたいことがないから、他の人々に奉仕するようになるでしょう。それはあなたを幸せにして、他の人々にも教えてあげたいと感じさせるすばらしい映画を見るのと同じくらい、気楽で楽しいことと感じられるでしょう」」(p.216 - 217)
覚醒が進むことによって、私たちは自分の幸福を求める生き方から変化してくると言います。それは、他の人々に仕えたくなるということです。何も求めることなく、ただ仕えようとする。それはまさに「愛」に他なりません。
「でも勇気は筋肉みたいなものです。訓練すると強くなってゆきます。人は逆境に出会うまでは、自分の魂を試しはしません。ここにいる人々は、最もつらい感情的、肉体的な戦いに直面しています。恐怖にかられた人々によって追放された彼らは、子供たちの笑い声のない村で生活しているのです。ハンセン病という言葉は、『そっぽを向かれた者』と同じ意味を持つようになっています。世界から見捨てられ、避けられている者なのです。これほどのことに直面する人はほとんどいません。そして、これほどの魂の力を示すことのできる人もまれなのです。」(p.249)
ハンセン病のことは、日本でも問題になりましたね。しかしママチアは、彼らをかわいそうな人々とは見ません。魂の力を示そうとしている人々と見ています。あえて逆境の中に身を置き、魂を試そうとしている。そういう勇気ある存在なのだと言うのです。
物語の主たる部分は、ミルマン氏がママチアから指導されて、少しずつ覚醒していく話になっています。
現実的には妻と上手く行かず、娘にも負債を感じながら、逃げるように旅に出たミルマン氏。そこでママチアと出会い、かつてソクラテス氏から示されたように、彼女の指導によって覚醒していくのです。
この話はフィクションですが、おそらくミルマン氏の体験を元にしたものだと思われます。地球的に覚醒の時代に入ったと言われる今、自分自身の覚醒を考える機会になるのではないでしょうか。
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