2016年05月09日

アスペルガーとして楽しく生きる



発達障害カウンセラーの吉濱ツトム(よしはま・つとむ)さんの本を読みました。

どうしてこの本に興味を覚えたのか、そのきっかけは忘れました。発達障害に関心を持っていたので、目に留まったのかもしれません。

著者の吉濱さんは、自信がアスペルガーとして苦しんできた体験があり、それを克服していった体験をふまえて、発達障害専門のカウンセラーをされています。

サブタイトルに「発達障害はよくなります!」とありますが、発達障害のマイナス面を抑えてプラス面を増強させるという、吉濱さんの具体的な手法も書かれています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

そもそもアスペルガーというのが、どういうものなのかを知っておく必要があります。

それでも、ときとしてアスペルガーの症状が顔を出します。人に何かを指摘されると、ものすごい剣幕で怒り出すことがあるのです。」(p.27)

これはアスペルガー特有の「認知の歪み」という症状の一つです。」(p.28)

他人が親切で言ったことも悪くとる。それだけなら、普通の人にもよくあることですが、それが極端に表れるのがアスペルガーの特徴だと言います。

こうした極端な被害者意識の症状は、たいていの場合、年齢とともにしだいにやわらいでいくか、自分で抑えることができるようになっていきます。僕の場合は、中学生まで続きました。」(p.29)

子どものころ、普通ではない極端な被害者意識、それにもとづく怒りの表現があると、アスペルガーかもしれないと言えそうですね。


全員ではありませんが、アスペルガーは、「世の中をひっくり返したい」という強い思いを持っていることがあり、概して社会主義的、共産主義的な思想に向かいやすい。極端に走って、「戦争も辞さない」と本気で思い込んだり、「社会のシステムはことごとく悪である。今こそ革命を起こすときだ」と、過激な情熱を隠し持っていたりすることさえあります。独善的な正義感が強いのです。授業中に突然、黒板の前に出ていって、あるいは机の上に乗って「諸君!」と演説を始める、そんなこともよくありました。
 アスペルガーは論理的思考に長けた部分があるので、滅茶苦茶な内容だとしても、一見すると筋が通っているような理論や理屈を構築することができます。そして、それを訴えたくて仕方がないのです。何かのきっかけでその衝動に火が点けば、誰も止めることなどできません。
」(p.31 - 32)

アスペルガーには、大きく分けて「内向型アスペルガー」と「積極奇異型アスペルガー」の二種類があります。」(p.33)

積極奇異型というのは、簡単にいえば、過剰な積極性を持ったKY(空気を読めない人)で、著しく協調性に欠ける人のこと。」(p.33)

アスペルガーの症状というのは、これといって特別なものではありません。誰もが持っている性質です。アスペルガーは、その度合いが極端に高かったり、抱えている種類が多かったりという、それだけのことにすぎません。」(p.35)

ちょっと通常の反応と違う。どこか過剰で、極端に欠落しているところがある。それがアスペルガーです。」(p.35)

ある一点で極端に秀でているのに、別の一点でとんでもなく劣っていたりするのです。」(p.36)

発達障害は、脳の機能障害です。親の愛情不足とか、精神障害ではありません。また、ちょっと普通の人と違うということだけなので、鍛えれば何とかなると思われがちですが、それも違うと言います。

「これができるなら、こんなことも簡単にできるはずだ。」このような、普通の人の思い込みによる対応で、アスペルガーの人は傷つき、うつなどの別の精神的疾患を発症するようにもなります。

一見すると普通に見えるだけに、難しいものがあるようです。


世間で問題とされるのは、アスペルガーの短所ばかりです。
(中略)
アスペルガーは、実にたくさんの長所も持っています。(中略)短所を改善し、長所を伸ばしていけば、アスペルガーは、傑出した人材となりえるのです。」(p.39)

歴史上の傑出した人物では、エジソン、アインシュタイン、ベートーベンなども、アスペルガーだと言われるようになりました。今となっては正確な診断はできませんが、その可能性は十分にあると思います。

ですから、もしアスペルガーの人が社会に参加できるようになれば、社会にとっても大きなメリットがあるということなのです。


吉濱さんの方法は、まずは身体を整えるというものです。思考に直接アプローチする精神的な方法は、なかなか難しいものです。しかし、身体的なものであれば、比較的に容易です。たとえば、楽しくなくてもスキップすれば、楽しい気分になれるからです。

その中で、特筆すべきはローカーボ(低炭水化物)の食事法です。

低炭水化物ダイエットが最近もてはやされていますが、野菜ばかりを食べて、タンパク質を摂らないダイエットは、とても危険です。大事なことは、炭水化物を減らし、同時にタンパク質をしっかりと摂ることです。そうしなければ、間違いなく体を壊していまします。」(p.90)

もう1つの特徴は、サプリメントで必要な栄養素を補うというもの。1日1食の吉濱さんは、さすがに鮭缶ばかりでは栄養が偏るようです。

吉濱さんは、このローカーボの食事を数日やれば、それだけでアスペルガーの症状が緩和されると言います。実際の症例を重ねているだけに、説得力があります。


アスペルガーは、発達障害の中でも、とりわけ環境に影響されやすい。少しでも自分の気質や症状に合わない環境に身を置かれると、力が発揮できなくなってしまいます。合わない環境で長い時間を過ごすことに耐えられないので、アスペルガーが仕事を選ぶ場合は、自分に適した環境かどうか、事前に見極めておく必要があるのです。」(p.96)

乱れた環境だと犯罪が起こりやすいなど、環境が人の精神に影響をあたえること、これを「環境圧力」と言うそうです。そしてアスペルガーは、特にこの影響を受けやすい。だから、環境を念入りに整える必要があるのですね。


他にも、行動を変えるとか、習慣化するなど、具体的な方法が示されています。

しかし吉濱さん自身は、レイキを習われたりして、手かざしで病気を治すヒーラーであり、スピリチュアルな方面に造形が深いのだそうです。

けれども、食事や環境、行動などを変えれば、今の苦しみに対してすぐに効果が現れる。ですから、このやり方を続けているのだとか。


後半にはカウンセリングの例もありましたが、それらを読んでいると、私も軽度のアスペルガーなのではないかと思えてきました。

遅刻することに異様に恐怖心があり、時間を守ることにかけては非常に心を砕きます。ソファやベッドがある自宅では勉強ができないので、ファミレスとか環境を変えることで勉強に集中できるようにしてきました。

今はそれがオフィスになっていますが、吉濱さんが示す療法を、知らずにやってきているような気もします。


そう考えると、程度の差こそあれ、アスペルガーの範囲は広がるのかもしれませんね。

現在、発達障害「アスペルガー」「ADHD(注意欠陥・多動性障害」「自閉症」「学習障害」「知的障害」に分類されるのだそうです。しかしそれらは、厳密にわけられるものではなく、スペクトラム(連続体)として認識されているそうです。


私は、「発達障害は世界を救う」と考えています。つまり、明確な病気ではないのに、あまりにも違いが顕在化するからです。

「これができるなら、こんなこともできるだろう。」と他の人が思うことができない。他の人には、なぜ「それができない」のか理解できません。本人も理解できないかもしれませんが、その人にすれば、「それができる」ことが理解できないでしょう。

このように、一見すると同じように見えながら、まったく違った様相を見せてくれるのが発達障害です。

そういう人が普通にいることが認知されるようになれば、社会はどうなるでしょう?それを当たり前と捉えるようになるのではないでしょうか?

つまり、「違っていて当たり前」「違っているから素晴らしい」という価値観に、変わっていく気がするのです。その価値観の変化によって、社会は救われるように思います。


アスペルガーを疑っておられる人、アスペルガーで苦しんでいたり、また家族がそうだったりする人にとって、吉濱さんの療法はユニークで興味深いものになると思います。

また、アスペルガーと縁がない人も、アスペルガーという存在を知る上で、貴重な情報を与えてくれる本になっています。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 19:03 | Comment(0) | 実践内容 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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