ヒカルランドの3周年記念イベントに参加し、お目当てだったひすいこたろうさんや植原紘治さん、はせくらみゆきさんの他に、空中浮遊を行ったヨガ行者の成瀬雅春さんなども講演をされました。
その成瀬さんの話を聞いて面白かったので、その場でこの本を買いました。
東京の五反田でヨガ教室を開いておられますが、書のような絵のような瞑想画を書かれたり、ジャズを演奏されたりと、なかなか多彩なお方のようです。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「私の生き方の中心は「死」です。
常に死と向かい合い、死に敬意を払い、最高の死に向かって生きています。
そうすると、「今が楽しくなくてもいい」「生きたいように生きられなくなってもいい」「趣味を続けられなくなってもいい」のです。
楽しくても、楽しくなくても、つらくても、うれしくても、苦しくても、すべて含めて「愉(たの)しい」のです。」(p.6)
講演の中でも言われていましたが、つらいことがあれば、それが終わることで無上の喜びが感じられるとわかるので、愉しくなるのだそうです。
死ぬときには、生前の体験が走馬灯のように浮かんでくるそうですが、その走馬灯が愉しいものであるような生き方をする。それが成瀬さんの生き方のようです。
「死の可能性は、無数に存在しているのです。
「死は来ない」「死とは縁がない」と考えるのは間違いで、むしろ日々死と直面しているという認識を持つほうが正しいです。その考え方を持つことで、死の恐怖は確実に軽減されます。
「死が来るかもしれない」と思うから怖いのです。
「死は来る」と思えば「かもしれない」という不安要素がなくなります。
人間がドキドキするのは、何かが決まっていない、もしくは決まる直前です。
「どうなるかわからない」から不安になり、怖くなるのです。」(p.33)
常に死のことを考え、今日にも死ぬかもしれないと思うことで、死の恐怖から逃れられると言います。このへんの考え方は、ひすいさんの「あした死ぬかもよ?」と同じですね。
「寝たきりになっても人生は終わらない。
それどころか、寝たきりになったら、新たな楽しい世界が開けるのです。」(p.76)
仮に寝たきりになっても、できないのは身体を使うことだけで、考えることはできると言います。勉強もできるし、瞑想もできる。制限が大きければ大きいほど、できることに専念できるわけです。
そうやってできることに意識をフォーカスすれば、それは愉しいことだと言うのですね。
「すべて自分の判断で選択して、自分の責任において生きていくのが正しい人生です。その中で、私のような考え方をする人間がいることを知って、自分の判断基準の参考にすればいいのです。」(p.86)
成瀬さんは、石鹸やシャンプー、洗剤や歯磨き粉など、自然でないものは一切使わない主義だそうです。
ですが、それを他人に押しつけることはしないそうです。それぞれが自分で考えて、自分で判断すべきだと思われているからです。
「私は「奢ってあげた」と考えるのではなく「奢らせてもらった」と考えます。
つまり、「私が奢るチャンスを与えてもらったこと」に感謝するのです。」(p.157)
飲食を奢るのは「生前贈与」だと考えているのだそうです。同じようでも、死後の遺産相続は、少なくとも死んだ本人が喜べません。ですから生きているうちに贈って、喜ばれ、感謝されるなら、その方が愉しいのです。
そして、それをすることで「損した」と考えると、やはり愉しめません。ですから成瀬さんは、感謝できる見方を選ぶのだそうです。
「生死という観点で考えると、誰かに奢って感謝され、その直後に自分が死んだとしたら、奢っておいて良かったことになります。奢る分のお金がもったいないから奢らなかったとして、その直後に自分が死んだら「奢っておけばよかった」と後悔することになります。なぜなら、その奢る分のお金は、死の瞬間に、自分の手から離れるからです。
自分の持ち物はすべて、死の瞬間に自分の手から離れます。
死の瞬間に自分から離れないのは、「経験」であり「意識」です。
素晴らしい経験を積んでおけば「素晴らしい死」を迎えられます。」(p.160)
ちょっと長いですが、重要なことが書かれていると思います。死んだら、地位も名誉も財産も無意味です。ここまでは、多くの人が言っています。
成瀬さんはさらに突っ込んで、死後に残るのは経験と意識だと言っています。これは、「神との対話」に通じる考え方ですね。
ですから、「良い経験」、つまり「自分らしい経験」をすることが重要になります。いつ死ぬかわからないのですから、常に、自分らしく生きることが重要なのです。
そして、そのように生きていれば、「素晴らしい死」が迎えられると言います。つまり、自分の死を輝かせるために、常に自分らしい選択をすることが重要なのですね。
まったく自由に、思うがままに生きている感じの成瀬さんは、本当にかわいらしいおじいちゃんという感じの方でした。
植原紘治さんといい、成瀬さんといい、すてきな「おじいちゃん」と出会えて、なんだか心がほっこりしました。
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