小林正観さんの本を読みました。これは、私が購入したのではなく、友人からいただいた本です。
この本は、編集者の山平松生さんが正観さんにインタビューして、それを文字にしたものになっています。
正観さんの本は、「ありがとうの神様」などを紹介していますが、比較的に最近のものばかり読んでいます。この本は、初版が2001年ですから、16年前という古いもの。それだけに、私が知っている正観さんのイメージとは、また違う一面が見られました。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「脳波をベータ波からアルファ波、シータ波に上げていきなさい。脳波をアルファ波のほうへ変えていくと楽しいですよ。そうすると人生が変わりますよ、というのが、「小林正観の世界」の中でもとても重要なテーマです。」(p.21)
正観さんの脳波は、なんとベータ波0%、アルファ波9%、シータ波91%だったそうです。通常なら眠っているような状態です。
ですから正観さんは、何も考えなくても講演すべきことが次々に頭に浮かんできたりするのでしょうね。
レイキをやっていると眠くなるので、脳波がアルファ波やシータ波になっていると感じていました。顕在意識の働きを抑えて、潜在意識に任せることが、何かにつけて良いようです。
「そのころよく口にしたセリフが、「不幸や悲劇は存在しない。そう思う心があるだけ」というものでした。
(中略)
三十三歳のとき、小林さんはこの言葉が試されます。」(p.56)
これが、「ありがとうの神様」にも出てくる、障害を持ったお子さん、慶子ちゃんが生まれて来たときのエピソードです。
56番目の「「3秒」で、どんな悩みでも解決する方法」に書かれています。正観さんは、娘の障害を受け入れられなくて、見る世界から色が消え、白黒になってしまったと告白されています。
しかし、新聞のコラム記事に、600人に1人は障害児が生まれるとあるのを読んで、それなら自分のところに生まれてきて正解だったと受け入れた時、色が戻ったと言っています。
「たぶん温かい目でこの子に接して育てていくだろう……。そういうように考えた瞬間、これまで話してきた「不幸や悲劇は存在しない。そう思う心があるだけ」という方程式が本物になったのです。事実を受け入れた瞬間、色が戻りました。私にとってそれがたぶん「悟り」だったと思います。」(p.57)
正観さんは、高橋信次さんとも会われています。
「そういえば、高橋信次さんが悟ったのも受け入れるということでした。お前は死ぬぞと言われ、闘い続けた三日間は誰も答えを出してくれません。分かった、もう死のうと決めたときに、お前は悟ったと言われました。だから「悟り」とは「受け入れること」なんです。闘うことではないんですね。闘っている間は苦しいのです。」(p.60)
この争わずに受け入れるということを、正観さんは娘の慶子ちゃんから教わったと言われています。
生まれ変わりについて正観さんは、足立育朗氏の説を引用して、次のように言われています。
「つまり鉱物、植物、動物、雲、そして人間という経験をするのですが、このプロセスにはある法則性があることに気がつきます。それはだんだん自由度が増すということです。」(p.90)
「ある人が言った言葉で、「人格の大きさは行動半径の大きさだ」というのがあります。
(中略)
自由度が増していくというのがじつは魂の進化そのものだと思います。ですから、人間も十万回生まれ変わるんですね、人間の衣を着て……。行動半径の大きさが、生まれ変わりの回数を推定させます。」(p.91)
進化すれば自由度が増すという視点は、まさにその通りだと感じました。全国を講演で飛び回っていた正観さんは、何度も生まれ変わって進化されてた魂だったのでしょうね。
「逆に言えば、「努力すること、頑張ること、必死になること」をやめることが大きな能力開発への前提条件になることが分かってきました。」(p.104)
最近は心屋仁之助さんなども、頑張ることをやめようと言われています。正観さんはすでに以前から、そういうことを言われているのですね。
つまり、顕在意識に頼ることによって、潜在意識が働かなくなるのだそうです。正観さんはスプーン曲げなどの超能力研究もされていて、ご自身の体験などから、この結論を導き出されたようです。
「成果が上がらないのは、苦労や努力が足りないからではなく、足りないのは周りの神々や周りの人々への感謝の気持ちです。自分の周囲の方々にもっと感謝したらどうですか。人にはそれぞれたくさんの味方がついているんです。その方々が深いところでちゃんと見てくれているのです。」(p.125)
努力するのは、誰も助けてくれないと信じているから。周りを信頼していないから。つまり愛していないからなんですね。
ですから逆に、安心して、任せて、感謝していれば良いのだと、正観さんは言われるのです。
「私の力ではどうにもならない、神さま、あとはお願いします、と言いきってしまうんです。それができた人は、その問題が突破できます。
そして一度それが突破できると、自分の手の届く問題に囲まれているときに、これは自力でもやれるけれど、このレベルにもお願いしようと頼んでしまうのです。なんの努力もいらない、ただただお願いする。」(p.127)
神仏だけでなく、周りの人にも、ただお願いして感謝する。どんな結果が出ても、それを受け入れて感謝する。そうすることが、大きな力になると正観さんは言われるのです。
「結局私たちは神さまになるための予備軍なんですね。ただ神さまになるための道を歩いているだけなんです。あっちへ行ったり、こっちにぶつかったりしますが、結局はその道をまっすぐ歩いているんです。」(p.141)
人間という存在は、神になろうとしている存在だと、正観さんは言われます。まさに「神との対話」で書かれている通りですね。
「投げかけたものが返ってくる……。いまは過去に投げたものが返ってきているのです。未来は、いま投げたものが返ります。その積み重ねです。」(p.142)
この世の法則は、与えたものが返ってくるということだけだ、と言ったのはバシャールでした。多くの人が、本当に同じようなことを言われています。
「肩を叩かれリストラされたことは、ほんとうはものすごくラッキーなことかもしれません。次の訓練のためのステップだったのかもしれません。ほんとうに自分がしたい仕事が見つかるチャンスかもしれません。恨み辛みを言うのをやめて、すべてのことに感謝し、「ありがとう」を言うと、本人がいちばん楽になって楽しくなりますよ。」(p.143)
何が自分にとって良いことか悪いことか、後になってみなければわかりません。ですから、それを否定するなと、「神との対話」でも言っています。
「人生は自分が書いたシナリオどおりだ……。それが納得できると、やってくる現象一つ一つに対して、あれこれ論評や文句を言わなくなります。逆に、自分が書いたシナリオが今日どんな形で現れてくるのか、わくわくしながらその現実を見られるようになります。このシナリオは、いい悪いがありません。何が起きても何が来ようといいんです。淡々と過ぎていく現実を見ていればいいのです。自分が書いたのですから。」(p.143 - 144)
「神との対話」でも、目の前の現実はすべて、自分が創造したのだと言っています。それは魂の課題に対して最適なものです。そうだとすれば、文句を言ったり、悲観したりする必要はありませんよね。
困っている他人のために何かしてあげたいと思う時、何もできなくて自責の念に駆られることがあります。
そういうとき正観さんは、自分にできることとできないことを分け、できないことは気にしないことが重要だと言います。
「でもたった一つ、方法があります。「自分が太陽になる」ことです。自分が北風のままであれば、その人の氷はいつまでも溶かせません。自分が自分で太陽になる……、これは簡単です。相手を変えるのではなく自分が変わるのですから。」(p.163)
「神との対話」でも、暗闇の光になれと言っています。相手を変えようとせず、その場で自分が輝けば良いのです。
自称「変態」のたまちゃんも、お天道さまのように生きることを提唱されていました。お天道さまとは太陽のこと。光と熱(温かさ)を自ら発するのです。
「ぜんぶ必然なんです。一つでも欠けていたらここにはいませんよ。なに一つ否定するものはありません。「全部」が感謝の対象です。その「全部」に対して「ありがとう」って手を合わせられたら、局面が変わります。ぜんぶが味方になります。神、仏、守護霊、精霊、友人、家族、そして私の体がすべて味方につきます。あれがよくてあれが悪いというのはやめた方がいい。」(p.180)
良いことも悪いことも、すべて必然で無駄がないのですね。それらがすべてあってこそ、今の自分がある。そう思えば、すべてのことに感謝なのです。
「自分が、勝手に色をつけて見ればいいんだって。だから、すべてのことに否定的で、不幸だ不幸だ、悲しい、つらいと受け取るのが、その人の趣味で好きなんだったらそれでもよし、それが楽しいんだから、権利だから、やっていてもいいのです。反対に、その「空」の現象に対して、嬉しくて、楽しくて、幸せだって思う方が、自分にとって嬉しく楽しく幸せなんだったら、そういうふうにとってもいい、自分だけの問題だから。」(p.189)
これが般若心経にある「色即是空 空即是色」の、正観さんの解釈だそうです。もともと色がついていないので、自分の好きな色で染めれば良いのだと。
「二十一世紀は架け橋ですね、二十世紀と二十二世紀の。この百年で西洋文明から東洋文明へと価値観が変わって、それがその後三千年続きます。その礎(いしずえ)がこの百年で出来上がります。
(中略)
釈迦が言ったジャプトーバーですね。自分の教えが、末法の時代になってから五百年ほどたつと、つまり二千五百年後ですね、インドのはるか東方にジャプトーバーという国があって、その国で自分の教えや考え方が正しく理解されなおす……。
(中略)
山平 ジャプトーバーはもちろん日本ですね?
小林 そうです。その国の人々は争うこと、闘うことが嫌いな人たちで、その考えと自分の教えが正しく理解されることが相まって、融合して平和な世界が始まる。そこから三千年間、平和が続くだろうと釈迦は言ったのです。」(p.200 - 201)
そんなお釈迦様の教えがあったのかどうか知りませんが、これは驚きです。でも、なんとなく日本は、世界平和の要だという気はしています。
「だから私は環境問題とも闘わないし、世の中が悪くなったなんて一言もいわないのです。そうではなく、三千年王国に向けての第一歩が始まったと思っています。」(p.202)
自分の人生は、自分の思いが創りあげています。そうだとしたら、現実を批判したり、文句を言ったり、不平不満を言うことはナンセンスです。その思いが、未来を創るからです。
ですから正観さんは、批判せず、否定せず、それでよしと受け入れて、感謝する生き方を勧めています。そう生きることが、幸せへの近道なのです。また、そう生きることが、問題解決の近道でもあるのですね。
超能力探求から始まった正観さんの心の旅は、このような悟りのレベルにまで昇華して行きました。正観さんの生き方が、非常によくわかる本だと思いました。
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