セラピューティック・ケアとタクティールケアという、主になでるだけで認知症などに対しても効果があるという施術に関する本を読みました。
これは、バンコクのレイキ練習交流会に参加されている方から、「こんなものがあるけど、知ってますか?」と言われて、新聞の切り抜きを見せられたのがきっかけです。
「これって、レイキですよね?」と言われたのですが、レイキとは違うように思いました。ただ、興味が湧いたので、関連している本を購入して読んでみたのです。
1冊目は、セラピューティック・ケアの本「手のぬくもりは心のぬくもり」で、著者は秋吉美千代さん。
イギリス発祥のセラピューティック・ケアを日本で普及させることに尽力されている方です。WEBサイトはこちらになります。
もう1冊は、「タクティールケア入門」という本で、タクティールケア普及を考える会の編著となっています。
タクティールケアは、スウェーデン発祥となっています。WEBサイトはこちらです。
両者の違いは微妙です。滑りを良くするのに乳液を使うのか、オイルを使うのかや、なでるときの手の動きなども、若干違いがあります。
また、経絡やリンパへの影響を考えているのかいないのかなど、その効果に対する考え方も、少し違いがあるようです。
しかし、人の手のぬくもりや肌触りを伝えることで、被施術者に安心感を抱かせる効果を狙っているという点で、共通しているように思いました。
では、「手のぬくもりは…」から一部を引用して、内容を紹介しましょう。
「「痛いの痛いの飛んでゆけ!」と、痛いところに手を当てる、”手当て”という言葉があります。痛いところを優しくなでてくれたお母さんの手の温もり……それが、セラピューティック・ケアの原点です。人肌の温もりと柔らかい手のひらの感触、そしてゆっくりと一定のリズムと圧でなでられる心地よさは、どんなに精緻なマッサージ機でもかないません。」(p.5)
このように、セラピューティック・ケアを紹介しています。
このことや、イギリス発祥ということからして、経絡だとかリンパなどというのは、後付のように思われます。また、WEBサイトのQ&Aにも、特に経絡などを意識しなくても、全体をなでているうちに刺激が伝わるのだ、というようなことが書かれています。したがって、経絡やツボを刺激する指圧や鍼灸という東洋医学的なものとは、まったく関係がないと思われます。
ただし、だからと言って、そういうものへの影響がないわけではありません。後付であっても、そういう影響があるかもしれない、という点では同意します。
「『現代の生活問題』(中川清著、放送大学教育振興会刊)によれば、オキシトシンを分泌させるには、「圧をかけて一定の間隔でなでる」ことになっています。相手に手で触れ、その手のぬくもりを感じさせながらゆっくりとなでていくセラピューティック・ケアの効果の多くは、このオキシトシンによるものであると考えられます。
オキシトシンとは、脳の下垂体後葉から分泌されるもので「信頼のホルモン」「安らぎや幸福感をもたらすホルモン」と言われています。このオキシトシンは、触れる(ケアする)側の人にも分泌されるため、施術者も同じようにリラックスし、気持よく感じられるのです。」(p.41 - 42)
つまり、一定の圧力とスピードでなでることで、オキシトシンを分泌させる。これがセラーピューティック・ケアの本質だと言うのですね。
もしそうだとすると、オイルマッサージや一部のリンパマッサージなど、マッサージ系ならほとんどに、この効果があると思われます。
では、一方のタクティールケアはどうでしょうか?そちらの本からも引用しましょう。
「これらの療法では、ある特定のツボや筋肉を押したり揉んだりすることにより効果を得ていますが、タクティールケアの場合は、特定のツボや筋肉に強い刺激を与えるのではなく、手や足、背中全体をやわらかく包み込むようにゆっくりなでることによって効果を得ている点が、ほかのタッチケアとは大きく違うところです。」(p.14)
たしかに、指圧やタイマッサージなどとは、大きく違うのでしょう。もみ返しなどの危険もないので、安全と言えます。しかし、オイルマッサージやセラピューティック・ケアとの違いは、よくわかりません。やり方が多少違うだけで、効果やその理由も、同じもののような気もします。
「その全容が明らかになるのはまだ先の話になりますが、現在のところ、安心感をもたらす効果に関与しているのが「オキシトシン」というホルモンではないかとみられています。」(p.35)
このように、タクティールケアの方も、効果がある理由にオキシトシンをあげています。
元々、人肌が恋しいという言葉もあるように、人は他の人の肌に触れることによって、安心感や満足感が得られることが知られていました。
また子育てにおいては、親が子をしっかりと抱いてやることが重要だと言われています。それは精神的な意味もありますが、その効果を引き起こしているのが「オキシトシン」だとすると、服を通してであっても「肌に触れる」ことが重要なのだと思います。
レイキは、肌に触れる必要がありません。手を浮かせても施術できます。そういう意味では、これらのケアとは効果やその理由も異なると思われます。
ただし、直接触れた方が被施術者に満足感があることは、レイキの講習でも習いました。
もし、こういうケアをする人がレイキも修得されたら、両方の効果が同時に発揮されるわけですから、鬼に金棒のように思います。
また、こういうケアを本格的に習わないとしても、他の人の肌にそっと触れてなでてあげるだけでも、効果があるように思いました。

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