神田昌典さんの本を読みました。
神田さんはマーケッターであり、経営コンサルタントでもあります。
そんな神田さんの本を、これまでにも何冊か紹介してきました。「成功のための未来予報」、「マンガでわかる非常識な成功法則」、そして本の紹介ではありませんが、神田さんが提唱しておられる全脳思考(フューチャーマッピング)についての「直観を使う全脳思考」です。
神田さんは、私のメンターの吉江勝さんの師匠になります。そういうこともあって、本を読む機会も多いのです。
それと神田さんのマーケティング手法は、ある意味でスピリチュアルです。どこか通じるところがあるのです。
それは今年、神田さんのセミナーに参加したときに強く感じました。また、はせくらみゆきさんとコラボして、「おとひめカード」を販売されていることにも表れてます。
そんな神田さんの本なので、幸せになる考え方という点でも、参考になると思います。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「いったいなぜ、経営者は無価値観を感じているのだろう? この原因は、経営者の幼い頃の家庭環境に根ざしている。
分かりやすく言おう。
親が厳しかったのである。親が厳しくて、「お前はダメだ」と言われ続けたのである。すると、自分は人より数倍努力しないと価値がない人間だと思い込む。このように無価値観が刷り込まれていく。」(p.58)
これは、何か問題が起こった時、それは自分に何かを気づかせるためだという話から始まっています。
会社がある規模から成長しないのは、経営者が無意識に人を育てないように、いい人を採用しないようにしているからだと。
なぜなら経営者は、いい人を部下に持つと自分の存在意義がなくなると感じてしまうからだと言うのです。
つまり会社がある規模から成長できないという問題は、経営者が幼い頃から培ってきた、自分の無価値観にあるというわけですね。
このような対人関係の連鎖は、ずっと続くことになります。このことから神田さんは、私たちは同じパターンを繰り返すと分析しました。それが「神話パターン」なのです。
「この方法論は、問題は起きるパターンが決まっているということが前提にある。結論から言えば、問題は神話の形式に沿って起こるのである。」(p.76)
「神話パターン」は、次の3つステージからなります。
第1幕:出立・離別・・・「偏狭ないままでの認識」「変化への拒否」「メンターとの出会い」「変化への第1歩」
第2幕/前半:試練・・・「テスト 最初の変化への挑戦」「大きな変化への準備」
第2幕/後半:通過儀礼・・・「試練 大きな変化」
第3幕:帰還・・・「努力 進歩と後退」「復活 変化への再挑戦」「クライマックス 最後の変化」「宝を持ち帰る 最終的な解決」
「ハリウッド映画は、前ページの図のように3幕構成に分かれていて1幕1幕に必ず障害が起こる。そして、この障害が、われわれの人生においても同じようなタイミングで起こるのである。」(p.78)
このように、私たちの人生においても、同じようなパターンが繰り返されると言います。
したがって、こういう構造を知っていれば、問題が起こっても解決策を得やすいと言います。
その方法は、次のミラクル・クエスチョン(魔法の質問)をすることです。
「・いったい、この問題によって私はどんな学びを得ようとしているのか?
・この問題が第1幕の終わりだったとしたら、第2幕にはどんな問題がくるのだろう?」(p.79)
脳は、質問を与えれば答えを探してくる、と神田さんは言います。
そして早い段階で学びを得れば、その後の問題は起こらないと言うのです。つまり、二度あることは三度あると言うのは、最初の段階で学ばないからですね。私の失恋体験からしても、これは正しいと思います。
経営者の問題としては、会社が上手くいくと家庭が崩壊するということが多々あるそうです。
仕事と家庭のバランスをとることが重要なのですが、これはなかなか難しいことです。そこで神田さんは、次のように言います。
「もう1つは、問題があったっていいじゃないか、と開き直ることです。問題が生じても、それは自分の人生にとって必要事項だと開き直って、その問題に立ち向かう勇気を持つことです」(p.125)
たしかに問題が起こるのは、すべて自分のためです。起こることは必然で無駄がないのですから。
「人生はそもそも矛盾を抱えたものです。その矛盾を内包しているから、その人が成長するために、障害という形で課題を提出する。その課題に対して、結果を自分の意思で選択していくことが大事なのです。仕事を重視する人生を選択するか、家庭を重視する人生を選択するか、それともバランスを重視する生活を選択するかです。」(p.125)
どの答えが正解とは言い切れません。どの選択にも一長一短があります。そういう矛盾を内包する中で、自分にとってのベスト、つまり自分らしさを選択するのです。
「社員は、社長の器に合った人しか集まってきません。社員は、社長にとって必要な課題を与えるために、その会社に集まってくるのです。」(p.131)
スピリチュアルな考え方ではよく言われることですが、改めて自分につきつけなければならない考え方だと思いました。
神田さんは童話「桃太郎」の登場人物を例に、組織の問題を取り上げます。
桃太郎は起業家です。次に、実務家としての犬が仲間に加わります。次が管理者のさるで、最後がまとめ役のキジになります。
「起業家と管理者は、水と油ですから、通常は混じり合いません。そこで、双方が大きな器で、お互いを認め合って、協力していく関係を作り上げる必要があるのです」(p.151)
これは何も4人必要だという話ではありません。4つの面があるということで、時には1人で何役もこなすことがあると言います。
「考えてみれば、夫婦関係というのも、会社経営と似たところがあります。夫がやることに対して、妻がNOと言ってくれて、最大の批判者になってくれるからこそ、夫の事業が成功する。」(p.151)
つまりこれは人間関係全般に言えることなのです。私たちは、こういう人間関係を利用することで、自分の進化成長に役立てようとしている、と言えると思います。
「成長し続ける組織は、必ず成長がストップします。ですから、これから発展する企業というのは、成長ではなく、幸福を基準にして経営を進める会社なのです」(p.165)
これは企業だけでなく、国も同じだと思います。日本という国が、これからまた高度成長するのは難しいです。人口が減っていく社会では、経済成長どころか低下していくことも考えられます。
そういう成熟した社会では、成長に救いを求めるのではなく、方向性の転換が必要なのだと思います。
「教えているうちに分かってきたのが、能力を発揮するうえで、「難しい」という言葉が、きわめて致命的な言葉であるということである。「難しい」と口に出して言うことは、難しいということを今度は自分で証明し始める。だから、「こんなのできない」と思ったとたんに、本当にできなくなる。」(p.226)
このように、言葉の重要性を語ります。やはり使う言葉が、現実に大きな影響を及ぼすのですね。
「この病気を治す、とても簡単な方法がある。
「難しい」という口グセが出たとたん、「もし簡単だとすると……」という質問をしてみる。「分からない」という口グセが出たとたん、「もし分かるとすると……」という質問をする。すると何も問題なくできてしまう。」(p.227)
ここでも、質問することがポイントなのですね。解決策を考えるのではなく、まず適切な質問をするよう、心がけることが重要なのです。
「だから、儲けたいと思うのだったら、「自分は職人だ」とか「技術者だ」というセルフイメージだけしか持っていないと致命的なことになる。目標に応じて、それを達成できるように自分に対するイメージを変えていかなければならない。
つまり、自分の目標を楽々と達成するために、自分に都合のいいセルフイメージを持つのである。」(p.272 - 273)
自分の持つセルフイメージ以上には成長できないと言います。ですからまず、自分のセルフイメージを拡大することが大切なのですね。
このように、企業経営だけでなく、人生において役立つヒントが得られるのが、神田さんの本の特徴だと思います。
神田さんは特に、「直感を大切にする」ようにと言います。フューチャーマッピングにしてもフォトリーディングにしても、ポイントは直感にあります。直感とは、魂の導きとも言えますからね。
よりよい人生のために、神田さんの本は、大いに役立つと思います。
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